カソクキッズ20話:ブラックホール突入!?

重力とは「時空の歪み」だ!
この20話では、ついにブラックホールが登場した。
重力レンズ、シュバルツシルト半径、パーセクなど、SFで見慣れた科学用語を使えたから描いてて楽しかったなぁ。
もっともパーセクは、実際には本編で使ってないんだけど。
使ったのは「天文単位」。
いや、SFとか知らない読者もいるし、そもそも小中学生でも読めるバランスで描いてるので、専門用語を出したら、その解説もしなきゃならなくなるのよ。
で、説明してると、説明にも説明が必要ってことになりやすいの。そんで、その説明の説明にも説明が必要になって……とキリがなくなる。
だから、あまり多くの専門用語を出してると話が一歩も進めなくなっちゃうの。
それで「シュバルツシルト半径」は残したんだけど「パーセク」のほうは諦めたんだ。
シュバルツシルトのほうを残したのは、やっぱ、そういうシズル感が欲しいから(笑)。
詳しく説明する余裕はないから簡単な説明だけしか組み込めなかったんだけど、それっぽいセリフがないと臨場感なくなっちゃうもんね。

さて、このエピソードのテーマは、前回の19話に続いて「重力」の話だ。
ブラックホールを出したのも重力について説明するためで、ブラックホール自体を説明するのは主目的じゃないんだよね。
劇中でフジモト博士が説明しているけど、重力とは「時空の歪み」のことらしい。
質量があれば、その質量に見合った重力が発生する。
それは、質量分だけ時空を歪ませているということらしいのだ。
大きなものにも小さなものにも等しく質量はある(万有引力の法則)のだから、惑星も、ボクらも、ミジンコも、質量分だけ時空を歪ませているのだ。
このエピソードを描いた直後に『時空戦士イバライガー』が航空自衛隊・百里基地でのイベントに出演した。
ボクも手伝い(主に物販コーナーの店番)のために同行して参加したのだけど、そのときにね、戦闘機のパイロットさんと親しく話す機会があったんだ。
イバライガーの控え室で、パイロットさんと一緒に航空ショーを見たの。
そのときに、こんな会話をした。
パイロット「旋回するときには10Gくらいになるんですよ」
ボク「うわ、すごいですね。G=重力って時空の歪みのことだから、旋回する度に時空を歪ませてるわけですね」
パイロット「ええええっ!?」
こんな具合で、さっそくネタにさせてもらったの(笑)。
パイロットさん、驚かせてごめんなさい。

ブラックホールと重力レンズ
ブラックホールからは、光すら脱出できないと言われている。
でもこれ、意外に勘違いしてる人が多いらしい。
すごい重力だから光ですら引っ張られると思っている人も、けっこういるらしいんだ。
残念ながら、重力は光には干渉しない。
重力がどんなにすごくても、光はまっすぐ光速のままで進んじゃうのだ。
にもかかわらず、ブラックホールのような大きな重力源の近くでは、光は曲がる。
それは空間が歪んでいるからだ。
光自体は宇宙空間をまっすぐに進んでいるけれど、その空間自体が歪んで曲がってるから「まっすぐ=曲がる」になっちゃうのだ。
なので、ブラックホールの周囲では空間が歪み、本来はブラックホールの裏側に隠れて見えないはずの星などが歪んだ周辺に集まってみえる。
それが「重力レンズ効果」だ。
ブラックホール自体は見えないんだ。
見る、というのは光を感じることで、その光ですら脱出できないんだからブラックホールを肉眼で見ることはできないの。
だけど超重力によって空間が歪み、重力レンズ効果で集まった光の真ん中にポッカリと穴があいたように見えるから、そこにブラックホールがあることがわかるというわけ。
なお、重力レンズ効果はブラックホールだけの現象じゃない。
質量のあるものなら何でも質量分だけ空間を歪ませているのだから、例えば太陽の周囲でも重力レンズ効果は発生している。
太陽の向こう側の星がズレて見えるんだ。
他の惑星の周囲だって同様の現象が起こってるけど、質量がそれほどでもないので重力レンズというほどにはズレて見えないだけだよ。

なぜ光ですらブラックホールから脱出できないのか?
ブラックホールは「ポッカリと穴があいたように見える」けれど、その黒い穴に見える部分がブラックホールそのものというわけじゃない。
ブラックホールというのは、星だ。
ちゃんと大きさがある。
太陽の数十倍、場合によっては数百倍といった恒星などが寿命を迎えて超新星爆発するときに、自分自身の質量が大きすぎて、その重力に引っ張られ、内側に向かって崩壊してしまうことがある。どんどん圧縮されていくようなもので、圧縮されればされるほど強力な重力源になるから、さらに圧縮されてトンデモない重力を発するようになる。
それがブラックホールなのだ。ホールとかいうけど、穴じゃない。星なのだ。
だからブラックホールの本体は、黒い穴のように見えるj空間の真ん中にあるはずの、小さな、元は星だった部分だけ(見えないけど)。
黒い部分のほとんどは、シュバルツシルト半径と呼ばれるブラックホールの重力圏なのだ。
このシュバルツシルト半径という距離よりもブラックホールに近づいてしまうと、光ですら脱出できなくなる。
先に書いたように光は重力そのものには引っ張られないけど、空間が無限大レベルで歪んじゃってるから、どんなに光速で進んでも出口に届かないのだ。
1階、2階、3階と進むと、なぜか1階に戻っちゃうエッシャーの絵みたいなもんで、どこまで進んでも出られない。時空の歪みが光の速度を上回ってしまい、それで「光でも脱出できない」のだ。
まぁ、こういうことは念のために書いたんだけどね。
光は重力では曲がらないけど「すごい重力なら曲がるんだよね」とか思ってる人がたまにいるので。
いやいやいや。
すごくても、すごくなくても、曲がらないものは曲がらないのよ。
そう簡単に例外があったら物理法則にならないからね。
連れてこい、超重神グラヴィオン!
重力の正体については、まったくわからん。
ボクは漫画家で、素粒子物理学者じゃないんで。
そんで、その素粒子物理学者ですら、はっきり完璧でもないらしい。
なんせ「重力子(グラビティ)」と呼ばれる素粒子が見つかってないからね。
重力が時空の歪みであることは間違いないらしいんだけど、そもそも時空とは宇宙そのもののことで、その宇宙は、最初は「何もかもが1つになった点」として生まれたはずなんだ。
空間も、時間も、全部が1つ。
当然、様々な「力」も1つ。
重力も、電磁気力も、強い力も、弱い力も、もしかしたらあるかも知れない第5の力も、とにかく何でも1つ。
んで、電磁気力や強い力や弱い力を伝える素粒子は存在してるんだから、重力を伝える素粒子だってないとオカシイ。
それが重力子で、そういうもんを見つけないと、本当に重力の正体を解き明かしたことにならないのだ。
いや、見つけただけじゃダメだな。
重力は他の次元に漏れてるとか言われているんだから、5次元とか10次元とかがあること(それがどういう次元なのかは別として)を確認し、そっちに漏れてることも確認しないとダメなんだよな。
でも、今のところ、そういう別な次元があることを確認する方法はなさそうだから……う〜ん、厄介だなぁ。
『超重神グラヴィオン』でも呼んでこなきゃな〜〜(笑)。
オマケの余談:宇宙編のメカ設定
このカソクキッズ1stシーズン19〜20話に登場するキッズたちが乗る宇宙船「KEKツアーシップ」は、ボクがテキトーにデザインしたもの。
メイン舞台のコロニーとか全部そうなんだけどね。
このツアーシップは、後方にエンジンブロック、前方に球形の搭乗ブロックがあり、搭乗者は常に進行方向に対して垂直になる形で乗っている。つまり真上が前、なのだ。
だから、加速すれば床方向に引っ張る重力(引力)が発生する。1Gの速度で加速していれば、地球上と同じ重力になるわけだ。
搭乗ブロックは二重構造になっていて、内部は360度あらゆる方向に回転できる。向きを変えるときなどは横に加速したりするわけで、そういうときでも球体の内部は常に加速方向に垂直を保つことになってるのだ。そうじゃないと壁や天井に引っ張られたりしちゃうからね。
そういう構造だから、搭乗ブロックに窓などはない。窓に見えるのは全部スクリーン。『機動戦士Zガンダム』以降のモビルスーツで採用されている全天周囲モニターと同じになっているのだ。
なお、操縦などのコントロールは、全部VR。実際のキーなどは全くなくて、内部はどこもツルっとしている。いや、ちょっとフニョフニョしてるかな。何かあったときに壁や床にぶつかって怪我したらマズイから、何もかもがゴムみたいな材質のもので覆われている設定だ。
で、任意の場所にホログラフみたいにコンパネを表示させて、それを操作するのだ。
こんだけの未来なんだから、もっとロボット的なAIに全部お任せになってる気もするのだけど、それだとソレっぽいシーンが描けなくなっちゃってつまらないので、そういう設定にしたんだ。だって、せっかくSF描いてんだから(笑)。
ただね、色々発達すればするほど、見た目はシンプルになっちゃうだろうなぁとは思ってる。
今でさえ、スマホ、タブレット、テレビ(台座なし)などは、比較対象がないと見分けられないのよ。モノだけポツンと描いたら、スマホとテレビは区別しにくいのよ。
だから未来は、もっとシンプルになっちゃうだろうと思ってるの。
SF作品によくあるメカメカな感じじゃないんだろうな〜って思うのよね。
漫画家的には困るんだけどさ(苦笑)。
※カソクキッズ本編は「KEK:カソクキッズ特設サイト」でフツーにお読みいただけます!
でも電子書籍版の単行本は絵の修正もちょっとしてるし、たくさんのおまけマンガやイラスト、各章ごとの描き下ろしエピローグ、特別コラムなどを山盛りにした「完全版」になってるので、できればソッチをお読みいただけると幸いです……(笑)
※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『カソクキッズ』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。KEKのサイトでも無料で読めますが、電子書籍版にはオマケ漫画、追加コラム、イラスト、さらに本編作画も一部バージョンアップさせた「完全版」になっているのでオススメですよ~~(笑)。









うるの拓也












