小説イバライガー第35~36話/筆者コメンタリー

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35話コメンタリー

オープニング

雨の墓地でうなだれるソウマ。すごいありがちなシチュエーションなんだけど、一度やりたかった。
ここまで人が死ぬシーンはあまり描写してこなかったんだけど、絶対に大勢死んでいるんですよ。殺伐なシーンを描いて実際に各地でヒーローショーをやっているイバライガーたちに迷惑をかけたらいけないと思って、そういうシーンはボカすようにしてきたんだけど、それでも人は死んでいたはずなんです。ストーリー上端折った裏側でも様々な戦いはあったはずだし。なので、そのへんにも直接的ではない形で触れておきたかったんです。
あと、35~36話はソウマくんがメインなので、彼にスポット当てなきゃならなかったし(苦笑)。

光の翼

ええ、そうですよ。Vガンダムのアレですよ。アレをそのまんまイメージしてもらっていいです。ああいう感じで翼のように広げたエネルギー流で敵集団を薙ぎ払う広域攻撃技。元々イバガールはRや初代のサポート用のセッティングだったはずなので、仲間が敵中に突っ込むための突破口を開くような技が多いはず、と考えてるの。

異常がないはずがない

元の歴史では、エモーションの力を使いすぎてシンは死んでしまったのだから、こっちの世界でも同様の危険はあるはずで、しかも今までにかなりのことをしてきてるので、シンもワカナも、かなりヤバイはずなんだよね。大人な人たちは、そのへんに気づいている。当人たちも気づいている。それでも立ち止まれないから口に出さない。
この先はそういう問題が表面化していくことになるんだ……。

ドーム状の何か

とうとう引っ越してきました、イバライガーブラック。今まではどっかに隠れてたんだろうけど、さすがにいつまでも野良ってわけにもいかないし、この先は共闘することが多くなるはずだしね。『真のオーバーブースト』を使うにはシンとのシンクロが必要でもあるし。なので、今後はブラックも基地の一員なのだ。

フカフカのソファーとか……

詳しくは描写してない(作者だってブラックは見せてくれないに違いないから)んだけど、すげぇサマになるお宅になってるんだろうと思う。

ブラック、口調が変わったよね

そうなのだ。このエピソードからブラックの口調が少し変わる。まぁ、あんまりくだけちゃうとミニブラと区別つかなくなるので少しだけど。
最初からずっとそのつもりだった。ブラックの喋り方はあまり感情がない冷徹な感じにしてきたけど、ステージショーではもっと自然体なんだ。だから、そういう口調になるのは前提だったんだ。でも最初からそれじゃあタダのチンピラになっちゃうので、くだけるまでに十分に時間をかけたんだ。本人は絶対に認めないけど、口調の変化はブラックがみんなを仲間として受け入れた証だと思ってる。

やっぱ、まだナッちゃんじゃねぇ……

実はそうではないのだ。いや、この推測も間違ってはいないんだけど、ちょっと違うのだ。

もうちょっと深刻に落ち込むと思ったのに……

最初はね、またワカナが深刻に落ち込んで自分を責めちゃうつもりで書いていたんだ。けど、このシーンになったら全然違うワカナが見えたんだ。イバガール・フェアリー覚醒の際に、ワカナは自分のトラウマを乗り越えてるんだよね。だからもう、いちいち落ち込まない。ちょっとは気にするけど囚われたりはしない。様々な出会いと試練を経験して、ずっと強くなったんだ。

私は、生きていちゃいけない

哀れでかわいそうなナツミさん。死にたくても死ねない身体のナツミさん。
これまで彼女自身の心は描いてこなかったけれど、ここからは、そこに触れなきゃ先に進めない。ずっと苦しんできて、それでも挫けなかった強くて優しい女性。寒い思いをさせてごめん。辛い目に遭わせてごめん。でも、あなたの覚悟と哀しみを理解しないと、あなたを救えないのよ。

脈打ちながら、動き出す刻を待っている

そこがどこかは、今は書けない。動き出すのは41話。動き出したら、後は一気に最終決戦だ。

身体が膨れ上がり変貌していく

ステージショーでは難しいと思うけれど、ショーで見慣れたダマクラカスンの姿は最終形態じゃないと思っている。もっと巨大で禍々しい姿になると思っている。それが出てくるのも41話。お楽しみに(笑)

ラブホテル

ちゃんとグーグルマップで調べたんだよ。この物語に都合のいいラブホはどこかを考えて探し、場所を特定した。勝手にモデルにしちゃったんでドコかは言えないけど、このホテルは実在する。今後もあるかどうかはわからないけど、少なくとも執筆時点では実在してるの(笑)。

微笑みと涙

この2つが、ソウマを変える勝利の鍵なんだ。これとソウマを出逢わせるために、ずいぶん悩んだのよ。ずっとソウマは押さえてきたからね。職務には忠実だけど、いまいち届かないキャラとして押さえてきた。ぶっちゃけシンの引き立て役だった。全ては、ここからのエピソードのためだったんだ。
ナツミともども長いこと我慢させたけど、あと少しだからね。

お前がナツミを眠らせたのだろう?

また裏目になってしまったソウマ。けど、そうじゃないんだ。ルメージョはわかっていない。気を張り続けていた女性が安心して眠ったということの意味を。それを与えた男の力を。大切な人が自分のそばで安心して眠ってくれることがどれほど大きなことか。そういう些細な、けれど大事なことこそがジャークを倒す力なんだ。

そういうことか……

以前のアザムクイドやルイングロウスもそうだったけど、ジャークの本体はエネルギーそのものなんだよね。元々がそういう存在だから。身体は『こちらの世界』で実体化するための容れ物に過ぎない。とうとうルメージョも本体を出したというわけだ。
なお、この『甲冑のほうが本体だった』は、ルメージョがステージショーに初登場した頃にはもう考えていた。ルメージョを演じてくれていた女性はとてもいい人で、けど当初のルメージョは顔出しだったから彼女が悪だっていうのに抵抗があったんだよね。それで『ドラゴンクエスト・ダイの大冒険』に出てきたミストバーンを思い出して、あの手だ!と。

ルメージョ・エビル

この『エビル』というのは、ステージショーに登場している女怪人『エビルニーカ』のこと……ではなかったの。ずっと前から、この最終形態の名前は考えてあって、その後にショーにルメージョ直属の怪人エビルニーカ(このネーミングはボクじゃない)が出てくるようになり、おお、こりゃ好都合と。
エビルニーカのデザインは甲殻類っぽい(エビでカニだからね)ので、このルメージョ・エビルにも甲殻類っぽい部分を取り込んだ。ショーを見ている人はルメージョ様とエビルニーカちゃんが合体したと思ってくれるといいな(笑)。

1度だけPIASで戦ったことが……

シンは16話でPIASを使っている。同じエピソードでRは特異点に飛び込んでいる。29話と33話ではソウマと初代が共闘している。33話の際にはアケノがソウマのエキスポ・ダイナモがわずかに光ったのを確認している。そういう全部が次回のエピソードで1つになる。
実は、全然そんなこと考えてなかったんだけど。ここまで来てから気づいただけなんだけど(笑)。

 

36話コメンタリー

マイ・フェイバリット・シング

このサブタイトル『マイ・フェイバリット・シング』は、ミュージカル映画『サウンド・オブ・ミュージック』の劇中歌から拝借した。ボクけっこう好きなのよ、あの映画。
マイ・フェイバリット・シング=私の宝物。一番大切なもの。今回はみんながそれを取り戻すお話だから、このタイトルにしたんだ。

やってくれたね、ナツミ

30話でイバライガーブラックが消滅し、31話でそれを知ったルメージョが暴走した。結局は覚醒したイバガールとワカナに敗れたんだけど、あのときにルメージョとナツミのパワーバランスが逆転したんだよね。つまりバグった。

ネガティブに取り込まれる危険

そこまで酷いことにはならないと思うんだけど、けど、ナツミを救えなかったら、殺してしまったらシンもワカナもひどく落ち込むことは間違いない。同じく友人だったマーゴンも。感情エネルギーは心の力だから、彼らが落ち込めば大幅にパワーダウンする。ルメージョは、それを狙っている。勝てないまでもイバライガーたちの力を大きく削ぐことはできるからね。

指揮車のカーゴには窓がない

モニタなどのライトだけの真っ暗な車内で、じっと座っている姿。すごく絵で思い浮かべやすいんで、そういうふうに描きたかった。これもありがちな絵面ではあるけど、サマになるからありがちなんだよね。

ラブホでナニって言ったら……

まぁねぇ……そりゃあラブホでナニって言ったらナニだよねぇ。いやナニもなかったんだけど、そんなことシンもワカナも知らないし。それにナニは感情が高ぶるしねぇ、エモーションに大きく影響してもおかしくない。まぁ、シンも身に覚えあるんだろうなぁ。下世話なことは書かないけど、ナニの力って大きいんだよね(笑)。

ん? 待てよ?

そう、ナツミ救出はTDFにとっても最優先事項なのだ。周辺の被害など無視してでも、ナツミは手に入れねばならない。それにナツミを失ってシンやワカナが弱体化することも避けなきゃならない。シンたちは「いざとなったときの覚悟」をしてたけど、どんなに覚悟したって悲しみが消えるわけじゃないのだ。なのでアケノとしては、どうしてもシンたちが納得する展開を目指すしかないのである。

ちょっと色々エゲツなくない?

見事にエゲツないです。ソウマの気持ちを利用して「そうなるように仕向ける」んだから、ルメージョにも負けないレベルでエゲツない遣り口なのだ。でもまぁ、なりふり構ってられないからねぇ。若者たちのテンション下げないように気を使いながら勝利を目指さなきゃならないんだから、アケノ隊長も大変だ(笑)。

最後まで足掻け

作戦としてはソウマを刺激するために「殺るフリをする」なのだけど、ブラックはマジだ。本気で殺す覚悟で臨んでいる。イバライガーブラックは、フリなどという半端な覚悟では動かないのだ。
ただし、本気で生かそうともしている。彼だってオリジナル・シンの人格を受け継いでいる。殺したいわけではないのだ。そして自分が本気だからナツミにも本気を求める。死に水は取ってやるから安心して死ぬまで生きろ。それがブラック流の優しさだと思う。

初代イバライガーは確信していた

29話と33話。初代イバライガーはソウマの支援を受けている。ソウマに十分な素質と力があることを肌で感じているのは初代なのだ。だから期待している。エモーションの使い手になるにはリスクがあるが、シンが覚醒したときとは条件がまるで違う。ソウマは、様々な戦いやPIASの運用を通じて十分な時をかけて身体を慣らしている。しかも最初からPIASがあり、自分の身体を変質させなくともイバライガー化できる。理想的なのだ。

ルメージョに悟らせないこと

ソウマをとことん侮っているルメージョだけど、さすがに強大なエモーション反応があったら気づかれる。だからイバライガーRは必要以上に気を発して、ソウマの反応を隠しているのだ。

エキスポ・ダイナモは怒りや憎しみでは輝かない

このイバガールのセリフは、PIASが初登場した13話のもの。このセリフが出てきたのは執筆時の即興(ガールのアドリブ)だけど、元々、今回のエピソードが頭にあったから出てきたセリフでもある。この日のために喋ってもらったようなものなのだ。怒りと憎しみが先行していたソウマ。本来は熱いものを持ってるくせに仕事と割り切ろうとしていたソウマ。スペシャルな運命を抱えているシンやワカナには及ばないと諦めていたソウマ。その彼が、心から誰かを救いたいと願ったとき、エキスポ・ダイナモが輝く。ずっとこのときのために溜めていたんだ。

隊長の動きを思い出せ

35話で見せたアケノ=イバライガーXの動き。16話で特異点に飛び込んだR。29話のカタルシス・フュージョンでの記憶。色々なことがソウマを支えている。真の力を発動したのは初めてだけど、決して付け焼き刃ではないのだ。『ベストキッド』みたいに、知らず知らずのうちに「ワックス塗る、ワックス拭く」をやってたのだ。

結局お前は、人間を理解できていなかった

ジャークは人間とは全く別の存在で、その本質はエネルギー体。だから肉体といった物質的な生命の形は、あまり重視していない。エネルギー保存則があるのだから生き物だってエネルギーの形の1つに過ぎない。死んだところでエネルギーの在りようが変わっただけなのだ。だからジャークにしてみれば、生きるとか愛するとか、そういった感情は理解しにくい。そんなものは人間の思い込みに過ぎない。
けれど、そういうものがエモーションには大きく影響する。なんせ「感情エネルギー」なのだから。
たぶんね、ジャークはエモーションを感情エネルギーとは思ってないんじゃないかな。感情のエネルギーという捉え方は人間固有のものなのだろう。そして、そういう捉え方をするからこそ人間はジャーク以上のエモーションの使い手となり得るのだと思う。

かつてルメージョだったもの

ついにジャーク四天王ルメージョが消えた。もちろんイバライガーショーでは今後もバリバリ出演するはずだけど。
敵とはいえ、ショーのレギュラーキャラを死なせてしまうのには抵抗あるのだけど、でもいつかはそうしなきゃならないのだ。他の四天王も、やがては同じことになる。
だから、ここでルメージョとはお別れさせてもらうしかないのだ。最初からそういう予定でやってきたことだし、この物語は全50話の予定だから、もう佳境と言っていい段階だしね。

エンディング

エンディングは、ナツミの主観にした。ルメージョの最後で終わりにしようかと思ったけど、最後にナツミの気持ちを入れておきたくなったの。ちゃんと帰ってきたと読者の皆さんに安心してもらって、ナツミにもそれを実感させてあげて、ほっこり&スッキリしたかったの。気を持たせて次回につづくより気持ちよく読み終えて、その気持ち良さをもう一度味わうために次も読む、というほうがボクは好きなの。

 


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