小説イバライガー第23~24話/筆者コメンタリー

2018年7月20日

 

目次

第23話コメンタリー

密かに侵入して浸かっていた

ブラックやミニブラって、そういう奴らだからね~~。当たり前のように銭湯として利用してたんだろ~な~。想像するだけで絵になるな、あいつら(笑)。

カオリと月夜

カオリちゃん、ボク好きなんです。こういう子は守ってあげたい(笑)。

みんな気づいていた/一人を除いて

ミニブラもいい仕事をしてくれるキャラなんだ。こういうときにボケ役やってくれて、しかもそれでもカッコ悪くない。他のミニライガーたちは優等生揃いだから、ミニブラの存在は作者的にすっごくありがたいのだ。

ほぉ。ニンゲンの分際で……

このシーンは、第1話のラスト近くそのまんま。映像作品なら回想シーンだよね。

今まで自分の仮説に関しては話し合っていない

シンやワカナは、かなり最初の頃から薄々気づいてたと思うんだ。本編中で口に出さなかったけど、お互いに気づいていて、最近は確信していたと思う。

俺がイバライガーだった!!

そういうわけで、一番最初のイバライガーはシンでした。何をいまさらという感じでもありますけど。
この解釈でないと、イバライガーのテクノロジーが説明できなかったのよ。
エモーション・ネガティブが取り憑いてジャーク化するのなら、ポジティブも同じこと。ポジティブの影響でシンが変異した姿が、彼の心の中にあった「ワカナを守れる姿=イバライガー」だったわけだ。

元々は変身ヒーローだったのか?

そういうことですね。この小説版では詳しい外見の描写はしていないけど、恐らくシン=イバライガーは、今のイバライガーより、もっと生体っぽい姿だっただろうと思っている。基本的にはイバライガーのまんまなんだけど、もっと生っぽい。そしてベルト(エキスポ・ダイナモ)はない。アレは後付けのオプションなのだ。

本当の初代は私ではない

ずっと「シンがイバライガーを造った、生み出した」と言われてきたのは、こういうわけだった。まぁ、シン自身もロボット工学を学んでいたのだけど、その知識で造ったわけじゃないのだ。イバライガーは、彼の心が生み出した。まるで永井豪先生の『手天童子』みたいだけど(笑)。

イバライガーになるというのは……

イバライガーになるのも、ジャークになるのも同じことなのだ。つまりネガティブもポジティブも属性が反対というだけで同じなのだ。素粒子ってそういうもんだし。物質と反物質だって、電子と陽電子のように電荷が逆なだけだもんね。それだけの違いでしかないのだ。だけど、それが決定的な違いでもあって……。

君は君のままだ。最後まで……

はい、ワカナはずっとワカナです。そんなに誰も彼もエモーションに取り憑かれちゃったら、何のために戦ってるかわかんない。たぶんね、未来のシンは、ワカナに取り憑くはずだった分のエモーションまで自分の身体で受け止めちゃったんだと思う。だからシン=イバライガーは強かったはずだ。そして、それだけ身体への負荷も大きくて……。

お前の言うつながりとは、その程度のものに過ぎん

こういうのが、ブラックなりの優しさだと思うんだ。正論で、だからこそムカッとくる。そういうことまで分かった上で、感情の矛先を自分に向けさせて平然としている。この後のパパ呼ばわりにツッコんでるのも、ブラックの気配り。こういう不器用な奴、ボクは好きなんだ。

シンの身体をベースに……

すべてのノウハウは、変身したシンの身体から得られたのだ。身体を蝕まれていくシンを救うために。そして世界も救うために。シンに代わって戦ってくれる力を生み出そうとした。それが、今のイバライガーだ。つまりイバライガーは全てオリジナルを模倣したイミテーション。OVA版の『勇者王ガオガイガー・ファイナル」がこういう展開だったよね。ようするにシンは、ジェネシック・ガオガイガーなのだ(笑)。

お前こそが最初に起動したイバライガーだ

そう、起動した人工イバライガーの第1号は、初代ではなくRのほうなのだ。そうだからこそ、その機体には後に「R」の刻印が付けられることになる。初代も、Rも、ガールも、同時に開発された同一の試作機なのだけど、それぞれセッティングが違うのは、この後のエピソードで語られる事情のせいなのだ。

あの絶望の中で、お前は目覚めた

Rが起動したのなら、ブラックも起動していたことになる。何せ、こちらの時空に来るまでは1つだったのだから。そしてRは記憶を封印されているけど、ブラックは封印されなかったのだ。

ワカナたちが造ってくれたエキスポ・ダイナモ

これが歴史上最初のエキスポ・ダイナモ登場シーンだ。元々はシンをサポートし、エモーションを制御するために開発されたものなのだ。そうでないとシンの身体が持たない。それが後に改造されて、イバライガーたちのエキスポ・ダイナモになるのだ。

変身っ! イバライガァアアアアアアッ!!

これ、一度は言わせたかったの。

そこまでだジャーク!

このセリフはステージショーでお馴染みのイバライガーRのセリフなのだけど、それも元々はシンのセリフだったわけだ。16話で現在のシンにも言わせてるけど、未来でもそうなのだ。今のシンと基本的な人格は同じだからね。

 

第24話コメンタリー

体表でライデンフロスト現象

ライデンフロスト現象ってのは、熱したフライパンの上で水滴がなかなか蒸発しなかったりする、あの現象だよ。フライパンに接する部分に蒸気の膜ができて、水滴がフライパンに接しなくなり、なかなか蒸発しなくなるんだ。膜の上に水滴が浮いている状態だから摩擦抵抗が小さくなり、それで横滑りしやすくなる。水滴がコロコロとあっちこっちに動くのはそのため。
そのライデンフロスト現象と同じことが、シン=イバライガーの体表で起こっている。それだけの熱を発しているのだ。イバライガーに変身したシンは、生体反応が活性化しすぎて、すぐに超高熱の体温になってしまう。普通の身体ではないから死なないけど、熱で意識が朦朧とした状態で戦っているようなもの。かなりキツイのだ。

本当は血まみれ

バイオ系ですからね……。血というか体液というか、とにかく、かなりスプラッターな状態になってるはず。21話でイバガールを破壊したカンナグールの直撃を受けたわけだから……。
なお、こうした未来での戦いのシーンは、カットバック的に挿入しただけなので、詳しい部分までは書いていない。でも、未来でも激しい戦いが繰り返されていたんだよ。たった一人で。血と泥にまみれて。

光のイバライガー

これがハイパーイバライガーの初降臨だ。このときにシンが呼び出したのが最初。エネルギー体がイバライガーの姿なのは、やはりシンのイメージによるもの。

なごり雪のような光の粒子が……

イルカさんの『なごり雪』好きなんです。あ「風」でもいい。フォークソング時代の歌だから若い人にはわかんないかな~~(笑)。

エモーション本来の姿

そうなんだ。ネガティブもポジティブも、エネルギーだからね。人間やヒューマロイドを通じて力を発揮しているけれど、その本体というか本質は、エネルギー状態のほうなんだ。最初のほうのエピソードでも触れてるけど、宇宙的スケールで見たら、人間や物質のほうがレアだからね。「意思を持つエネルギー」じゃなくて、我々のほうが「物質化したエネルギー」であって、宇宙を含む自然全体で考えたら、特殊ケースなのは本当は人間のほうだと思うのよ。

見事な男女ボイス重ね

男女の声優が声を重ねるのって、かっこいいよね~~。「ガ・キーン」とかさ。アレをね、やってみたかったの。それも、こういうシーンで(笑)。

違法ダウンロードは犯罪ですっ!!

犯罪ですよ!ダメ、絶対!!

いまや廃墟としか呼べない光景

さすがに日本中がそうではないと思うのだけど、かなりの広域が、わずか数ヶ月で廃墟レベルになってしまった。シンはカンナグールを倒したけど、ジャーク全体を一人で食い止めるのは無理だった。そしてヒューマロイドたちも間に合わなかった。ここから、滅びゆく未来の物語になっていくんだ……。

LIGER SYSTEM 018

3つのカプセルに眠る、3体のヒューマロイド。このカプセルは、この物語冒頭に出てきたものだ。この時点で完成しているのは1体だけで、それもAIはインストールされていない。まだ虚ろなボディだけなのだ。

AIを育てるのは大変なこと

ジェイムズ・P・ホーガンのSF小説『未来の二つの顔』には、バーチャル空間で擬人化したAIに、人間=生き物としての行動を教えるシーンがある。小説版は1回読んだだけで、よく覚えてるのは星野之宣さんの漫画版のほうなんだけど、とにかく、最初のAIは何もわからないのだ。外から家に入るときには窓ガラスをぶち抜いてしまう。割れたガラスを素手で触って傷ついてしまう。その傷の意味もわからない。フライパンをコンロにかけろと言うと、縦に置いてしまう。バターを入れろと言うと、紙に包まれた丸ごとを放り込んでしまう。そこまで何も知らないのだ。
その1つ1つを根気よく教えていく。クレヨンしんちゃんの野原家のルールより細かい。
このときもね、そういうことをやっていたんだと思うの。そう簡単に命などの概念をAIに理解させることはできないんだよね。

核ミサイル!?

『シン・ゴジラ』じゃないけど、こうなるだろうなぁと。すでに日本政府は機能を失っているに等しいだろうし、生き延びている人がいるにしても、それもすでにジャークに取り憑かれているかもしれない。見た目ではわからないからね。ならば、全世界のことを考えたら日本消滅もやむなし、ということになっちゃうだろうなぁと。

パルスオキシメーター

この名前、このシーンを描くためにネットで検索して覚えました(笑)。

ブレイブ……インパクトッ!!

博士が作った、ブレイブ・インパクトと同等の威力を持つ砲台。原作版の『マジンガーZ』の最終回(テレビマガジンに掲載されたもの)では、マジンガーZの武装の一部だけを持つバイオンβとかダイオンγといった劣化版マジンガー的なロボット軍団が登場した。それが意外に好きでね、だからチョイと真似させてもらったんだ。「バリアがパリンと割れたり」とネタ元もバラしているしね(笑)。

クロノ・スライサー!!

ゴゼンヤマ博士が使っている砲台と同じもの。本編で書いているように射出時の調整で様々なバリエーションで撃てるので、エドサキ博士は「そういう使い方」をしたというだけ。技名も即興で、言ってみたかっただけ。

君は、もっと早く避難すると思っていた

博士たちは、若者たちを導く大人として、最後まで大人の役目を貫いて死んでいく。力はないけど覚悟はある。彼らは、そういうカッコイイ大人として描きたかったんだ。
なお……この未来編にはマーゴンやカオリの描写はない。
第3話で、シンたちはマーゴンのアパートに逃げ込むが、それは未来での行動を初代イバライガーに尋ねてのことだった。
つまり、未来でもマーゴンはシンたちと行動を共にしていただろう。なのに出てこない……というのは、そういうことなんだ。
たぶんね『仮面ライダーアマゾン(ズじゃないぞ)』のモグラ獣人みたいなことになってしまったんだと思うんだ。恐らくはカオリも。カオリとは出会えなかった可能性もある。
いずれにせよ、ここまでに多くの失い難いものを失ってしまっている。初代はそれを、あえて語らなかったんだと思うけど、たぶん、みんな気づいてる。気づいてるけど、そのことに触れないんだ。

シンの心は……今、イバライガーに……

これが、Rやブラックが生まれた理由だ。動かなくなった身体の代わりに、遠隔操作でシンクロしてイバライガーになる。そして、そのまま……。

数百人分の人々の悲鳴を……

第8話のルメージョ初登場時と同じやり口だ。あのときブラックは言った。
「オレは、この痛みを覚えている。貴様を貫いた感触とともにな……!!」
それは、このときのことなんだ。

果てしなく伸びたビームの奔流

ほとんど『伝説巨神イデオン』のイデオンソード状態だと思ってください。惑星サイズ……とまでは言わないけど、『シン・ゴジラ』の放射線流のようにビームを振り回している。リミッターが外れた状態のイバライガーは、まさに怪物なのだ。

この地獄は、俺が覚えていてやる

覚えてなくていいよ、そんな辛いことは忘れていい。そう思うんだけど、覚えているからこそイバライガーブラックが生まれたんだ。地獄の底で生まれたヒーロー。彼が厳しいのは、こんな悲劇を知っているからだ。絶対に繰り返させん。そのために修羅となった黒き孤高の戦士なんだ。

ダマクラカスンが塵と化していく

四天王2体目撃破。あのダマさんが、あっという間にやられちゃったけど、ダマさんも、ルメさんも、この戦い以前にも何度もシン=イバライガーと戦ってきたはずなんだよね。

エモーションとは宇宙そのもの

最初に考えていたときとは、エモーションの扱いはかなり変わった。ものすごくスケールの大きなものになった。イバライガーの戦いは、ほとんどが茨城県内なんだけど、最終的には大気圏超えちゃうから。全宇宙規模とまでは言わないけど、太陽系規模くらいにはインフレする予定だし、本当に全宇宙スケールのモノも関係してくる予定だ。ワイドスクリーン・バロックだかなんだか知らんけど、そのくらいまでやらなきゃ、この物語は終われないのよ(笑)。

アザムクイドに匹敵する巨大な幻影

全長数百メートルに膨れ上がった怪物と同スケールのハイパーイバライガー。ほとんど黙示録の戦いだ。この物語の最終回には、これ以上の戦いになるはずなのだけど、ボク、本当に書けるのだろうか……。

この身体の中に、いつまでも

これで、イバライガーRとブラックの秘密のほとんどは明かされたことになる。1つを除いて……。

今の俺の中にもブラックはいる

当然、そうなる。ワカナとナツミは、それぞれシンに心惹かれていたけど、別々のシンを見ていたとも言える。ナツミは、時折シンが見せるブラックの部分(厳しさだけでなく、ブラック的な優しさもある)に、より強く惹かれていたのだろう。その気持ちがルメージョの支配に抵抗し続けているのだ。未来編ではルメージョとして死んでいったナツミだが、こちらの歴史では……。

癒し系の能力に特化しているのも、わかる気がする

そういう気がするというだけで、本当は違うんだけどね。でも、そう思っていたほうがいいよね。

誇っていいこと

素晴らしい人、尊敬できる人。そういう人との出会いはボクにとって大きい。あの人と付き合える人間でいたい、あの人たちが認めてくれる人間になりたいと思えるから。もっと楽ができたり、お金を儲けられたりする道に気づくこともあるのだけど、ボクが心惹かれた人たちが認め続けてくれるような生き方でないと、何のために生きてるのかわからなくなるんだ。
決して貧乏のほうがいいとは思わないのだけど、自分が「あの人の仲間でいたい」と思う人たちに見放されるようなことは可能な限り避けたくて、それで厄介な、だけど楽しく生き甲斐はある道を選んじゃってる。ま、キレイな道ってわけでもないけどね。それも人間だから。汚れて、時には呆れられたりもしながら、ギリギリのところで許してもらえる程度ではありたいと思うんだ。

写真を飾った

この写真も第1話冒頭に出てきたもの。第1話の時点では、写真は埃に覆われて見えなくなっていた。つまり、この時点よりもずっと長い時が過ぎてから、あのシーンになるのだ。ここから初代とワカナ、二人だけの最期の日々が始まる。書くほうとしても辛いんだけど、希望もあるから。あるからぁあああああああ!!(血涙)

 


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