描く前に全てが決まる(メール商談ライブ):04

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うるの送信メール/その4

うるのです。

カフェでお話を伺ってから、一週間。
ようやく「シナリオ初稿」がまとまりました。

想定しているページ数は16ページ。
無理して詰め込めば12ページにもなりますが、ぎゅうぎゅう詰めだと読みづらくなるし、多少は余韻を感じるシーン(情感のあるシーン)も必要なので、16ページとしました。
20ページだと、もっとゆとりが出てバランスがいいかもしれませんが、スケジュール的な問題も考慮すると、16が適正な規模だと判断しています。
(ページ数が多いことは、必ずしもプラスに働きませんし。こんなに読まなきゃならないの? と、マイナスイメージを持つ人だってありえるわけで、抵抗なく読めるバランスを考慮して作るべきだと思うのです)

以下、シナリオを記載していますが、お読みになる前に作者としての意図をご説明させていただきます。
この物語のテーマは「立ち上がる人々」です。
○○さんは、そうした思いのシンボルとして描写しました。
主人公はどこにでもいる、一市民。

マンガですから、○○さんはヒーロー役です。
だから、かっこよく扱わせていただいています。
ボクが、こういう人物であってほしい、と思う人物像をそのままぶつけさせていただきました。
○○さんは、そんなにベラベラ喋りません。
要所要所で大事なことを言うけれど、むしろ人々の声に耳を傾け続けます。
そうしたシーンを、できるだけ情感豊かに描写して、ラストの「人々のために立ち上がる男の顔」に結びつけていく狙いです。

単調にならないように、意図的にいくつかのシーン(場所、時間)に別れています。こうしたマンガは、登場人物が喋っているだけのシロモノに陥りやすく、それではちっとも面白くない。画面も単調すぎるものになってしまいます。だから、場面を切り変えながら、映画のように構成しています。

実際、このまま映像作品にすることだって可能だと思います。
ボクは、実写映像を思い浮かべながら、シナリオを書いています。このシーンのカメラアングルはこうとか、ここではレフ板使って、○○さんの横顔に光を当ててとか、リアルにショットを想像して書くんです。当然、声は○○さんの声、喋り方を思い出して書いていますし、最後のほうで学生さんと会話するところなどは、事務所にお訪ねしたときの、○○さんと学生のやり取りをイメージしてセリフ回ししています。

では、以下、マンガシナリオ(台本)の初稿です。
映画を観るように、それぞれのシーンを思い浮かべながら、お読みいただき、ご検討くださると嬉しいです。(初稿なので、今後、若干の変更はあるかもしれませんが)


劇中、仮名=父親としている主人公役は、○○さんと同年齢くらいの男性を想定しています。
また、劇中に登場するその他の人物は、老若男女、様々な世代を取り混ぜて描写する予定です。

(以下、実際の漫画シナリオ全文を記載)

以上です。

最後に、このシナリオを書き起こす前に、お写真を元に描いてみた「テストショット」をご用意しています。あくまでもイメージチェックのためのテストショットなので、劇中のシーンそのものではありません。

■○○さん/テストショット(ラフ線画)(画像URL)

○○さんの絵は、ご本人よりもちょっとだけ骨太に描いています。
ときに激しく感情を見せることもあるようでないと、人間味が出ないですから。ただ、激情で動くような人物ではないように描きますが。
強い思いを持っていながら、それを押し殺して、やるべきことをやる男。そういうふうに描きたいと思うんです。

このシナリオで、だいたいの流れがOKならば、次は「ネーム」と言って、マンガとしてコマ割したモノを作り、ご覧いただくことになります。
どこに、どんなアングルで絵が入るのか、そういうモノを確認していただくためのモノで、作画のための設計図でもあります。
そのネームでOKをいただいたら、後は一気に描きます。

(以下、書名)

 

「うるの送信メール/その4」補足解説

 ネームに仕上げてから見せることが多いのだけど、このときはシナリオだけを先に送った。

 なんせ時間がないし、一般の人ってネームにしちゃうよりシナリオのほうが具体的にイメージしてもらいやすかったりするのよ。

 ネームのラフ絵だと、かえってピンと来ないの。
 ラフ絵に引っ張られちゃって完成したときのイメージが消えちゃう。
 雑だなぁ、マヌケに見えるなぁとかね、そういうふうに感じやすいんだよね。

 だから文章の「シナリオ」で見せる。

 そこで想像してもらい、それなりの完成イメージを思い浮かべてもらって、それからネームに進むと、その人が思い浮かべたモノが先にあるから、ネームのラフ絵から「その人なりの完成形」を想像してもらえるんだ。

 

お客様からのメール/その5

うるの先生

○○です。ドラフトありがとうございます。
限られた情報でここまで表現してくださって、さすがの言葉しかありません。。

私の目線だけではなく周囲のフィードバックのために、いくらかの感想をもらい、土曜日くらいまでにコメントをさせて頂きます。

どうぞよろしくお願いします!
楽しみです!

(以下、書名)

 

うるの送信メール/その5

うるのです。

> ○○です。ドラフトありがとうございます。
> 限られた情報でここまで表現してくださって
> さすがの言葉しかありません。。

ありがとうございます。
これはマンガ用のシナリオなので、本当はネーム(マンガのコマ割になっているモノ)でご覧頂かないと、実際のニュアンスが伝わらないと思うのですが、どんなものを描こうとしているかは分かると思うので、シナリオ段階でお送りさせていただきました。
絵が加わると、まるで違ってきます。
シナリオでは文字だけだった部分に、目線、表情といったモノが加わると、一気にドラマティックになりますから。

> 私の目線だけではなく周囲のフィードバックのために
> いくらかの感想をもらい、土曜日くらいまでに
> コメントをさせて頂きます。

はい、了解です。
時間はあまりないのですが、それでも焦ってはいけないと思います。
ボクは○○さんを、かっこよく描写しました。
マンガをちょこっと読んだくらいで、その内容をそのまま鵜のみにするほど人は甘くないと思いますが、それでも「これ、本当かなぁ?こういう人がいるんなら会ってみたいなぁ」と思わせることはできるんじゃないかと。
そして、そうなったら、あとは○○さんご自身の人間力の勝負です。
ボクが劇中で描写しようと思った人間力を、出会った人々にダイレクトに伝えてください。マンガがあることで、握りあった手の温度が、ほんのちょっと上がる。そのホンのちょっとが、とても大きいのだとボクは思います。
そういうモノを生み出すのが、マンガの役目なのだと思っています。

ときに、広報は恐ろしい力にもなります。一歩間違えれば、凶器にもなる。
ボクは、広告も本質的には悪魔の技だと思っています。
嘘や誇大広告で人々を惑わすことだって、やろうと思えばできてしまうのですから。
だからこそ、ボクらはデビルマンでなきゃいけない。
悪魔の力を、正しいことのためだけに使う。
自分が使っているモノは凶器なのだという自覚を持ち、どこでどれだけ使っていいのか、倫理観を持たなきゃいけない。法律の枠内なら正しい、などとは思いません。倫理は自分の中にあるものですから。
今回は、正しく使えている、と思っています。

(以下、書名)

 

「うるの送信メール/その5」補足解説

 シナリオは、ツボを突くことができたようだ。
 基本的には喜んでくれている。

 さて、次の問題は「周囲のフィードバック」という奴だな。
 そういう「周囲」ってヤツが厄介なんだよ。

 最後のトコで書いているデビルマン話はボク自身への戒めでもあって、色んな場所で言ってること。
 これもまたシズル感(笑)。

 

お客様からのメール/その6

うるの先生

ありがとうございます。
一点ご相談なのですが、周囲から「もうちょっと人間味があって悩んでいる様子が欲しい、例えば周囲に押されて決めるシーンなど」といった意見がありました(▽▽▽バージョンにあったので印象深いそうです。)

一方で、自分の意思でなく周囲におされて出るような人物では心もとないという意見もあります。
先生は「かっこよく」ということを意識してくださっているので後者かな、と思いますがいかがでしょう?
私はどちらかと言えば後者であり、人間味の部分も先生のドラフト中には十分あるような印象を持ってはいます。

ご意見をお聞かせ頂ければ幸いです。

(以下、書名)

 

「お客様からのメール/その6」補足解説

 ほらほら、出てきたよ、こういう「周囲」が。

 でも、これは想定内だ。
 ボクもそれなりの経験があるから、こういう意見が出るだろうことは予想していたんだよね。

 だからこそ、事前にしっかりとボクの考えを送っておいた。
 依頼者本人が周囲よりボクに賛同してくれるように。

 そして、メールを読む限り、そういうニュアンスでもある。
 周囲の意見を尊重しつつも、惑わされてはいないようだ。

 これなら大丈夫。
 もう一度しっかりとボクの意図を語ってあげれば、腰が据わるはずだもん。

 

(「描く前に全てが決まる編/05」へ→)

 


※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。

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