お客は時に味方、時に敵 ~依頼者との戦い編10:評価

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お客様からのメール/その23

うるのさま。

お返事が遅れてすみません。(昨日は帰宅が11時すぎでした。)

ごめんなさいの件、直して下さってありがとうございました。
そして、すべての完成、ありがとうございます。

ちょっと???です。何かの手違い???
下記のURLの中身が同じです。
つまり、3ページ目が届いていません。

>■社員編/2ページ目
>http://www.urutaku.com/test/fanjapan/k02-c2.jpg

>■社員編/3ページ目
>http://www.urutaku.com/test/fanjapan/k03-c2.jpg

3ページ目をお送り下さい。

(以下、書名)

 

うるのメール/その18

うるのです。

> ごめんなさいの件、直して下さってありがとうございました。
> そして、すべての完成、ありがとうございます。

なんとかなって、よかったです。

> ちょっと???です。何かの手違い???
> 下記のURLの中身が同じです。
> つまり、3ページ目が届いていません。

ありゃりゃ。直しの度に、1ページごとに4つくらいのファイルを作っていたので、こんがらがってしまったんですね、失礼しました。

というわけで別名でアップしました。

■社員編/3ページ目(画像のURL)

<補足>
マンガの1ページは、そのまま7~8カットのイラスト集のようなものです。解説記事や宣伝広告などに、マンガのどれかのコマだけを抜き出してカットに使う等の使用方法も考えられると思います。
ウチでは、著作権は放棄していませんが、かといって主張もしません。二次使用、三次使用でも使用料等はいただきませんから、使えるようならドンドン使って構いません。フキダシの中のセリフを消して、別なセリフを入れて使うといった「改変」もOKです。御社の営業活動に使う限り、どう扱っても大丈夫です。

印刷物が出来上がりましたら、見本として数冊いただけるとありがたいです。

(以下、書名)

 

お客様からのメール/その24

うるのさま

いろいろなご配慮、本当にありがとうございました。
今、当社ではホームページを新しくしているところです。
その中で、出来立てほやほやの「やす子先生」他キャラクターたちが大活躍する様子が私にはハッキリと目に見えます!!!
中小企業とそこにお勤めの社員の方々に必ずお役に立ちます。

有り難うございました。
お支払い方法など、ご指示ください。

有り難うございました。
大きな感謝をこめて。

(以下、書名)

 

「お客様からのメール/その24」補足解説

 紆余曲折の果てに、素敵なエンディングにたどり着けたようだ。
 よかった。

 この方は、かなりアツい気持ちを送ってくださったけれど、広告漫画の仕事をしていると、こういうお褒めの言葉をいただくことがけっこうある。
 ただの業務連絡じゃなくて、ファンレターになっちゃっているメールが来るんだ。

 こっちはね、日常的に山ほど漫画を描いてるけど、お客にしてみたら、自分たちの仕事を漫画にするなんてのは、滅多にないスペシャルな取り組みなんだよ。

 だからこそ思いが暴走しがちで、時に無茶苦茶になってしまう。

 それを抑えながら、でも気持ちだけはしっかり受け止めて、少しでもお互いにとって理想に近いモノになるように作っていく。
 ボクらは、お客の手を引いてゴールに導くガイドなんだ。

 この人をパートナーに選んでよかった。
 そう思われてこそ、次のナニカにつながる。

 なので、ファンレター的なメールが一回も来ないような仕事だと「負けた」って思っちゃう。
 どんなにデキのいいモノを描けたと思っていても、お客の中にファン的な感情を生み出せなかったのなら、負けだなって。

 このときは、勝った。

 そして、この後、もう1つの勝ちが。

 

お客様からのメール/その25

うるのさま

今日の役員会に私のプリンター(キャノンMP770)でプリントアウトした【社員用】と【社長用】の作品を持っていきました。
私のプリンターはA4しか出力できません。

先にメールで送っておいた役員のパソコンから、会社のプリンターで(A3表裏)出力しました。

いや~、迫力ありますね~~
私のプリンターで出力したものは色のトーンがほわ~っと柔らかなのです。
会社のプリンターで出力されたものは見慣れた色とはずいぶん印象が違いました。
うるのさんがつけて下さった色は、この迫力の色でいいんですよね?

≪役員からの注文≫
【社長用】:12番ブロックの中の文字の色と、その濃さは10番のものと同じに。
あと、データは「イラストレーター」で下さい。とのことでした。
(私は文章の中身にばかり目が行っていまして、細かいところに気がつきませんでし
た。言われてみればそうですね。字の色が薄いです。10番の色と同じがいいと思います。)

マンガとは全く無縁のうちの社長が「いいね~。よくできているね。このセリフは○○さんがかいたの?」と聞いてきましたので、わたしは
「いいえ。(キッパリ)ほとんどすべて、うるのさんが書かれました。細かい部分のほんの少しだけ、私の修正が入っています。短時間でこの内容を理解され、これだけのものを書かれる方って、素晴らしいと思います。」
と、答えました。
「そうだね。明日○○銀行をお訪ねする時に、早速これを持っていこう。」
ということになりました。
「やったーーーーー」って言う感じで、机の下でグーを握って“押忍”をしました。

以上、役員会の報告でした。
よろしくお願いいたします。

(以下、書名)

 

うるのメール/その19

うるのです。

> いや~、迫力ありますね~~
> 私のプリンターで出力したものは色のトーンがほわ~っと柔らかなのです。
> 会社のプリンターで出力されたものは見慣れた色とはずいぶん印象が違いました。
> うるのさんがつけて下さった色は、この迫力の色でいいんですよね?

はい、大丈夫(なハズ)です。
家庭用のプリンタの多くは、淡い色になりがちなんです。実際に印刷物になると、それもまた若干は色合いが違うと思いますが、まぁ、出力環境ごとに違いが出てしまうのはやむを得ないので、そういう誤差も含めて、ほぼ、どういう印刷でも大丈夫なように着色しています。
今まで20年やって問題が出た事はないです。
印刷会社や印刷データを作る人のスキルによっては何かの問題が出る事もあり得るとは思いますが、そこまで何も知らない人が印刷やってるとは考えにくいですし・・・。

> ≪役員からの注文≫
> 【社長用】:12番ブロックの中の文字の色と、
> その濃さは10番のものと同じに。

ああ、あそこはわざと薄くした(ヘンに文字が目立って感じたので)のですけど、濃くしても大きな問題はないし、ココは指示に従うほうがいいでしょう。

修正版をアップしておきました。

■社長編2ページ/修正版(画像のURL)

それと「イラストレーター」用の表紙データもやす子先生のスーツの色だけでなく、全体に手を加えたモノをアップしておきました。

■表紙用カット/修正版(画像のURL)

※表紙用カットの見本はコチラ(画像のURL)

> データは「イラストレーター」で下さい。
> とのことでした。

あ、あの、それは無理なんですけど?
カラー作品はフォトショップで描いているし、完成し納品させていただく形式は「JPEG形式」ですから。「イラストレーター」にはならないんです。
だから「イラストレーターにする」んじゃなくて、そちらで「イラストレーターに配置して使っていただく」ことになります。

「イラストレーター」は、印刷物の制作に使われるソフトで、こうしたマンガ作品の場合は、基本的には写真などと同じ扱いで、画像を「イラストレーター」に貼付けて印刷データにするのです。
(そういう作業を「DTP=机上印刷」というんです)

フォトショップで作っていても納品したモノは「JPEG形式」の普通の画像ですから、本当に写真と同じ扱いです。

写真などの画像配置の方法等は・・・分かりますよね?
いや、○○様がやるわけではないのでしょうけれど、DTPの基礎ですし、こうしたソフトを扱える方なら出来て当然のハズですから、印刷データを作成する方におっしゃってみてください。(少なくとも広告や印刷の業界で出来ない会社はないと思います)

表紙用のカットだけは、イラストレーターで作ってますが、本編とは着色の具合などが違うでしょう?「イラストレーター」という名前のソフトですけど、実際にはマンガ等には不向きなソフトでして、あのソフトでマンガを作るのは無茶なんです。(どちらかと言えばデザイン用ですね)

だから、表紙用カット程度だけにしているんです。
表紙は、マンガだけでなく、タイトルやキャッチコピーなど、様々な要素と組み合わせる事が多いため、そうした作業がしやすいほうがいいから、あえてイラストレーターで作ってあるのです。そのほうがレイアウトを行う人も自由に考えられて便利なはずですから。
ただ、表紙用の数人のカットだけだからできることで、本格的なマンガにするには向いてないんです。
不可能ではないのだけど、今回のマンガで使われているバック処理の大半はイラストレーターで再現しようとすると、データが重く複雑になりすぎて正常に印刷できない、あるいは保存さえまともに出来ない危険があるんですよね。また、手間が大幅にアップするから予算や時間的にもかなり高くなってしまいますし・・・。

> 「そうだね。明日○○銀行をお訪ねする時に、早速これを
> 持っていこう。」ということになりました。
> 「やったーーーーー」って言う感じで、机の下でグーを握って
> “押忍”をしました。

とても光栄です。
その場にボクがいたら、同じようにグッってやったでしょうね(笑)。
他社の広告でけっこう見なれているはずなんですが、意外にマンガやイラストで自社の営業内容を表現できると思う人は少ないようです(ウチが食べていけるくらいにはいるみたいだけど)。
こういう機会が増えて、多くの人がマンガを活用してくれるようになれば、ボクの後に続く人々にもチャンスが回り、業界を形成できるくらいに成長していくと思っています。

(以下、書名)

 

「うるのメール/その19」補足解説

 あの居丈高だった社長に漫画を認めさせたぞ!
 よっしゃああ!だよね。

 でも、まだ注文があるみたい……。
 う~ん、本当に手ごわい。

 けど、仕方ないってトコもあるんだ。
 とにかく漫画をわかってないから「やってみてから気付く」「後になってから気付く」が次々と出てくるのが一般人ってモノだから。

 そういう後出しを可能なかぎり少なくするように注意してるけど、そう簡単にゼロにはならない。
 そして、こういう後出しがポロポロ続く案件だってあるのよ(『カソクキッズ』なんか、公開30分前まで議論と直しが続くなんてコトがしょっちゅうあったんだから)。

 だからね、仕上げ方、描き方に工夫して、後出しがあっても何とかなるようにしておくのが大事なの。

 一度確定したら、そのまま最後まで突っ走れるというのなら、漫画専用ソフトで描いたほうがてっとり早いと思うのだけど、どんだけバッチリと言われても、ボクはそんなの信用しない。

 あるんだから。絶対にあるんだから。後出しが。

 で、予想もしないような後出しだってあり得るのよ。斜め上どころか空間がねじ曲がっちゃうようなのが。
 漫画の仕事なのに、漫画とは別な時空からの攻撃を食らったりするのよ。

 だから漫画だけじゃなく、色んなコトに対応しやすい環境のほうが便利で、それでPhotoshopを使ってる部分もあるんだ。

 最大の理由はPhotoshopに慣れちゃってるから(なんせ漫画作成ソフトなんてモノがなかった時代からやってるから)なんだけど、その後もずっとそのまんまなのは、広告漫画の仕事には、漫画っていうだけじゃ乗り切れないコトがたくさんあるからなんだよね。

 

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※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。

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