お客との普段のやり取りはどうやっているの?
いくら実際に会うことを重視してるとはいえ、毎回会っていたら大変だから、実際のやり取りの主役はメールが多い。
ただメールだけで済ませるのはアブナイので、会うのをゼロにはしないように気をつけているってトコだね。
今はSNSとかスカイプとかでもやり取りできると思うけど、そういうのはあんまりやったことがない。
電話も少ないな。
電話好きな一部のお客から掛かってくることはあるけど、よほど緊急じゃない限り、ボクのほうから電話することはないな~。
普段はメール、ココ一番は対面
メール10回に対して1回対面、くらいの感じかなぁ。
いや、別に割合決めてるわけじゃないけどね。
ただ、できるだけメールだけにしないようにはしているかな。
これまでに何度か書いたように、会わなきゃわからないコトってのがあるんだ。
そういう対面しないと見えてこない部分を見落とすのがコワイ。
だから、なるべく会うようにしているんだ。
ホントにね、要件だけならメールでもLINEでも済むんだよ。
けど、それで要件満たして仕事できたとしても、ソコで終わっちゃうの。
いや、その仕事はソコで終わって当然なんだけどね。
でも、お付き合いまで終わってもらいたくないんだよ。
ボクらみたいな職業って、どんなに営業に気を使っていても、やっぱり対外的なお付き合いって、そんなに増やせない。
どうしても作る、書く、描くっていう部分がメインになっちゃうから、どうガンバっても営業的には弱いんだ。
だから出会いの1つ1つが、すごく貴重。
少ない出会いを、できるだけ太いものにしていかないと、あっという間にコネも何も途絶えちゃって、路頭に迷いかねない。
そこまで行かない場合でも、一部のツテだけに頼りがちになってしまうんだ。
で、そうなると、そのツテが切れたら生活に困るから、立場的に弱くなって、媚びてしまったり、無理や無茶を言われても逆らえなかったりして、するとさらに弱くなって……と、悪循環になってしまいがちなのよ。
ちゃんとイイモノを作って、認められて生きていこうと思ったら、特定の誰かや何処かにできるだけ依存しないカタチにしておくべきだと思う。
イイモノにするには、ときにはキツイことを言わなきゃならないコトもあるんだから。
お客に意見するって、本当にコワイ。
どんなに正論でも、言ったらヘソを曲げられてしまうかもしれないし、言い方でも変わるし、相手によっても変わる。
その日の気分でも変わる。
コッチはいつもと同じでも、相手は午前中にイヤなコトがあって、そいうときにボクにも逆らわれてムカッ……なんてコトもあり得る。
イイ人でも人間だからね。読めないんだ。
そして、そういうホンのちょっとしたコト、普通ならどうでもいいようなコトが致命傷になって、トンデモない展開になったりするんだよ。
腕だの何だのって言っても、仕事ってのは結局は、人と人の付きあいなんだ。
それでも、言うべきことは言わなきゃイイモノにならないし、受け入れがたいコトには逆らわざるを得ないときもある。
円満な関係を心がけてはいても、いつもヘラヘラ笑っていられるわけじゃない。
こういうのは会社員だって同じだと思うんだけど、社員だったら「正論言ったらクビにされた」なんてときは、不当解雇だって訴えるコトもできるでしょ。
けどボクらは、ただの外部の業者。
ムカついた、気に食わないってだけで切られても文句は言えないんだ。
すでに受注契約を交わしているなら、それで守られるかもしれないけど、その場合だって、その仕事が終わったら二度と付きあえないと思う。
それじゃあ、困る。
時にはキツイことを言っても、縁が切れない関係にならなきゃいけない。
切れないような言い方、切り出し方をしなきゃならない。
だから、そういうことができるように普段から仕込んでおくの。
メールしたり、会ったりして、要件だけでなく、たくさんの雑談をしておく。
その雑談を通じて、自分を伝えておく。
ボクがボクの専門としているジャンルにおいては、それなりに信じていい、任せていい相手だっていうことを思い出してもらうの。
「打ちあわせや営業に行くときの恰好は?」の項で書いたように「漫画家のコスプレ」までして、そうなるように仕向けているの。
それだけやってようやく、厳しい局面で厳しいことを言えるようになるの。
時に厳しいことを言っても壊れない関係づくりは大事
厳しいコトを言わなきゃならないときは、ギャグやジョークもいっぱい言う。
笑い10回の中に1回だけ、ビシっと言うシーンを折り込むって感じ。
相手の言い分も、できるだけ否定しない。
全部飲み込んだ上で、よりよいモノを目指すには、こうしたほうがいいっていう提案をする。
一番いけないのが論破だね。
正論でグゥの音も出ないトコまでやりこめたとしても、そんなコトしたら仕事はパァだもん。
論破しちゃいかんのよ。
逃げ道をふさがない。必ず隙を作る。
そういう部分を残す。
コレ、とっても大事だよ。
否定するしかないときは、なぜソレがダメなのかの理由をじっくりと話す。
決して頭ごなしに言わない。感情的にもならない。急ぎもしない。
ちょっとしたコトでも軽く扱わない。
どんなに常識なコトをわかっていなくても、わかっていないことを非難しない。
習ってないんだから知らなくて当然。
そう考えて、辛抱強く語る。
会っているときは、表情も、喋り方も、身振り手振りも使う。
同じセリフでも、状況や表情が違えば全然違う意味になり、印象も違ってくるというのは、漫画家ならよく知ってるはず。
メールではフキダシだけで絵がないけれど、対面なら絵も見せられるようなモノだからね。
あるときは笑顔で余裕を見せて、あるときは真剣な表情で、あるときは作者としての想いを込めて、自分の意見を言う。
そうやって、自分の望む展開に導いていく。
狙い通りに進まなかったら、アドリブでシナリオ調整を試みる。
ボクは、そうやって乗り切ってきたんだ。
メールでも「会う演出」をしている
大事な局面では直接会うことを重視しているけれど、本当に大事なことは、会うだけじゃなく、別途メールでも伝えるようしている。
口頭で喋ったほうが気持ちは伝わるけど、気持ち以外の具体的な要件は、忘れちゃう可能性があるもんね。
気持ちの印象が強ければ強いほど忘れやすいとも思うから、口頭だけでなく、記録に残るカタチでも言っておくようにしているんだ。
つ~か実際のところ、やり取りの9割はメールだから、メールで言っといたコトを直接対面したときに念押しフォローしてるって感じかな。
いくら対面が重要だって言っても、毎回会っていたらお互いに大変だもんね。
わかりあうところまで会っておけば、その後はほとんどメールっていうケースが多いんだよ。
だから、ほとんどは引きこもっているかな(笑)。
けど、メールで頻繁に連絡取っている人であっても、1年に数回は会うようにしている。
頻繁に連絡を取るほどだと取引数も多いってコトだから、それだけ大事な相手だからね。
そういう人が、メールでは見えない部分で変わっていることだってあるもん。
メールだけでは気付けない部分で、ちょっとずつズレが出てきて、メールでさえ気付けるほどになったときには手遅れ、なんてコトもあり得るんだ。
どんなに気心知れていても、定期的に会うべきなんだ。
気心知れていれば、用はないけど立ち寄ってみたとか、そういうのでもアリでしょ。
会うときには、当然ながら事前にアポイントメントを取るけど、あえてアポなしで訪ねてみることもあるよ。
遠方の方だとそういうわけにはいかないけど、近所とか、その近くに行ったときとかなら、時間があればアポなしで顔だけ出しておくことも少なくない。
会えなかったとしても、来てくれた、寄ってくれたと思うだけで、何かにつながるものなんだ。
そういうのが何ヶ月も、何年も経ってからジワジワと効いてくる。
目に見えない小さな化学反応が、出てくるものなの。
いや、出て来ないこともあるけど。
でも無駄って、けっこう大事な気がするの。
無駄は無駄だけど、無駄があること自体は無駄じゃないっていうか、無駄だからこそ無駄じゃないっていうか、何言ってんのか自分でもわかんないけど、とにかく無駄もないと有益なモノが生まれないっていう気はしてるんだ。
なお、これは推奨していいのかどうか……なんだけど、メールでやり取りするとき、ボクは要件だけをシンプルに書く、メールを短くまとめる、なんていう、いわゆる「ビジネスメールのマナー」の類いは全部無視して、割と頻繁に長文メールを送ったりしている。
言っといたほうがいいこと、想定できることは全部書く。
余力ありそうなら、余談も書く。
冒頭に要点だけをまとめて、そこだけ読めば要件だけは伝わるようにするけど、その上で詳しいことをズラズラ書いているの。
プレスリリースの文面づくりなんかと同じような構成だよね。
もちろん、そんだけ書いたからって全部読んでもらえるとは限らない。
ていうか、当てにしてない。
それでも書くんだ。
伝えておいたことが「予め言っといたよね」と、後で役立つかもしれないでしょ。
何かのアプリをダウンロードするときに出てくる「使用許諾」のズラ~~っとした文面みたいなモン。
いちいちユーザーが読んでるとは思わないけど、それでも「はい」と言わせておくっていうアレ。
まぁ、それを建て前にして何かを言うつもりはないけど。
どっちかといえば仕事をやるに当たっての決意表明とか、仕事の合間に感じたコトとか、時には本当にどうでもいいことを「余談」として書き足してることが多いの。
できるだけ会うようにしているけど、毎回は会えないし、会っていられない。
だからメールでも、会ったときと同じように雑談なんかもして、疑似的に会ってるような状態に保とうと思ってるのよ。
そして、そういうことをやったときと、やらなかったときでは、やったほうが上手く行くことが多いんで、ネットマナーの専門家が何を言おうが、ときどき長文メールを送ってるんだ。
あくまでも「ときどき」だよ。
毎回やってたらウザったいし、こっちも疲れちゃうしね。
でも慣れると早く書けるし、文章力も上がるから、そんなに悪くないと思ってるのよ。
※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。