カソクキッズ2ndシーズン1話:いまさらだけど元素ってナニ?

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新キャラ・モチダ博士登場!

 セカンドシーズンでは、これまでの宇宙や素粒子ばかりじゃなく、物質や生命の謎にも挑戦しなきゃならない。
 当然、その分野の解説役が必要になる。

 今までカソクキッズでは、博士たちがどんな分野を専攻しているのかははっきりさせずにきた。属性を明確にしちゃうと、そこからズレたネタのときに困っちゃうので「何となく博士」で押し切ってきたんだよね。

 でもフジモト博士やタカハシ博士は、どう考えても素粒子論や宇宙論の研究者だ。これまでの言動からして、それは間違いない。ゴマかしようがない。
 となると、この二人に物性物理などを解説させるのでは不自然だし、イマイチ説得力も出ない。

 というわけで、新たなレギュラー博士に登場してもらうことにした。

 それがモチダ博士。

 モチダ博士には、モデルがいる。
 一人じゃなくて、複数の研究者さんをごちゃ混ぜにさせてもらってるんだけど、それでも「あの人」と思い浮かぶモデルがいるんだ。

 これはカソクキッズで初めてのこと。

 フジモト&タカハシ博士には、名前を監修者の中から拝借しただけでモデルはいないんだ。
 こっちで何となく考えたキャラに、後から名付けただけ。

 ファーストシーズン各章に1度ずつ登場していただいた小林誠博士は、モデルどころか実在の人物だけど、その場合も「周囲の人に人となりを大雑把に聞いた上でボクがイメージした妄想の小林博士」であって、実は全然ご本人をモデルにしてないようなもんだったんだ。モデルとしてイメージできるほど、親しくお話できたわけじゃないしね。

小林博士に直接お目にかかってご挨拶させていただけたのは、2013年のこと。カソクキッズの一部をまとめて『マンガでわかる素粒子物理学』という本が出たときに、小林博士帯が推薦文を書いてくださった。それで本が出来上がったときに、献本とお礼を兼ねて研究室に伺い、ご挨拶させていただいたのだ。
小林博士の出勤時間は、どうもカソクキッズの保護者会(打ち合わせ)時間とカブってるらしく、ボクが駐車場に車を停めて歩き出すと、その前を行く小林博士のお姿を目にすることが度々あった。でも声をかけられなくて……なんせ相手はノーベル賞受賞者だし……。なのでニアミスは何度もあったんだけど、実際にお会いしてお話できたのは献本のときだけなんだ。あ、せっかくだから記念写真撮って、本にサインもしてもらったよ(笑)。

 

 ……とにかく、そんなわけで、これまでのカソクキッズキャラには、モデルはいないんだ。キッズたちも含めてね。

 でも、モチダ博士は違う。
 1stシーズン3年間の連載と、その後の打ち合わせなどでお会いした様々な研究者の皆さん。そのときに印象に残った人柄。それらをミックスして「モチダ博士」というキャラになってる。もっとも……そういうのは最初だけで、連載が続いていくとだんだんと「ボクのキャラ」になっちゃうんだけどね(笑)。

 とはいえ、モチダ博士も細かい設定はアバウトなままだ。
 物性関係の研究者ではあるはずだけど、そっちだって専門分野はもっと細かい。生命関係と物質構造では、全然ちがう。
 けど、そういうのがある度に新しい博士を出してたらキリがないんで、フジモト・タカハシと同じに物性物理方面というだけの属性にして、詳しいことはボカしたんだ。

 モチダ博士は、最初から子供っぽい博士として設定してた。博士だけど、性格的にはキッズたちのほうに近いくらい。年長の友だちって感じ。
 性格も明るくて、むちゃくちゃしがちな「じん」などとも良く合う。
 これは、キッズがボケて博士がツッコむというパターンばっかりじゃ飽きちゃうから、その逆を増やせるようにしようと思ったから。

 実際、研究者っていう生き物はオタクなんだ。自分の専門分野のオタク。
 だから、その方向に水を向けるとどこまでも暴走する。喋っていいとなると無限に喋り始める。まさにオタクの生態そのものなのだ。属性が違うだけで、ボクらの眷属なんだよ。
 いや、ありがたいよね(苦笑)。

 とにかく、そんなわけで新たに仲間に加わったモチダ博士。
 最初から暴走気味で登場したけど、この後、どんどんエスカレートしていくのだ。
 ちょっとアブナイくらいのマニアックさも持ってるしね(笑)。

 

原子は1つ1つのこと、元素は属性のこと

 カソクキッズでは、いきなり素粒子に行っちゃって、その手前のスケール=元素については描いていなかった。
 学校では普通は元素のほうを教えて、素粒子はちょこっとしか触れないもんなんだけど、ここでは逆だったんだよね。

 いや、別に避けてたわけじゃなくて、うっかり忘れてただけなんだけど。
 そんで、セカンドシーズンで物性関係も扱っていくと決まった時に、それなら元素について説明しておかないと先々で困るんじゃないの? ということになり、まことにごもっともなので、第1話で元素をやっておくことにしたのだ。

 とはいえ、カソクキッズは漫画であって、勉強じゃない。
 クソ真面目に元素の解説したって面白くない。
 キッズ流に使わなきゃ。

 というわけで、キッズ流に描いた。まぁ、ボク専門家じゃないからね。
 いくら専門の監修者がいるとはいえ、ボク自身はただの漫画家なんだから、キッズ流以外の描き方なんか出来ないし(笑)。

 元素と原子は同じもの。
 例えば水素というのは、水素という原子であって、水素という元素でもある。

 まず最初に引っかかったのは、そこ。

 なんで同じものに2つの呼び方があるんだ?
 なんで別々の呼び方を覚えなきゃならんのだ?

 で、色々教えてもらった。
 原子と元素は何が違うのか。

 元素っていうと化学のお勉強っぽくなるけど、英語ならエレメンタル。こう書くと、いきなりファンタジーな匂いが濃厚になるよねぇ(笑)。

 漫画やアニメには、そういうエレメンタルなキャラやアイテムが山ほど登場する。
 火の属性、水の属性など、とにかくいっぱい。

 そう、元素=エレメンタルとは属性の呼称なのだ。

 そして原子といったら、1つ1つの物質そのもののこと。

「貴様、日本人だな」
 この場合の「日本人」は原子。目の前の特定の誰かを見て「日本人」と認識している。

「くっ、これは……アニメや漫画が溢れる日本人の力かっ!?」
 この場合の「日本人」は元素。

 そういう感じらしい(笑)。

 

お蔵入りになってしまったカソクキッズ的元素周期表

 元素といえば、出て来ざるを得ないのが「元素周期表」だ。
 このときもオリジナルの周期表をつくった。KEKのカソクキッズ掲載ページには、プリントして使える大きな画像サイズのものもアップされてるので、見たい人はリンクをクリックしてね。

 ただ、この周期表は本当は未完成なんだ。
 制作している段階では、もっと細かく、普通の周期表には載ってない情報が含まれていた。

 それは、元素の生まれ故郷
 それぞれの元素が、どういう環境で生まれたか、それを記載してあったんだ。

 言っとくけど、基本的に地球上では元素は作れないよ。
 粒子加速器を使っての元素合成はあるけど、自然にはつくれない。
 元素を作り出すには、地球程度じゃどうにもならない。もっと遥かに大きなエネルギーが必要なんだ。

 例えば、太陽の中心核。
 あるいは、超新星爆発。
 さらに、ビッグバン。

 そういうスケールのエネルギーで、あらゆる元素は生まれた。
 二酸化炭素が増えたとか言うけど、本当に増えてるわけじゃないのよ。これまでは地中などに埋まってたのが掘り返されたりしただけ。
 酸素も炭素も、地球上ではつくれない。増えも減りもしない。宇宙のどこかで生まれて、地球を構成するパーツとなった元素が、循環しているだけだ。

 なので、そういうふうにね、最初につくった周期表には、元素がどういうトコで生まれたかを組み込んであったの。

 けど、それは未だにお蔵入り。

 理由は、どこで生まれたかはっきりと特定できない元素があったから。
 ある研究者の考えでは特定できていても、反論もある。その反論を跳ね返すには根拠が足りない。
 そういうことに途中で気づいてしまい、するとKEKとしては根拠が曖昧なままで世に出すわけにはいかなくて、お蔵入りになっちゃったの。

 7割くらいは特定できてたから、注釈かなんか入れれば出しちゃっていいんじゃないのと思ったけど、やっぱ正確だと言えないものは出せないらしい。

 科学ってキビシイなぁ。

 

新食感おにサンド

 先に触れたように、基本的には地球上で新しい元素はつくれない。
 けど、自然には無理だということであって、人工的につくることはできる。

 粒子加速器を使って元素合成するのだ。
 太陽の中心核とか、超新星とかのような凄まじいエネルギー状態をほんのちょっと(ミクロサイズ)だけ作り出し、元素を生み出す。

 それが元素合成だ。


 周期表の100番台くらいの元素の多くは、こうやって人工的に元素合成して作り出したものが多く、自然界で見つけたものじゃない。
 
 ただ……。

 それを元素と呼んでいいのか、という意見もあった。
 100番台クラスの元素って、すごく重たくて不安定なんだ。元素の状態でいられるのは、ほんの一瞬。すぐに崩壊してしまうんだ。

 確かに一度は1つの元素になるのだから元素には違いないだろうけど、強引にくっつけたという感じもあるのは否めない。

 そういう意見が出て、そのときに監修者の一人が例え話で語ってくれたのが「おにサンド」だった。
 おにぎりとサンドイッチをぎゅ~っとくっつけて新しい食べ物ですっていうのは無理がないかと。

 すごく分かりやすいし、面白い例えだったので、そのまま本編に使わせてもらった。
 すでに描き終えていたネームをぶっ壊して作り直してまで。

 だってさぁ、面白いことに気づいちゃったら止まらないじゃん。
 やりたくなるじゃん(笑)。

 


 こちらが当初のネームの元素合成のシーン。
 たった1コマ。サラっと口頭で解説してるだけで、面白くも何ともない。
 ここがただの解説になっちゃっててつまんないなぁと思ってたところに「おにサンド」の話を聞いたもんだから、もう描きたくて描きたくてたまんなくなり、それでネームを改稿したんだ。そこだけ直すわけにいかず、3ページほどイジることになり、おにサンドのアクションシーンを入れるためにページ数自体も増やした。カソクキッズでは、こういうことが度々あったんだ(笑)。

 


※カソクキッズ本編は「KEK:カソクキッズ特設サイト」でフツーにお読みいただけます!
でも電子書籍版の単行本は絵の修正もちょっとしてるし、たくさんのおまけマンガやイラスト、各章ごとの描き下ろしエピローグ、特別コラムなどを山盛りにした「完全版」になってるので、できればソッチをお読みいただけると幸いです……(笑)

 


※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『カソクキッズ』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。KEKのサイトでも無料で読めますが、電子書籍版にはオマケ漫画、追加コラム、イラスト、さらに本編作画も一部バージョンアップさせた「完全版」になっているのでオススメですよ~~(笑)。

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