失敗社長編12(最終回):描きたいものを描けた幸せ

うるの送信メール/その27
うるのです。
本日、直接「○○印刷」に行って、データCDを渡してきました。
全ページの出力見本も添付したので、これで大丈夫なハズです。
ただ・・・。荒んでましたね。
散らかってたり、へんぴな場所だったり、小さすぎる工場だったりするのは、こういう仕事では普通なので、気にもしませんが、あれは散らかってるのではなく、荒んでいた、と思います。
実は出かける前に住所を調べようと思ったんですが、突如としてWEBサイトがなくなっていました。
グーグルでサーチしてみると「コミケ出入り禁止業者になった」との記事を発見。
搬入業者としての登録料を払っていない、開催者の定めたルールを守らないなどの問題があったようで、昨年11月以降、出入り禁止となってしまったようです。
で、先月までは表示されていたWEBページが消えている・・・。
コレは(事実上)倒産しちゃったんじゃないかと・・・。
もしかすると、失敗社長が最後の仕事なのかもしれません。
(それが失敗社長というのも、なんか暗示的ですけど)
○○印刷は関東圏の同人印刷では老舗でしたから、コミケットのシーズンには、数百サークルの印刷を請け負っていたはず。
1つ1つの受注額が×××××さんのトコと同程度だとすれば、11~12月には通常なら3000万前後の入金があるはず。でも主催者に出入り禁止にされた業者に依頼するわけがないから、その仕事はほぼ全部パァだったでしょう。
見込んでいた3000万が全額吹っ飛んだとすれば、あの規模の零細企業は1ヶ月だって持たないハズ。
最大の同人イベント「コミケ」の開催される7月と12月、そこだけで年商の大半を稼いでいたはずなんですから。
自業自得ではあるみたいですが・・・(さらば○○印刷、といったブログ記事も多数ありました)
いや、ほんと、エラいトコを紹介してしまいました。
本当にごめんなさい。
(老舗だということは知っていたので、ボク自身もいつかは頼もうと10年くらい前から目を付けていたんです。それが、まさか直前に、こんなコトになってるとは夢にも思ってなくて・・・、いや弁解ですけど・・・)
そういうわけなので、少し慎重に様子を見てみてください。
すでにお支払いは済ませてあるとのことだったので、心配だったけど、入稿はしてきました。
ただ、ときどき電話を入れる等、気を付けていたほうがいいように感じます。(少しでもお金が欲しい時のはずだから、ちゃんとやる とは思うんですが・・・・)
ほんと、ごめんなさい。
(以下、書名)
「うるの送信メール/その27」補足解説
……というわけで、こういうオチなのよ。
印刷会社の名前は伏せさせてもらってるけど、当時、コミケ界隈でもかなり話題になったから、覚えてる人もいるかもなぁ。そう、あの会社です。
いやぁ、エラい状態だったよ。
窓ガラスが割られていたり、誰かのエロ同人が床に散らばっていたりして、ものすごくアレな状態。
ガラスは怒り狂った債権者に割られたのかなぁ?
とにかく、すっごく心配だったけどデータは渡してきた。
すでに代金振り込んじゃっているんだし……。
ここまでの経緯でわかると思うけど、ボクは同人やってないから、そういう事情なんか全然知らなくて、たまたま選んだら、こういうことになってたの。
なんという因縁!!
お客様からの返信メール/その32
うるの様
お世話になっております。
×××××の○○です。
失敗社長、どうにかこうにか納品までこぎつけました。
製本済のものが明日の夜に会社に到着する予定です。
よろしければ、来週月曜にでも、お仕事場のほうへお届けにあがりたいのですが、ご予定はいかがですか?
問題ないようでしたら、月曜13時頃お伺いさせていただければと思います。
(以下、書名)
お客様からの返信メール/その33
うるの拓也様
×××××代表の☆☆です。
先日は「失敗社長」作成に渾身のご協力をいただきまして、ありがとうございました。
この時期に自伝のようなものを残せて大変幸せです。
色々なところで活用させていただきます。
印刷に関して編集して頂いた御請求分を、大変遅れましたが、本日お振込みいたしましたので宜しくお願いいたします。
(以下、書名)
「お客様からの返信メール/その33」補足解説
これで本当にフィニッシュ。
心配してたけど、出来上がった冊子は納期通りに納品されたようだ。
献本をいただいてチェックしたけど、刷り上がりに問題はなかった。
う~ん、たぶん、あの会社の最後の印刷物が、この『失敗社長』だったんだろうなぁ。
ヘンな意味で感慨深いなぁ。
冊子の完成・納品と共に、ボクも全ての代金が振り込まれ、現実の社長は、この作品と共に未来に向かっていくことになった。
漫画の評判は上々で、泣けた、共感したといった声をたくさんいただいた。
この漫画と共に始まった社長のコンサル事業も、順調に進んでいけたようだ。
その後、息子の○○さんは、親の跡を継ぐのではなく、新たな自分の道を見出して巣立っていった。
社長はすでに年金暮らしでもオカしくないお歳だけど、今もバリバリのコンサルタントだ。
まぁ今ドキ年金だけでやってくのもキツイし、仕事が社長の活力でもあるから、無理しない程度には頑張っていて欲しいなぁ。
この後も、何かある度にボクは社長の仕事をしている。
これを書いている今も、社長の本が出版されるとのことで、それに伴って『失敗社長』の増刷と電子書籍化のプロジェクトを請け負っている。
増刷される冊子は前と同じものだけど、電子版には、冊子版にはないオマケ・コンテンツをたっぷりと収録するつもりで、そのための準備も進んでいる。
ボクは社長の人生を2度も変えてしまった。
出会って「払えるようにしてみせます」のときと、この漫画を描いたときの2度だ。
どちらも社長に大きな影響を与えたと思う。
それが良かったのかどうかはわからない。
でも、社長は喜んでくれていて、読者の皆さんからもよかったという声をたくさんいただけたから、いい仕事だったんだと思っている。
ボク自身にとっても、この作品は好きな作品なんだ。
自分の気持ちを、思いきり吐き出せたからね。
失敗社長は、まぎれもなくボクのオリジナル作品なんだ。
広報のために描いたけど、作品自体はボクが描きたくて描いたオリジナルそのもの。
そういう機会を得られたことは、幸せだ。
十数年前の早朝、誰も来るはずがない時間に訪ねてきてくれた出会いにも感謝したい。
そんな時間にWEB相談会をやるようなアホを信じてくれてありがとう。
ボクたちに身を任せてくれて、ありがとう。
そして、これから出会うかもしれない第二の失敗社長たちにも、ありがとうと言っておきたい。
このときと同じように、一緒に汗水流して未来を掴む感動を、また味わいたいからね。
※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。








うるの拓也












