作者としてのこだわり/あえて予算オーバーに踏み込む編04

お客様からのメール/その7
うるの様
大変ご無沙汰しております。
○○の☆☆です。
以前にご相談させて頂いた▽▽▽向け観賞魚メーカーで、「××××」をテーマにした案件ですが、来年3月のペットフェア配布用で実施予定となっております。
最終の稟議書確認が取れ次第に改めてお願いしたいと存じますが、うるの様のご都合の方はいかがでしょうか。
現状の予定としては、以前にご提案頂きました
> _________________________
> ■12ページ冊子(マンガ本編8ページを想定)の場合
> _________________________
> マンガ(モノクロ):○万円×8P=○○万円
> 表紙カラーイラスト:○万円
> __________________
> 合計:○○万円
という内容で考えております。
12月辺りから打合せして、2月中旬に納品というスケジュールを希望でございます。
また、この会社が来年が創業40周年になるのですが、40周年ロゴを作るのをお願いすることは可能でしょうか?
商品や名刺にワンポイントで付けるものです。
対応可能であれば、この場合の費用もお見積りをお願い出来ればと存じます。
予算を特別に設定しているものではないので、かなり難しいところではあるかと存じます。。
ご不明な点等ございましたらご連絡ください。
今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
(以下、書名)
「お客様からのメール/その7」補足解説
このメールが来たのは、前回ペンディングになってから約5ヶ月後だ。
おや、ちゃんと動いていたんだなぁ。
幸いなコトに引き受けられそうなスケジュールでもある。
半年近く前のやり取りは無駄にならなかったか。
よっしゃ、やるか!
うるの送信メール/その9
うるのです。
ご無沙汰しております。
以下の件ですが、
> 12月辺りから打合せして、2月中旬に納品という
> スケジュールを希望でございます。
ということなら、大丈夫だと思います。
今は、すごくオーダーが集中していて、今月はそれらだけでテンテコマイで、来年2月くらいまでそういう状態を引きずるだろうとは思うのですが、それでも「12ページ冊子(マンガ本編8ページを想定)」程度は、十分に対応できると思われますから。
今月中!とかでなく、こうして早めにご連絡いただいていますし、スケジュールに大きな変更がなければ、問題なく対応できると思います。
(そもそも7月に伺っていましたし)
ただ現状では、いくつかのバックオーダーや継続中の連載などとの調整をしなければ対応しきれなくなる可能性があるため、12月中にスケジュールだけはきちっと枠取りしておきたいと思うのです。
できるだけ無理のない進行を考えますので、どうぞご協力いただけますよう。
(・・・なんで仕事って言うのは、みんなカブるんですかね?狙ったように同じ時期に集中してきます。ヒマなときは、明日が怖くなるくらいにヒマで、平均的にやれれば、どの仕事も落ち着いてじっくり取り組めるのに・・・。ほんと不思議です)
それと、キャンペーンロゴの件ですが、これはマンガとは別のスタッフで対応するので、何も問題ないと思います。
見積り的にはマンガと同じ「○万円」程度だと思いますが、ご予算的に問題があるときには、お申し出ください。
マンガを担当させていただくわけですし、時間も十分にあるようですから、もっと努力できると思います。〔見積りがどう、というよりも、御社に無理のない予算を提示していただければ、それでお引き受けしますので)
以上、どうぞよろしくお願いいたします。
(以下、書名)
「うるの送信メール/その9」補足解説
そういうわけで「お引き受けできます」と返事をした。
ただし、何とか引き受けられそうなだけで暇な時期でもない。意外にカブってるんだよ。
この段階ですぐに制作開始できるなら余裕の納期だけど、実際に動き出すのは年末ギリギリのようだ。
その時点からスタートとなると、上手くスケジュールをコントロールしないと、やや危ない。
なので、そういう状況なコトも匂わせるメールを書いた。
けっこうキツめな状態なので、そのへんもご理解くださいね、と。
ちなみに、キツかったら断っちゃうのも手なのだけど、ちょっとキツいくらいで断っていたら生きていけないのよ。
こちとら毎月給料がもらえる身分じゃない。自分で稼ぎ出さなかったら飢えるんだ。
そして、都合のいいペースで仕事が入ってくるもんでもない。キツくても何でも、稼げるときに稼いでおかなかったらヤバイことになるんだ。
多少の無茶は承知の上。
そう思わないとフリーランスってやっていけないのよね~~。
お客様からのメール/その8
うるの様
お世話になっております。
さっそくのご連絡ありがとうございます。
マンガ業務に関しましては、最終確認が取れ次第に改めてご報告させて頂きます。
口頭レベルではOKが出てるので、問題は無いだろうと思いますが、怖いので。。
ロゴに関しましては、出来れば○万で収まると非常に嬉しいところですが、使用範囲を考えますと本来はちゃんと予算を付けるべきところなので、ジレンマが生じているところです。例えば、ロゴ2種(形状違い)で○万だったら取れると思いますが、いかがでしょうか。
ロゴの使用としては
・来年度の販売商品パッケージへの掲載
・社員名刺への掲載
・webサイトでの掲載
・その他、周年キャンペーン販促物への掲載
という幅広い使用範囲が考えられます。
基本的に、企業ロゴも同時に使用します。
コーポレイトカラーとしては、青ですが、DICナンバーとか細かい設定はありません。
※著者注
DICというのは大日本インキの特殊インクのことだ。カラーはC(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(クロ)の4色で表現するけど、それ以外に「特色」というのがある。
絵の具というのは混ぜれば混ぜるほど濁る。オレンジは赤と黄色を混ぜて作るけど、混ぜれば濁るから本当は茶色なのだ。オレンジに感じるというだけで、本当のオレンジ色にはならない。
そこで本当にオレンジ色にするために、オレンジ色として作られた特別なインクを使うのだ。そういう色がいっぱいあって、それぞれに番号が付いている。DICナンバーというのは、それのこと。
ロゴは年末辺りには使用したいので、マンガよりも早い対応が望まれますので、併せてご確認ください。何案か出して頂いて選べると嬉しいです。
予算と日程が合うようでしたら、お願いしたいと存じます。
その他、必要な情報などありましたらご連絡ください。
何卒宜しくお願い申し上げます。
(以下、書名)
「お客様からのメール/その8」補足解説
前回の再始動のメールに書かれていたキャンペーン・ロゴの件についての返信だ。
もっと予算出すから2案でどうか、などと書いてある。
う~ん、困ったなぁ。
そりゃ予算が多いのはありがたいけど、コッチは、そんな真っ当な予算もらうレベルの案件だとは思ってないのよね~。
ロゴデザインの仕事も確かにやってはいるけど、積極的に引き受けてるわけじゃないのよ。得意でもなんでもない。
だから一応は作ってみて、お気に召したら買い上げてもらえばいいっていう程度なんだ。
漫画スタートまで時間があるから、ロゴ提案くらいならやってもいいなってだけなんだよね。
う~ん、困った。
お客様からのメール/その9
うるの様
お世話になっております。
お忙しいところ連日すみません。
ロゴですが、お受け頂ける場合は別のスタッフさんでご対応頂くという事でしたが、過去の事例とかお見せ頂けるものはありますでしょうか?
社内デザイナーもおります関係で、うるのさんのところにお願いする理由と言いますか、こんな社内とは違うものが出てくるんだって示したいんです。
最終的にオーソドックスなデザインになるにしても見せる幅が違うとクライアントのイメージも違うので。。
しかも今回はマンガリーフレットという新しい展開も併せて行うので、ロゴも系統を合わせた方が全体的なまとまりが出やすいかも。という考えです。
商品パッケージは社内デザイナーで行っているので、ロゴも指示してはいるのですが、あまり良いのが出てこずで。。
お手数をお掛け致しますが、ご高察のほど宜しくお願いします。
何かございましたらご連絡ください。
(以下、書名)
「お客様からのメール/その9」補足解説
うわ、畳みかけてきたよ。
ああ、こりゃあアカンなぁ。
ボクが出しゃばる案件じゃなさそうだ。
たぶんね、この担当者さん、漫画の予算が少なめだから、ロゴもボクに回してあげて、もうちょっと売上作ってあげようと配慮してくれたんだと思うんだよね。
だけど社内から「ウチでもデザイナーいるんだからやれるじゃん、漫画はともかく、なんでロゴまで外注するんだよ」って声が上がっちゃったということなんだろう。
いや、気を遣ってくれてありがたいんだけど、ボクがやれば内部のデザイナーさんの度肝を抜くようなモノが出来るってわけじゃないのよ。
そんな自信は全くないんだ。正直にそう言って、判断を仰ぐほうがいいだろうなぁ。
うるの送信メール/その10
うるのです。
すいません!このメールを見落としてましたっ!
さて、ロゴの件ですが、社内デザイナーさんがいらっしゃるのであれば、そちらの方に任せても全く問題はないですよ?
ウチはマンガ(広告・広報マンガ)に関してはドコにも負けないつもりでやっていますけれど、デザインのほうは人並みといったところだと思います。
他所には無理なものが作れるというよりも、他所と同じ程度にはやれるといった感じ。特別なモノができるとは言い切れません。
(もちろん、やってみたら会心の出来栄えということもありえますけど、それは結果論ですしね・・・)
ウチはデザイン会社でもあるので、広告やWEBのデザインを山ほどやっていて、中にはウチのデザインを高く買ってくれるお客様もいらっしゃいます。
でも、その多くはデザインよりも企画部分なんですよ。
デザインが優れているというよりも、他所と企画が違うから、デザインも違うものになり、結果として優れて見える、ということであって、実はデザイン力では戦ってないんですよね。それなりのモノは作るし、ときにはあっと言わせるものができたりもするけれど、そんなの誰でもそうですからね・・。
あ、マンガのほうは思いっきり自信があります。どんな有名作家を起用しようが、こと広告マンガに関しては世界中の誰にも負けないつもりです。
だから今回に関しては、やらせて見て、いいものが出来たなら買う、ダメなら社内で作ったモノにするといった程度でいいと思いますよ。
クライアントや業界について熟知しているわけではないので、それこそ「やってみた」という程度のものになってしまう可能性はありますし・・・。
(以下、書名)
お客様からのメール/その10
うるの様
お世話になっております。
ご連絡ありがとうございます。
もし、可能でしたら、ラフで構いませんのでロゴ作成をして頂けますでしょうか?
クライアントで気に入ってもらえれば買わせて頂くという対応でさせて頂けると助かります。
大変恐縮ですが、ご確認のほど宜しくお願い申し上げます。
ご必要な資料やご不明な点等ございましたらご連絡ください。
何卒宜しくお願い申し上げます。
(以下、書名)
「お客様からのメール/その10」補足解説
正直に自信ないよって言ったけど、それでもワンチャンスくれた。
じゃあ、とにかくやってみるしかないなぁ。
一応は漫画の冊子と連動しての企画だから、漫画絵をちょっとデザインにあしらって、ウチっぽいモノで提案してみるか。
このロゴ話が続くことからは、お客や広告代理店にとって漫画それ自体はさほど重要じゃないということも感じ取れると思う。担当さんがボクに売り上げ作ってあげようと配慮してくれたのだろうとは思うのだけど、それだけじゃないものも感じるのよ。
漫画冊子をつくる仕事でも、依頼者側から見れば「広告企画の1つ」であって、企画全体としてのバランスといったほうが重要なんだよね。
それに……依頼者たちは漫画に関しては門外漢だからねぇ。自分たちで漫画で広報しようと考えたことだけど、わからんコトはわからないんだから、漫画でやると決めるところまでで仕事は終わっちゃってるんだよな。その先はまな板の鯉。漫画家に任せるしかない。
だから、自分たちも関われる部分のほうに目がいく。このロゴ話もそういうことだと思う。漫画の出来に関してはやってみるしかなくて、やった結果の出来不出来の判断もできない(反響があったなどの効果測定はできるが漫画自体の良し悪しはわからない)から、判断できる部分にこだわって、少しでもイメージできる勝率を上げておきたいと考えるんだよね。
※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。









うるの拓也












