依頼者とのコミュニケーション/アレもコレも通じない……?
以前の項でチラっと「漫画家の言葉は、あなたが思っている以上に一般の人には通じません」というコトを書いたけど、通じないのは言葉だけじゃない。
色々な漫画の表現も通じない人がいっぱいいるんだ。
何がどれだけ通じないか、ちょっとボクの経験から列挙してみよう。
お客に通じなかったアレコレ
■1)
1コマ目はココって教えても、ソコから下の段のコマに進んじゃったりしてね。
いや、ズレてるだろ、普通同じ段のヨコのコマに行くだろって言ってもわからない。
番号を振れ、振らなきゃ読者もわかるはずがないって言い張る。
そういう人いたんだよ、ホントに。
わかんないのはアンタだけだって言っても、絶対に譲らなかったなぁ。
■2)
「なんで頭にヘンなのがくっついてるんだ?」とかツッコまれたコトあるんだ。
その人は、顔に縦線入れて、青ざめている、ゾッとしているを表現するのもピンと来なかったな。
■3)
漫画読まない人って、そんなもんなんだ。
でもなぁ、それが本当にディフォルトで多数派だっていうのなら、漫画で広告なんかしないほうがいいと思うんだけど……。
■4)
このへんまで来るとイチイチ説明するのも辛いだけなんで、やめよう、もうやめようよって思っちゃうけどね。
■5)
ジョジョみたいに「ゴゴゴ」なんかを入れると「この音はどこで鳴っているんだ?」と聞かれかねない。
いや、あの、その……アレって、いざ聞かれるとすごく答えにくいんだけど……。
■6)
想像してるときの点々のフキダシも区別してない。
ようするに文字を読んでるだけで、キャラのリアクションとか見てないんだ。
……もういい、やめろ。
お前に漫画読むの無理だから、やめろ……。
理解できないままに任せてもらうしかないんだよね
程度の差こそあれ、こういう人は珍しくないんだよ。
普段は気にしてないけど、漫画って先人たちが生み出してきた沢山の「お約束」に守られていて、それを読者もわかってくれているから読んでもらえるトコがある。
シーンを切り替えるときに、空のカットをポンと入れる。
そして別なシーンが始まる。
こういうのは映画などでも同じなんだけど(というか、ソレを取り入れたんだろうけど)、たぶんね、ビジネス一直線の社長さんなんかだと、そういうのすら楽しんでこなかったんじゃないかと思うんだ。
さっきまでA地点にいたのに、なんで空を見上げただけでB地点になってんだ、と。
移動のシーンがなかったじゃないか、と。
もう根本的にアレなんだよね。
そういうわけで「ちゃんと説明しようね」を推奨してるボクでも、さすがにこのクラスのわからない人に当たっちゃうと、あきらめるしかなくなる。
何をどれだけ説明してもキリがないもん。
なので「説明しようね」とは言うものの、漫画そのものについてお客に理解してもらうのは無理だと思ってる。
悪いけど、つきあいきれない。
だから何度も書いてるように、漫画じゃないモノを理解してもらうしかないんだ。
漫画のコトはわからなくて構わん。
その代わり、オレっていう人間をわかれ。
わかったのなら黙って任せろ。信じろ。
わからないコトには、口出しすんな。
結局、広告漫画の仕事はそういうコトになっちゃう。
そういうコトを受け入れさせるしかないんだ。
そして、あきらめて突き放すと「ああっ、それなら黙ってるからやって」と言われることも少なくないし(笑)。
追記:オマケのトンデモエピソード
マンガじゃなくてWEBのほうだけど、Yahooに登録してくれって頼まれて、代行で登録申請してあげるコトがけっこうある。
で、とあるお客のときに、登録したら怒鳴りこまれたことがあったんだ。
「こら! テメェどうしてくれる!?」
「いや、ちゃんと登録されてるでしょ。カテゴリだって申請通りだし、ちゃんと指定キーワードで検索されるし、何もヘンなトコないでしょ?」
「おうよ、確かに検索されらぁ。けどよ、その検索がオカしいんだよ! テメェ、自分でもやってみろ」カタカタカタ……
「ほら、ちゃんと出るじゃないですか」
「テメェの目は節穴か? ココを見ろい。「アマゾンでも検索」って出てるじゃねぇか。ウチの若けぇモンに聞いたら、アマゾンってのは本屋だって言うじゃねぇか! ウチは本なんか出してねぇぞ!!」
……いや、マジで開いた口がふさがらなかったなぁ……。
この件だけじゃなくて、ネットの仕事してると接続プロバイダとWEB制作会社の区別ついてないなんてのはザラなのよ。
下手すりゃ携帯電話の電池が切れたのもWEB業者のせいになっちゃう。
何でもかんでもユダヤのしわざかよ。どんな陰謀論だ。
インターネットのコトも、漫画と同じでわからない人にはわからないんだよね。
で、そっちの仕事でムチャクチャな人をたくさん見てきて、そのあしらい方を身に付けていたから、漫画でも色々なんとかなってるというところがあるんだ。
経験を積みたかったわけじゃないけどね。
でも、知らん世界に「お客様」っていう強い立場で乱入してくると、トンデモさんになっちゃう人少なくないから、気をつけないとアカンのよ。
※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。