広告漫画の仕事はドコにあるか、どうしたら自分に来るかを考えてみよう
ボクは広告主から直接依頼を受けて広告漫画を描くことも多いのだけど、ボクみたいなのはレアケースだろう。
ほとんどの漫画家さん(というよりもフリーのクリエイター)は、広告代理店や広告制作プロダクションを通じて仕事を引き受けるのが普通のはずだ。
広告漫画は広告の一形態だからね。
広告主から見れば、漫画であることより広告であることのほうが第一なんだ。
なので、広告漫画や広告イラストの仕事を請け負いたいのなら、広告会社に自分を売り込んでおくのが一番。
できるだけ多くの広告会社に認知されるように努力して、色々な場所からチャンスが舞い込むようにしていくんだ。
※なお、広告会社から請け負うのが一番手っ取り早いのは確かなんだけど、その代わり厄介ごとが多くなったりすることもある。
ボクはそれが嫌で、広告主から直接引き受けるほうを優先するようになっていったんだけど、そのあたりの話は、また項を改めて書くね。
広告漫画の仕事は広告会社に発注される
広告会社と付きあう最大のメリットは「仕事を回してもらえる」こと。
クリエイターなんて人種は、とにかく営業とか交渉とかってのが苦手。
自力で、出版社でもない見ず知らずの会社に飛び込んでいって「漫画の仕事くださ~い」なんて、そうそう言えるモンじゃない。
一方で、漫画で広告を作ってみたいと思っている広告主だって、大抵は漫画家にツテがあるわけじゃない。
ネットで「お仕事引き受けます」と書いてある作者のサイトやブログを見つけたとしても、何をどう頼んだらいいのかわからない。
どの人が自分たちの広告に向いているのかもわからない。
そもそも広告主は漫画を作りたいわけじゃない。
「漫画を使った広告」を作りたいのだ。
広告の部分をしっかりやってもらえなければ、どんな漫画を描いてもらっても意味がない。
だから広告漫画を作りたい企業は、広告会社に依頼する。
そして、その依頼を受けた広告会社や広告代理店が、漫画家やイラストレーターを探して依頼してくるわけだ。
ほとんどが、このパターン。
ということは、広告の漫画やイラストの仕事を受注していきたいなら、広告会社や広告代理店に顔を売っておくのが一番ということになる。
あ、もちろん、ゲーム制作会社とかでもいいんだけどね。
とにかく、イラストや漫画の仕事が多そうな会社に自分を売り込んでおくわけだ。
ボクも一番最初は、そこからだったんだよ。
電子メールで営業して自分を売り込んだ
ボクが起業したときは、まず最初にネットで様々な広告会社を検索し、その会社の業務内容をチェックした。
事業内容、会社概要、業務実績などを1つ1つ見ていくと、何が得意で何が苦手そうかが見えてくる。
サイトのデザインなどからも、その会社の性格は見える。
遊びゴコロがあるのか、マジメ系なのか。
そうやって色々調べて、漫画の広告に興味持ってくれそうだと思ったところに「プロフィール」「自分にできること」「これまでの請負事例」「制作環境」「連絡方法」などを書いた売り込みメールを書いて送信したの。
本文を書くときは、丁寧な文章を心がけた。
普段は、仕事の連絡でもバカみたいなメール書いちゃうんだけど、コレ一応はビジネスメールだからね、タメグチなんか絶対ダメ。
本文冒頭できちんと挨拶&自己紹介し、何のためにメールしたのかを簡潔に書き、その後に詳しいことを書く。
履歴書と経歴書を書くようなもんだけど、それを箇条書きじゃなくて、文章にするって感じにした。
よくわからない人は「商品・サービスのプレスリリース文例」などを検索して探してみるといいよ。
企業が新サービスや新製品を発売するときに、プレスリリースというのをマスコミ各社などに送ることがあるんだけど、その文章の作り方はそのまま売り込みメールに応用できるから、様々なプレスリリース文例を見たり、その書き方の解説を読んだりすると、とても参考になるんだ。
なお、なんでもかんでもメールに書いていたらクドくなりすぎたり、長文すぎて読んでもらえないといったことになりがちなので、ざっとだけ書いておいて「詳しくはウチのWEBやブログを見てください」というふうにしたほうがいい。
ボクも売り込みメールを送る前に、自分のWEBやブログをきちんと整備しておくようにした。
それから……そうそう、本文だけじゃなくて、メールの「件名」にも気を配ったほうがいい。
件名って、いわば「見出し」だから、本文を読みたくなるような見出しを考えつくかどうかは、かなり大きく影響するんだよ。
他にもアレコレ細かいコトはいっぱいあるんだけど、今はこのくらいにしておこう。
アレコレを本気で解説してたら、それだけで一冊の本にできるくらいになっちゃうからね。
とにかく売り込みメールを送るときには、色んな工夫や気配りをして書いたほうがいいとは思うな。
自分なりの戦略を立てて売り込み先を選ぶ
自分でも納得のメール文章(件名も含む)、プレゼンテーションになるようなサイトやブログが用意できたら、そのメールをたくさんの会社に送る。
メールを送る相手はどんな会社がいいのかは、何とも言えない。
基本的にはネットで、その会社のサイトをチェックしてみるしかないんだけど、広告会社ってさ、意外に自分の広告・宣伝は下手なんだよ。
サイトを見ても、社名と会社概要がわかる程度で、具体的に何やってるのかさっぱりわからん、という例も少なくないんだ。
オフィスも裏通りの雑居ビルの一角だったりして、営業してるのかどうかもわからない。
でも、そういう一見アヤしくて得体の知れない会社が、大手のテレビCMとか新聞の全面広告をバンバン作ってたりするんだ。
もちろん、見た目通りにアヤしい会社も山ほどあるし、見た目はしっかりしてるのに実態はヤバいってケースだってある。
だから基本的には「当たって砕けろ方式」しかない。
ボクが売り込みメールしたときに第1候補として選んだのは、外部のクリエイターなどを募集している会社。
一番可能性が高いもんね。
でも第一候補だけじゃ数が足りない。
クリエイターを積極的に募集している会社って、そんなに多くない上に、これ、ようするにDM(ダイレクト・メール)だからね。
DMなんて、読まずにゴミ箱直行になるほうが普通だ。
一般的な広告のDMだと、反応率は0.5%以下って言われてたりする。
つまり200件に送って、ようやく1件反応がある(売れるではない)かどうかというレベルなわけだ。
まぁ、そういう低い反応率になるのは、相手を選ばずテキトーにバラまいているからなので、ターゲットを絞って送るのなら、もうちょっと反応率は高くなるだろうとは思うんだけど、それでも10社や20社に送った程度じゃ話にならない。
なので第2候補。
中途採用の求人をしている会社を第2候補に選んだ。
新卒採用は除外。
あくまでも即戦力を募集している会社。
戦力が足りないってことなら、外部のクリエイターだって使ってくれるかもしれないでしょ。
そして第3候補は、クリエイター募集中とはどこにも書いてないけど、業務内容や制作事例に自分が役に立ちそうな事例がある会社。
特に、急成長したっぽい会社は人材の層が薄いことが多いので、優先的に選んだ。
まぁ、これはボクはそうしたというだけで、この通りにやれば上手くいくといったことじゃないんだけどね。
でも闇雲に片っ端から送るよりは、自分なりの戦略を立ててやったほうがいいとは思うんだ。
反応が悪かったのなら、ターゲットの選び方を変えて、もう一度試してみるとかね、そういうコトを繰り返していけばデータを集められる。
そのデータは、その後の営業や売り込みをしていくための重要な財産になるんだ。
まぁ、売り込みしてもなかなか仕事が取れないことのほうが圧倒的に多いのは間違いないんだけど、それでも倦んだりせずに地道にやっていくしかないと思うよ。
メールで営業する(今ならLINEとかもアリかもしれない)。
WEBサイトなども、日々整備してパワーアップさせていく。
できるだけ多くの人と会って、自分を知ってもらう。
そういうことの積み重ねが、いつか気付くと、それなりの大きさになっている。
そういうモノだと思うよ。
ただし。
ここに書いたことは「仕事を獲る段階」の話。
継続的に、そして納得できる仕事を続けていくには、仕事そのものを追いかけていてもキビシイんだよね。
本当に獲るべきモノは、実は別なモノなんだ。
その前段階として、まずは仕事を獲るってことなんだ。
※追記
ボクのときは反応率はとてもよかったと思う。
60件くらい送ったところで、送信先の3割くらいから「会ってみたい」といった返事がもらえて、その中の数社から実際に仕事をもらったから。
その後は、受注した仕事をこなすのに忙しくなっちゃってメール宣伝は休止し、そのまま、いつの間にかWEBを通じて様々な色んな仕事が舞い込むようになり、さらにその後はクチコミでのオーダーも入ってくるようになっていって、今日に至るって感じなんだ。
結果から見るとメール営業は最初だけで、実際の受注の9割はWEBとクチコミのほうだったな。
ただ、メール営業だけを取ってみても、ボクの例は特殊ケースだと思うんだ。
普通の漫画家さんやイラストレーターさんには当てはまらない部分が多いんだよ。
ボクは漫画家でイラストレーターだけど、広告業者そのものでもあるんだ。
漫画だけ、イラストだけじゃなく、普通の広告もやれる。
デザインも、レイアウトも、印刷データ作成(DTP)も、取材も、記事執筆も、WEB制作も。
広告・広報関係のコトの多くをワンストップでやれるの。
広告関連で自分でやれないのは、印刷、3Dグラフィック、映像&音楽製作くらいかな。
あ、WEB関係でもシステム開発まではできないな。
でも、そういうのもソレができる仲間はいるから、基本的には何でもできるのと同じなんだよね。
実際、全部引き受けた経験は何度もあるし。
広告会社は漫画を使った広告でも請け負うけれど、漫画の会社ではないから漫画家ってモノを理解しにくい。
特に広告代理店の場合だと、制作よりも営業のほうが主だから、クリエイター的な部分だけでは共感してもらいにくい傾向があるんだ。
でもボクの場合は、広告やWEBといった共通言語があったし、自分で広告主と相談した経験もけっこうあったから、それで上手くいった部分があったと思うの。営業の立場を考慮して提案したりできたからね。
まず広告がやれて、その上で漫画家でもあるから重宝がられたんだと思うのよ。
※このブログに掲載されているほとんどのことは、電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。