延々とつづく「修正」とのつきあい(メール商談ライブ) ~08:同志~
うるの送信メール/その21
うるのです。
> このマンガのページは○○(監修者)の思い入れが一番強いページでもあり
> 他のページよりも校正回数が増えていて、いまだ継続中です。
え、そうなんですか?知らなかった。
じゃ、仕方ないですね、ご期待に応えなきゃ。
> この後の修正についても、できればうるのさんにお願いしたく
> うるのさんのお言葉に甘えさせていただいてもよろしいでしょうか。
はい、☆☆様他、皆さんのご苦労もよく分かったので、最後までがんばりますよ。
ボクも感じたことは言わせていただいているし、お互いに「分かってる」なら、それでいいと思うんですよ。☆☆様に分かってもらえていて、その上で来る修正なら、それは「やるべきこと」なんだと思うんです。
> なるべく赤字はまとめるように進めたいと思いますので
> どうぞよろしくお願いいたします。
はい、それは可能な範囲でお願いします。
でも、もうちょっとだと思うので、どうぞ、よろしくです。
(以下、書名)
お客様からのメール/その33
うるの様
お世話になります。ご返信ありがとうございます。
今回の冊子について、今まで○○(監修者)には、×××××を詳しく紹介しているガイドブックがなかっため、分かりやすく紹介する本を作りたいという希望からスタートしました。
実は、マンガの企画は○○(監修者)からのリクエストでして。
このやり取りの間に、○○(監修者)から赤字が戻ってきました。
2ページ目に1カ所です。修正をお願いいたします。
「もうこれで最後です」と言い切れないのが申し訳ないのですが、前回の提出で「念校=最後です」ということでお送りしていますので最後と信じたいと思っています。
赤字の入ったPDFをお送りします。
もうしばらく、お付き合いいただければ嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
(以下、書名)
「お客様からのメール/その33」補足解説
この頃になると、ボク以外のスタッフは、こんな仕事があったことさえ忘れてるくらいになっている。
ボクが「実はアレ、まだ終わってないんだ」と言ったら、ビックリしていた。
そういうモンなんだ。
この件だけじゃなく、作画担当から見たら、とっくの昔の仕事が何ヶ月も後を引いていたりすることは珍しくない。
そして、その全部が終わらないと代金は受け取れないの。
請求書を送ったにしても、それが支払われるのは終わってからなんだ。
作画だけをやっていると、そういう部分が見えない。
見えないままだと、いざ自分がそれに出くわしたときにオタつく。
だからボクは、そういう部分も見せてあげるようにしている。
作画スタッフの仕事そのものは作画なんだから、他の仕事までさせるわけにはいかない。
本当は自分で体験したほうがいいとは思うのだけど、それを口実にギャラの払えない仕事をさせるのもオカシイので、見せるだけ。
スタッフはボクよりずっと若い。
いつかはボクが消えて、自分で向きあわなきゃならなくなる。
そのときに困らないように、見ておいて欲しいんだ。
ボクがヒィヒィ言ってるのを見て、ちょっとずつ覚えればいい。
同じことが出来るようになるんじゃなくて、同じ問題に自分ならどう対抗するかを考えればいいの。
うるの送信メール/その22
うるのです。
2ページ目、修正しました。
●2P(画像のURL)
・・・ただ、この修正、意味が分かんなくなってると思います。
ずっと校正を繰り返しているうちに、混乱してしまっているのではないでしょうか?
だって「・・・××××」で終わっちゃったら、ちっとも「××××そのもの」について説明してなくて、脚注にした意味がないですもの。
というわけで、どうしても気になったので、勝手ながらB案もアップしておきました。こうすれば用語解説として意味が通ると思うんですよ。
■2P/B案(画像のURL)
(以下、書名)
お客様からのメール/その34
うるの様
ありがとうございます。
いつもすみません。。。大変有り難いです。
こちら(B案)で提案させいただきますので、よろしくお願いいたします。
(以下、書名)
お客様からのメール/その35
うるの様
お世話になります。○○(某大手マスコミ)の☆☆です。
○○(監修者)から連絡がありまして、マンガページ校了です。
来週の月曜日に印刷会社へ入稿いたします。
この度は、度重なる修正にご迷惑をおかけし本当に申し訳ございませんでした。
お付き合いいただきまして、大変大変感謝しております。
納品は、○月○日の予定ですので、届き次第お送りいたします。
よろしくお願いいたします。
(以下、書名)
うるの送信メール/その23
うるのです。
> ○○(監修者)から連絡がありまして、マンガページ校了です。
> 来週の月曜日に印刷会社へ入稿いたします。
わぁ!ほんと、ご苦労様でした!!
> この度は、度重なる修正にご迷惑をおかけし
> 本当に申し訳ございませんでした。
> お付き合いいただきまして、大変大変感謝しております。
いやいやいや、こっちこそ途中で勝手を言ってすみません。
全然気にしないでくださいね。
何とかなることなら何とかしてくれたらありがたいな~と、一度だけ言ってみただけなんですから。何ともならないときは仕方ないんだから、そのまんまでいいんです。
そういうモノだということは、ものすごくよく分かっていますから。
※ボクは業界で25年もやってますから、大概のことは経験してます。ただ、たま~に、それに甘えきってしまうクライアントもいるので、筋だけは通しておくようにしているんです。それがそのまま通るとは思ってもいないけど、下請けは何も言わないのがアタリマエでは、業界のためになりませんしね。
> 納品は、○月○日の予定ですので、届き次第お送りいたします。
> よろしくお願いいたします。
○月中旬でしたよね、キックオフしたのは。
それから3カ月、お付き合いくださいまして、本当にありがとうございます。
今後とも、機会があれば、どうぞよろしくお願いいたします。
PS
なお、ウチは納品後でも、ボクが生きている限り納品した作品に責任を持ちます。修正・変更・再利用・改変など、いつでもサポートしますので、もしものときはお気軽に。
また、WEBや他の印刷物などへの再掲載も原則として認めています。
第三者への転用はご遠慮いただきたいのですが、今回の場合は○○(監修者)もしくは政府、公的機関などが使う限り、何度再掲載しても使用料などはいただきません(ご連絡だけはお願いいたします)。
※その他、非営利・公共の目的のために使用するのならば、第三者であっても認めることが多い(特に教育関係等)ので、そうした場合はお問い合わせを。
漫画家は描いてナンボ、著作権ビジネスをしたいわけじゃないのだから、よほど酷い転用でない限りは、気持ち良く何度でも使ってもらって、またお仕事をもらうほうがいいんです。
では、本当にお疲れさまでした!!
(以下、書名)
「うるの送信メール/その23」補足解説
とうとう、終わった。
あとは刷り上がりを待つだけ。
いやぁ、短い漫画だけど大変だったわ。
文中にある「大概のことは経験している」は嘘じゃないよ。
漫画以外の広告物も山ほどやってる。
割と有名な雑誌の編集長だったことだってあるし、大手のテレビCMだって作った。
現在のようにデジタル時代じゃないから、CGならあっという間に作れそうな単純なキャラを歩かせるために、リモコン内蔵のロボまで自作した。
広告素材のために特注ジオラマ組んだり、セーターを編んだり、ダミーの精力剤を作ったりもした。
逃げちゃいそうなモデラーを見張って徹夜で張り込んだり、新聞社の締切時間に間に合わせるために必死で自転車漕ぎまくったりもした。
サラ金の広告を請け負って、打ちあわせ中に闇の一端を覗いてしまって青くなったり、セレブでワガママな女社長に振り回されたり、ドジこいて客先で本当に土下座させられたこともある。
恥はいっぱいかいた。ドジもいっぱいした。
キツい奴や嫌な奴に泣かされた。
そういうことをたくさんやって、少しずつ「そうならないためのアレコレ」を覚えて、近頃はそこまでに至らないで済むようになってきたんだ。
だから、自分が辿った道の途中にいる人のことは、ある程度わかる。
ああ、今、アレにぶつかってんだな、と。
そうなら、自分はこうしよう。
自分のときに、周囲がそうだったら良かったのにと思ったことをしてあげよう。
ボクは、そうしているの。
そうしてあげても、そのときは気付かないかもしれないけれど、いつかは気付いてくれる。
すると、そのいつかに、また縁が生まれる。
その日が近ければ、とてもありがたい。
その日が遠くても、そのときまでボクが現役ならば、やはり、それはそれでありがたい。
このときは、比較的近いうちに、次の縁が生まれたよ。
お客様からのメール/その36
うるの 様
たいへんお世話になっております。○○(某大手マスコミ)の☆☆です。
昨年は×××××冊子へのご協力誠にありがとうございました。
おかげさまで非常に好評で当初3000部の予定が、最終的には1万1000部ほど刷りました。
今年もやることになりましたので何卒よろしくお願いします。
ついてはストーリー構成など打合せをお願いしたく、
○日(木)16時にお待ちしています。
今年は流通業界の取り組みでいきたいと思います。
○○社と○○社の資料をお送りしますので、ちらりと見ていただければ助かります。
※以下、参考URL
お忙しいところ誠に恐縮ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(以下、書名)
「お客様からのメール/その36」補足解説
このメールは、先の案件が終わってから8ヶ月くらい経ってから届いたものだ。
冊子は好評だったらしい。
また、漫画も喜ばれたようだ。
それはボク自身でも体験している。
前回の漫画を描いてしばらく経った頃、とある営業マンが売り込みに来たんだ。
ソイツが自信満々で見せたのが、ボクが描いた漫画だったの。
漫画で分かりやすいですから、ぜひ読んでみてください。
他のお客様にも好評だったんですよ。
うん、知ってる。それ描いたのボクだから。
そう言ったらビックリしてた。
で、ごめんな。ソレの良さはよぉく知ってるんだけど、ウチごときじゃ導入できないから。
導入できそうな誰かと知りあったら連絡してあげるから。
っていうか、ソレの大元知ってるから、そっちにね。
営業マンは赤くなりながら帰っていったっけ(笑)。
そういうふうに実際にウケるものを作れて、その実績を買われての第二弾。
今回は担当者も自信ありそうだ。
前回、一緒に苦労したもんねぇ。
おかげで漫画をつくるというのがどういうことか、だいぶ分かったらしい。
今度はスムーズに、効率良くやるぞって感じだったよ。
そして実際、そうなった。
何より今回は、最初から「仲間」だったしね。
ダンドリも、監修者も、第二弾ではスムーズに突破できた。
何事もなかたっというほどではないけど、まぁ、なかったに等しいレベルだったし、出来上がった第二弾冊子も好評を得ることができた。
だから第二弾の話までは書かない。
そういう結果まで行けたということだけにしておくね。
※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。