広告漫画ができるまで(受注〜完成・納品)の工程をざっくり解説!
ここでは大雑把に、広告漫画を依頼されてから完成・納品に至るまでを紹介しようと思う。
あくまでもざっと流れを追いかけてみるだけだから、これだけでわかるってモンじゃないんだけどね。
それでも「どういう工夫をしているのか」「なんで、そんな工夫をしなきゃならかったのか」といった部分を意識して書いたつもりだよ。
広告漫画の仕事では、普通の漫画を描くときには考えもしなかったアレコレが出てくるんだ。
だからソレを知っておいて、対処できるように手を打っておくことが、この仕事をする上で大事なのよ。
ステップ1~3/問い合わせから受注確定まで
本当は描くよりも先に、営業とか宣伝とかしてお客を捕まえる段階があって、しかもソコがとてつもなく大きいんだ。
つ~か、食っていく、仕事を確保し続けるためには、そっちのほうがメインなくらい。
でも、そのへんは今回は端折らせてもらう。
そのへんの詳しいコトは、今後いっぱい書いていくつもりだから、今は後回しにさせてね(笑)。
・ステップ1
大抵の仕事は、メールや電話など何かの問い合わせが来るところから始まる。
ボクの場合、ほとんどがメール。
内容を確認し、引き受けられそうだったら「その段階で提案できること、請負料金、納期、制作形態」などを記載して返信する。
引き受けられない案件だった場合も、丁寧なお断りのメールは返信するよ。
この最初のやり取りの段階では、打診があったから基本的な情報を返信したというだけで、まだ何も始まっていない。
返信を見た先方が納得してくれたら、実際に会ってみて、どんなモノを描くのか、予算はいくらくらいあるのかなどの話を聞く。
遠方で気軽に会えないときはメールだけのやり取りで進めていくこともあるけど、ボクはできるだけ会うようにしている。
会わなきゃ見えないことが多いからね。
仕事の内容はメールでいいんだけど、相手がどういうタイプの人間かというのが実際に仕事を進めていく上では、とても重要なんだ。
なお、会う段階まで行っても、まだ受注したわけじゃない。
話を聞いただけだからね。
・ステップ2
お互いにアレコレ合意して、その仕事を引き受けられそうな手ごたえを感じたら、話し合った内容に基づいて、実際の見積や企画案を考える。
要望通りにやるべきか、アレンジしてあげるべきか。
予算やスケジュールに問題はないか。自分の知識や技術で対応できるか。
そのへんを検討した上で、必要なら見積書や企画書にまとめて提出し、時にはプレゼンなんかにも挑む。
ここでも、まだ提案しただけで受注はしていない。
・ステップ3
提案が認められて、実際に受注すると決まったら契約を交わす。
受注額、支払い日、権利関係なども含めて、お互いの条件などをしっかり吟味しておかないと、後で泣いたりするからね。
また、提案が認められたとしても、一部変更などの要望が出る場合もあるから、その要望に対応できるかどうかも検討しなきゃならない。
契約しちゃってからゴタゴタすると厄介なので、この段階では、けっこう駆け引きもあるよ。
この契約ステップが終われば、受注が決まったことになる。
この次の段階から、ようやく制作がスタートするのだ。
ステップ4~6/勉強→シナリオ→ネーム
・ステップ4
受注が決まって、制作もスタートしたけれど、まだ描く段階にはなっていない。
まず最初は、描く内容についての勉強だ。
広告や広報の漫画では、特定の業界、商品、専門知識などを扱うことになるから、対象について理解しなきゃ描きようがないもんね。
そういうわけでお客にもらった資料、自分で取材したこと、ネットや参考書籍で調べたことなどを整理し、大事なポイントを箇条書きしてみたりして、勉強をする。
必要なら取材もね。
・ステップ5
勉強し、取材し、要点が見えてきたら、シナリオを書く。
シナリオなしでネームを切る人も多い(ボクも昔はそうだった)けど、広告漫画を手掛けるようになってからは必ずシナリオを書くようになった。
広告漫画は「広告」という普通の漫画にはない情報を大量に処理しなきゃならないので、いきなりネームだと上手く構成できないのよ。
だから、まずテキストでアレコレを断片的に書いてみて、それを組み替えたりしながらまとめていくことが多いんだ。
絵でソレをやってると、すごく面倒なコトになっちゃうので、まずはシナリオなの。
なお、使っているのは、すごくシンプルなテキスト・エディタ。
余計な機能がない文字を打つだけのヤツ。
後でネームにするためにテキストをまとめるだけで、シナリオ自体を誰かに見せるわけじゃないから、編集したりデザインしたりは必要ないからね。
なので、シンプルなモノのほうが使いやすいんだよね(この文章も、そういうテキスト・エディタで書いてるの)。
このシナリオは、お客に見せるときと見せないときがある。
ある程度の長さがある作品のときは、シナリオ状態で一度見せておくけど、4コマとか1ページとかの短い作品のときは、ネームになってから見せることのほうが多いなぁ。
・ステップ6
シナリオがまとまったら「ネーム」にしていく。
ボクはPhotoshopで漫画を仕上げていて、ネーム段階からフィニッシュまで、全部をPhotoshop上でやっている。
今は漫画作成用の便利なソフトがいっぱいあるんだけど、ボクはデザインの仕事も長かったからPhotoshopが一番馴染んでいて、色々なソフトを覚えるのも面倒だから、Photoshopだけでやっていく方法を覚えたの。
それと広告漫画では、漫画以外の「広告」の部分でデザイン的な工夫が必要だったりすることも多いんで、漫画専用ソフトのほうが面倒だったりすることもあるんだよね。
ただ、どんなソフトを使おうがネームをつくることには違いない。
だいたいの絵のイメージを考えながらコマ割して、シナリオからセリフをコピー&ペーストしてテキトーな位置に置いていき、そこにアタリのラフ画を入れて仕上げていく。
あ、ネームの絵は、表情やポーズがわかる程度には描いておいたほうがいいよ。
ネームは自分が漫画を仕上げるための設計図だけど、人に見せて了解を得るためのものでもあるからね。
しかも広告漫画では、見せる相手は漫画関係者じゃないんだ。だからラフすぎるとピンと来なくて判断できないのよ。
一度『カソクキッズ(ボクがオンライン連載していた科学ギャグ漫画)』で時間がなくて、ほとんどコマ割とセリフだけのネームを見せたことがあったんだけど、全然読めないって言われた。
その時点で7年くらい連載してたから、もう十分慣れているだろうと思ったんだけど甘かった。
一応、シーンごとの解説も付記しておいたんだけど、それでもダメ。
漫画家ならセリフやコマ割から情景が浮かぶものなんだけど、普通の人には無理らしい。
いくら文字があっても、ある程度絵が入ってないと情景もストーリーも理解できないみたいなんだ。
まぁ、そのときは7年もやっていたから、それなりの信用も得ていて、おかげでネームはわからなくてもボクを信用して任せてもらえたんだけど、新規のクライアントとか付き合いの短い相手だと、どうにもならなかっただろうなぁ(もっとも、そういう相手だったらラフすぎるネームは見せなかったけど)。
なのでネーム絵は、そこそこちゃんと描いたほうがいいよ。
どんだけ長く付きあっても相手は素人なんだから。
しかも、それだけ「ちゃんとしたネーム」を作っても、それで万全ってことにはならないし。
素人さんは、見たつもりで見てない。
つまりネームでOKもらっても、それは「大筋ではOK」っていうだけで、完全なOKじゃないんだ。
ずっと後になって、作画も終わってフィニッシュ段階になってから「あ、このシーンだけど……」と、変更を言い出したりするのよ。
「おいおい! それじゃ何のためにネーム出してんだよ!?」って思うかもしれないけど、ここで「ちゃんとしたネーム」を出しておかないと、おっかないのよ。
わからなくても「ちゃんとネーム見せたよね、確認してもらったよね」と言える状態にはしておかなきゃヤバいのよ。
単なる儀式でもなんでも、とにかく見せておかないと何も判断できなくて、一歩も先に進めなくなっちゃうのよ。
仕事が停滞すると、締切がキツくなる。
締切を伸ばせたり、締切がなかったりする場合でも、ズルズル伸びたら伸びた分だけ完成・納品も先になり、代金を受け取れるのはもっと先になる。
それではフリーランスは耐えきれずに潰れてしまうんだ。
仕事を止めない、先に進ませるってのは、ものすごく大事なの。
そのために丁寧にネーム作るのよ。
(ボクはWEB制作の仕事もしてるけど、そっちの分野では一時期、雨後のタケノコみたいに同業者が増えて、その多くが数年で潰れていったんだけど、仕事がなくてツブれた例はそれほど多くなかった。変更や停滞で納期がズレることが多くて、結果として納品できず代金が受け取れていない売り掛けばかりが増えて、耐えきれなくなって廃業というのが大半だったんだ。そういうケースを山ほど見たから、作ること以上に進行管理が大事だと学んだの)
ステップ7~8/作画
・ステップ7
出来上がったネームをお客に見せてOKをもらったら……多少の修正や変更があっても大筋ではOKなら……
……いよいよ作画に進む。
作画には3つがある。
キャラ、背景、仕上げだ。
ウチではキャラも背景もバラバラに描く。
コマの中に描いたりはしない。
キャラはキャラだけのカット集のように別に描いて、原稿データ(すでにネーム状態になっているモノ)にカット&ペーストしていくんだ。
背景も同じように、別に描いて配置する。
このキャラや背景の1つ1つも、Photoshop上のレイヤーとして配置される。
だから、後で位置や大きさを(タッチが死なない程度に)変更できる。
つまり全ての絵は「素材」なんだよね。
様々な素材をネームで想定した通りに、あるいはアレンジしながら編集していく。
だから漫画1ページのデータには膨大なレイヤーが含まれるんだよね。
こういう作り方になったのも、広告漫画だからだろうなぁ。
以前は普通にコマの中に描いていたんだけど、それだと変更が出たときが厄介なんだ。
本番の作画にまで進んだら修正出さないでねって、いつもお客には言ってるんだけど、それが守られた例が滅多にないんだよ。
あ、でもそれは、お客がみんなグウタラだからじゃないんだよ。
そういう人もいるけど、大多数はそうじゃない。
一般の人っていうのは漫画の素人だから、ネームではピンと来ないことも多いんだ。
つまり素人には、ネームだけで完全にチェックするのは無理なんだよ。
ネームまでにチェックを済ませろと要求するのは、理不尽ってことになっちゃうんだ。
だから、できるだけネームで確認してもらうけど、見落としや変更があるのは確実と想定しておかなきゃいけない。
作画を済ませた後でも、変わってしまうことがあり得ると。
それでいて締切は延びないし、追加予算も出ない、と。
こういうことはルールを取り決めて守らせるようにしてもムダなんだ。
漫画家側から見れば当然のルールであっても、それは泳げない人に泳がないと違反と押し付けるようなモンなんだ。
つまり守れるはずのないルールなの。漫画界だけでしか通用しないのよ。
なので、漫画家にとってはルール違反になることが起こるのは前提と考えて、予め対策を講じておく必要があるの。
(ただし、そうだからと言ってルール無用でいいってモンでもない。ネームでのチェックだけにしてねとルールを示しておかなかったら、修正が出るどころじゃなくなって大変なコトになってしまうだろうから。ルールを守る前提でやりながら、でも守れないことも前提として折り込んでおくっていうのが正しい)
で、そういう前提で作業を進めていくために、様々な部分で様々な変更に対応できる描き方、仕上げ方をするようになっていったんだ。
広告漫画をやるっていうことは、漫画のコトがわからない人たちを相手にするということで、当然ながらアレコレ問題も起こりやすい。
漫画について理解を求めていくにしても、描かない人にはどうにもならないコトもあって、それに文句言っても仕方ないんだ。
素人だからわからなくて当たり前、わからないからこそプロに発注してくれるんだから。
だから描き方を工夫して、問題に対応できるようにしておく工夫が必須なんだ。
ただし多くの場合、お客から変更を求められるのは、説明シーンのセリフ内容などであって、絵やストーリーにまでツッコミが来ることは滅多にないなぁ。
ちゃんとネームを作って見せておけば、さすがにストーリーくらいは理解してもらえるし、ウチは「広告じゃない部分は作者に任せてね」っていうのも前提にして引き受けているから、漫画自体に直しを求められることは滅多にないの。
ただ、説明が変わると絵やストーリーにも影響するコトがあるわけで、そういうときにアレコレ対策できないと困っちゃうのよ。
例えば『カソクキッズ』の場合だと、作品の監修に大勢の研究者が関わっていて、しかも研究者ごとに解釈が違うこともあって、異論反論出まくって締切当日の納品時間ギリギリまで校正が続くなんてことも珍しくないんだ。
ようやく決着した内容に合わせて、大急ぎで修正しなきゃならない。
しかも、漫画が出来上がってもゴールじゃない。
出来上がった漫画をWEBページで見れる状態にして、インデックスとか紹介文とかWEB上での色々な仕掛けとか、そういうコトも全部済ませなきゃ納品できない。
いやもぉ、大騒ぎさ。
お客はソコをイジると他にも影響する、といったことは全然考えずにツッコんでくるんだよね。
ていうか、仮にそうした事情をわかっていたとしても、直さないという選択肢はないのよ。
ストーリーやキャラをぶっ壊そうが、直さなきゃならんものは直すしかない。
時に作品を守るために嘘もアリなのが普通の漫画だけど、広告漫画や学習漫画では、それはあり得ない。
優先度は常に広告情報や学習内容のほうが上なんだ。
だからこそ、そういうことが起こっても作品を守れるような工夫がいるの。
枠線を引く段階から、ちょっとずつ積み上げた工夫の数々で、最終的に作品を守りつつ、お客の要望にも応えていけるバランスを生み出すって感じだね。
・ステップ8
キャラの作画の他に、背景や解説図版の制作もしなきゃならない。
背景画のほとんどは写真からのデジタル処理。撮影してきた写真を加工して、漫画の背景画に変えていくの。
簡単な背景なら自分で描いちゃうこともあるけど、よほど簡単なモノでない限りはデジタル加工なの。
そうじゃないと手間がかかりすぎて、採算合わなくなっちゃうから。
あ、もちろん、撮影不可能なモノは自分で描くしかないよ。
だから「写真加工では対応できないカット」が多い作品は広告漫画としては、あまり儲からないんで、よほどのことでないと、そういう提案はしないの。
解説用の図版や表などは、Adobe Illustratorで作ることが多いな。
これらもキャラ絵と同様にバラバラに作って、レイヤーに配置していく。
基本的にキャラを配置して、フキダシ位置を決めてから、その下のレイヤーに背景を置いていくのだけど、背景や図版をちゃんと見せなきゃならないシーンもあるし、背景とキャラのバランスも考えなきゃならないので、配置済みのキャラもちょっとずつ動かして調整していくことが多いな。
時には1ドット単位で調整してるよ。
ステップ9~10/納品と請求
・ステップ9
こうして出来上がったら「最終校正」を経て「納品」する。
校正については、ここまでに触れちゃったから端折る。
だいたい、ドコが最終校正だかわからないことのほうが多いもんなぁ。
どの段階だろうが、ポロポロ思いつくままに言ってくるから。
納品後ですら、言ってくる。
刷り上がったとか、ちゃんと公開されたとか、そういう状態になって初めて「あ、校正終わったんだ」と思うくらい。
いや、そうでもないか。
WEBコンテンツ場合は、公開後の修正も度々あるもんなぁ。
カソクキッズなんか公開3年後に修正が入ったコトさえあったし(苦笑)。
納品は、データ納品だ。
データ形式は、使用目的によって違うけど、Photoshopデータのままで納品することは滅多にないなぁ。
一般の人はPhotoshopなんか使わないもんね。
だから、オリジナルデータを何らかのデータ形式に別名保存したモノを納品するの。
一番多いのは、やっぱJPEG。
稀にPhotoshopデータを渡す場合も、オリジナルデータをそのまま渡したことはない。
レイヤーが多すぎて制作者本人でないと訳がわからないだろうし、ファイルサイズも大きすぎて扱いにくいからね。
なのでPSDデータを渡す時は、納品用にレイヤーを整理し直してからにしている。
これ、意外に手間取ることがあるので、PSDで納品した後に追加修正とか出るとがっくりするなぁ。
データの受け渡しはオンラインサーバ経由。
ボクはWEB業者でもあるので、専用サーバを持っている。
だから、そこにデータをアップして、メールでURL(と収録データの説明や取扱い方)を伝えて、ダウンロードしてもらうんだ。
よほど軽いモノ(総ファイルサイズが1メガ以下程度)でない限りは、メールには添付しない。
最近はけっこうなファイルサイズのデータを添付で送ってくる人も多いけど、アレ、本当はネチケット違反だからね。
ボク、古い時代からのネット事業者なんで、そういうの気になるのよ。
今は通信速度が速くなって、大容量データでもストレスなく送受信できたりするけど、それでも、できるからやっていいってモンじゃないと思っている。
取引先にいちいちウルさく言うほどじゃないけど、自分では決してやらないようにしているんだ。
あ、添付で絶対データ送らないってコトじゃないよ。
1メガ以下くらいの軽いデータだったら添付しちゃうこともある。
昔は200キロ上限で自主規制してたけど、今は1メガってトコ。
※
全くの余談だけど、知り合いの「これぞ最先端のIT事業者」って感じの社長さんは、大事なことはFAXだった。
彼曰く「メールは便利だけど、あれほど盗みやすいものはない。だからパスワードや個人情報などをメールで送るなんてのはセキュリティ上あり得ない」と言っていた。
もちろん、暗号化などそれなりの対策はあるのだけど、昔ながらのFAXが一番簡単でお金もかからない安全な方法なんだって。
もっとも今は、そのFAXもメール転送でチェックしてたりするんだけど(苦笑)。
・ステップ10
無事納品されたら、最後に「納品書」と「請求書」を発送する。
いくら払うと決まっていても、こうした書類を発送しないと代金が支払われないのが一般社会のルールだ。
請求し忘れたりするとタダ働きになっちゃうから、気をつけよう(ボクもうっかり忘れてしまうことがあって、でも優しいお客様たちのおかげで救われている)。
なお、代金を先払いしてくれると助かるんだけど、そういうケースはドンドン少なくなっている。
特に大手企業や公共機関では、先払いはあり得ないと思っていい。
先払いしといて実際にはモノは作らないといった不正があってはマズイから、今では先払いは認められないケースが多いのよ。
納品された現物と、納品書、請求書、着手前に出しておいた見積書などの書類がツジツマが合うように揃っていて、それらを全部経理や総務の人に検品してもらって、ようやく支払いが認められる。それくらいキビシイことも少なくないの。
だからね、大きな仕事であればあるほどキツイってトコもあるんだ。
大きな仕事は工期も長い。
でも全部が終わらなきゃお金は受け取れない。
半年かかる仕事を請け負ったら、半年経って仕事が終わって、出した請求書が翌月末までに認められて、その翌月か、翌々月くらいにようやく代金が振り込まれるってコトになる。
つまり、8~10ヶ月くらいはお金が入ってこないの。
それくらいの期間を生き延びられる余力がなければ、そういう規模の仕事は引き受けられないのよ。
というわけで、仕事の始まりから終わりまでを駆け足で紹介したけど、当然これで全部ってわけじゃない。
だいたい1から10まで番号振ってるのに、一般的にイメージされてる「漫画の制作工程」は全体の半分以下しかないし、しかもドレもコレも色々大幅に端折っちゃってる。
おまけに、9~10の間に「編集」とか「DTP」とか「WEBデータ作成」といった漫画制作とは別な工程が加わることも多い。
そういうのも全部終わっていて「そのままお客が使える状態」でないと、納品できないことが多いのよ。
まぁ、詳しいことは、この先おいおい紹介していこう。
とにかく、広告で漫画を手掛けるってのは、漫画だけ描いてればいいってモンじゃないのよ。
アレもコレも色々あるの。
その色々に迅速対応できないと採算が合わなくなったり、仕事そのものが上手くいかなくなったりしがちだから、色んな工夫が必要なのよ。
※このブログに掲載されているほとんどのことは、版電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。