カソクキッズ保護者会のホワイトボード

 なんとなくカソクキッズ関連の資料フォルダを覗いていたら、打ち合わせ中のホワイトボードを撮影した写真が見つかった。
 懐かしいな〜〜、そうそう、こうだったよな〜〜と感慨にふけったりしつつ、これも面白い資料だとも思ったので、このブログで公開してみようと。

 カソクキッズはギャグ漫画だけど、その保護者会(ミーティング)はけっこうガチなのよ。
 バカ話してるほうが多かった気はするけど、でも、こんなにガチなシーンも少なくなかったのよ(笑)。

 

スポンサーリンク

2011年1月のホワイトボード

 以下の写真は2011年1月撮影と記録が残ってるので、ファーストシーズン25話「素粒子の世界 ~たまのレポート~」を描いたときの保護者会だね。

 写真の上のほうにu、c、t、その下にd、s、bとあるから、これはクォークのことだとわかる。

 u=アップ、c=チャーム、t=トップ。
 d=ダウン、s=ストレンジ、b=ボトム。

 本編前半は、クォーク(というか素粒子)についての基礎知識のおさらいだから、わざわざボードで説明受けるほどじゃない。
 なんせ、ここまでに24話を描き終えて、KEKにOKもらって、ちゃんと公開されてたんだから。
 いくらアホなボクだって、基礎知識くらいは身につけてるもん。

 なので、このボードで説明を受けたのは、後半で描いた「クォークの質量」に関することだ。

 このシーン、漫画の中では1ページ半(普通の漫画だったら1ページちょうど)でしかない。
 本物の博士に、ホワイドボードにわざわざ図や数式を書いてもらい、さらにそれを詳しく説明してもらい、そこまで豪華な特別扱いされながらも10分の1も覚えられない。そんな感じでやってたのよ(笑)。

 いや、必死に聞いてるんだよ。必死で学んでるんだよ。

 でもさぁ……

 ……ホワイトボード、あっという間にこんなになっちゃうんだよ。

 ボクの理解より、ホワイトボードが埋まっていくスピードのほうが何倍も早くてさ、最初はふむふむと聞いていても、どんどん詳しくなっていくと追いつけなくなって、もうボケ倒すしかなくなるのよ。そのボケを漫画本編でもそのまま使ってた感じなのよ(笑)。

 

2011年2月のホワイトボード

 2011年2月ということは、26話「明日の加速器 ~めがのレポート~」を描いてたときの保護者会だと思うんだけど、ここに描かれているのは「ペンギン崩壊」の図なので、このネタを実際に使ったのは28話「いつか、きっと ~じんのレポート~」だね。

 このペンギン崩壊という図は、B中間子がK中間子とπ中間子に崩壊していく過程を説明したもの。
 そう言われてもなんだかわかんないかもだけど、ま、わかんなくていい。ボクだってわかってないんだし。

 ただ、この図は不思議なんだ。

 いや、どこがペンギンなのかちっともわからんってことじゃないよ。
 真ん中に頭がギザギザした囲みがあって、そこがペンギン(しかもイワトビペンギン)の顔で、その両側に伸びている線が羽で、下に伸びた線が胴体、その先で2つに分かれてるのが足……
 って無理がありすぎるわ!!

 でも、重要なのはソコじゃないんだ。

 ボクの撮影が雑なもんで左側が切れちゃってるけど、中央の歪な囲みの左方向に伸びてる線の先には「b」と書かれているの。
 b=ボトムクォーク
 左から来た「b」が崩壊して、右の「s=ストレンジ」とか、下のほうの「d=ダウン」や「u=アップ」になる、ということ。

 でも、その間。170って書いてあるトコに「t=トップ」が書かれている。
 ようするに「b」が崩壊するときには、ここでちょっとだけ「t」になって、それから他の「s」や「d」や「u」になる、と。

 これがオカシイ。

 170ってのは質量(エネルギー量)のことなんだ。
 つまり「t」は170GeV(厳密には約174GeV)の質量があることを示している。

 だけど、元になった「b=ボトム」の質量は、約5.3GeVなんだ。
 5.3しかないものが途中で170になる。

 ヘンでしょ。

 何かが壊れるときに、元の大きさの何十倍にもなるなんてツジツマが合わないじゃないか。
 エネルギー保存則に反してるじゃないか。

 でも、それでいいらしいんだ。

 これは超ミクロな量子の世界で起こってることで、量子の世界ではコッチと物理法則が違うから、ちょっとだけならエネルギー保存則を破ってもいいんだって。

 え〜〜〜〜っ、そんなのアリなの!? って思ったけどアリらしいんだよ。
 なんでアリかまでは知らないけど、博士たちが口を揃えてアリって言ってんだから、そういうもんだと思うしかないんだよねぇ。

 

2011年4月のホワイトボード

 東日本大震災を挟んだ2011年4月の保護者会。

 以下の写真は、先のペンギン崩壊を受けて、その先の宇宙誕生のメカニズムについての説明を受けたときのものだ。 

 

 ホワイトボードの真ん中、赤い線で描かれている三角形の山なり。
 その周囲の半円状のライン。

 ワインボトルの底、あるいはメキシカンハットみたいな、両端が反っていて真ん中が盛り上がっている状態を真横から見た図。

 これが、宇宙誕生の仕組みを説明する図なのだ。

 宇宙は、真ん中の山のてっぺんに、あるとき「ぽふっ」と生まれたという。
 そして生まれると同時に転がり落ちる。てっぺんは点でしかないから不安定で、そこに留まっていられなくて、誰かが押したりしなくても自然に落っこちちゃうのだ。

 それが「自発的対称性の破れ」と言われる現象。
 真ん中にあるときは左右対称だけど、落っこちちゃえば対称ではなくなる。それが自然に起こるから自発的。

 そして、この落っこちた落差分のエネルギーが、今の宇宙をつくったのではないか、というのだ。

 でも、そもそも盛り上がりのてっぺんに上がるだけでもエネルギーがいる。
 そのエネルギーはどこから来るんだ? という謎を解決するかもしれないのが、先のペンギン崩壊なのだ。
 量子の世界ではちょこっとだけエネルギー保存則が破れていいのなら、宇宙は山の盛り上がりのてっぺんに上がれる。そこで生まれることができる……。

 もっとも、これだけじゃ説明が足りない。
 そもそも、ワインボトルの図は宇宙創成のモデルというよりもヒッグス場を説明するモデルであって、これだけで説明するには無理があるのだ。

 いや、ボクの理解力のほうに、もっと無理があるんだけどさ。

 それでもね、監修の博士の中にはインフレーション理論の専門家がいるので、こういうことを図と数式で説明してくれるのよ。

 以下、他の写真も載っけたけど、はっきり言って全然わからん。
 ボソンとか書いてあっても「ああ、ボソンジャンプか〜、木星トカゲが出てくるんだよな〜、ゲキガンガーはボクらの青春だよな〜」とかボケ続けてただけなのよね。

 でも、こういうことが、しょっちゅうあったんだ。

 ホワイトボードの中に生まれる宇宙。
 そこにどんどん数式や記号が書き足されていく様は、まるでインフレーション。

 わかんないなりにワクワクしながら、見つめてたんだよ(笑)。

 

 

 


※カソクキッズ本編は「KEK:カソクキッズ特設サイト」でフツーにお読みいただけます!
でも電子書籍版の単行本は絵の修正もちょっとしてるし、たくさんのおまけマンガやイラスト、各章ごとの描き下ろしエピローグ、特別コラムなどを山盛りにした「完全版」になってるので、できればソッチをお読みいただけると幸いです……(笑)

 


※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『カソクキッズ』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。KEKのサイトでも無料で読めますが、電子書籍版にはオマケ漫画、追加コラム、イラスト、さらに本編作画も一部バージョンアップさせた「完全版」になっているのでオススメですよ~~(笑)。

うるの拓也の電子書籍シリーズ各巻好評発売中!(詳しくはプロモサイトで!!)