広告漫画特有のコマ割とかってある?
特にない……と思ったけど、ちょっとはあるな。
技術的な問題ってのはないと思うし、枠線の太さとかに広告特有の決まりがあるってわけでもない。
作業自体はいつも通りでいいと思う。
ただ、コマ割っていうよりも、広告としての紙面の使い方、見せ方の部分では普通の漫画とは違ってくる部分もある。
そこを考えてコマ割しないとマズイってことが。
タチキリはちょっと厄介かも
実はタチキリNGって案件は、けっこう多いんだ。
いつでもダメってコトじゃないけど、ダメなケースは少なくない。
特に漫画単独じゃなくて、色々な広告情報の一部として漫画が盛り込まれるような場合には、タチキリはしないほうがいい。
ハミ出さない前提で他の部分がレイアウトされてたりすることがあるから、タチキリすると広告全体としては壊れちゃうんだよ。
それとWEBコミックなんかでも、タチキリは厄介。
WEBサイトにはメニューボタンとか、バナー広告とか、ヘッダーやフッターなどの統一デザイン部分とか、とにかく色んな要素があって、その中に漫画も組み込まれるから、タチキリするとバランスが悪いってコトが少なくないんだ。
だからWEB連載前提の『カソクキッズ』では、基本的にタチキリはしていない。
本当はタチキリしたほうがいいシーンでも我慢してるの。
ただしウチでは漫画データを後でイジれるように作っているので、冊子版や単行本ではタチキリになるように改造したり、予め別バージョンを仕込んでおいたりはしているけどね。
あと、タチキリが危ないってコトは、枠線がないカットなんてのも危ないってコトだから、使うときには注意したほうがいいと思う。
これも漫画を広告の一部として組み込むような場合だと、NGな場合があるからだ。
なんせ、枠の外側は漫画家じゃなくて広告デザイナーの領域だからね。
枠の外側、つまり地に色を引くなんてコトだってあり得るんだ。
ボクの場合は自分がデザイナーを兼ねてるコトも多いんだけど、広告代理店からのオーダーなどで、自分がデザインまではやらない案件だと、タチキリなどは避けて、全部のコマを枠内に収めることにしている。
そうしておけば、どんな扱いになっても枠の内側だけは自分の作品としてコントロールできるから。
本当は漫画以外のデザイン部分がどうなるか、予めわかっていたほうがいいんだけど、デザインが最初から決まってるケースなんか、ほとんどないのよ。
ボクが自分でやるときもそうだし。
漫画と同時進行でデザインも進んでいく。
お互いがどうやるかなんか、わからない。そういうもんなんだ。
なので余計なコトやって描き直しとか、使えないからキャンセルとか言われたら困っちゃうから、タチキリはあまり当てにしないことが多いの。
タテ書きとヨコ書きの問題
それと、コマ割で一番大きな違いって「広告漫画では横書きのことも多い」ってコトがある。
ウチでは横書きで作るほうがずっと多いのでアタリマエになっちゃっているんだけど、普通の漫画家だったら縦書き前提で考えるだろうから、これは意識しておいたほうがいいと思う。
普通、日本の漫画は縦書きなのに、なんで横書きが多いのかといえば、広告物の多くが横書きだから。
今どきは色んな会社のパンフなど、大半が横書きなんだよ。
市町村の書類なんかも、ほとんどが横書き。
これは当然のことで、最初から横書きで作っておけば、外国語版などを作るときにも楽にやれるからだ。
コンピュータだって基本は横書きだから、WEBページにも流用しやすいしね。
縦書きはコスト高なんだよ。
だから世の中の広告・広報物の多くが横書き。
書籍などの出版物に限定すれば縦書きが目立つだろうけど、実は印刷物全体で考えたら縦書きはディフォルトでもないんでもないんだよね。
しかもA4サイズ。
これもお役所なんかがA4を基本サイズとしてファイリングしてるからで、B判は滅多にない。
つ~か30年近くやってて、一度もやったことないかも。
自分で同人小説作ったときもA5だったしな~。
漫画雑誌はB判が多いけど、広告の世界でB判はまずないと考えていいと思うな。
まぁ何にせよ、広告漫画は、そういう他のモロモロの広報物とセットなモノなので、広告漫画だけ漫画ルールにするわけにはいかないのよ。
あくまでも広報物なんだから、漫画のほうの常識に合わせるんじゃなくて、広告のほうの常識に合わせなきゃならないんだ。
それにWEB漫画などだと、ボクは縦書きを不自然に感じるんだよね。
コンピュータって左上隅が「座標0.0」でしょ。
つまり左が手前、右が奥。
そういうトコで見るモノが逆になってるってのは、どうも気持ちが悪いんだ。
操作感覚と進む方向が一致してないのが、どうにも嫌。
だからボクは、自分で意識して横書きを推奨している部分がある。
まぁ、冊子描き下ろしのときは、漫画本として自然な感じのほうをクライアントも望むことが多いから、縦書き作品もあるけどね。
でも、広告漫画では横書きが多いのは確かだよ。
そうじゃないと広告側としては汎用性が低くなっちゃって扱いにくいから。
自分が広告制作者でもあるから、それがよくわかるんだ。
で、アレにもコレにも使えるほうがお買い得で売りやすいということもわかるので、基本横書きでやってるんだ。
今ドキは何でもかんでもマルチ活用なので、紙で作ったモノでもネットにも公開したりするしね。
広告なんか特にそうだから。
さらにネットを考えると、今はもう国際標準ってのも意識せざるを得ないんだよ。
つまり英文対応ってヤツ。
日本の漫画を海外版に翻訳するとき、昔は裏焼きして左右反転させて左綴じの開きに変更したりしてたけど、最近は縦書きの右綴じのまま、文字だけ英文に変えてるケースが多いよね。
確かにそれでも読めるけど、でも英語圏では右綴じって、かなり違和感だと思うのよ。
それでも読んでもらえるのって、違和感を我慢してでも読みたいっていう濃いファンだけじゃないのかなぁ。
つまりニッチな客しか捕まえられないと思うの。
広告がそれじゃマズイんだよねぇ。
それに縦書きのまま英文化すると、文字の配置が明らかにヘンになるでしょ。
縦書きの漫画のフキダシは縦長になりがちで、そこに横書きの英文を無理やり詰め込むから、すごく読みづらいモノになる。
そういう状態でクールジャパンだよ、日本のコンテンツをどんどん買ってねって言ってもダメな気がする。
商売の基本はお客様の都合を考えることだから。
輸出先の人々の都合を考えないままに作ったモノを押し付けて買ってもらえるとはボクには思えないのよ。
ボクは縦書きの日本の漫画を否定してるわけじゃないよ。
スタッフに「漫画のキャラ(人間とか)は基本縦長だから、縦書きのほうがスペース効率がいい」って言われて、ああ、なるほど~~と感心したりもした。
ただ、それでも縦書きってコトは日本の読者を想定していて、横書き文化の人は想定外のはずで、縦書き前提でやっていながら海外の人にも読ませようと思うのは無理があるとも思ってるんだ。
アメコミとかは横書きでやれてるわけだしね。
そして広告では何国人でもお客様で、どんどん輸出もしたいことが多いから、広告漫画も最初から横書きのほうが都合がいいんだと思ってるの。
そういうことをスムーズにやれるというのも、それはそれでセールスポイントになるしね。
(そういや、とある本で右綴じの開きだったから縦書きで描いたんだけど、漫画以外の記事ページが全部横書きでビックリしたことがある。本文全部が横書きなのに、なんで右綴じで作ってたんだろ? けっこう大手なのに……)
※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。








うるの拓也












