水戸コミケに、心から感謝!!(再掲載/2010.03執筆)

2018年1月5日

このコラムは、ボクの公式サイト(www.urutaku.com)上で以前に公開していた「イバライガー観察日記」という連載コラムに掲載していたものを抜粋・一部改定して再掲載したものです。

水戸コミに集まった人々が与えてくれたもの

 2009年末から2010年初旬にかけてのイバライガーは、人気テレビ番組「ピラメキ~ノ」に度々出演し、知名度を大きく上げていった。

 そういう中で、水戸での「コみケッとスペシャル」への出動依頼があったのである。

 あのイベントがイバライガーと地域に与えた影響は大きい。

 コミケを誘致した地元側には、オタクと呼ばれるような若者が大勢集まる事に懸念も感じていたようだ。
 あちこちで身勝手なコスプレイヤーが出たり、ゴミを捨てたり、騒ぎを起こしたり、街中が大変なことになってしまうのではないかとかね。
 それに同人誌の即売会なんてやったところで、それほど人が来るとも思ってなかったんじゃないかな。

 でも、実際には騒ぎは何も起こらず、若者たちはルールをきちんと守った。
 そして市民があきれるほどの人が水戸に集まったのである。

 ボクは当日、実行委員会の方と話したが、水戸芸術館前の広場の芝生が、まったく見えなくなるほどの光景は初めて見た、とおっしゃっていた。

 その広場のミニステージにイバライガーが現われた際には、大群衆が喝采を上げてくれた。
 これは本当に感動した。

 正直なところ、これまではイバライガーがいくら一所懸命ステージで活躍しても、客数も声援もパラパラということのほうが多かったのである。
 暇だからこれでも見てるか、といった程度の客のほうが多かったと思う。

 つまり「寒いステージ」だった。
 こんな大群衆の前に立ったのは、初めてと言っていいだろう。

 その人々が、応援の声を上げてくれた。

 それは、コミケだからこそのサービスには違いない。
 本気でファンになったわけではなくて、イベントだから盛り上がったほうがトク、ということ。
 群集もイバライガーのために集まったわけではない。あくまでも余興。

 でも、アニメや特撮やマンガを愛する大勢から「アリだ」という声が聞けたのは大きかった。
 ネットでも好意的な意見を書いてくれた人が大勢いた。
 また、群集が盛り上がる光景を、地域の人々に見せつけることもできた。

 

 

 どうだ、ヒーローに人はちゃんと反応するだろ?
 イバライガーは茨城のために貢献できるんだ。

 それを分かりやすく見せられたと思うのだ。

 事実、その後イバライガーへの出動依頼は圧倒的に増える。

 テレビ人気番組への出演と水戸コミケの開催。
 この2つが立て続けだったことが、その後の活動の弾みになったのは間違いない。

水戸コミ当時のイバライガーたち

 コミケへの出動は、イバライガーにとって2010年最大のパフォーマンスだった。
 今後の活動のためにも、全力で参加しなければならなかった。

 だが、広告代理店から独立し資金援助を失っただけでなく、巨大な借金まで背負った彼等は、活動資金に乏しい。
 謝礼程度のギャランティで様々なイベントに出動しても、その大半は借金返済に消えていくようなモノだ。
 一日、ヒーローとしてアクションするにも関わらず、お金がなくて昼食抜きなんてことさえ珍しくなかったらしい。

 コミケ出動直前には、電気も携帯も止まり、出動自体が危ぶまれたことさえあった。
 そういうことに耐えての出動だったのである。

 イバライガーと仲間たちは、あの2日間を全力で演じ抜いた。

 やれることは全部やる。
 みんながそう思っている事を、強く感じられた。

 ボクは、ステージのはじっこで、彼等を見ていた。
 ボクは直接の関係者ではなく、あくまでも支援者であって、基本的には部外者だ。

 でも、事情を知っている。

 彼等が苦しみながら、それでも続けている事を知っている。
 当時BOSS氏から届いたメールからも、それは察することができる。

> コミケのスタッフが240名水戸視察とあり打ち合わせに参加しました。
> あのぅ・・・100名近くの人が一斉にカメラ出して撮りまくりで
> 昨日の小沢秘書逮捕の数倍・・シャッター切られました。
> 多くの方から格好いい・・凄い出来だ・・テンション上がる・・など。
> 帰りに水戸市の役人やら関係者が見送る中、最後まで写真攻めと握手とで
> 水戸のスタッフの驚く顔が凄かったです。
> コミケのHPでも画像を載せるそうで、思った以上の評価でした。
> 今日はカードが止まりガソリンも入れられない状態でしたが
> 無理して水戸に行って正解でした。
> よく生きてます
> 月曜日のピラメキーノに行く予算もない状態で(ーー;)
> 頑張ってまーす(^_-)-☆
(2010/1月16日22時16分)

 ……そうか、大好評だったか!
 それはいいことだけど、でも無理しすぎるなよ?

 いや、無理しているからこその結果なのかもしれないけど、でも……。

> 何とか3月からバタバタとイベントが入ってますが
> 2月はボランティアが多く
> 今、倉庫から引っ張り出してネットでオモチャを売りに出して
> 生活費に当ててます。
> あぁぁぁ~大丈夫ですよマスクは売ってませんから!(^^)!
(2010/2月4日21時50分)

 いや、それはアタリマエだけど、それより、もう普通にバイトでもしたほうがマシなんじゃないか?
 ヒーロー活動が十分に出来なくなっちゃうとは思うけど、生活の事も考えたほうが……。
 家族もいるんだしさ……。

> 今PVの撮影日調整してます。
> 3月から少しづつお金払えると思います。
> すみません・・12・1・2月とまともな仕事が無く
> 先月から電気止まったりで・・(ーー;)
> もう少しです 死なない様に進みます。
(2010/2月19日00時27分)

 をい!? いいから!
 ウチのギャラなんていいから、自分のコトを考えなよ!

 ヒーローを本業としてやるなんて、少なくとも今は無茶じゃないのか?

> 今加圧トレーニングを受けています。
> お金は無いですが人の力になるのは楽しい事です。
> 多分、僕、凄くなります
> てか・・・凄くならなくてはとも思います。
> 頑張ります。
(2010/3月3日03時23分)

 ……そうか。
 あきらめないんだな。止まらないんだな。

 でも、頼むから、無理しすぎないでくれ。

 イバライガーのクオリティは本当にいいんだ。
 だから、きっと大きなチャンスや飛躍の時が来る。
 そのための戦略も考えてる。
 だから、あせるな。

 ボクはイバライガーを初めて見たとき、ちょっとドキっとした。
 かっこいい。とてもご当地のローカルヒーローとは思えない出来栄えだ。

 そしてブラックが出てきて、ズキューンときた。
 めちゃくちゃカッコイイ! フィギュア欲しい!

 お金がなくて、たまにあってもヒーローに注ぎ込んでしまう。
 そんな愛すべきバカたちだからこそ生み出せたヒーロー。

 落ち込んで、もう限界だとボヤきながら、それでも丁寧にスーツやマスクを磨く姿。
 机の上の、支払えるはずもない請求書の束に目をつぶり、いつかきっとブレイクすると言い続ける姿。
 それを何度も何度も見てきた。

 ボクはその姿に耐えきれなくなって、一度は手渡したホームページの請求書を破いた。
 BOSS氏はそういうわけにはいかないと言い張ったが、それは予想していたから、自分のホームページでそのことを宣言しておいた。
 もう世間に公表しちゃったから、代金を受け取る事はできないというわけだ。
 それでBOSS氏も折れてくれた。

 コイツらにボクも投資しよう、いつか苦しまずに活動できるようになることをボクも信じよう。
 ボクはそう決めたんだ。

 そんな彼等が、今、喝采を浴びている。

 本当に涙が出た。

 コミケのついででも何でもいい。本当に喝采を浴びる事ができたのだ。
 コミケ終了後に届いたメールには、こう書いてあった。

> 今日は朝食抜きで朝から全開でした。
> ヤフーブログやばいですねぇ!中夜際・・過去最高の人気でした。
> 今日は串田アキラさんともコラボ!
> そしてそして・・・カイダさん逢いました(*^。^*)
> その場でブラックの絵を描いて貰いました。
> コミケ終了のスタッフミーティングもイバライガー参加で終了しました。
> もう歩けません、足が前に出ません。
> 本当にありがとう御座いました。
(2010/3月23日02時01分)

 そうか……。ゆっくり休んでくれよな。

 本当によくやった。苦しかっただろうけど、それ以上に楽しかったんだろ?
 よかったな。

 ボクも誇らしかった。
 あいつらと友だちなんだぜ!と叫びたいような気持ちになった

 これは一つのキッカケにすぎない。
 コミケで喝采されたからって、それでスグに状況が変わるわけではないだろう。
 コミケというお祭りだからこその「御祝儀」も多かったはずだしね。

 でも、コミケの人たちだけでなく、茨城の多くの人にイバライガーを印象づけることは出来たはずだ。
(BOSS氏は、ちょっと調子にノリすぎる部分がある。まして苦しい中で声援を浴びたから、これがチャンスと突っ走りすぎる可能性もある。だから、そこは要注意なのだが、今は素直に彼等の頑張りを褒めてあげたい)

 水戸コミケに来た皆さんの全てに、心から感謝したい。

 彼等を認めてくれてありがとうございます。
 受け入れてくれてありがとうございます。

 カッコいいイラストを描いてくださった開田裕治先生、ありがとうございます。

 いつか、ついでじゃなくて、彼等自身の実力で皆さんをアツくさせられるように頑張ります。
 どうか、それまで、心の隅っこでいいからイバライガーを覚えていてください。

 主催者、関係者、参加者、見物客。
 コミケに関わった全ての皆さん、本当にありがとう。

 イバライガーは、あの2日間で、これまでにない巨大な感情エネルギーを受け取る事ができたはずです。

 


※個人情報や固有名詞はできるだけ伏せていますが、やりとりしたメール文面などは原文のママです。

 


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