延々とつづく「修正」とのつきあい(メール商談ライブ) ~07:反撃~

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お客様からのメール/その28

うるの様

お世話になります。修正のデータ、ありがとうございました。

3ページイラストについているロゴを小さいところも新しく送ったロゴに差し替えてください。指示が足りずすみません。。。

4ページ:1カ所、修正が残ってしまいました。
文字修正をお願いいたします。

お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
(以下、書名)

 

うるの送信メール/その18

うるのです。

修正版、アップしました。

●3P(画像のURL)
●4P(画像のURL)
(以下、書名)

 

お客様からのメール/その29

うるの様

お世話になっております。○○(某大手マスコミ)の☆☆です。

マンガの4ページ目、○○(監修者)から赤字が戻りましたので、修正をお願いいたします。
ここは○○(監修者)にとってこだわりの部分でして、なかなか赤字が終息せずにおります。すみません。

引き続きよろしくお願いいたします。
(以下、書名)

 

うるの送信メール/その19

うるのです。

修正しました。

●4P(画像のURL)

ただ・・・。
すいません、次回からは最終的な校正が出揃ってから、まとめてご連絡いただけませんか?
ウチでは、本当にギリギリの予算しか計上しないで料金を出しているので、こう少しずつ対応していては効率が悪すぎて、ちょっとキツイんです(かと言ってダラダラ対応するわけにもいかないし)。

それに今回は簡単な変更ばかりだから問題にはなっていませんが、これ、正しくは校正じゃなくて「変更」ですよね。
こちらにミスや落ち度がある校正や、本番前のラフ段階での試行錯誤は当然の対応範囲ですが、これは一度GOをもらった後からの「変更」は、本来は校正ではありません。
それでも、もちろん対応しますが、だからこそ、せめて、一度にまとめてほしいのです。

※マンガの場合は、描いてしまった後では直せないことも多いので、それで描く前にネーム(ラフコンテ)を提出しているわけです。
つまり本来は、校正はその段階で終わっている(少なくとも責了になっている)はずなのです。

まぁ、今回のモノは、確定した校正が終わらないうちに作画を進めていた部分もあったかと思うので、変更が続くのもやむを得ないと理解しているのですが、でも、こうポロポロが続くと、ちょっと・・・
なので、どうぞ、ご一考いただけますよう。
(いや、どっちにしても完了するまではやるんですけど・・・)
(以下、書名)

 

「うるの送信メール/その19」補足解説

 とうとうキレた。
 だって、あんまりチョボチョボと何度も何度も直しが来るんだもん。

 2ページ2コマ目のセリフ「あ」を「い」に、といった直しがバラバラに来る。
 その度に漫画データを開いて変更して保存し、バックアップを取り直し、JPEGなどに書き出し、アップロードして連絡という作業をしなきゃならない。

 1つ1つの作業は簡単でも、それに関わる度に他の仕事の手が止まる。
 集中できない。煩雑でやってられない。

 それに、ミスなどの修正ならどんな事情があろうが文句言えないけれど、修正の多くは「変更」なのだ。
 つまり気が変わったというヤツ。前回はOKだったことがひっくり返されているのだ。

 ボクはエスパーじゃない。予定にないことまでは責任の負いようがない。
 いやエスパーで未来を予知できたとしても、その未来自体が常に揺らいで変動するのだし、先回りして次の次に起こるはずの変更に対応しても、それを見せる「今」の段階では正しくないのだから、やはり意味がない。

 気が変わった、などということに振り回されるのはごめんだ。

 だから、それを言わせてもらった。
 筋が通らないぞ、勝手すぎるぞ、と。

 ここまで言うことは滅多にない。

 他の取引先だって、こういうことは指摘しないものだ。
 腹の中ではそう思っていても、面と向かっては言わない。
 カドが立つからね。

 それをあえて言う、ということは、カドが立っても構わん、という意思表示だ。
 こんなやり方を続けるつもりならオリるぞ、ということ。

 なんせ他の仕事に集中できずに困っているのだ。
 それなら、効率の悪い仕事は切っちゃったほうがマシ。
 一時的に赤字をこうむっても、傷口が広がらないうちに不採算部門を切り捨てたほうがいいのだ。

 そこまで考えて伝えた。
 文面はおとなしく遠慮がちだけど、本人までおとなしいわけじゃないのよ。
 ボク、本当は気が短いんだ。

 もちろん、これだけ進んでオリるなんてのは嫌なので、そうはなりたくないのだけど、カドが立つかもしれないコトに切り込むからには、多少の覚悟は必要なんだ。

 で、今後のためにも、ここは思い切って言うべきだと判断したわけ。

 

お客様からのメール/その30

うるの様

お疲れさまです。
修正を確認いたしました。ありがとうございました。
校正の回数が多く、大変ご迷惑をおかけしております。
引き続き、よろしくお願いいたします。
(以下、書名)

 

お客様からのメール/その31

うるの様

お世話になっております。○○(某大手マスコミ)の☆☆です。

ご請求書を受け取りました。
お送りいただきましてありがとうございます。
今月中に対応させていただきます。

1点、マンガのデータについて、ご確認をさせていただければと思います。

マンガページは念校としてお客様に提出をしているのですが、実は、文言部分での最終の赤字がこの後入ってくる可能性が出てきました。
というのは、○○(監修者)サイドで最後の室長確認が行われているとの情報が代理店から届いておりまして、場合によっては修正があります。

そこでご相談なのですが、うるのさんのお手元にあるデータがもしこちらで修正可能なイラストレータなどのソフトで作られたものでしたら、こちらにそのデータも納品いただき弊社で対応できないかと思った次第です。
度々の修正で本当に大変なお手数をおかけしてしまっていますので、こちらとしましても手立てはないものかと思っています。

制作データを渡すということも、もしかしたらタブーなのかなと思うのですが、あくまでマンガの制作の世界を少しでも勉強させていただけたらと思いお聞きしております。

そして、さらに謝らなければなりませんが、校正回数が膨らんでいることに気が付いていたのですが、先方の赤字を1本化することがなかなかできず、パラパラと今回のこのような進行になってしまい大変申し訳なく思っております。すみません。

ご迷惑ばかりで頭を下げ続けるしかありませんが、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
(以下、書名)

 

「お客様からのメール/その31」補足解説

 やはり「監修者」が問題の原因だったか。
 編集や校正に慣れていない「偉い立場の人間」がやっているのだろう。

 そして、それに逆らえない。
 ボクの予想通りだった。

 でも、この担当者はボクの言い分も理解している。
 修正ならともかく変更を何度も繰り返すのはヒドイとわかっている。

 それでも「監修者」に、そうは言えない。
 そこでデータを引き上げて、自力で対応しようと考えたのだろう。
 これ以上、ボクに無理をさせられないし、やってくれないと思ったのだろう。

 この担当者からのメールの冒頭に書かれているように、ボクはこの時点ですでに請求書を発送している。

 大抵の場合、請求書を送るというのはフィニッシュしてからだ。
 つまりボクはフィニッシュと見なしている、これ以上は冗談じゃねぇと三行半を送ってきたと受け取ったのだろう。
 前回に厳しいメールも送っているしね。

 ふむ、ちゃんと気にしてくれたか。

 ならば、こっちの返事は決まってるな。
 

 

うるの送信メール/その20

うるのです。

まず、何度も修正が出てしまうことについてですが「できれば一度にまとめてほしい」とお願いしましたが、それができない場合だってあることは重々承知しています。クライアントが妙にウルサイ、とか(笑)。

ですから、どんなに面倒でも、採算が悪くても、止むを得ないなら止むを得ないのですから、あまりお気にされないでください。
この案件は、どうしても何度も細かい修正が出てしまうから我慢して、と言うのであれば、ちゃんと我慢しますから。
あくまでも「できれば一度に」ですから、できないなら仕方ないのです。☆☆様だって修正したらチェックしなきゃならないんだから、ボクにイジワルするために修正回数を増やしているわけではないはず。
それなら一緒に頑張るしかないわけですよ。
少なくとも、この仕事をしている間は、私たちはチームですから。
仲間が我慢しているのに、一人だけ我儘は言えませんよ。

「まとめてくれ」とは言いましたが、それができない、難しいのなら無理は言いませんから、ご安心を。

ただ、ボクのことは気にしなくてもいいのですが、簡単な文字直しでイチイチ、ボクにバックしなくてはならないのは効率が悪い、というのはあるかと思いますので、オリジナルデータをお渡しするのは、全然かまいません。

※業界的にはオリジナルデータは渡さない方針が多いようですが、ボクは渡しても問題ないです。同じクライアントに使うなら、再利用も、場合によっては改変も、全部認めていますし、追加料金をいただくこともありません。
(そんなコトで細かい代金をいただくより、気持ち良く使ってもらって、新たにお仕事をいただくほうがいいですから)

さて、そういうわけでオリジナルデータですが、これはフォトショップで描かれていて、何十段階ものレイヤーに別れています。それを1つのレイヤーにまとめてから納品しているわけですが、元の状態のままではレイヤーが多すぎて混乱してしまうでしょう。ファイルサイズも大きなものですから扱いにくいですし。

そこで、文字以外のレイヤー(マンガ部分)を1つにまとめ、文字だけは変更可能な状態にしたデータをアップしておきました。

ただし、これを御社で変更すると、御社のフォント環境に応じてフォントが置き変わってしまう、という問題があります。
ですから、もし御社で文字を変更するのなら、文字の全てを御社のフォントに指定し直す、というステップが必要になると思います。

作品によっては、セリフのニュアンスに合わせて様々なフォントを使い分けたりするのですが、今回の場合はゴシック2種類しか使っていないので、同様のフォントであれば違和感はないはずです。

※ちょっとだけ面倒くさい作業なので、それで大抵の場合はウチで文字校正まで担当させていただいているわけです。

※セリフを全部消してしまって、マンガ画像を別途イラストレーターに配置した上で文字はイラレで入力する、というのが一番対応しやすいだろうとは思うのですけど、そのへんのことはお任せします。

というわけで、以下、文字変更可能なPSDデータです。
(PSDだから、ちょっとファイルサイズが大きいです)

●1P(データのURL)
●2P(データのURL)
●3P(データのURL)
●4P(データのURL)

<参考:マンガのオリジナルデータ>
ウチのマンガのオリジナルデータは、実はバラバラに作った絵の集合体です。例えば、キャラクターなら、キャラだけを別途描いたデータがあって、背景も同様です。
それをネーム(コンテ)に基づいて、マンガにレイアウトしていくわけです。
これは、少しでも校正や修正に対応しやすくするための工夫であり、また全ての着色などを1つのデータ上でやろうとすると必要とするレイヤーが何百段階にもなってしまって効率が悪いというのもあります。だから実は1ページに6コマあるマンガなら、6つのキャライラストを別途で仕上げ、それを組み込んでいるわけです。

ただ、ちゃんと定位置に置けばいいというだけではなくて、配置した上で背景と馴染むように調整したりしなくてはならないし、背景、フキダシ、キャラクター、図解、枠線が複雑に上下関係を持っているため、最終形態までフォトショップで行います。

イラストレーターでマンガを描くこともできるのですが、イラレで今回のようなタッチを再現しようとすると、とてつもなくデータが細かくなってしまい、作業時間も膨大になり、印刷データとしても扱いにくいものになってしまうので、フォトショップなのです。
(もっと単純な線だけのモノや、キャラだけのカットなら、イラストレーター仕上げも珍しくないです。イラレで問題ないなら、そのほうがDTPで扱いやすくなりますから)

なおセリフ類だけは、本来は、後からイラストレーター上で加えるほうがいいのですが、お客様の誰もがDTP技術を持っているわけではなく、セリフと絵がバラバラだと扱いづらい方も多いため、基本的にはセリフも組み込んでいるわけです。
(それにセリフだってレイアウトの一部であり、どこで改行するか、どの位置に、どんな大きさで入れるかなどレイアウト力を必要としますし、マンガ独特の部分もあります。適当に入れればいいというものではないです。それができる人が納品先にいるとは限らないので、できるだけ、こちらで対応しているわけです)

(以下、書名)

 

「うるの送信メール/その20」補足解説

 厳しい意見を言って、それを考慮してくれた。
 考慮しつつも対応できないので、担当者は自分で抱え込むことにしようとした。

 でも、そんなことはさせられない。
 気持ちをわかってくれたのなら、それでいいんだ。

 事情はわかった。そっちも泣く泣くやっていたんだろ。
 本当はそうしたくないのに、我慢してたんだろ。
 そうなら、お互いに仲間だ。

 仲間に厄介事を押し付けて自分だけ逃げるような真似を、誰がするものか。
 アンタが頑張る限り、いつまででも付きあってやる。
 その「監修者」が黙るまで、根比べしてやる。
 熱血ヒーローに囲まれて育った世代をナメんなよ。

 ……という気持ちでメールを書いた。

 ただし、こんなのはボクの側の感覚で、アッチはそうじゃなくて、単にボクにこれ以上文句言われたくないだけかもしれないので、メールの後半では「データ渡してもいいよ」と書いてあり、実際に「文字変更可能なPSDデータ」もアップロードしてあげた。

 でも、渡してあげても扱えないはずなのだ。

 漫画の原稿データって複雑だし、ファイルサイズも大きい。
 それにセリフだけだとしても、レイアウトセンスは必要だ。
 素人が気軽に扱えるようなシロモノじゃない。

 実物をアップしたのは、それを理解させるためだ。

 クチで言うだけじゃ分からないだろうから、実際のモノを与えて、こりゃ無理だと分からせるためなんだ。

 

お客様からのメール/その32

うるの様

ご連絡ありがとうございます。

チームと思ってこの仕事に向かってくださっているうるのさんのお気持ち、大変嬉しく感激いたしました。本当にありがとうございます。

時間がだんだん押してきている状況の中、校正回数をなかなか制御できず、きたものにすぐ対応という進行になってしまっているのが現実です。

来週の水曜日には校了の予定ですので、そろそろ赤字も終息を迎えそうな気配ではあるものの、このマンガのページは○○(監修者)の思い入れが一番強いページでもあり、他のページよりも校正回数が増えていて、いまだ継続中です。

いただいたオリジナルデータを確認させていただきました。
やはりフォントの部分でひっかかってしまい、フォントを置き換えるにも文字ヅメの問題や太字細字の位置などの問題で、こちらでフォントを置き換える作業はリスクが高いことが分かりました。

うるのさんの説明にありましたレイヤーについては、そんなにたくさんの階層に分かれているとは今まで知らずにいましたので、うるのさんの説明で構造が分かってきました。
いただいたデータは絵と文字のみのシンプルなデータに仕上げてくださって非常に確認がしやすく助かりました。ありがとうございまいした。

入稿スケジュールから見て、この後の修正は少ないと思われます。
この後の修正についても、できればうるのさんにお願いしたく、うるのさんのお言葉に甘えさせていただいてもよろしいでしょうか。

なるべく赤字はまとめるように進めたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
(以下、書名)

 

「お客様からのメール/その32」補足解説

 予想通りになった。

 漫画のPSDデータを自分で扱うのは無理だとわかったらしい。
 これからも、ボクが直し続けることで納得したようだ。

 それでいいんだ。

 色々あって困ってたんだろ。正直に言ってくれればよかったんだよ。
 気にすんな。たくさんの制作者の中から、ボクを選んでくれたんじゃないか。
 こっちだって感謝してるんだ。

 それにしても、漫画の部分が「監修者の思い入れが一番強いページ」だったとは知らなかった。
 てっきり、頭の固い偉い人が「漫画なんて!」とツッコんでいるもんだと思ってたんだけど、そうではなかったらしい。

 う~む、意外な展開だなぁ。


後日判明したことだが、その「監修者」が漫画で紹介する企画を立てたのだそうで、ウチの作例を見て信用して任せてくれたらしい。
 つまり頭が固いんじゃなくて、逆に漫画に思い入れがありすぎて、結果的に引っかき回してしまっていたわけだ。
 いや、そういうタイプはそういうタイプで厄介なんだけど、でもボクが思っていたような嫌なタイプではなかったようなので、この後の修正は気持ち良く対応できたよ。

 

(「延々とつづく修正とのつきあい編/08」へ→)

 


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