ウチの映画コレクションを収納順に解説07/宇宙からの侵略生物!
長かった吸血ワールドも、あとちょっとで一旦終了。だけど、それはさらに恐ろしい世界へとつながっているのだ。
「アンダーワールド」「デイブレイカー」という、理性的で人間とも共存できそうな吸血鬼がようやく出てきて希望を感じたところで、SF的なバンパイアつながりということで「スペースバンパイア」を挟んでしまったため、ウチのDVD棚4段目は、SFホラー=侵略生物ジャンルへと変異してしまうのである。
悪夢はそう簡単に終わらないのだ(笑)。
※注1)
ここではベストテンとか星いくつといった評価はしない。何がベストかは自分でもわかんないもん。その日の気分によっても変わっちゃうし、駄作だと思っていた作品を観返したら超面白かったなんてこともあるし。
それにね、ダメダメな映画だからこそ救われるってこともあるのよ。よく出来た傑作じゃないからこそ、疲れていてもダラダラ観れるとかね。そういうわけでボクは、バカでダメな映画だってダメなりに愛しているんだ(笑)。※注2)
記事のほとんどはボクの記憶と印象だけで書いているので、一部に不正確な部分もあるかもしれない。ただし、実際の作品を観もしないで書いてるようなモノは1つもないよ。
アンダーワールド
この1作目が公開されたときには、こんなに長く続くシリーズになるとは思いもしなかった。1~2作は続きのようなもんだから2作までやるつもりなのはわかったけど、本文を書いている2018年2月現在、5作まであって完結してないんだもんなぁ。
いや、この1作目と2作目は、ボク割と好きなのよ。何度も繰り返し観るってほどじゃないんだけど、それなりに雰囲気あるし世界観も考えてる感じがあって、けっこう楽しめたんだ。その後のシリーズも別に嫌いなわけじゃない。そこそこには面白いし。
ただ、3作目以降は付け足しっていうか、どうにもダラダラ引き伸ばししてるような感じもあってさ……(苦笑)。
(2003年/アメリカ映画/監督:レン・ワイズマン、脚本:ダニー・マクブライド、音楽:ポール・ハスリンジャー、出演:ケイト・ベッキンセール、スコット・スピードマン、マイケル・シーン)
アンダーワールド2エボリューション
というわけで2。1作目から続く物語が一応完結するので、観るなら1~2作はセットで観たほうがいいかもしれない。っていうか、元々は1作だったけど尺が足りなくなっちゃって2作に分けたってことらしいから、前後編と思ったほうがいいんだろうね。「マトリックス」シリーズみたいなもんかな。
主演のケイト・ベッキンセールって、神経質で線が細い印象があるので吸血鬼としてはアリだと思うけど、アクション俳優としてはどうかと感じてたんだ。でも、このシリーズではかっこいいアクションもやってるんだよね。クライマックスなんか、すごいアニメっぽいし。それでも個人的には他の作品での印象のほうが強く残っていて、やっぱりアクション見てると「大丈夫? 無理してない?」って思っちゃうんだよな〜〜(苦笑)。
(2006年/アメリカ映画/監督:レン・ワイズマン、脚本:ダニー・マクブライド、音楽:マルコ・ベルトラミ、出演:ケイト・ベッキンセール、スコット・スピードマン、トニー・カラン)
アンダーワールド/ビギンズ
1~2作の前日譚。なので単品作品としても観ることができる。でもまぁ前日譚は前日譚なんだけどね。まぁ、ここまでは元々の構想にあった気がする。3作目まで作る予定があったかどうかは知らないけど、この物語までは1作目を作る前にあらかじめ設定されていたはずで、1~2作がそこそこヒットしたから追加で作ったんだろうなぁ。
え~と、それから……え〜っと……い、いかん、そろそろ書く事なくなってきた……。
(2009年/アメリカ映画/監督:パトリック・タトポロス、脚本:レン・ワイズマン、ダニー・マクブライド、音楽:ポール・ハスリンジャー、出演:マイケル・シーン、ビル・ナイ、ローナ・ミトラ)
アンダーワールド/覚醒
ここから当初の予定になかったシリーズになってると思うんだ。舞台も現代に移って、これまでのシリーズとは違う「新たなる戦い」になるし。これまでのヴァンパイア、ライカン(人狼)の戦いに人間も絡んできて、ややこしくなる。
この後2017年公開で5作目の「ブラッドウォーズ」になるんだけど、5作目はまだ観てない(2018年2月現在)んだ。なんとなく食傷気味っていうか……。
マーベルヒーローものなどでもそうなんだけど、ず〜っと「つづく」で引っ張られると、物語を見届けたっていうカタルシスを感じられなくて、気持ち的にスッキリしないのよね。1本ごとに完結してれば平気なんだけど……。これ、連載漫画などでもそうなのよ。一定の長さもないと満足感低いんだけど、あまり長くなると、いつ終わるのか(いつまで読んでたらスッキリさせてくれるのか)が気になっちゃって「完結するまでほっとくか……」とか思っちゃうの……。
(2012年/アメリカ映画/監督:モンス・モーリンド、ビョルン・スタイン、脚本:レン・ワイズマン、ジョン・ラヴィン、J・マイケル・ストラジンスキー、アリソン・バーネット、音楽:ポール・ハスリンジャー、出演:ケイト・ベッキンセール、スティーヴン・レイ)
デイブレイカー
人類のほとんどがヴァンパイア化してしまった近未来を描いた作品で、吸血鬼ものだけどSF色が強い。ヴァンパイア化した人々も血を欲する、太陽に当たると死ぬという部分以外は、今の人間たちとあまり変わらない。ただ、油断すると吸血の本性が出て浅ましい怪物になって徘徊することになるため、スラムや地下には、そういうヤバい奴がうろうろしてるらしい。
イーサン・ホーク演じる主人公エドワードも吸血鬼なんだけど、人間との共存の道を探る立場。一方、サム・ニール演じるチャールズは血液の販売で莫大な利益を得ていて「ソイレント・グリーン」みたいなストーリーが展開する。
ボクのお気に入りは、やっぱりウィレム・デフォー。一度はヴァンパイア化したけど、ある方法で人間に戻った人物で、ストーリーの核になる役どころ。渋い俳優が押さえてくれていると作品って引き締まるよね~~。
(2008年/アメリカ・オーストラリア合作/監督&脚本:マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ、音楽:クリストファー・ゴードン、出演:イーサン・ホーク、ウィレム・デフォー、サム・ニール)
スペースバンパイア
長かったヴァンパイアものの最後を飾るのは、大作なんだか怪作なんだか分からない伝説のタイトルだ。
76年ぶりに地球に接近したハレー彗星。その中には全長30キロ以上もある巨大な人工物が潜んでいた。しかも、その中には巨大なコウモリに酷似した生命体の大量の死骸と、すっぽんぽんの3人の男女が。この裸3人組こそ、彗星に乗って数十年ごとに現れ、人間から精気(ライフフォース)を吸い取る吸精鬼の異星人=スペースバンパイアだったのだ。
……というわけで、地球に回収されて目覚めた裸のマチルダ・メイが、片っぱしから男の精気を吸い取りまくる。エロいシーンも山盛り。派手な特撮シーンもいっぱい。「スタートレック」のピカード艦長役で知られるパトリック・スチュワートが泣きわめいたり、男とキスしそうになったりグチョグチョに溶けちゃったりするのも見所だ。
公開当時「予告編だけ最高!」とか言われたりしたB級大作映画なんだけど、ボクは好きなんだ。特に今DVDなどで観れるバージョンは、公開版より十数分長い完全版で、それでもツッコミどころは多いんだけど、そういう部分も含めてね、好きなのよ。
あ、メインタイトルの音楽はめちゃカッコイイよ。聴いてると、ものすごい超大作に思えちゃうくらいにカッコイイよ。
(1985年/アメリカ映画/監督:トビー・フーパー、脚本:ダン・オバノン、ドン・ジャコビー、音楽:ヘンリー・マンシーニ、出演:スティーヴ・レイルズバック、ピーター・ファース、マチルダ・メイ、パトリック・スチュワート)
……というわけで、ここで一旦、吸血鬼たちとお別れ。
で、最後が「スペースバンパイア」だったから、ここからは宇宙から来たオバケたちに移っていくのだ。
プロフェシー
アメリカの超常現象研究家(と呼んでいいよね?)のジョン・A・キールの『モスマンの黙示』を映画化したもの。
モスマン(蛾人間)というのはUFO関係のネタとして知られていて、この作品でもそういう匂いはあるのだけど、ここでは宇宙人とか決めつけていない。人間には計り知れない何か恐ろしい超越したもの、という解釈で、最後まで正体が何かは語られない。
全体的には原作のほうが上な気がするのと、主演のリチャード・ギアに狂気が足りない感があるのだけど、時々、不気味な気分に浸りたいときに思い出して観ている。一応はハッピーエンド的なオチなので、不気味でありながら暗い気分で終わらないで済むのよ。怖いの好きなくせに、暗いのや絶望的なお話が苦手なボクには都合がいい映画なのよ(笑)。
(2002年/アメリカ映画/監督:マーク・ペリントン、脚本:リチャード・ヘイテム、原作:ジョン・A・キール『モスマンの黙示』、音楽:トマンダンディ、出演:リチャード・ギア、デイヴィッド・エイゲンバーグ、ローラ・リニー)
サイン
ええっと……いつものM・ナイト・シャマランらしい不安感が漂う、ホラーっていうより「ホラー的なムード映画」。
世界中に出現するミステリーサークル、全世界主要都市上空には大量のUFOが浮かび、南米では裸でうろつく宇宙人の姿がフィルムに収められる。そういうことが同時多発に起こって混乱する中、主人公の牧師一家が危機を乗り越えて家族の絆と信仰を取り戻していく物語。
まぁね、設定的にはバカだと思うんだ。遠い天体から地球にやってくるほどの宇宙人たちなのに、わざわざミステリーサークルつくって連絡しあってたり、宇宙服も着ないで裸でウロウロしてたり、台風対策程度に窓に板を張り付けただけで入ってこれなくなるし、水の惑星と呼んでもいいほどの星に来てるのに水かけると溶けちゃうんで雨が苦手とか、コイツら本当に知能あるのかと。
でも、シャマラン監督の映画っていうのは、そういう理屈を気にしたら観れないのだ。
バカな部分は気づかなかったことにして、雰囲気とクライマックスに至る仕掛けを楽しむのが正しい見方なのだ。コミカルなシーンもけっこうあって、重たい内容の割には微笑ましく観ていられるしね。
あ、最後のクライマックス直前に、娘役の女の子が下手くそなダンスをするシーンがあるんだけど、それがすっげぇ可愛いから、そこだけは観てほしいな~~(笑)。
(2002年/アメリカ映画/監督&脚本&製作:M・ナイト・シャマラン、音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード、出演:メル・ギブソン、ホアキン・フェニックス)
遊星よりの物体X
ジョン・W・キャンベル原作の『影が行く』を映画化した作品。
ただね、後にジョン・カーペンターが撮った「遊星からの~」が超有名になっちゃったので、この「遊星よりの~」は影が薄くなっちゃった感があるよね。実はボクも、かなり最近まで観てなかったんだ。避けてたわけじゃなくて、古い映画だからテレビ放送も滅多にない上にレンタル店にも置いてなくてさ、版権切れの格安DVDでリリースされるまで観れなかったのよ。
なので観れたときには嬉しかった。SF雑誌の紹介記事などで何度も観たシーンをようやく本当に観れたんだから。
襲ってくるのはフランケンシュタイン的なモンスターなんだけど、本当は植物って設定だから、ちょっと(いや、かなり)違和感はある。でも古い映画だから、そのへんは仕方ないよね。
(1951年/アメリカ映画/監督:クリスティアン・ナイビイ、脚本:チャールズ・レデラー、音楽:ディミトリ・ティオムキン、出演:マーガレット・シェリダン、ケネス・トビー、ロバート・コーンスウェイト)
遊星からの物体X
というわけで、いよいよ『遊星からの物体X』だ。
これはもう、何回観たか数え切れない。たぶん脳内で全シーン再現できると思う。あらすじどころかBGMや効果音、セリフなどのタイミングまで完璧レベルで。そのくらい好きなのよ。
初めて観たのは公開当時の劇場だったけど、ショックだったなぁ。怖いっていうよりスゲェって。ぱっくりと割れる犬の顔、カニ頭など、それまでに見たことのないクリーチャーが次々と出てくるんだもん。誰が「いきもの」か分からないサスペンスといい、本当に飽きさせない。
巨匠エンニオ・モリコーネが音楽担当してるのに、カーペンターが担当したとしか思えない、いつもの「べんべんBGM」さえも愛おしいよ。
これ自体すでに古典かもしれないけど、今観ても絶對面白いから未見の人は観てね。似たようなネタの劣化コピー作品いっぱいあるけど、これこそ「原点にして頂点」ってやつだぜ。リメイクだけど(笑)。
(1982年/アメリカ映画/監督:ジョン・カーペンター、脚本:ビル・ランカスター、音楽:エンニオ・モリコーネ、出演:カート・ラッセル、ウィルフォード・ブリムリー、ドナルド・モファット)
遊星からの物体X/ファーストコンタクト
あの傑作「遊星からの物体X」の前日譚として作られた作品。そういうのって大抵は「アカンやつ」になりがちなんだけど、これはボク的にはアリだった。
製作者がオリジナルの大ファンなんだと思うんだ。そういうのが全体から感じられるんだ。死ぬほどオリジナルを観て、細かいトコまで辻褄が合うように作ってあるの。続編とか前日譚というよりオマージュ、つまり「ファンによる二次創作」だと思うのよ。
なので、同じファンとして楽しめるシーンがいっぱいある。あそこのアレはそういうことか、なるほど、アレはソレだったのか、というふうに楽しめちゃうの。
舞台となるノルウェー基地の隊員たちを演じているのはノルウェーでは有名な俳優さんたちだそうで、特典映像のメイキングではバイキングの末裔らしい陽気さを見せてくれる。そういうトコもけっこう楽しめたよ。キャストや監督のインタビューからも、オリジナルへの敬意や思い入れが感じられたしね〜〜。
(2011年/アメリカ映画/監督:マティス・ヴァン・ヘイニンゲンJr.、脚本:エリック・ハイセラー、音楽:マルコ・ベルトラミ、出演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジョエル・エドガートン、ウルリク・トムセン)
光る眼
ジョン・ウィンダムの『呪われた村』を映画化したもので、1960年製作の『未知空間の恐怖/光る眼』のリメイク。ゴールデンラズベリー賞の「ワーストリメイク賞」ノミネートという香ばしい評価を受けた作品なんだよね(笑)。
田舎町の人が全員気を失って、目覚めたら女性がみんな妊娠していて、生まれてきた子供たちは男女同数で、異常に知能が高くて、目が光って……というSFホラー。
映画の原題は『Village of the Damned』だから「呪われた村」でいいんだけど、原作の本当の原題は『The Midwich Cuckoos(ミドウィッチ村のカッコウ)』なんだ。つまり宇宙人による托卵なんだよね。
でも、ストーリーはほっとこう。
この作品の最大のポイントは、たぶん、他の有名作品で主演してる俳優さんがやたらと出てくることだ。『スーパーマン』のクリストファー・リーヴ、『スターウォーズ』のマーク・ハミル、『ストリート・オブ・ファイヤー』『フィラデルフィア・エクスペリメント』のマイケル・パレなど、こんだけのメンバーがいたら無敵じゃんと思える人たちが出てきて、何もできずに右往左往するんだ。マイケル・パレなんか、出てきてすぐに死んじゃうし。
全体的には冗長で退屈気味で、あんまりジョン・カーペンター監督っぽさもないので、豪華メンバーがドタバタするとこを観て楽しもう。なお、リストファー・リーブは本作出演後、落馬事故で亡くなってしまったので、これが遺作となっている。
(2000年/アメリカ映画/監督:ジョン・カーペンター、脚本:デイヴィッド・ヒメルスタイン、音楽:ジョン・カーペンター、デイヴ・デイヴィス、出演:クリストファー・リーヴ、カースティ・アレイ、マイケル・パレ、マーク・ハミル)
パラサイト
『遊星からの物体X』から始まった宇宙から来た寄生シリーズの1つ。これ、全然内容は違うんだけど、ジャック・フィニイの『盗まれた街』が原案らしいんだ。サヤエンドウじゃなくて寄生生物に変わってるけど、ボディ・スナッチャーなんだ。
本記事の最後のほうで紹介するけど『盗まれた街』は何度も映画化されていて、この『パラサイト』も加えると5本もあるんだよな。でも、これは「ちょっとだけネタがカブってる気がするけど指摘されなきゃ気付かない」という程度で全然違うし、どう考えても寄生ものだと思うので、ボディ・スナッチャーじゃなくて寄生の群れにカテゴライズしてるの。
で、この映画、SFホラーではあるんだけど、特長は、主役級が後に売れっ子になる若手俳優だらけってトコだろうなぁ。『ロード・オブ・ザ・リング』のイライジャ・ウッド、『パールハーバー』のジョシュ・ハートネット、『ワイルド・スピード』のジョーダナ・ブリュースターなどなど、無駄に豪華。しかも寄生されて無表情で襲ってくる先生(フットボールのコーチ)が『ターミネーター2』でT1000を演じたロバート・パトリックだし。他にも『ザ・グリード』『Xメン・シリーズ』『96時間シリーズ』などのファムケ・ヤンセンも襲ってくるよ。
(1998年/アメリカ映画/監督:ロバート・ロドリゲス、脚本:ケヴィン・ウィリアムソン、音楽:マルコ・ベルトラミ、出演:イライジャ・ウッド、ジョシュ・ハートネット、ジョーダナ・ブリュースター、クレア・デュヴァル、ロバート・パトリック、ファムケ・ヤンセン)
ヒドゥン
これ、東京国際ファンタスティック映画祭で観たんじゃなかったかなぁ。アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭でも『ロボコップ』などの強力なライバルを出し抜いてグランプリ受賞してるんだよな。
実際面白いんだ、コレ。
宇宙から来た寄生生命体。知能も高く、凶悪。次々と宿主を移りながら凶悪犯罪を繰り返す。それを追ってきた宇宙刑事。演じるのは『デューン/砂の惑星』『ツイン・ピークス』のカイル・マクラクラン。
彼もまた寄生生物で、任務中に死亡してしまったFBI捜査官ギャラガーの身体を借りて、悪の宇宙生物を追いかける。公開当時「この設定、まんまウルトラマンじゃないか!」と話題になったもんだ(オチもちょっと似てる)。
監督は当時無名の新人ジャック・ショルダー。スピード感ある演出など、これはタダモンじゃないと思って名前を覚えたんだけど……その後は、あまりパッとしなくて……。
数年前にマイナーB級確実な『アラクニッド』っていう巨大クモ映画を見かけて、ふと監督名を見たらジャック・ショルダーだったんで大喜びで買ったんだけど、本当にイタタなB級そのもので……ぐっすん……。
(1987年/アメリカ映画/監督:ジャック・ショルダー、脚本:ボブ・ハント、音楽:マイケル・コンヴェルティーノ、出演:カイル・マクラクラン、マイケル・ヌーリー)
ファントム
あのスティーブン・キングとタメを張るホラー作家ディーン・R・クーンツの原作を映画化したもの。脚本も本人が書いている。
主演は『アルマゲドン』『ジャスティス・リーグ』『ザ・コンサルタント』のベン・アフレック。事件に巻き込まれるヒロイン役が『プラネット・テラー』のローズ・マッゴーワン、ちょっと危ない保安官助手が『スクリームシリーズ』『スフィア』のリーヴ・シュレイバー、さらに怪事件を予言した博士役が『アラビアのロレンス』の名優ピーター・オトゥールと、キャステングも気合い入っている。
一夜にして住民すべてが消えた町。鳴り響くサイレン。次々と起こる怪現象。「太古の敵」と呼ばれる謎の存在に操られた分身体ファントム。軍隊すら壊滅した中、主人公たちは人類生存を賭けた最後の戦いに挑む……と、ノンストップでけっこう面白いんだ。不気味な雰囲気づくりも上手いし。
一般的にはマイナーだし、明らかなB級なんだけど、ボクはけっこう楽しめて、時々観ちゃうんだ。
(1998年/アメリカ映画/監督:ジョー・チャペル、原作&脚本:ディーン・R・クーンツ、音楽:デヴィッド・ウィリアムズ、出演:ベン・アフレック、ローズ・マッゴーワン、ジョアンナ・ゴーイング、リーヴ・シュレイバー、ピーター・オトゥール)
デッドリー・スポーン
さぁて、これも色んな意味で伝説の映画だよなぁ。
ストーリーは特にない。いや、本当にないも同然なのよ。宇宙から来た(と思われる)牙だらけのオタマジャクシみたいな奴が大量発生して、片っぱしから人を喰いまくるだけなの。低予算映画らしくスプラッター度は高く、グロい死体や血まみれシーンが何度も出てくる。
でもね、この映画の影響を受けたクリエイター、けっこう多いと思うんだ。
牙が生えてるなんてもんじゃないのよね。もう牙だらけ。そういうデザインって当時としては斬新で、その後あちこちで見られるようになった。超マイナー作品だけど、たぶんね、みんな観てたんだと思うの。実際、ホラーやSF好きのクリエイターさんと話すと、大抵は知ってるもん。こういうロクでもないもんは、みんな見逃さないんだよな〜〜(笑)。
(1983年/アメリカ映画/監督&脚本:ダグラス・マッケオン、音楽:マイケル・ペルリスタイン、出演:チャールス・ジョージ・ヒルデブラント、トム・デ・フランコ、リチャード・リー・ポーター)
……さて、恐るべき侵略生物の群れはまだ続くのだけど、ここで毎度のハミ出し映画をご紹介。
以前の「地球最後の男」同様に、ここに紹介する4本の映画も、同じ原作の映画化。先の寄生生物シリーズで紹介した「パラサイト」も同じ原作を原案にしているようだから、事実上5本のバージョンということになる。同一原作で5本というのは、ウチのコレクションの中でも1~2を争うだろうなぁ。
(実際にはドラキュラやフランケンシュタインのほうが多いだろうけど、あれは別格だし、キャラクターものと考えたほうがいいしね……)
ボディ・スナッチャー/恐怖の街
ジャック・フィニイの『盗まれた街』の最初の映画化作品。監督はクリント・イーストウッド主演作品を数多く手がけたドン・シーゲルで、監督助手が後にバイオレンスの巨匠と呼ばれたサム・ペキンパー。ペキンパーは脚本にも名を連ねている。
本人が眠ってる間にこっそり近くに置かれる巨大なサヤエンドウ。その中では本人のコピーが作られていて、それが目覚めると本人は意識を失い、入れ替わってしまう。そのことに気づいた主人公は孤軍奮闘するが……というお話で、まぁ、SFやホラーが好きな人なら説明するまでもなく知ってるよね。
本作が作られた当時は、アメリカは「赤狩り」の真っ最中。なので、この映画で描いてるのは、アメリカ社会に密かに紛れ込んだ共産主義の恐怖なんだろう……というのは、多くの批評家などが指摘している通り。本作はリメイクも多いけど、パロディやオマージュも多くて、映画版の『クレヨンしんちゃん/伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!』でもオマージュしてたよね。
(1956年/アメリカ映画/監督:ドン・シーゲル、脚本:ダニエル・メインウェアリング、サム・ペキンパー、音楽:カーメン・ドラゴン、出演:ケヴィン・マッカーシー、ダナ・ウィンター、ラリー・ゲイツ)
SFボディ・スナッチャー
『盗まれた街』二度目の映画化。主演はドナルド・サザーランド、共演に『スタートレック』のMrスポック役で有名なレナード・ニモイ、今や大物俳優となったジェフ・ゴールドブラムなどが出ている。
まぁ、基本的なストーリーや設定はオリジナル版と同じなんだけど、サヤエンドウが前よりキモくなってたり、コピーに失敗した(他の遺伝子が紛れ込んだ?)人面犬が出てきたりと、色々と話題になった。人面犬は後々まで、あちこちでネタになってたしね。何度もテレビ放送されていて毎回観てたんだけど、ラストで指差すドナルド・サザーランドが毎回怖かったな〜〜。
それにしても……『SFソード・キル』とかさ、タイトルにわざわざ「SF」って付けると、とたんにB級臭が漂うよねぇ(笑)。傑作として名高い映画だって「SFスターウォーズ」「SFバック・トゥ・ザ・フューチャー」「SFターミネーター」とか書くと、いきなりダサくなるもんなぁ。
(1978年/アメリカ映画/監督:フィリップ・カウフマン、脚本:W・D・リクター、音楽:デニー・ザイトリン、出演:ドナルド・サザーランド、ブルック・アダムス、レナード・ニモイ、ジェフ・ゴールドブラム)
ボディ・スナッチャーズ
ついにタイトルが複数形に!今度は戦争だ!!……というわけではないんだけど、とにかく3度目の『盗まれた街』。
でも本作で盗まれるのは、街というより軍の居住エリア。軍隊が出てくるから本当に「今度は戦争」になるかと思ったら、むしろ逆で、今までより地味な感じなのよね。そのせいか日本では劇場未公開。助演のフォレスト・ウィテカーは好きな俳優さんなんだけどなぁ……。
(1993年/アメリカ映画/監督:アベル・フェラーラ、脚本:スチュアート・ゴードン、デニス・パオリ、ニコラス・セント・ジョン、音楽:ジョー・デリア、出演:ガブリエル・アンウォー、メグ・ティリー、フォレスト・ウィテカー)
インベージョン
4度目の『盗まれた街』。ただし今回はサヤエンドウは出て来ない。睡眠中に変異が起こるから眠っちゃいけない、という設定は、これまでのボディ・スナッチャーと一緒なんだけど、宇宙人の侵略じゃなくて、宇宙ウイルスなんだ。感染すると謎のホルモンが分泌されて感情を失い、別の何かになってしまう。そういうウイルスにニコール・キッドマン扮する女医が立ち向かう。
以前の『SFボディ・スナッチャー』や『エイリアン』に出ていたヴェロニカ・カートライト、『007シリーズ』のジェームズ・ボンド役でお馴染みのダニエル・クレイグも出てくるよ。
(2007年/アメリカ映画/監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル、脚本:デビッド・カイガニック、ウォシャウスキー兄弟、音楽:ジョン・オットマン、出演:ニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ、ヴェロニカ・カートライト)
……というわけで、今回はここまで。
次は『エイリアン』『スピーシーズ』『プレデター』などの有名タイトルがぞろぞろ並ぶようになる。
そう、宇宙からの脅威が本格化するのだ。
次こそ戦争だ!!