依頼者との交流編07(メール商談ライブ)

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うるの送信メール/その8

うるのです。

長くお待たせしてしまったように思いますが、○○版コミック、ほぼ完成といっていい状態になりました。

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■○○版コミック/全3話(URL)
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以前の「ネーム」をそのまま差し替えていますので、お使いのブラウザのキャッシュ機能によって古いモノが表示されてしまう場合があります。
もし画像がネームのままだったら、再読込してください。
最新の画像が表示されるはずです。

前回、校正をいただいてから自分で勉強し直したりして、○○に対する理解が少し進んだと思います。
2話までのネームをまとめた段階では、○○とは○○だと思い込んでいて、そのせいで「○○」や「○○」についての解説がオカしくなっていたんですよね。
他にも○○検定の意味を間違えていたり。
そうした部分を全部見直しながら作画を進め、上記URLのようにまとめました。

まだ何か課題があるかもしれませんが、大きな問題はない状態にはなったのではないかと思っております。

ご確認が終わって、マンガ部分に問題がないとなったら、後はWEBサイトとして公開するための画像データを作るだけです。
すでにそちらの作業もほとんど終わっているので、さほど時間をかけずにフィニッシュすることができるでしょう。

また納品時には、マンガ自体も印刷版として使えるようにまとめてお渡しします。
印刷版では、各話ごとのタイトルスペースを加えることで、1~2話が各6ページ、3話が5ページという構成でまとめられると考えられるので、これに「おくづけ1ページ」を加えると、表紙込みで16ページの冊子としてお使いいただくこともできると思います。

■付記:ご意見フォームについて

1)フォームの項目
単に意見を書いて送信するだけ、というのなら簡単ですが、集まった意見のデータを意義あるモノにするためには、意見に加えて「年齢」「性別」くらいは書いていただくべきでしょう。
他にもいくつか考えられますが、あまり項目が多いと、それ自体が心理的な障壁となって、面倒がって書いてくれなくなる可能性が高くなるので、最低限の情報のみでいのではと思います。(年齢も、小学生、中学生、10代、20代、30代、といった選択肢でいいのではないかと)

名前や住所などの個人情報は書かせないほうがよいと思います。
そうした項目があると、それだけ躊躇しますし、そこまで聞いたら、聞いたことに対する責任も生まれ、データ収集というだけでは済まなくなりますし。

2)フォームのシステム
送信フォームなどを動作させるには、WWWサーバのシステムがそれに対応しているかどうかの問題があります。
よく見るCGIを使うタイプの送信フォームの場合は、サーバの「sendmail」というプログラムがどこにあるか、そのアドレスなどをCGIプログラムに書かなくては動作しません。
こうした部分はサーバ管理者でないとわからないことで、○○○○研究所などの場合、外部事業者がWEBサーバにアクセスするわけにはいかないハズですし、こちらにサーバ情報を漏らすわけにもいかないだろうと察します。
このため、こうした部分をどうするかという問題があるわけです。

当方で確実に対応できる方法としては、以下のようなモノが考えられます。

■送信フォーム自体は、当方のWEBサーバに設置する
この方式なら確実です。フォーム自体は、○○○○研究所サーバにアップロードされたマンガWEBページのインデックスページ内に表示させるのが最もよいと思っていますが、そのフォームだけを外部から読み込んでいただくわけです。
この方法なら、セキュリティの高いサーバでも何の問題もなく、フォームが稼働するはずですから、納品したデータをアップロードしていただくだけで済むと思います。

■グーグルなどのフォームサービスを利用する
フォーム自体が外部のものという点は同じですが、当社サーバではなく、グーグルなどを利用するという点が異なります。
こちらの方式のメリットは、送信フォーム自体のセキュリティです。
ウチのような小規模事業者と違ってグーグルのような大手であれば、無料版であっても、それなりのセキュリティを設定しているので、そうした点での安全性、信頼性は高いと考えられるでしょう。
デメリットは無料版であるが故に、フォーム画面に広告などの○○○○研究所と無関係なモノが表示されてしまう可能性もあることでしょう。
運用の手軽さなどは、当方のサーバを使う場合と大差ないと思いますが、セキュリティ面ではグーグルのほうが上だと思います。

こうしたフォームのセッティングに関しては、こちらで一方的に仕様を決めるわけにはいかない部分なので、ご要望を伺った上で対応を考えさせていたければ、と思います。(普通のCGIフォームで問題なければ、あっという間に終わることではあるのですけど)

(以下、書名)

 

「うるの送信メール/その8」補足解説

 このメールでは、漫画の話よりもご意見フォームをどうするかのほうが中心。

 ええ、漫画の案件ですけどね、こういうことに気を配るのもお仕事の一部なんですよ。

 何度も言うけど、漫画の仕事だからって漫画描けば終わりじゃないの。

 仕事の量としては漫画が9割で他のモロモロ全部合わせて1割でも、工程としては漫画が終わっただけでは10分の1に過ぎないみたいなモン。
 自分でやろうが他の人がやろうが、とにかくモロモロ全部を解決しない限りはフィニッシュには決してならないし、フィニッシュしない限り、代金も受け取れないの。

 だからボクは、どうなるか分からない他人なんかアテにしないで、自分で全部やるようになったわけ。

 

お客様からのメール/その8

うるの様

お世話になります。
28日は出張のため、返事が遅くなり、申し訳ありません。
(ほぼ)完成版のマンガ、楽しみです。内容を確認させていただき、最終的なものにできればと思っています(今回のメールには、添付書類や URLはないようですね)。

また「ご意見フォーム」についてもご心配いただき、ありがとうございます。私のほうでは、○○○○研究所で契約しているアンケートサーバーを使うする予定です。年齢をはじめ、いろいろなことを選択肢や自由記載という形で書き込んでもらうことができます。ただし、悩ましいのは、無記名 にしてもIPアドレス等の個人情報も同時に収集されることです。これは、やむを得なことなのかもしれませんが。
 
12月1日、2日は、出張のため、留守にします。戻り次第、ご連絡いたします。
よろしくお願いいたします。

(以下、書名)

 

うるの送信メール/その9

うるのです。

URL、メールの最初に書いてありますよ。
コレです。
このURLで、完成したマンガの全部をお読みいただけます。

> _____________________
> ■ガイドコミック・○○版/全3話(URL)
> _____________________

マンガについては、すでに制作作業は終えていて、後は校正待ちという段階だと思うので、正直、いつまででも待てるのですが、できれば今月中に納品させていただければ・・・とも思っています。
(これは、あくまでもコチラの希望なのですが)

KEKの例でも、他の一般企業の場合でも、ウチで作った作品は、納品後であろうがウチが存続する限り、いつまででも修正対応し続けています。
KEKなどでは公開から数年経ってから解釈の誤りが見つかって直したといったコトも度々ありますし、新発見によって過去の記述が改訂されたこともあります。
そうした場合でも、基本的には無償で対応(セリフ修正で対応できる程度であれば、ですが)しています。

こちらの責任でない部分で作画自体のやり直しとなった場合は修正代金をいただきますが、セリフや文章の改定なら代金はいただいていない例が多いです。
これは一部のセリフを直す程度なら、せいぜい100円とか500円といった代金でやれてしまうのですが、500円という請求書では、振込手数料のほうが高くなってしまい、事務手続き経費を考えると請求しないほうがマシになってしまうんです。500円で済むモノを何千円に水増しして請求するというわけにもいきませんし。
なので、対応はするけれど代金はいただかないということのほうが多いんです。損をしているようですが、そうやってサポートを続けることで、また次の案件を手掛ける機会をいただけることのほうが大きいですし、自分の作品である以上、それをよい品質に保ちたいというのは作者としても当然のことですので、それでいいと思っています。

今月中に納品しておきたい、というのは、恥ずかしながら、そうでないと、ご請求が出せなくて苦しいからでして・・・。
個人業の厳しいところは、給料のように決まった収入がないってコトで、数カ月かかる仕事ということは、給料は数ヶ月後にまとめて・・・で、それまでは無給っていうのと同じなので、仕事があってもなくても、それなりにアレコレなんです。
ウチは長年やっているので、定期的になんらかの入金があるコトが多く、そのおかげで凌げていますが、そういう基盤が機能するまでに10年以上かかりました。その基盤を削って自分たちの生活費とスタッフへの支払いを続けて、まとまった仕事の入金があると、ようやくリセットされて一息つける。その繰り返しです。儲かるというより赤字をリセットする程度ですけど(苦笑)。

今年は1つの案件に取り組む期間が長い仕事が重なったせいもあって、今はかなり厳しい状態になっていまして、1つでも早く納品・ご請求に回したい、というのがあるのです。
そういう仕事が重なってしまうこともあるのも、この仕事の厳しいところですね。でも厳しいからって逃げていてもどうにもならないし、そういう商売と承知してやっているわけですから、何とかしてやるしかないわけです。前金で払っていただけるケースは滅多にないですし。
今は10カ月近くに及ぶ案件を抱えていて、この例だと10カ月分の労力や経費が1年以上受け取れないことになってしまうため、新人だったら能力以前のところで受注自体が無理な案件でした。

—-以下は、余計な蛇足です(笑)—-

多くのマンガ制作者は、そうした基盤が弱いか、まったくないかのどちらが多いので、力はあっても引き受けられないというケースも少なくないです。仕事を仕上げて代金を受け取れる日まで持たないんです。だから実力はあっても実際にはやれない。
漫画家を給料で支える会社は、日本にはほとんど存在しません(※注1)し。(欧米では逆に、ほとんどのプロ作家がプロダクションに所属しているんですけど)

ウチもそれほどしっかりしているわけではないのですが、それでもギリギリなんとか継続できる状態にはなってきました。
マンガを描く、仕事をこなす以外に、事業継続のための基盤を整えていくという部分に多くの時間を割いていかないと、いくら仕事の腕がよくでもダメになってしまうし、年老いて体力が続かなくなったときには、食えなくなってしまいます。
30代での働き方、60代以降の働き方などを考えて、その年齢のときに、その年齢でやるべきことがやれるように下準備をいつもやっていないと生きていけない職業だと思っているので、そのことには、作品を作る以上に気をつけている部分(※注2)があります。

そして、そういう部分をちゃんと考えている漫画家って、あんまりいないんですよ。だから大ヒットして、そんなコトを考えるまでもないレベルに到達した者だけが残る。ヒットのチャンスは誰にでもありますが、その日まで生き延びられないとダメなわけで、だから売れっ子漫画家には若者(20~30歳程度)が多いんだと思っています。若くしてチャンスを掴めた者しか残りにくい。才能があっても、若いうちにチャンスを掴めなかったら消えていくしかない世界(※注3)なんです。

ボクは、それは才能の損失だと思っていて、ヒットがなくても、それなりに生活していける漫画家というモノを目指しています。
それができれば、じっくりと腰を据えて、その人なりのチャンスが来るまで頑張れる。歴史的な人物でも、晩年になるまで認められなかったというケースは少なくないのです。
その人の「時」がいつなのかは、誰にもわからない。
大事なのは、その「時」が来るまで踏ん張れるかどうかだと思うのです。

これまでマンガ業界というのは出版社が主導していて、それは売って売って売りまくって、売り切ったら次の者に切り替えるという方式です。漫画家は使い捨てになっていて、すぐに売れる者は優遇するけれど、そうでない者は切り捨てられてしまう。
コツコツと継続していく道というのが、ほとんどなかったんですよ。大当たりするか廃業(もしくは貧乏前提)かの二択みたいなモンなんですね。
ボクはそれに否を唱え続けているわけです。
そうではない道(※注4)もあるはずだ、と。
出版社に依存しなくても、漫画家はやれる。そして、そういう形でも誇り高く、やりがいも持って続けていけるはずだ、と。

漫画家はクリエイター(創作者)であり、商売人ではないのですが、だけど全ての漫画家は個人事業主なんです。先に触れたように漫画家を雇う会社なんてないのですから。(芸能人だって今は「社員」の時代なのに、マンガ業界はそういうコトに取り組まずに来てしまいましたし)
個人事業主なのに、出版社や代理店に依存して自分では事業に向きあってない。それが漫画家の最大の弱点だと思います。
だから、その問題を解決していかなきゃいけないんです。仕方のないことだと諦めないで、やりようがあるんだと気付かせたいと思っています。

クチで言うだけでは机上の空論と言われるでしょう。
有名作家が言っても、有名人だからだと言われるでしょう。
だからボクが言うんです。自分でやってみせるんです。
ボクは漫画家として有名人ではなく、大ヒット作品を持っているわけではありません。コネも資金もありません。
そういう者が、ヒットしなければ消えていくしかないハズの世界で30年生き延びていて、今も仕事を続けているというのは、同じような境遇の人たちの希望になるはずだと思っています。
自分の仕事のしかた、経験は、そのまま次の世代が自分の将来を考えるときの参考になるはずだと。

ボクのようなやり方をしている漫画家は、ほとんどいません。
だからボクを知って、話を聞きに来る漫画家さんも時々います。
そして、そんなやり方もあるのかと驚かれます。
ボクはこれからも、コツコツとやっていける漫画家、才能を使い捨てにしないやり方を目指しますし、スタッフにもそうした力をつけてあげたいと思っています。
その形を整えて、いつかノウハウを公開し、誰でも努力次第では、その人なりの漫画家を続けられるようにしていきたいと願っています。

ボクは、自分の仕事には、自分だけのことではなく、漫画家を志す全ての人に関係する大事なモノがあると思っています。
10代、20代の若者が漫画家になりたくて出版社の門を叩く。出版社も、新人賞などを用意して、若者に呼びかけている。
だけど、漫画家になるというのは、ロクな社会経験もない若者が、いきなり個人事業主になるということなんです。従業員でさえ満足にできないのに、社長になって経営を考えなきゃならないんです。そういう現実には一切触れずに「漫画家=夢」ばかりを語るのはオカしいと思っています。
漫画家になるというのは、自分の経営を自分でできるようになるということのハズなんです。

そもそも漫画家としてデビューできるのは数千人に一人で、ヒットするのは数万人に一人です。次々にヒット作が出ているように見えるけど、それは分母が大きいからであって、実際には大半の者はニートのような状態なのです。そういう世界なのに、そのリスクには一切触れずに光の面だけをアピールするというのは、しかも未成年者向けにというのは、どう考えてもいいことだとは思えないのです。

ボクも30年前、そういうコトを何も知らずに漫画家になりました。そして紆余曲折の果てに、今のポジションを見出しました。
今も、漫画家は素晴らしい仕事だと思っています。
なれてよかった、続けてこれて幸せだと思っています。
だからこそ、その素晴らしさを多くの人に体験してほしい。
そのためには、それを感じられるときまで生き延びなきゃいけないんです。愚直にコツコツとやって、そのコツコツの中に素晴らしいものがあると気付くしかない。ヒットしてチヤホヤされることだけが幸せじゃないんだということは、自分で体験しなきゃわからないですから。
ヒット優先の世の中ですが、ボクはそれ以前に、まず生き続けることだと思ってます。ヒットしなくても生きることは出来る。
それを確立した上で、先を目指せばいい。漫画家である自分を捨てずに生きていれば、いつか何かに届く。そう思います。
そのためにボクは生き延びて、漫画家であり続けて、こういうやり方もあるんだと、多くの人に見せていかなきゃいけないんだと思っているのです。

(以下、書名)

 

「うるの送信メール/その9」補足解説

 さて、このメールについては、色々と補足が必要だろう。
 実際、そんなコトまでお客とのメールに書くの? というような内容だしね。

 むろん、普通は書かない。

 この例の場合は、そこまで書けるほど親しくなれて、かつ先方もコチラに興味を持ってくれた(講演を依頼するほどに)からこそなんだ。

 前半では「もしも、まだ修正が出るとしてもソレもキチンとやるから、この状態で納品と見なして請求を出させてほしい」とお願いしている。
 これも、そういうお願いができそうだと思える相手だからこそなんだ。

 本当は、メール文中にある「1年以上も支払いを待たなきゃならない大きな仕事」のほうこそお願いしたい案件なんだけど、そっちは、そういうことが出来そうにない相手だったのよね。いや普通は出来ないからソレでアタリマエなんだけど。

 でも、自分をさらけ出して、わかりあって、情も感じてもらえるようになるってのは、実はけっこう大事なんだ。
 ビジネスは情では動かないけど、ビジネスを動かしてるのは情のある人間だからね。

 この件では先方は迅速に対応してくれた。

 科学研究をテーマにした作品なんてのは、そもそもがチェックに時間がかかることが多いし、後になってから見落としに気付いたり、誰かの意見で解釈の調整が必要になることだってある。
 その都度、予算を計上しなきゃならないようでは危なっかしくて、こうしたコンテンツはやりづらくなってしまう。

 なので、そうした部分をキッチリ初期費用内でアフターケアするよと明言しておけば「その時点での完成品」と見なして受理してくれることも少なくないのよ。

 その後の「余計な蛇足」は、本当に余談だ。

 今回は漫画の講演なんていうオマケオファーまであったし、研究者の世界もね、漫画家に負けず劣らず色々と大変なので、担当者さんはけっこう共感してくれていたんだよね。メールではなくて、電話や直接対面したときに、その手の雑談をたくさんしていたの。

 なので、その総括という感じで、メールに付記しておいたんだ。

 こういうことまでお客と話しておくのも、ボクは大事だと思っている。
 そこまで話し合える関係になるのは難しいけれど、そうなりたいと思ってお付き合いしていると、チャンスが巡ってくることはある。

 そして、そうした「コチラ側の内情」的なコトを伝えて、理解を深めてもらっておくと、次の仕事(ボクが引き受けるとは限らない)のときに、受注者に無理をさせないように考えてもらえたりするんだ。
 そういう気遣いや配慮ができたほうが有利だと分かれば、そうしてもらえる。

 そういう人を一人でも多く増やす。

 漫画の広報企画なんてのは、個々で考えればレア案件だ。
 ボクは毎月のように描いているけれど、発注側で考えれば何年に一回あるかどうかのプロジェクトなんだ。

 だから、どこかで誰かがやったとなれば注目されたり、相談されたりしやすい。
 たった一人の担当者でも、その人からの広がりはバカにできないんだよ。

 なので、その起点になる人をコチラ側に引き寄せておくこと、理解者に育てていくことは大事だ。
 チリが積もって大きなモノになるんだから。

 そもそも、この案件だってKEKで『カソクキッズ』を描いていたからこそ声が掛かったわけで、『カソクキッズ』が成功したのは、その裏側で関係者が漫画と漫画家を理解しよう、尊重しようと努めてくれたからなんだ。
 そういう人たちに出会えること自体が奇跡なのだけど、そうだからこそ良い結果を出せた。

 ならば、結果を出したいなら、それを見習うほうがいいに決まっている。
 それで当事者にしか分からない色々な話をして、コッチ側に呼び込み続けてきたわけ。

 ちゃんと望ましい結果を導いた実例がある。
 だから、そのときと同じようにやらせてくれ。
 漫画家を理解し、信じてくれ。

 そう言い続けた。

 その最後の一押しとしてね、今回の案件のためだけじゃなく、漫画という仕事、漫画家という職業そのもののコトを書かせてもらったんだ。
 あくまでも「蛇足」として。

 蛇足な余談とはいえ、そういうコトまで言えるトコまで関係を深めるのって大変なのよ。
 けど、大変でもやっておくと、ジワジワと効いてくるものなのよ。

 なお、この蛇足には色々とゴーインだったり、言い過ぎだったりする文言を含んでいる。
 一般人で漫画ファンでもない人相手だから、多少オーバー気味に書いている部分はあるからね。

 なので、そのへんについては、以下に注釈を付記しておく。

 


※注1:
 実際には「存在しない」は言い過ぎ。わずかだけど、漫画家を正式社員として雇う例がないわけではない。でも、それで安定して恒久的にやっていけるとも思えないし、給料がすごくいいという話も聞かない。それに数が少なすぎる上に雇用が増える可能性もほぼゼロだと思うから「ない」と言ってもいいレベルだと思う(そもそも漫画家って勤め人に向かない性格だしねぇ)。

 

※注2
 スタッフを入れてグループ制作をやっているのも、その1つ。今の段階では、むしろ一人でやっているほうが効率がいいのだけど、いつかは自分だけで必要な仕事量をこなしていくのが難しくなっていくのは目に見えている(仕事が順調だとしても、ある年齢以上になれば加齢による体力の低下なども考えなきゃならないし)。
 だから、キツくても仲間と一緒にやって、そのカタチで全体を支えていけるようなワークスタイルにしていこうと考えた。本当にキツくなって余力ゼロの状態でソレをやるのは無理だと思えたから、キツさに耐えられる年齢のうちに取り組んでおこうと思ったの。ボクが老いてぶっ倒れても、家族やスタッフが食っていける道を作らなきゃならなかったから「特定の作者(自分)に依存しない部分」を育てなきゃ、と。

(まぁ、それでも結局は作者というコアがあってのコトではあるので、次世代のコアを育てていって、ソッチが十分に育ったら、今度はボクのほうがアシストに回るとかね、そういうコトでもいいなって思っているんだけど)。

 


※注3
 もちろん、大ヒットでなくても長くお仕事を続けていらっしゃる先生も大勢いて、ボクはその人たちを尊敬している。
 ただ、それだけ踏ん張れる人はレアだ。漫画家志望者や新人の大多数は、プロの世界で踏ん張れない。その踏ん張る力を才能と呼ぶのだろうとも思うのだけど、事業=ビジネスとして捉えると、才能頼りでない部分も持っていないと継続性が危ういとも思っている。妻子を抱えて10年後も20年後もやっていけそうなビジョンを描けるレベルでないと、踏ん張り続けるのは難しいと思うんだ。
 自分は夢があるから踏ん張れても、家族まで巻き込むのってキツいもん。

 


※注4
 最近は売れ筋でない作家、個性的すぎる作家は世に出にくいと感じている。
 1万部売るのも難しいだろうと思われたら、最初から描かせてもらえないしねぇ。
 でも、そういうレアな作品が好きな人もいる。出版社の読み通り、1万人以下しかいないとしても、いることはいる。出版社の商業規模で考えたら、その人たちを対象に商売はやっていけないというだけで、作家単位で考えれば、その作家を支え続けられる程度には、いると思うんだ。

 500円の本を10万人に買ってもらい、作者は10%の印税=500万円を得る、というのが基本的な出版のやり方だけど、印税率がもっと多かったり、作者自身の自費出版&直売(つまりは同人)だったら話は違ってくると思う。
 例えば印税が30%だったら、3分の1の読者でも同じことだ。そういう本が3冊あれば、さらにその3分の1でいいことになる。

 


 ボクは広告業というのを就職と同じように考えている。
 月1万円しか給料をもらわないけど、1万円分だけ働けばOKだから、同時に何社にでも就職できる。
 100社に就職していれば月収100万円というわけだ。
 1つ1つの就職先は零細企業でも、収入は大企業のエリートに匹敵する。

 それと同じで1000人のファンに支えられて、連綿と描き続けられるといった道だって、ボクはあり得ると思う。
 既存のビジネスモデルの中にはないというだけで、それなら自分だけのモデルを作っちゃえばいいだけだ。

 もちろん、しっかり機能するだけのモデルを構築するには時間がかかる。
 10年とか、それ以上とか。
 長く取り組み続けているというのも信用だから、時間をかけること自体も必要な工程だしね。大手がドカっと資本投下してやることじゃないんだから、成長してるという実感も感じられないようなペースでしか育てていけない。

 それでもね、時間をかけることさえ出来れば、育つと思うんだ。

 近頃は本でも何でも「初動が勝負」だけど、それとは別なやり方だって、個人レベルでは成り立つと思う。
 バイトと掛け持ちしながらでも何でも、とにかく続ける。自分のお尻も拭けない赤ん坊だって、20年生き抜けば大人になるんだから。昨日と今日が同じに見えても1年経てば、まるで違う。10年なら別人レベル。そういうモンだ。

 だから「ボクのまんが道」は、ものすごく悠長で、ジワジワなの。

 自分の力と、人の縁と、時間の力を積み重ねて、大きくはないけど、できるだけしっかりした足場を作っていこうと思っている。
 知らない大多数から見りゃ無名なのに、キッチリ稼いでハッピーな人が大勢いることは知ってるからね。
 ボクも、その一人になれれば、それで十分。
 わずか100人のファンでも、こちらの思いをしっかり受け止めてくれるのなら、それだけで食っていけてしまう例もあるし、そのおかげでビッグヒットのチャンスにたどり着けてしまうコトもある。

 そういう経験を実際にしたこともあるから、ボクはそれでいいと思ってるの。

 

(「依頼者との交流編08」へ→)

 


※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。

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