描く前に全てが決まる(メール商談ライブ):09

2018年9月21日

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うるの送信メール/その14

うるのです。

お送りいただいたチラシの写真の画像データを入手できますか?
それさえあれば、このチラシのデザインをそのまま踏襲するような形で表紙をデザインできると思います。

写真も、このまま実写の○○さんを使って、そのかわり小さくてもいいから劇中のカットを上手くレイアウトして、これが漫画冊子だと分からせればいいと思います。

また、チラシの他の面で使っている写真類のデータも一緒に入手可能なら、プロフィールの部分も、ほぼ、このチラシの構成をそのまま反映させられると思います。
つまり、チラシ版に16ページのマンガを追加したようなイメージとして、仕上げることができるということです。
そのほうが、広報ツールのイメージも統一できていいかもしれませんよ。

なお、××さんから、「いつごろ印刷原稿を入稿できるのか」と問い合わせが入っていて、まだはっきり答えていないんですよ。きっと焦っているんだろうとは思うので、できるだけ早く何とかしたいと思っています。
どうぞ、ご協力よろしくお願いいたします!

(以下、書名)

 

「うるの送信メール/その14」補足解説

 ここまで来ると、出来るだけ相手の希望に添ってあげるほうがいい。

 もう漫画でチカラ入れまくっているしねぇ、ここにきてデザインでアレコレやり合うのは大変なのよ。
 そもそも漫画冊子である以上、漫画部分でキチっとやっていれば、他はね、それなりに何とか出来ちゃうことが多いし。

 最後に出てくる「××さん」は、印刷会社の人。
 厳密には印刷会社への窓口の人。

 元々、この人が「漫画で広報したい」という相談を受けて、それでボクに連絡が来たんだ。
 知りあいじゃなかったんだけど、どっかでボクが作った作品を見ていたらしい。

 本当に世の中って、縁でつながってるんだよね。

 

お客様からのメール/その16

うるの先生

ありがとうございます、手元にある写真を添付致します。
他のはちょっと探す必要が。。

あと、記事のダイジェストを添付します。
これから文言は整理していきますが
取り急ぎイメージを掴む意味でお送り致します。

よろしくお願いします!

(以下、書名)

 

「お客様からのメール/その16」補足解説

 ようやく尻に火がついた感じだな~~。

 広告や広報に関わっていていつも思うのは、お客って、ほとんど最終段階になって、ものすごく具体的になって、いよいよモノが完成して自分自身がソレを使う側になるまでは、どこか他人事のように感じてるんだよね。

 まぁ、そう感じているからこそ任せてもらいやすかったりするので、それはそれでいいんだけど、完成間際になってやっと実感して慌て出すと、そこで急にアレコレ噴出してきたりもするから厄介なんだ。

 百里を往く者は九十九里を以て半ばとせよ、なんていうけど、本当にそうだよね。

 フィニッシュ段階で50%の力を残してるくらいでちょうどいいんだよなぁ。

 

うるの送信メール/その15

うるのです。

マンガの文字直し、基本的には終わっています。
ただし、どうしてもオカシイ部分もあって、そこはアレンジを提案させていただきます。以下の修正箇所が、アレンジしたほうがよいと思える部分です。

■4ページ/3コマ目
修正指示→  困っている人にそんな冷たい××なのか・・・

実際の修正→ 困っている人にそんなに冷たいなんて……

その1つ前のコマで「××」というキーワードは使われているので、ここでは不要の(クドすぎる)はずです。
また「冷たい××なのか……」だと、冷たいことを肯定している言葉とも取れてしまうので「冷たいなんて……」と否定を込めた言葉にさせていただきました。

■4ページ/3コマ目
修正指示→  
~(中略)障害を持つ人たちの能力を活かせる活躍の場を用意していて(以下略)

実際の修正→ 
~(中略)障害を持つ人たちの能力を活かせる活動の場を用意していて(以下略)

「活躍」を「活動」に変えています。
「活躍」とは、まさに「能力を活かせる」ことなので、このままでは頭痛が痛い、とか、馬から落ちて落馬、とか、そういうオカシイ言葉になってしまう危惧を感じたんです。
(注:今にして思えば「活躍」を取るだけでいいんだよな……「活かせる活動の場」ってのもクドすぎるし。ずっとやっていて頭が回らなくなってたんだなぁ)

■9ページ/5コマ目
修正指示→  
前住んでいたまちはこどもの医療費無料は中3までだったのに××市は小3までだし・・・中心部は栄えても農村は置いてけぼりだし・・・イノシシ被害はすごいし・・・

ここはコマも小さく、多くのセリフを入れるのは不可能です。
元々の内容では具体例はあまり出さず、人々は、それぞれに様々な問題を訴えているのだと感じさせるだけにしていたから、あのスペースで描写できたわけですから。

だから、
「ウチの近所でも……」を
「中心部は栄えても農村は置いてけぼりだし、イノシシ被害はすごいし……」
に置き換えるのは無理なんです。セリフでコマが丸ごと埋まってしまい、読者は状況が把握できなくなります。
まして、その前のセリフまで増やすなんてのは、完全に無理です。

文字を小さくすれば入るでしょうが、それではゴチャゴチャして読みづらくなり、わざわざ具体例を入れる意味がなくなります。

というわけで「9ページ/5コマ目」だけで、こうした対応を行うのは不可能なのですが、その次の最終コマまで会話を流していくことで、この改定に対応できるようにして、結果として、全ての言葉を入れられるようにしました。

改定部分(画像のURL)

■11ページ/中央のコマ
修正指示→  
××はこんなもんじゃないんだ。人々が動き出せば、必ず変えていけるはずだ……!!

実際の修正→ 
××はこんなもんじゃない!人々が動き出せば、必ず変えていけるはずだ……!!

■14ページ/中央のコマ
修正指示→  
まもなく××の未来を決める日がやってくる。
(中略)形にできる人物と一緒に××をつくりたい。

ここは、元のままにできませんか?
「一緒に××をつくりたい」というセリフから、その後の新聞記事を読んで「やれやれ」にはつながりにくいんです。
だから、ここの部分は、劇中人物のセリフではなく「ですます調」のナレーションにして、前後とつながらないようにしていたわけです。

ここで削除された「形にできる人物は誰なのか」というフレーズ自体は、ラストシーンに残っていたから、そうした読者への問い掛け自体がNGということではないのでしょうし、ならば、ここはそのままにしてラストのほうを変えるべきだと思います。
(理由は後述します)

■14ページ/最後から2コマ目
修正指示→  やれやれ!

実際の修正→ やれやれ……

やれやれ、は、あきれているといった言い回しだから、「!」のような強い声ではないはず。フキダシの形も、バクダンのようではなく、普通の形になります。

■14ページ/最終コマ
修正指示→  
これまで何度提案されても放置していたのに、どういう風の吹き回しだろう……

実際の修正→ 
これまで何度提案されても放置していたのに、どういう風の吹き回しなんだか……

その前の「やれやれ」は、ある程度、事情が読めていて初めて使われる言葉のはず。だから「やれやれ」に続いているセリフとして、「どういう風の吹き回しだろう」はヘンです。表立って言葉にしていなくても「人気取りしたんだ」と感じているから「やれやれ」なわけですから。

■15ページ/1コマ目
修正指示→  だから変えていくんでしょ。

この次のコマで「彼とならきっと変えていける」というセリフがあるので「変える」がカブっていて、やはりクドいと思います。
というよりも、その前のセリフが不自然だと思います。
前のページのセリフが(以前の)明らかに体制に対して怒っている描写だったから、妻がなだめているわけで、今回「どういう風の吹き回し」に変えた・・・つまり、穏やかな言葉に変わった以上、それを受けた妻の言葉も変わるはず。
ここでは

「ボヤかないの。納得できないことは、みんなで変えていけばいいんだから。そうでしょ?」

くらいが妥当だと思います。
これなら、その後の「彼となら変えていける」につながりますし。
 
以上です。
ここに挙げた以外の部分にも、作者としては引っ掛かるモノはありますが、それほど大きな問題ではないので、それらは、ご指摘のままに直してあります。

微妙な1文字でも、それだけでニュアンスが変わってきます。
もちろん、それを狙って校正されているのは分かりますけど、そのシーンの表情や前後のシーンと食い違ったりするとマズイので「マンガとしての文脈」に留意して対応させていただきました。1箇所のセリフのニュアンスが変わると、連鎖的に他も調整しないと不自然になるからです。
(ギャラもらえればどうでもいいやでは、作家とは呼べないし、業者になりきってしまうと作品に魂がこもらないですから、こうした提案をさせていただきました。最終的な決定権は○○さんにあることは承知の上だから、あくまでも提案ですけど、せっかくマンガというツールをお使いいただくのだから、ボクも役に立つものを目指したいのです)

(以下、書名)

 

「うるの送信メール/その15」補足解説

 毎回、ここまで書くわけじゃないけど、このときはね、本人も周囲も「理屈で納得したいタイプ」だったから、ちょっとした直しにも丁寧に対応した。

 それに、思ってたよりもマズイ直しが意外に多かったからね。
 そのまま従ってしまうと漫画の部分が死んじゃう危険を感じたので、受け入れながらアレンジする方向で対応したんだ。

 本文に書いたように、最終的な決定権はお客にあるのだけど、こっちも作者として譲れないモノは譲れないっていう姿勢を見せる必要はあるんだ。
 それだけ本気だっていうことだし、先方が「先生」と呼んでくれているように、業者ではなく作家に頼んだつもりのはずなんだから。

 広告漫画もサービス業の一種だから、お客様の機嫌を損ねるのはマズイんだけど、作家が作家と感じてもらえる対応をしないと業者になっちゃって、それはそれでお客に失望されるから、従順なだけじゃダメなんだよね。

 

お客様からのメール/その17

うるの先生

○○です。詳細なご指摘ありがとうございます。
コマの使い方も含めてご提示頂いたもの全て先生ご指摘の形でお願いできれば幸いです。先生のプロフェッショナリズムに感服しています。

最後のシーンもぜひ○○の写真でお願いします。
服装のみスーツではなく、パンフレットにあるようなポロシャツのほうが統一感が出せていいような気がしますが、いかがでしょうか?

どうぞよろしくお願い致します!

(以下、書名)

 

「お客様からのメール/その17」補足解説

 よし、わかってもらえたぞ。

 本当にわかってくれたのか、妥協してのリップサービスなのかはわからないけど、こういうふうに言ってもらえれば気分はいいので、こういうときは額面通りに受け取っておくことにしてるんだ。

 ボクってプロフェッショナリズムだぞ~~って(笑)。

 

お客様からのメール/その18

うるの先生

表紙についてはまだ確定していないとの連絡を○○から話しがありました。
お返事していたつもりでいて失礼しました。
ぜひお送りしたパンフレットを元に作成をして頂ければ幸いです。

その際、今スタッフたちで××用と○○用の2種類を作成していますので、外から見た目が少しわかるように色等で変化をつけて頂ければ幸いです。
(そこまで目立たなくても大丈夫です。)

その他については今日中にスタッフからお送りするとのことです。
最後までお手数をお掛けしますが
どうぞよろしくお願い致します。

(以下、書名)

 

「お客様からのメール/その18」補足解説

 このメールの間に、先方スタッフとのメールやり取りが数回あったのだけど、そこは割愛させていただいた。
 土壇場になって表紙のデザインや構成についてアレコレ言ってきたので、ボクはボクなりの意見を返していたんだ。

 その経緯を後になって当人が知って、最終的な回答を送ってきてくれたわけ。

 スタッフ相手のときは、わざと専門用語をたくさん使ったりして語っていた。

 どうも「オレだって出来るんだ」的な主張っぽかったからね、それを受けて立ったわけ。
 プロのフィールドに後出しでクビをツッコんで来た以上、全部わかってんだろうな、という感じ。

 1つの仕事、1つの組織には、様々な人が関わっている。

 その中には、ボクが関わることで自分の仕事を取られたような気分になる人もいるんだ。
 代表者がボクに全面的に任せると決めてるから従っているけど、自分も関わるならひと言、何か言ってやりたいって思ってたりするの。

 だけどね~、その組織内では「そういう担当」だとしても、それ一本で食ってるプロに突っかかってはイカンのよ。
 所詮は素人にしてはマシなレベルなんだから。

 ただ、そういうことは実際ありがち。

 そして、そうなったときに依頼者本人との信頼関係が希薄だと、そっちに持っていかれちゃうのよね。
 なんせ相手はボクのような一時的な傭兵ではなく、同じ組織内にいる仲間なんだから。
 どうしたってボクが不利だもん。

 だからボクは依頼者との関係構築にたくさんの気を遣う。

 そうやって一目置かれていないと、周囲からのノイズでプロとしての仕事を全うできなくなりがちなんだ。

 

(「描く前に全てが決まる編/10」へ→)

 


※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。

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