小説版イバライガー/第19話:超時空からの使者(後半)
Bパート
誰かに呼ばれた、と感じて、思わず急ブレーキを踏んだ。
漫画雑誌や、ガチャガチャのフィギュアや、食べかけのポテトチップなどがフロントに押し寄せてきて、クルマの中はメチャクチャだ。
テキトーにかぶっていたヘルメットが脱げて跳ね返り、鼻にぶつかった。すげぇ、痛い。
停まった瞬間、ミニライガーたちは、飛び出してしまった。
一体、なんなんだ? イモライガー=マーゴンは、鼻をこすりながら振り返った。
ミニたちを連れて、援軍に出発したところだった。
走り出して10秒も経っていないので、まだ基地の敷地内……というよりも、建物の目の前だ。
駆け戻ったミニライガーたちを追って、屋内に飛び込んだ。
転びそうになりながら、博士たちがいる研究室に向かう。
さっきの気配は。
今も感じている気配は。
まさか。まさか!
開けっ放しになっているドアにつかまって、止まった。
マーゴンが想像していた通りの光景が、そこにあった。
初代イバライガーが、起き上がろうとしている。
全身につながっていたケーブルが、引きちぎられていく。
博士たちは唖然として見つめている。
立ち上がった。
だが、よろめいている。ミニライガーたちが慌てて駆け寄って、支えた。
「イ、イバライガー!? 起きたの? 大丈夫なのか!?」
「シンが……ワカナが……危な……い……彼らは……わかって……いない……。このままでは……エモーションに……食われる……」
エモーションに食われる? シンたちが? 何言ってんの?
ミニたちに支えられながら、イバライガーは部屋の外へと出て行く。
「ゴゼンヤマ博士、何がど~なってんの!?」
「わからない。突然、目覚めた。まだ動ける身体ではないはずなのに……」
シンやワカナが危ないと言っていた。それを感じ取ったから目覚めた?
そういえば、こちらの世界に戻ってきた直後も、シンに反応していたっけ。
それにしても、エモーションがシンたちを食べちゃうって、どういう意味なんだ?
以前、何となく感じていたことがある。
初代イバライガーが、時空の狭間に消える前のことだ。
シンたちが、エモーション・ポジティブを使う訓練を始めようとしたとき、初代は何か変だった。
エモーションに関わって欲しくない。マーゴンには、そんなふうに感じたのだ。
その後も、その感じは続いた。
イバライガーは、二人がエモーションを使いすぎることを恐れているような気がした。
今回も、そうなのかもしれない。
実際、シンもワカナも、限界以上に力を振り絞ってるに違いない。
無茶でも、無理でも、少しでも可能性があればやるのが、あの二人だ。
特にシンは、普段は冷静っぽいくせに、いざとなるとブチキレることがある。
イバライガーは、それを止めたいのか。止めないと、何が起こるっていうんだ?
マーゴンは博士たちとともに、イバライガーを追いかけた。
「行か……なくては……シンとワカナを……救わ……なくては……!!」
イバライガーは、つぶやき続けている。
言いながら、膝をつきそうになっているのを見て、思わず怒鳴った。
「バカ言うなって! そんな身体で戦いに行けるわけないだろ!?」
「ちが……う……地下……だ……あのプールへ……私を……」
プール? ボクが内装してやった銭湯のことか?
なるほど、あそこで身体を治して、それから戦うってことか。
「いや、無理だ。初代イバライガーの自己修復機能は、まだ回復していない。今の状態ではNPLを取り込めない……」
マーゴンの心を読んだように、ゴゼンヤマ博士がツッコんだ。じゃあ、なんなんだよ!?
「……ミニライガーR……」
エドサキ博士が、つぶやいた。
え? イバライガーはミニRを動かすつもりなのか?
でも、イバライガーRが何度トライしてもダメだったんだぞ。
今のフラフラの初代イバライガーじゃ、どうにもならないんじゃないの?
それでもイバライガーは、地下へと降りていく。
「急……げ……。シンが……あの力に……触れる……前に……」
あの力ってエモーション?
どんな秘密があるっていうんだ?
イバライガーは何を恐れているんだ?
マーゴンは、どんどん不安が大きくなっていくのを感じた。
ここ最近のヘンな出来事。黒い霧。幽霊騒ぎ。
全部、つながってる気がする。
いや、最近のことだけじゃない。
もっとずっと前から、イバライガーとジャークが、この世界に現れたときからのことが、全部つながってしまう気がする。
何が起こるのか。何が起きていたのか。
地下への暗い階段を下りていくイバライガーの背中を見つめながら、マーゴンは、自分たちの運命が奈落に吸い込まれていくような気がした。
赤い雨が降り注ぐ中に、シンは真っ直ぐに突っ込んでいった。
当たれば、身体が溶ける。だが、当たらない。ワカナが必ず防いでくれる。最短距離で突っ込むだけだ。
後方で銃声。幾条もの光の糸がシンを追い抜いていった。
ワカナが操るエモーション・ストリングスが、雨を切り裂いていく。
あと5メートル。届く。間に合う。
そのとき、赤黒い塊の背後から、蜘蛛の触肢のようなものが生えた。
PIAS背部に折りたたまれている緊急離脱用ウイングのフレームが変化したものらしい。
何本もの爪が、伸びてくる。
加速し、MCBグローブで打ち返し、かいくぐった。爪は、シンの髪の毛をかすめて、後方に突き立った。
後ろにはワカナがいたはずだ。思わず振り返ろうとしたとき、上から声が聞こえた。
「止まるな! そのままっ!!」
ワカナは、張り巡らせたストリングスを使って、空中を駆けていた。
漫画で覚えた技ってこれか。立体機動装置かよ!?
全て、躱した。
新たな爪が生えてきたが、遅い。
「てめぇ、ソウマッ!! いい加減にしろぉおおおおっ!!」
掌底を叩き込んだ。
ワカナのストリングスも、塊を覆っている。
「そこにいるのか、ソウマ!? 応えろ! てめぇ、このままジャークになるつもりかよ!? ふざけんじゃねぇぞ! 出てきやがれぇええ!!」
返事はない。それでも、怒鳴り続けた。
残ったエモーションの全てを、くれてやる。いや、それ以上でも構わない。
絶対に、この化け物を止めてやる。ソウマを引きずり出してやる。
今のソウマは、あの日のオレだ。
ジャークが、そしてイバライガーがこの世界に現れた時のオレたちと同じだ。
オレは取り憑かれ、身体の自由を奪われ、それでも必死に抵抗していた。
ナツミは救えなかった。連れ去られてしまった。
だからこそ、ワカナだけは守りたかった。死んでも守る。死んでも戦う。
オレを化け物にするだと?
やってみろ。例えどんな姿になったとしても、オレは……オレは……
オレ? あのときのオレ?
あのときオレは……何をした?
変貌する力に抗えないと悟ったとき、オレは何をしようとしていた?
そうか……オレは……オレが……
イバライガーRの動きが、一瞬止まった。
ダマクラカスンの蹴りが肩をかすめる。とっさに肘のサイド・スラスターを噴射させて躱したが、プロテクターの一部をえぐり取られた。
危なかった。戦闘だけに集中すべきだが、できない。
この感じはなんだ?
シンなのか?
だが、これは。この感覚は、覚えがある。
ブラックと戦ったときだ。あの時、身体の中で何かが目覚めたように感じた。それと自分がシンクロした。
あの感覚とそっくりだ。なぜだ。なぜ、それをシンから感じる?
斬撃が来る。躱さずにブレードで受け止めた。衝撃で互いに弾け飛ぶ。その勢いのまま、ダマクラカスンが大きく跳躍した。
気配が遠ざかる。
撤退? いや違う。奴も異変を察知したのだ。
シンたちの元へ行くつもりか。そうはさせない。
クロノ・スラスターが吠える。イバライガーRは、地を蹴った。
「……始まったか……」
イバライガーブラックがつぶやいた。
ミニライガーブラックは、シンたちがいるはずのPIAS施設をじっと睨んでいた。
確かに、おかしい。
さっきまではシンだった。でも、今は違う。何かが違う。
「ブラック、これか? これを待ってたのか?」
「これは始まりにすぎん。本当の覚醒はまだ先だ……それでも、力の一端は見ることができるはずだ……」
力? シンの力?
アイツに何かあるのか?
確かにシンは、人間にしてはけっこうやる奴だ。
でも、だらしないし、ワカナにしょっちゅう怒られてるし、ねぎの世話も下手くそだ。
それでもブラックは、シンを気にしている。
前回の戦いでも、シンがPIASを使ったときには感情を剥き出しにして怒鳴っていた。
いつもクールなくせに。
それに……時々、奇妙な感じがあった。
シンがブラックとカブるときがあるのだ。普段はRくせぇのに、たまにブラックを感じることがある。
なんなんだ、アイツは?
「くそっ、ここにいたんじゃワケがわかんねぇ! ブラック、行ってみようぜ!!」
「好きにしろ」
「なんだよ、行かねぇのかよ、薄情もんっ!!」
もう待っていられねぇ。ジィ~っとしててもどうにもならねぇって、テレビでどっかのヒーローが言ってたじゃんか。
とにかく、行く。行って、この目で見てやる。
飛び出そうとして……コケた。
なんだぁ、これ!?
全く別の、けどシンのソレとよく似た気配が、後ろから押し寄せてきたのだ。
しかも桁外れの。
あそこは……シンたちの基地? 反応は地下だ。
あのプールか? あそこで何が……!?
困惑の中で、ブラックの声が聞こえた。
「……見せてもらうぞ。超時空の力を。エモーションの真の姿を……」
シンが、あの力に届きかけている。
ダメだ、その力は使ってはいけない。あの悲劇を、二度と繰り返してはならない。
初代イバライガーは、NPLプールのふちにしゃがみこんだ。水中に丸い物体が沈んでいる。
あれが、ミニライガーRのコアか。
イバライガーRのデータを移植してあるという。
この時代の技術で、どれだけ完全な移植ができたのか、不安はある。
だが、あれが『R』なら、シンを救えるはずだ。
ずっと動けなかったが、全て見えていた。聞こえていた。感じていた。
自分が特異点の中に封じられている間に、この世界の歴史は、予測を超えて大きく変化している。
シンも、ワカナも、思っていた以上に『アレ』に近づいている。
このままでは、この世界を救えたとしても、彼らを救うことはできない。
ダメだ。これ以上は近づけたくない。
NPLに手を浸した。
この損傷した身体では、NPLを制御できない。
だが、私にはできなくても、私の中にいる者にはできる。
いるのだろう、そこに。
あの霧とともに、この世界に来た者。かつての世界で、一度だけ邂逅した者。
今も私の中に、Rの中に、そしてシンの中に潜んでいる者。
その一部を、解き放つ。
初代イバライガーがプールに手を浸した途端、エキスポ・ダイナモが輝き始めた。
水面が波打ち、渦を巻く。立ち上がり、柱となる。光が溢れる。
そんなバカな。
エドサキ博士は、目の前で起こっていることが信じられなかった。
今の彼には、NPLを制御する力はないはずだ。何も起こるはずがない。
それなのに。
水の柱の中に、ミニRのコアが浮かび上がってきた。コアに光が集まっていく。
光が、手を、足を、身体を作り上げていく。
イバライガー自身の身体も、光を放ち始めた。眩しい。見えない。何が起こっている?
凄まじい気配を感じた。圧倒的な存在感。これはエモーション?
だが、こんな力……あり得ない。
まるでインフレーションだ。宇宙でも生み出すかのようだ。
声が、聞こえた。
「……目覚めろ……」
イバライガー? 目覚めろとは、ミニRのこと?
違う。違う。これはミニライガーどころじゃない。
イバライガーでも、これほどじゃない。
この地球のどんなものでも、これほどじゃない。
「目覚めろ……」
また、声が聞こえた。
「エモーションの呪縛から……シンを解き放て……」
呪縛? エモーションの呪縛? それは何? シンに何が起こっているの?
「目覚めろ……ハイパーイバライガー!!」
その言葉とともに、気配が急速に膨張した。耐えきれない。意識が遠のく。
大きな音が、聞こえた気がする。
気配が、飛び去っていく。
何かが生まれた。
新しい力。予想もしなかった力。
「なに!?」
流星のように、何かが突っ込んできた。
迎撃は間に合わない。ルメージョは氷獣たちでガードした。
それでも受け止めきれない。吹き飛ばされた。
流星が急上昇していく。その軌道の先に、ダマクラカスンの気配があった。
やはり弾き飛ばされた。2度。3度。
流星は、慣性を無視したような動きで急反転している。まるでUFOだ。
ダマクラカスンが、落下してくる。
ダメージはさほどではないようだが、動きは阻止された。
突然、現れた。遠くで急激なパワーを感じたと思ったら、もう目の前にいたという感じだ。
流星が、急降下した。それを追うイバライガーRが見えた。
2つの赤い流星が、フルブーストで突っ込んでくる。
あの場所は。
ルメージョは、氷嵐を叩きつけた。無駄だとはわかっている。それでも。
シンやワカナの行動は予想通りだった。彼らによって侵食は若干遅れるだろう。だが、構わない。止められはしない。
例え、イバライガーブラックでもだ。
そのためにPIASを選んだ。PIASの持つ潜在力とジャーク四天王の力を合わせれば、あのオーバーブーストでさえ耐え切れるはずだ。
そして身体を構築して活動できる状態になりさえすれば、その場であの二人を飲み込む。
ソウマという男を囮にして、シンとワカナを取り込む。
シンたちは、最強のジャークを生み出すための生贄となり、我らとともに生きる。それが狙いだった。
だが、あの流星はダメだ。パワーが桁違いだ。信じられない。あり得ない。
未完成の身体では抗いきれない。貫かれてしまう。
行かせるものか。あと少しなのだ。
ルメージョは、力を振り絞った。
だが氷嵐は、直前で弾かれた。
イバガールのウインド・フレアが、地上から竜巻のように吹き上がってくる。
その中心を、二つの流星が貫いていく。
おのれ。またしても邪魔をするのか。シンと自分を引き裂くというのか。ここまで来て。
何かを思い出しそうになったとき、いきなり凄い衝撃を受けた。
ジャークを感じた。ソウマを感じた。自分を感じた。その接続が断ち切られた。
気づいたときには、イバライガーRに抱きとめられていた。
ワカナもイバガールに抱かれている。
何があった?
あのPIASの塊は、どうなった? ソウマは?
シンは、頭を振って立ち上がった。少しよろめく。
外傷はないようだが、身体の芯に重たいものが残っているような疲労感がある。
「……危ないところでした。もう大丈夫です……」
聞き慣れない声がして、振り返った。
塊が、真っ二つに切り裂かれ、赤黒い湯気を上げている。
その前に、ふた回りほど小さなイバライガーRが立っていた。
腕にソウマを抱いている。
ミニライガーR?
まさか。どうしてここにいる? なぜ目覚めた?
ミニRは静かに歩み寄ってきて、シンの前にソウマを降ろした。
ワカナが駆け寄ってきて、覗き込む。
「心配はありません。意識を取り戻すまでには時間がかかると思いますが、無事です。ジャークの汚染も浄化してあります。それより……」
ミニRは、途中で言葉を区切って立ち上がった。
「……もう少し、下がっていてください。イバライガーR、イバガール、三人をお願いします」
Rがソウマを抱き上げ、ガールがシンとワカナのサポートに入った。
「おのれぇえええっ!!」
瓦礫が吹き飛び、ダマクラカスンが現れた。
怒りに我を忘れている。
「許さんぞ、小僧! ズタズタに引き裂いてくれるわ!!」
「やめときな、ダマクラカスン。今のソイツは普通じゃない。手を出すんじゃないよ」
塊の背後から、ルメージョが現れた。
「何を言う!? こんなガラクタなぞ……!」
ダマクラカスンが突っ込んできた。その動きが、数メートル手前で止まった。
見えない壁に押し止められたように。
「な、なに!?」
シンは、目をこすった。何か、見える。
ミニRの背後に、別な姿が重なって見える。
「シ、シン、あれって……!?」
幻覚じゃない。ワカナにも見えるらしい。
イバライガーだ。見たこともないイバライガーだ。
謎のイバライガーは、ダマクラカスンに向かって手をかざした。
「ハイパー……ブラスト!!」
声とともに、ダマクラカスンが吹っ飛ばされる。ミニRも、謎のイバライガーも動いてはいない。
なんだ? 気を発した? さほど力を込めたように見えないのに、あのダマクラカスンの突進を弾き返すほどのエネルギーだと?
「R、ガール! あれは……何だ!?」
「……わからない。ハイパーイバライガー……というらしい……」
「私たちにもわかんないのよ。わかっているのは、初代イバライガーが呼び出したらしいってことだけ。そして、とんでもない力を持っているということだけ」
ハイパーイバライガーだと? 初代が呼んだ? 何なんだ?
あれがミニライガーRを生み出し起動させたというのか。
でも。
どこかで見たような気がする。
ずっと前に、出会っている気がする。
「私には、わかるわ」
ルメージョがつぶやいた。
「……エモーション・ポジティブとネガティブは、同じ力の光と影。どちらかが現れれば、一方も現れる。当たり前のことを見逃していたわ。それにシン、あなたの本当の姿のこともね……」
言ってルメージョは、湯気を上げ続ける塊を見つめた。翳っていて表情は見えない。
オレの本当の姿だと? なんのことだ?
「シンとワカナ、二人とも同じように思っていたけど……違うってことよ。今にあなたたちにもわかるわ。知らないほうがいい、とは思うけれど……」
言葉とともに、冷気が吹き上がった。
再びハイパーイバライガーが手をかざし、見えない障壁で冷気を遮断する。
氷嵐が収まったとき、ルメージョは消えていた。
あの塊の残骸もない。
「今回は、ここまでにするわ。でもシン。その力は忘れなさい。二度と呼び出すべきじゃない。そう言ってるわよ、ナツミがね……」
「覚えておれ、イバライガーども! 必ず貴様らを、いや、この世界の全てを破壊してくれるぞぉ!!」
気配が、途絶えた。
サイレンや喧騒が聞こえて来る。
「あっ!!」
ワカナが声を上げた。
ハイパーイバライガーが、消えていく。光の粒子となって、虚空に溶け込んでいく。
消え行くハイパーを見つめながら、シンは混乱していた。
なんなんだ。ハイパーとはなんだ? エモーションとはなんだ?
オレはなんだ?
ED(エンディング)
マーゴンは、ようやく目を覚ました。
エドサキ博士やゴゼンヤマ博士は、まだ気絶している。
何か、すごいことが起こったのだけはわかっている。
それが何かは全くわからない。つまり、何もわからない。
地下に降りるときの不安な気持ちは、消えていない。
それでも、少しだけ気分は楽になっている。プレッシャーのようなものが薄らいでいる。
ヘルメットが、コツンと音を立てた。頭に、何かが落ちてきた。
見上げる。空が見えた。
天井に穴が開いている。上の階も貫いて、外までまっすぐの穴だ。
そこから、光が差し込んでいる。
そのスポットの中に、初代イバライガーが跪いていた。
NPLに触れたときのままの姿だが、マーゴンにはイバライガーが祈っているように見えた。
ミニライガーたちは、周囲でじっと見守っている。
どこかで見た宗教画のようだ、とマーゴンは思った。
もう一度、空を見上げた。
外の光が、真っ暗な部屋に差し伸べられた手のようだ。
その手は、シンたちにも届いたはずだ。
マーゴンは、それを信じようとした。
次回予告
■第20話:メモリーズ
蘇った初代イバライガーは、今日までの出来事を振り返る。この世界に現れてからのこと。自分がいなかった間のこと。そして、これからのこと。少しずつ見えてきた様々な謎。次回は、その1つ1つを初代イバライガーとともに振り返ってみよう。この辺で総集編が入るのがイマドキのお約束だしね~~!
さぁ、みんな! 次回もイバライガーを応援しよう!! せぇ~~の…………!!
※このブログで公開している『小説版イバライガー』シリーズは電子書籍でも販売しています。スマホでもタブレットでも、ブログ版よりずっと読みやすいですので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです(笑)。