依頼者との交流編12(メール商談ライブ)

うるの送信メール/その21
うるのです。
○○マンガ、とりあえず17ページ目(2話6ページ)の解説コラムだけ、お送りいただいたモノをベースにボクなりに修正した文章に差し替えておきました。
(URL)
20ページ、26ページの図表の扱いなどについては、これこそ正に直接お会いして相談したかった部分なので、お話を伺ってから、手をつけたいと考えています。
こうした資料部分は、漫画作者よりも研究者の意見が優先される部分だと思いますから。根拠を示すモノなので、ここではわかりやすさよりも正しさが最重要ですから。
ただ、何を掲載するにせよ何故ソレを選ぶのかについて、多少なりともボクが理解していないとマズイので、それででお会いして伺いたかったのです。メールだけだと断片的になりがちなので。
(ちゃんと理解してしまえば、制作そのものはスグに出来ますし)
17ページの文面を修正をさせていただいたのは、以下のような考えによります。
1)
文章全体をもう少し「教科書っぽくない言い回し」にしたいと感じました。ナレーションも漫画の一部なので、違和感が出ないように、口頭で語るような感じに近づけたかったのです。
2)
解説する順番を、読者の理解レベルに合わせたいと感じました。
この文章の手前まで、精子側のmtDNAがなくなる話をしているので、まずクローンでも同じようなコトがある話をして、それからクローンでは体細胞由来のmtDNAが残っている場合もあることを伝え、そうなる理由を説明する、という流れにしました。
また、文章序盤では「分解」という単語を避けました。
「分解される」という表現をするには、何が何を分解するのか、わかってないとピンと来ません。
手前5ページのセリフで分解のコトは出てくるのですが、1コマ触れたくらいで覚えてくれるとは思えないので、卵子のお掃除部隊を語るまでは「分解」という単語を避けたのです。
他にも「卵細胞質」という単語と卵子が結びつかない可能性もあると思えたので「卵子の中(卵細胞質)」という表現にしてみたりしています。
こうした表現で正しいのかどうかは何とも・・・なのですが、漫画で表現する以上、かなり低年齢の読者も意識せざるを得ず、少なくとも小学校高学年なら読めるという程度にはしておきたいと思うのです。
子供でもわかるようにしようとすればするほど、科学的に正しい言葉遣いからは遠のいてしまう部分があるので、バランスが難しいのですが、実は難しい言い回しを嫌う傾向は、大人のほうが強いように感じています。
KEKの「カソクキッズ」は素粒子物理学という、大人でもわかりにくい題材を扱っているため、どうしても難しいモノが難しいまま出てきてしまう部分があるのですが、驚くことに読者には幼稚園児もいるのです。
もちろん、わかってはいないのですが、オニイチャン、オネェチャンと一緒にわからないなりに楽しんでいるようです。
そして、そういう子が小学3年生くらいになると、科学に触れること自体に慣れているので、ドンドン知識を吸収するようになり、高学年になる頃には大人顔負けのスーパー小学生になったりしています。
そういうコトが、科学の裾野を広げていくのではないかと、ボクは思うのです。
だから「受け止めやすさ」には、最大限の配慮をしたいと思うのです。
(以下、書名)
「うるの送信メール/その21」補足解説
このメールが、今回収録する最後の1通だ。
もちろん、この後に直接会って話し合い、理解しあい、その後も幾度かやり取りをして、1ヶ月後くらいに作品はフィニッシュできた。
もっとも、その後、作品とは全然関係ない事情(先方の組織改編)なんかも絡んできたので、WEBも含めて最終納品版になったのは数ヶ月後だったけどね。
でも、前年と同じようにフィニッシュの時点でお支払いはしてもらえたので、全然困らないで済んだよ。
そして、その数ヶ月後からは、3部作の最後の3本が始まり、その最後のハズの作品を描いている間に、さらに追加エピソード(これも3本分)まで注文いただけた。
これを書いている今(本記事の初校執筆は2017年2月)は、3部作が全部終わり、追加エピソードもほぼ完成して、納品前の最終チェックを待っている状態だ。
3本目、4本目はかなりスムーズだった。
シリーズ3本目は、ネームから完成までで修正が出たのは、たった4つのセリフだけ。それも1つは1文字だけの直し。
1箇所だけ大きく致命的な修正(1コマ全部描き直し)があったけど、逆に言えばソコだけで済んだんだから万々歳だ。
追加になった4本目は、全く別なシリーズで、これまでとは別な研究者さんが監修だったのだけど、これまた大きな直しや意見の食い違いもなく、気持ち良く最後まで描かせてもらえた。
この最後の追加分を納品したら、それでこの研究所とのお付き合いはいったん終わりになるはずだ。
もう次回の予定はない。
どれだけ親しくなっても、いつまでも仕事が続くわけじゃないのだ。
でも、それで縁まで断ち切れてしまうわけじゃない。
描いた作品は、いつまでも残る。
それがいつか、どこかで誰かとつながる。
ある人との縁が、全然別な人との縁を生みだすこともある。
だからこそ、コミュニケーションをしっかり取ることが大事なんだ。
口八丁手八丁で上手く仕事を取ってくるなんて真似は、ボクにはできない。仕事を通じて蒔いた種が、どこかで芽を出すまで、じっと待つしかないんだ。
もっと効率のいい方法があるのかもしれないけれど、ボクに向いているやり方でないと意味がないんだよ。
たくさん蒔いておけば、可能性は大きくなる。
自分で自分が蒔いた種を見つけて、水をやって芽を出させるといったコトもできる。
そうやって、小さな未来をたくさん育てて、ボクは生きてきた。
これからも、そうするつもりだ。
育てていないモノが恩返しをしてくれるなんて、ボクには思えないもん。
子育てでも、仕事でも、長い時と手間をかけて育てて、しかも恩着せがましいことはしないで、それで返ってくるものだけで生きていくことができたら、それが一番だと思うんだ。
大変だけど、大変だとは思わないで、そういうモノを信じて、これからもやっていきたいと願っているんだ。
本当の本音を言えば、そんなモンに頼らなくても身勝手に生きていけるもんね~と言い切れるくらいにガッポリ儲けて後腐れなし!っていうほうがラクだと思ってんだけど、100万、200万なんてお金じゃその場しのぎにしかならないし、1000万、2000万でも長い人生乗り切れるモンじゃない。つまり宝くじでも大当たりしない限り常に足りないわけで、そうなら、わずかでも補填できるアテがいっぱいあるほうが安心なんだ。だから結局は、縁が一番ってコトになっちゃうのよ。キレイゴトじゃなくて、切実に、クールに保身考えたら、縁を信じて、信用を積み重ねるほうが安心だったってコトなのよ。
※補足
最後になると思われた追加連載分だったけど、担当者からは「出来れば来年度以降も続けたいから上層部に掛け合い続けてみる」という言葉をいただいている。現在の代表責任者はボクの漫画を高く評価してくれていて、追加連載が増えたのも、そのトップからのお達しだったそうだ。
だけど、次年度からはトップが代わる(現在の方は定年退職)のだそうで、そうなると先が読めないんだって。
まぁ、そういうことはあるから文句はないし、これだけたくさん描かせてもらえただけでも感謝なんだけどね。
何にしても、気に入っていただいて良い評価もしてくれる関係を築けたというのが一番の財産なんだ。それさえあれば状況がどう変わろうが、必ずチャンスは巡ってくる。意外なトコから巡ってくる。
ボクはそう信じているんだ。
※補足2
ここまでは2017年夏に出版した電子書籍版にも書いたことだけど、その後「さらなる追加」が本当に出た。
その追加分は、2017年秋に完成・納品され、2018年にも、これまでの漫画をベースにした「研究紹介イラスト」のオーダーがあり、一部のエピソードをまとめた冊子版編集の仕事などもあった。
このメールでやり取りしていた担当者さんは、2017年秋の漫画を最後に異動になってしまったのだけど、それでも作品というつながりは残り、今もなんらかの形で動き続けている。モノが「作品」だからこそ、他所の業者に奪われることもない。ボクがボクであり続ける限り、縁は途絶えないのだ。
これが、漫画という仕事の素晴らしいところだ。
作者の強みだ。
そして、強みになるような作品を描けたのは、強みになるような関係を築けたからだ。
これからもボクはそうしていく。
それが一番のサバイバルだと思うからね。
※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。









うるの拓也












