小説版イバライガー/第34話:クリスマスだからじゃない(後半)

2018年12月15日

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Bパート

 台本を、読み終えた。
 夢中だったのとステージの照明のおかげで気付かなかったけど、もう辺りは暗くなっている。
 自分がメインに選ばれた理由がわかった。
 イバライガーというよりも、MCのお姉さん……つまり普通の人が頑張るお話なのだ。

 


 ショーは、前と同じようにMC役のお姉さんの挨拶から始まる。
 そしてMCの呼びかけで会場のみんなが「イバライガ~~~ッ!!」と呼ぶと、脈絡なくジャークの戦闘員と怪人たちが乱入してくる。
 そこに駆けつけるイバライガーRとイバガール。この辺のイントロは、ごく普通の展開だ。

 でも、そこからが違う。
 ヒーローたちの激しい戦いに巻き込まれて倒れたMCは、別の平行世界に飛ばされてしまうのだ。

 そこはジャークが支配する世界。イバライガーが生まれなかった世界。
 そんな世界で、MCは戦いが嫌いな戦闘員と出会う。もっと平和に暮らしたいという戦闘員にMCは、自分の世界の話を聞かせる。
 平和を取り戻すために戦っていること。世界を救うヒーローがいること。何度もピンチになったけど、それでも諦めずに希望と未来を信じてること。
 励まされた戦闘員は、自分も自由と平和を求めて立ち上がろうとするけれど、四天王のダマクラカスンに知られてしまう。

「平和だと? 自由だと? くだらん! この世界は弱肉強食!! 力こそが全てよ!! 弱き者は滅ぼされて当然ではないか!!」
「そんなことない! 暴力だけが力じゃない!! 心が……想いの力だってすごいんだから! イバライガーは強いんだから!!」
「イバライガーだと? そんな奴は聞いたこともないわ! だが面白い。強いというなら見せてみろ。この俺の爪で引き裂いてくれるわ!!」

 いつものようにイバライガーを呼ぼうとするMC。
 でも……ここは別の世界。イバライガーがいない世界。頼れない。助けは来ない。
「やはりハッタリに過ぎなかったようだな。さぁ、その裏切り者を渡せ。争いを拒むようなジャークはいらぬ。この場で処刑してくれるわ!」
「も、もぉダメだぁああ。やっぱり弱いと生きる価値はないんだぁああ」

「諦めないで! 言ったでしょ、想いの力は……感情エネルギーは誰にだってあるのよ。戦うのよ!! 倒すためじゃなくて守るために! 自由や平和や夢を守るために戦うの!! 私はそれをイバライガーたちに教わった。だから……逃げない!!」

 MCは戦闘員をかばって、拳を固める。とっさにブレイブインパクトのポーズを取っている。
「わははは! 俺と戦うつもりか? 貴様のような小娘に何ができる? いいぞ、その拳を打ち込んでみろ。砕け散るのはお前のほうだがなぁあ!!」
 諦めない。諦めない。諦めないっ!!
 お願い、イバライガー。私に力を貸して!!
 全身全霊で非力な拳を突き出すMC。その拳圧が、ダマクラカスンを吹き飛ばす。
「え?」
「な、なんだ、この力は!?」

「よく吠えた。それでこそ俺様のショーのMCだ」
 驚きに包まれたステージに響き渡るクールな声。出現するイバライガーブラック。
「イ、イバライガーブラック!? なぜ、ここに……!?」
「ふん、何を驚く。てめぇの感情をトレースして転移した平行世界を特定するなど容易いことだ。もっとも、それをやったのは俺ではないがな」

「そうだ! MCのお姉さん!! 自ら立ち上がろうとする者をイバライガーは絶対に見捨てない!!」
 R、ガール、初代、ミニライガーたち。次々と出現するヒーローたち。
「ダマクラカスン!! 人々の希望を奪おうとする者は私たちが許さないっ!!」
「そうよ! 本当に強いのは私たちじゃない。みんなを守ろうとする心の力。その強さを見せてあげるわっ!!」
「てめぇらなんぞどうでもいいが……俺のMCをいたぶってくれた礼はさせてもらうぞ。おい、MC。アレをやれ。時空の向こうで待っている連中がいる。そいつらに呼びかけろ。いつものようにな」
「わ、わかった! みんな! イバライガーに……ううん、私たちに力を貸して!! この世界の人たちに希望を見せてあげるために……大きな声でイバライガーの名前を呼んで!! せぇのぉお……!!」

 


 ……こうしてMC(私)は救われ、イバライガーたちと一緒に、元の世界に帰ってくるのだ。
 もう1つの世界に希望という種を残して。

 いいお話だ。集まってくれた人たちに感謝の気持ちを込めて贈るショーとしても納得だ。私だって観たい。

 けど……。
 これ、やるほうは大変だよぉおお。

 私、普通に顔出しで出るわけでしょ。普通の役者さんと同じでしょ。つまり、裏で声優さんに声を当ててもらうんじゃなくて、自分で喋って演技しなきゃなんないんだよね? このセリフを全部覚えなきゃならないんだよね?

 つ~か、最初に助けに来るのがブラックって、無理じゃないの? あの人ショーなんかに出てくれないんじゃないの? っていうか出てきたら出てきたで怖いし。
 うわぁああ、本当にできるの? セリフ覚えられたとしても、ちゃんと言えるの? 棒読みになっちゃうんじゃない? 噛んじゃうんじゃない? 動きとかも台本通りにやれる自信ないよぉお。いいお話でヤル気も出てきたけど難しいよぉおお。ご飯食べたい。口いっぱいに頬張りたい。でも頬張ったら喋れない。うわぁああん、イバライガ~~、助けてぇ~~~。

 思わずパニくったけど、誰も答えない。
 そりゃそうか。……とにかく帰ろう。今はいったん頭を休めなきゃ。

 照明のスイッチがどこにあるかわからなくて、天幕をめくってTDFの人に声をかけた。そのままでいいですよと答えてくれたので、頭を下げて歩き出した。
 基地までは1キロ弱ほど。この辺りは夜になると真っ暗な場所も多いけど、ここは大通り沿いだから街灯もあって、割と明るい。
 基地近くまで戻ってきたとき、住宅街に入る路地の暗がりに何かが見えた気がした。

 猫かな? でも猫にしては大きかった。ていうか人に見えた。けど、ここは避難エリア。今は誰もいないはずだ。まさかジャーク? いや、それもヘンだ。こんな近くにジャークがいたらイバライガーのセンサーに引っかからないはずがない。
「あのぉ……誰かいますかぁ?」
 声をかけてみたが、返事はない。身構えた。さっきまでは気のせいかと思ってたけど、今は確信に近い。いる。絶対に誰かいる。
 しばらくじっと待っていると、懐中電灯らしい光が見えた。
「な、なんでもないです……」
 出てきたのは、ユウタだった。また出会った? しかもこんなトコで?
「び、びっくりしたぁ! けど何してたの?」
「い、いや、その……この辺にも避難している人……っていうかペットとか、そういうのが残ってるんじゃないかって……」
「大丈夫だよ。例えペットでもイバライガーはちゃんと気づくもの。それに今はジャークも動きを見せてないしね。野良猫ちゃんがいても心配ないよ」
「そ、そうなんですか。イバライガーってすごいんですね」
「さ、もう暗いから帰ろう」
 ユウタを促して歩き出した。

 おかしい。さっきもそうだけど、何かがおかしい。路地から出てくるときにチラッと見えたのは、特製スープの段ボールじゃなかった? 見間違いかもしれないけど……でも……。
 普通の青年に感じていたユウタが、得体の知れない何かに思えてきた。

 この数年は、ずっと隠れ家暮らしだった。同世代と親しくするなんて何年もなかった。だからユウタたちに親しみを感じていたけれど、こうして二人だけになってみると、何かが違う。いや、違うのは私のほうかもしれない。これが平均的な同世代。普通じゃないことをたくさん経験しちゃったせいで、私は普通の特別さに気づいちゃった。だから普通じゃないのは私のほうなのかも。けど……。

「聞きましたよ、カオリさん主演なんですよね。すごいや」
 声をかけられた。親しげな口調だけど、本当は手持ち無沙汰で、適当な世間話を口にしただけなんだろうな~。
「うん、でも……何かの間違いで何故かそういうことになっちゃっただけだよ……」
「それでもすごいですよ。頑張ってくださいね、楽しみにしてますから」
「ありがとう。私もできるだけ頑張るね。こんなこと一生に一回だろうし、もうすぐみんなともお別れだから、できるだけのことはやりたいし」
「その意気ですよ。もっとも……お別れかどうかは、まだ分からないですけどね……」
「え?」
「……俺、ここに来て本当によかったって思ってるんすよ。みんなが支え合っていて、生き甲斐を感じるんすよ。こういう日がずっと続いたらいいなぁって思ってるんすよ。終わってほしくないなぁって……」
「……うん、気持ちは、わかるよ……。でも……私たちは、みんなの日常を取り戻すために戦ってるの。嘘をついちゃったり、ズルいことをしちゃったりすることも含めて、そういう日常がとても大切なものだから。みんなとの暮らしは楽しいけど、普通に暮らすのはもっと大事なことだと思うの」
「そうかなぁ。せっかく、こういう場が生まれたんだ。つまらない平和なんかより、ずっとこのままのほうがいいんじゃないのかなぁ……」
 そう言って、ユウタは黙り込んだ。暗くなった道を歩いていく背中が、遠く見えた。

 やっぱり違和感を感じる。なんだろう、この人。何かズレている気がする。ジャークの被害に遭った人たちとは、どこか違う。
 浮ついて見える。今の状況を本気で望んでいるように見えた。
 わざわざボランティアで手伝いに来てくれるなんて偉い人たちだって思ってたけど、もしかして違うのかも。彼らにとっては、これこそが現実逃避のアトラクションなんじゃないだろうか。平和で変わり映えのしない日常の大事さに気づけず、当たり前の日々を空気みたいに感じていて、刺激を求めているだけなのでは。その刺激に魅せられて、日常のほうを壊したがっているのでは……。

 基地の敷地に入ったところで、ユウタと別れた。
 角を曲がって見えなくなるまで待ってから、引き返した。
 やっぱり気になる。さっきの特製スープの段ボール。考えすぎかもしれないけど、何かしてたような気がする。
 さっきの路地に戻った。暗がりに踏み入る。
 何もなかった。足跡はある。ユウタの足のサイズは知らないけど、近いような気がする。隣には、何かが置かれていたような跡がある。それも特製スープの段ボールに近い大きさに感じる。わずかな間に誰かが持ち去った?

 でも、全然違うかもしれない。ていうか単なる妄想の可能性のほうがずっと高いよね。悪意あるものなら、私より先にRさんやガールさんが気づくだろうし。
 なんでもない。なんでもないはずなんだ。
 でも……なんでもないことを確信するために、ちょっと調べてみようかな。

 


 シンは、そっと自分の小屋を抜け出した。
 もう深夜だ。明かりの灯っているプレハブやテントは他にもけっこうあるが、周囲は寝静まっている。
 すぐ隣のワカナの小屋は真っ暗だ。気付かれないように気をつけて進んだ。今見つかったら、また怒られる。ったく、あんなに怒らなくてもいいじゃんか。けど初代やミニライガーにまで注意されたからなぁ。くそっ、情けねぇなぁ。
 とにかく忍び足で移動し、目的のテントに潜り込んだ。夜這いみたいな真似してるのに待っているのは男だ。それもまた情けない。

「何をこそこそしている?」
「うるせ~。こっちにも事情があんだよ」
 ソウマはニヤリと笑いながら、グラスを差し出した。ブランデーを注ぎながら、まだニヤニヤしている。ちくしょう、てめぇ、知ってやがるな。
「とにかく、話を聞かせろ」
「予想通りだ。これだけの人間が集まってるんだ。変な奴も混じるさ」
「おい、言っとくけどカオリには……」
「言わんよ。というより誰にも気付かせん。隊長には報告するが、この件は俺たちだけで処理したほうがいい。疑心暗鬼でパニックなんて事態は避けたいからな……」
「ああ。幸か不幸か、そいつらは本気で『いいこと』だと思い込んでやってるんだろ。ならエモーション・ネガティブの反応も小さい。イバライガーたちにも気付かれずに済むかもしれない」

 話を聞いたのは数日前だった。人の動きにおかしなものがある、ということだった。普通なら何も言ってこなかっただろうが、そのおかしな連中がカオリと親しいらしいと気づいて、俺に知らせてきたのだ。
 最初はジャークを疑ったが、どうやら違うらしい。人間が善意で行う害というやつだ。思い込みの激しい奴、精神の不安定な奴、洗脳されてしまった奴などがそうなるのだという。
 気づいた時から、連中はTDFの監視下に置かれている。当人たちは巧妙に動いているつもりらしいが、所詮は素人だ。全ては見張られている。このまま何も起こらず、誰にも気付かれずに処理されるはずだ。

「本当に何も起こらなければいいがな……」
 つぶやきながら、ソウマはバッグの中からビスケットを取り出した。つまみはこれしかないらしい。
「どういうことだ?」
「あの女のしわざ……ということはないか?」
「大丈夫だ、今もカプセルの中だし、おかしな反応もない。このまま元に戻るのかどうかはわからねぇんだけどな……」
「元に戻ったとしても、それが本当に『元』かどうかわかるのか?」
「そう……だな……。けど、もし偽っていたとしても誰かは気づくさ。俺か、ワカナか、マーゴンか。あるいは……」

 必ず気づく。シンはそれを疑っていなかった。
 根拠はない。けれど、わかるのだ。エモーションが伝えてくるというのではなく、自然とわかる。ルメージョがどれほど巧妙にナツミに成り切っていたとしても、俺たちにはわかる。
「まぁいい。もしものときの覚悟はしておいてもらう。それより……」
「カオリか?」
「いいのか? たぶん、すでに多少は勘付いているぞ。独自に調査を始めている。大したことのない連中だから、さほど危険はないはずだが……」
「そうだ、危険はない。それだけは間違いない。だったら、このままにしておきたい。自分で向き合って、自分で答えを見出して、自分で解決させたい」
「何のために?」
「……俺たちは何があるかわからねぇ。もしものときに、例え一人でも生き抜いていける強さをカオリにも持たせておきたいんだ……」
「親みたいなことを言う奴だな。それで気付かれずにカバーする役を俺にやらせようってのか」
「俺じゃバレちまうからな」
「なんで、そこまでする? 何があった?」
「俺は……カオリの両親を救えなかった……」
 シンはブランデーをあおった。

 まだ、Rやガールが現れる前……初代と初めて出会って1年ほどの頃のことだった。
 逃げ延びた俺は、恩師だったゴゼンヤマ博士と再会することができ、そのツテでエドサキ博士を紹介された。機械工学が専門のゴゼンヤマ博士だけではイバライガーのサポートはできない。素粒子などの理論物理の専門家が必要だったが、その方面専門のワカナの知り合いは、最初の事件でほとんどが死んだか、ジャークに乗っ取られていたのだ。

 イバライガーと一度会っただけで、エドサキ博士は協力を約束してくれた。それだけではなく、私財まで投げ出して隠れ家を用意してくれた。家族はすでになく、しかし資産家の親が遺してくれた財産があった。それを惜しげもなく注ぎ込んでくれたのだ。

 だが、ジャークに嗅ぎつけられた。
 エドサキ博士に近づくためにジャークは、彼女が勤務していた大学の教え子を狙った。
 それがカオリだった。

「……俺たちが気づいた時には、ジャークはもうカオリの家に侵入していた。俺とイバライガーは救出に向かったが、ジャークゴーストに足止めされ、駆けつけられたのは俺だけだった。カオリの両親はすでにジャークに侵されていて、カオリもネガティブに侵食されかかっていた。俺たちも体験したアレさ。俺は必死でカオリたちをエモーションフィールドでカバーしようとした。だが、そのせいで……」

 俺のエモーションが、他のジャークゴーストを呼び寄せてしまった。あの頃の俺は、まだエモーションの扱いを覚え始めたばかりで、ゴーストとやりあうほどの力はまだなかった。俺は何もできずに引き裂かれるはずだった。それをカオリの両親がかばってくれた。
 ネガティブの波動に苦しめられ、ゴーストの爪に貫かれ、それでも両親はカオリを守ろうとした。

「……カオリの悲鳴が響く中で、かすかに聞こえたよ。カオリを頼むって。お願いしますって。息が絶えるまで、そう言っていた。俺が迂闊なことをしなければ……イバライガーが駆けつけるまで堪えていれば、カオリの親たちを救えたんだ……」
 ソウマが、黙って2杯目を注いだ。
「……それでお前たちが引き取ったわけか……」
「いや、違う。カオリは自分からここに来たんだ。敵討ちなんかじゃないって言っていたよ。こんな目に誰も遭わせたくないと言っていたよ。真っ赤に泣き腫らした目で、それでも必死に言っていたよ。ワカナはそれを抱きしめて……それから一緒に暮らすようになった……」
「なるほどな……。ただの大食い妖怪じゃないとは思っていたが、あの娘にも戦う理由があったわけか……」
「……カオリは強いよ。あんな目に遭ったのに、俺を恨みもしない。そして自分で道を選んだ。俺たちは、あいつを守らなきゃならない。けど……ずっとそばにいてやれないかもしれない。明日にも消えちまうかもしれない。ご両親に命がけで頼まれたってのに、それでも俺はカオリを守り続けられないかもしれないんだ。だから……」

 本当は逃げてほしい。ジャークとの戦いなんか忘れて、どこか安全な場所で暮らしてほしい。
 でもカオリは立ち向かう道を選んだ。
 ならば、せめて強さを持たせてやりたい。強く生きていけるイイ女にしてやりたい。俺たちがいなくなっても挫けない女に。

「もういい。同じような話は俺もたくさん知っている。それ以上聞きたくない」
 ソウマは残ったブランデーを一気に飲み干した。何かを思い出したのかもしれない。TDFなんて仕事をしているのだ。似たような事件を幾度も経験してきたのだろう。

「ちっ、相変わらず付き合いの悪い奴だな。とにかく頼む。借りを作るのは気に入らねぇがな」
「ふん、俺たちは本来は警察組織だぞ。怪しい奴を見張り、必要とあれば拘束するのが仕事だ。久しぶりに通常業務に戻ったというだけだ。一番怪しい連中だけは拘束できなかったがな」
「悪かったな。けど……今じゃお前も十分怪しい奴だぜ」
「それが一番気にくわねぇんだよ。まぁ、前のようにショーに駆り出されるよりはずっとマシだ。カオリのことは任せておけ。もっとも……気づいてるのは他にもいるかもしれん。姿は確認していないが、何度か微かな気配を感じた」

 そうか、アイツも気づいてるのか。あのとき以来、俺も顔を見ていないが、近くにいることは間違いない。そして『向こう側』で酒を酌み交わしたことで色々とわかった。傍若無人なように見えて、本当は繊細だ。元々は自分と同じ人格だったなどとは信じられないほどに。
 アイツは俺たちの動向を見ているはずだ。奴ならカオリのことも見逃さないだろう。ちと、やりすぎが心配だが、恐らくは大丈夫だ。本当に強い奴は無用な暴力は振るわない。敵と見なせば人間でも容赦しない奴だが、今回の相手は奴の敵には小さすぎる。
「ふふふ……」
「なんだ、薄気味悪い奴だな」
「いや、お前も気をつけろよ。なんせアイツは亡霊だ。いつの間にか背中に忍び寄ってるかもしれないぜ」
「ふざけるな。これ以上厄介を押しつけられてはたまらん」
 そう言い返しながら、シンとソウマはつい周囲をうかがった。
 テントの外には、どこまでも暗闇が広がっている。ほろ酔いの二人には、その全部が奴の黒い影のように感じられた。それは緊張とともに不思議な安堵も感じさせる闇だった。

 


 ワカナが早足で歩いてくるのを見て、イバライガーRは、おや、と思った。
 戻ってくるのが早すぎる。

 ワカナやシンたちは基地から離れた仮設小屋で寝泊まりしているが、目覚めると最初に基地へ行く。洗顔と歯磨きのためだ。そして行く先々で誰かに声をかけられ、食事を振舞われたりもして、戻ってくるまで1時間近くはかかるのだ。
 なのに今日は、小屋を出てから10分も経っていない。

 クリスマス・イブ……ショーの当日だからか。いや、急がなければならないことは何もないはずだ。練習は十分に積んでいるし、様々な準備も終わっている。午後に全員で最後の通し稽古をして細部の最終チェックをすれば、後は夜の本番を待つだけでいい。

 ワカナはまっすぐシンの小屋に向かっていくと、ノックもせずに中に入っていった。
 シンは、まだ寝ているだろう。昨夜は遅くまでソウマと何か話していた。何を話していたかはわからない。その気になれば数百メートル離れていても会話を聞き取ることは可能だが、そういうことはしたことがない。ガールたちもだ。緊急時でもない限り、プライバシーにまで立ち入りたくない。
 それでも、だいたいの事情はわかった。少し、言い争いはするかもしれないが、すぐに落ち着くはずだ。

「ふふ、間が悪いな、シンも」
 初代イバライガーが近づいてきた。
「そうですね。恐らくはカオリのことでしょう。さっき、ワカナが持っていたメモがチラッと見えた。カオリの字で『練習時間までには戻ります』と書いてありました。さすがにワカナも不審に思ったんでしょう。このところカオリは毎日単独行動で出かけていますから」
「何をしているか、知ってるか?」
「はい、私だけでなくガールも気づいています。ソウマがしっかりガードしているので、知らない顔をしていますが」
「……悪意のない害意、か。シンは私たちに心配させたくなかったんだろう。カオリに経験値を積ませるのと同時に、人間の弱さや醜さから我々を守ろうとしたんだ。だから黙っていた」
「わかっています。シンはそういうことは気にする奴ですからね。バレバレですが」
「それもわかっているだろう。それでもなんでもない顔をしていたかったのさ。正面切って口に出すと面倒だからな」

 確かにそうだった。ポジティブとネガティブは、同じ根だ。どんなに善良な人間の中にもネガティブはあるし、血も涙もない悪人もポジティブを持っている。この敷地内にも、両方が渦巻いている。ジャークを倒したところでネガティブは消えない。何度でも蘇る。光と影は、切り離せない。

 それならそれで構わない、とイバライガーRは思い始めていた。
 悪意もあっていい。それが人間なのだ。生きているということなのだ。
 強くなる。悪意がどれほどの力をつけたとしても、それを決して行使させないだけの力を目指す。害を成すことができなければ、悪意があっても当人以外にはないのと同じだ。
 倒すのではなく、守り抜く力。それこそが自分が目指すべきものだ。

「Rもガールも、吹っ切れたようだな。新たな力……フェアリーやレディアンスを得て、さらにシンたちとのオーバーブーストまで身につけたが、お前たちの本当の強さは心だ。前回の戦いでは、それを手に入れることができたのが最大の収穫だった」
「はい。まだしばらくは私たちは闇を断ち切る刃でなくてはならないでしょう。けれど……この戦いが終わったら……ジャークの侵略を止めることができたら……その後は抜かれることのない刀でありたいのです。できれば永遠に……」
「少なくとも、今日のところは刃を抜かずに済むさ。カオリは大丈夫だ。ソウマ以外にもショーに参加する気がない奴がいるからな。元より協力するとは思っていないが、ジャークに動きのない今は暇なはずだ。多少は当てにしてもよかろう」

 それも感じていた。相変わらず直接姿を見せようとはしないが、以前よりだいぶ距離は縮まったと思っている。向こうもそう思っているはずだ。あの白い世界で腹の中を見せ合い、通じ合った。奴は絶対に認めないだろうが、すでに仲間と言っていい。

 ワカナが、小屋から出てくるのが見えた。再び歩き去っていく。今度は急ぎ足ではない。
 その表情を見届けてから、初代イバライガーは立ち去っていった。同感だ。あの顔なら心配ない。

「大丈夫かなぁ、シン……」
 入れ替わりに、ミニガールとミニブラックが近づいてきた。
「もう少し寝坊するつもりなんだろ。検査にも異常はなかったし、あの二人は大丈夫さ」
「そうじゃねぇよ。妹が気にしてんのは、シンの奴がワカナにプレゼント用意してるのかってことだ」
「ぷ、ぷれぜんと……?」
「あ~~、やっぱRも忘れてるぅう~~」
「ブラックの奴もそういうことをするようには見えねぇしな~。元同一人物が揃ってそうだとすると……やべぇな」
「や、やばいのか?」
「お前らなぁ……パワーアップしたんだろ、もうちょっとオンナゴコロってのもわかるようになれよ!!」

 オ、オンナゴコロ? そ、それは手強いかも。私もガールに何か用意すべきなのか。いや、しかし、一体何を……。
 おい、シン。やばいらしいぞ。いいのか、寝てて。いや、起きろ、起きるんだ、シン!!

 


 毎日、あちこちを回って調べた。
 いつも何も見つからなかった。何かがあったような痕跡は何度も見つけたが、実際には何もない。

 今日も空振りで終わるはずだった。ショーの開演は午後7時。調査は早めに切り上げて、みんなと最後の通し稽古をやって、そして本番。
 特別な日だけど、それ以外に特別なことは何もないはずだった。

 けれど、見つけてしまった。
 もう練習時間……というよりも、移動時間を考えると遅刻気味なことに気づいて戻ろうとしたときだった。近道のために、別な避難所になっている大型家電量販店の駐車場を横切って、裏の倉庫の前を通ったときに、見えたのだ。
 特製スープの段ボール。そこから伸びるケーブル。しゃがみこんでいじっている見覚えのある背中。

 あれはやっぱり爆弾……。洗剤や燃料など、身近な日用品からも爆弾は作れる。一番嫌な妄想が現実になってしまった。

「ユウタくん! 何してんの!!」
「カオリさん……かぁ……。とうとう見られちゃったか……。今までの爆弾を撤去してたのもアンタだったんだね……」

 撤去? そうか、私以外にも気づいてる人がいたんだ。それで痕跡だけで何も見つからなかったんだ。そりゃそうか、TDFの人はみんな警官なんだもん。プロなんだもん。根拠がないから言いづらかったけど、もっと早く相談しておけばよかった。
 でも……とうとう自分で見つけちゃった。見つけたくなかったけど、見ちゃったからにはほっとけない。

「どうして……。なんで、こんなことを……。ジャークじゃないんでしょ。人間なんでしょ。なのに何で……」
「みんなのためさ。災害があるとさ、みんな一所懸命になるだろ。基地のキャンプでも、みんながハッピーに暮らしてるじゃないか。お互いに助け合って、それぞれにやりがいを感じて暮らしてるじゃないか。ジャークのおかげだ。世の中がぶっ壊れたおかげで、みんな生き甲斐を見つけたんだ。今のままのほうがいい。平和なんて世の中を腐らせるだけだ。くだらない毎日に戻るだけだ」
「あ、あんたねぇ……」

「カオリさんだって、言ってたじゃないか。今が楽しいって。誇らしいって。俺だってそうだ。今のままがいい。俺みたいな奴でも誇らしく思えるほうがいい。そのために、これは必要なことだ。腐った平和に戻さないためには、一定の災いは必要なんだよ」

「ふざけないで! 私は平和がいいよ! お父さんとお母さんと……普通の日を過ごしたかったよ!! 戦いたくなんかない!! 当たり前の毎日が一番大事なの!! 集まったみんなはそれをわかってる! それを壊すなんて絶対に許せない!!」

「……ちぇ、結局アンタも目的も理念もない連中と一緒か。真面目に暮らしてるふりして、だらだらと意味もなく生きたいだけかよ。それじゃあ消えちゃえよ。どうせ、つまんない人生でしかないんだ。今消えても同じだろ」
 立ち上がった手に、ナイフが光っていた。
「悪いけど、アンタは今夜のショーには出れないよ。イバライガーたちにバレちゃ困るんだ。人を殺したことはないけど……殺し方は知ってる。動かないでよね。慣れてないから……動くと、一撃で殺せない。もっと痛いことになっちゃうから……」

 近づいてくる。息遣いが荒い。カオリは、うつむいたまま動かなかった。
「……いい。それでいいよ。じっとしていれば……すぐに終わるから……何もかも全部が……終わるからぁあああああああっ!!」

 ナイフが、振り下ろされた。そっか。本当にそうするんだ。殺し方は知ってる? 漫画かなんかで読んだの? その狙いじゃ殺せないよ。人間には骨があるんだから。それじゃあ内臓まで届かない。私が大怪我するだけじゃん。それから慌てて、もう一度やり直すわけ? 何度も何度も、私が死ぬまで失敗し続けるわけ?

 ふざけんじゃねぇええええええええええええええっ!!

 手刀でナイフを弾き飛ばした。ユウタは「え?」という顔をしている。ローキックで体勢を崩し、懐に飛び込む。脇腹に肘打ち。呻いてユウタの身体がくの字に曲がった。下がった顎にアッパー。血を吐いて吹っ飛ぶ。左足を踏み込み、右足を振り上げる。横蹴りは狙い通りにユウタの頭に炸裂した。当たった瞬間に腰を捻って全身の力を集中させる。ユウタは顔面から地面に叩き落された。

「舐めんなクソガキィイイイ!! 私だってワカナさんやイバガールと訓練してんだ!! ジャークとやりあってんだ!! そこらのチンピラごときに負けるかぁああああっ!!」

 


 ガキが悲鳴を上げて崩れ落ちた。小便を漏らして地面を這いずっている。

 ソウマは胸がスッとしたような気分になって、苦笑した。ずっと見張っていたが、本当に情けない連中だ。自分が手を出してはマズイが、あんなガキは張り倒してやりたかった。それを代わりにやってくれた。いい蹴りだった。やるじゃないか、ねぇちゃん。

 だが、ここまでだろう。他にも隠れている奴らがいる。今のガキと同レベルとはいえ、4人。今の動きでは同時に4人を相手にするのはキツイ。負けはしないだろうが、怪我をする可能性は高い。向こうは刃物を持っているのだ。

 カオリを傷つけさせはしない。いつの間にか感情移入している自分に気づいて、ソウマはまた苦笑した。ち、シンの狙い通りかよ。
 まぁいい。とにかく何もさせん。一瞬で片付ける。
 そう思って出て行こうとしたとき、背後に気を感じた。

「まだ動くな。見せ場はこれからだ」

 この気配。本当に出てきやがった。
 動くなどころか、動けない。振り返ることもできない。

 


 物陰から、ユウタの仲間たちが出てきた。やはりナイフを持っている。
 カオリは身構えた。ちょっと痛いかもしれない。でも、お灸を据えてやる。幸せの意味さえ知らないバカたちに、思い知らせてやる。
 同時には無理だ。まず一人。拳を握った。ブレイブインパクトのポーズ。ショーのために何度も練習した、初代イバライガー直伝の構えだ。

 もう、ショーには間に合わないなぁ。ごめんなさい、主役なのにすっぽかしちゃって。
 でも、その代わり、ここは私が。
 これが私の本番だ。MCのお姉さんを舐めないでよ。MCは逃げないんだ。相手がダマクラカスンでも、ひるまずに立ち向かうんだ。

「言ったでしょ、想いの力は……感情エネルギーは誰にだってあるのよ。戦うのよ!! 倒すためじゃなくて守るために! 自由や平和や夢を守るために戦うの!! 私はそれをイバライガーたちに教わった。だから……逃げないっ!!」

 自然と、ショーのセリフを叫んでいた。ショーでは、ここで援軍が来る。最強の援軍が。でも今は本当に私がやらなきゃ。

「よく吠えた。それでこそ俺様のショーのMCだ」

 声が聞こえた。うわ、幻聴が聞こえるほど成り切ってた? でも……本当に聞こえたような気が……。

 そう思ったとたん、背中にすごい気配を感じた。気配はカオリを包み、ナイフを構えた4人に吹き付けた。それだけで4人がユウタの隣に崩れ落ちた。全員が恐怖にひきつった顔で悲鳴を上げ、何もない空間に向かって手を振っている。何か、とてつもなく恐ろしいものを見ているかのようだ。
 さらに次の気が突き抜けていった。凄まじい悲鳴が上がり、辺りは静寂に包まれた。

「気を放っただけで、これか。さすがだな、イバライガーブラック」
「バカを言うな。何もしていない。本当に俺の気を浴びたなら即死している」

 こ、この声……。一人はソウマさん。
 でも、もう一人は……まさか……。

 ソウマが倒れた5人に駆け寄っていった。生死を確認した上で手錠をかけている。死……んではいない……よね?

「気にするな。お前の蹴りのほうがダメージはデカイだろう。こんな連中は殺す価値もない」
 すぐ隣から、もう一人の声がした。
 恐る恐る振り返った。そんなはずがない。あの人が私を助けに来るなんて。
 でも、いる。想像した通りの姿が、本当にいる。

 イバライガーブラック。
 死すら乗り越えた黒き孤高の戦士。

「さ、さっきのセリフは……あ、あなたが……!?」
「ほんの余興だ。てめぇを見ている間に覚えただけだ」

 私を見ていた? もしかして、ずっと見守ってくれていた? イバライガーブラックが? 私を? シンさんかワカナさんが頼んでくれたの? それとも初代さんが……。

「誰にも頼まれてはいない。奴らとは会ってもいない。俺が暇つぶしにやったことだ。とりあえずは合格だ。頼りないが、シンやワカナの周りにいる資格があることは見せてもらった」
 み、認められた? ブラックに、私が……。

「何をボケっとしている? これからショーだろう。せっかく予行練習を済ませたんだろう。さっさと行け」
「で、でも……もう時間過ぎちゃったし……急いでも、ここからじゃ1時間くらいかかるし……」
 そうつぶやいたとき、身体が浮いた。飛んでいる? 私、ブラックに抱かれている?

「あいつらはバカだ。お前と同じくらいな。だから待っている。お前が必ず戻ると信じて、待っている。俺が連れ帰ると思っているのが気に食わんが、たまにはよかろう」
 屋根を飛び越え、壁を蹴り、ブラックはあっという間に夜空に舞い上がった。まるで黒い流星だ。夜空を切り裂いて飛ぶ流星。
 風が冷たい。でも不思議と寒くない。すごく緊張するけど、すごい安心感もある。もっとしがみついちゃおうかな。い、いいよね?

 そう思ったとき、降ろされた。工事中のビルの上。うわぁああ、調子に乗ってごめんなさぃいいい!!
 頭を掴まれた。やっぱ怒ってるぅうう。目をつぶった。もうダメ、カオリはここまでですぅう。

「基地にはすぐに着く。その前に、周囲を見ておけ。お前が守った街をな」

 そっと目を開けた。たくさんのイルミネーションが広がっていた。あちこちに点在する避難所。それを繋ぐ光の道。風に乗って聴こえてくるクリスマスのメロディ。
 ブラック……。これを……私に見せてくれるために……。

 カオリは腰を降ろした。
「……私、バカだよね……。あんな連中を良い人だと思ってたんだよ。彼氏とは思えないけど、それでも、いつかは、こういう出会いからシンさんとワカナさんみたいな相手が見つかるのかもって思ったりしたんだよ……本当にバカだよね……」
 ブラックは、何も答えない。ただ、黙って佇んでいる。

「でも……バカでもいいや。食いしん坊でもいいや。私にも守れたんだもんね。本当はみんなが助けてくれたんだろうけど……でも、私も自分で決めて守ったんだよね。お父さん……お母さん……。私、生きてるよ。これからも負けないよ。いっぱい食べて、いっぱい頑張って、ずっと生きる。みんなと笑いながら普通に生きていける世界をきっと作る。お母さんたちと一緒にいた頃と同じ街を取り戻すからね……待っててね……」

 やはり、どこからも返事はない。
 いいんだ。十分だ。こんなに素敵なプレゼントを貰ったんだもの。ブラックを独占しちゃったんだもん。『イブの夜にブラックと二人きりでイルミネーションを見る権』なんて、たぶんすっごいプレミアだもん。

 遠く聴こえていたメロディが終わるまで、カオリは光を見つめていようと思った。この一曲だけが私の時間。ブラックが許してくれた、とても大切な時間。

 でも、メロディが終わる前に、カオリは立ち上がった。
「連れてって、ブラック。みんなのところへ。ショーを楽しみにしてくれている人たちのところへ。私の家へ!!」

 再び、黒い流星が駆け始める。最後までは聴かなかった。エンディングはまだだ。それを聴くのは、ずっと先でいい。それまでは、この一瞬を私だけのものにしておきたい。黒くて、ちょっとおっかなくて、でも本当は優しいサンタの思い出と一緒に。

 

■ED(エンディング)

 黒い流星から飛び降りて、カオリは走った。
 流星は夜に溶け込んで、もう見えない。見えるのは、白い息の向こうで輝くステージだけだ。
 Rが、ガールが、初代が、人々に手を振っている。調子に乗りすぎたミニブラがミニガールとミニRにたしなめられている。ミニライガーたちが客席に降り立って、子供たちと握手している。観客席に博士たちが座っている。ヨリコちゃんも家族と一緒にいる。
 そして、ステージの袖には、ワカナが、シンが、マーゴンが、ジャークの衣装で立っている。
 こちらに気づいた。とっさにマイクを握ったマーゴンがステージに上がり、こっちを指差して何かを言った。

 みんなが一斉にこっちに振り返った。笑ってる。拍手が聞こえる。
 カオリは、そのまま止まらずにステージへと駆け上っていった。もう、このまま本番だ。止まらない。止まれない。叫んだ。

 メリー・クリスマス!!

 

次回予告

■第35話:私の中のあなた  /ルメージョエビル発動
凍結されていたはずのルメージョ=ナツミが姿を消した。フェアリーとの戦いで記憶を失い彷徨うナツミは、ソウマと出合い、惹かれ合う。だが、ルメージョはついに、その本当の姿を現わす。怪物化したルメージョエビルと対峙するイバライガーたち。ルメージョを倒して、今度こそナツミを取り戻すことができるのか!?

(次回へつづく→)

(小説イバライガー第33~34話/筆者コメンタリー)

 


※このブログで公開している『小説版イバライガー』シリーズは電子書籍でも販売しています。スマホでもタブレットでも、ブログ版よりずっと読みやすいですので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです(笑)。