依頼者との交流編01:序章 ~科学研究を漫画で紹介する~

 意味があるのかないのかわかんないけど、とにかく続けている「メール商談ライブ」の第4弾。
 今回は全12記事のシリーズだよ。

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イントロダクション

 今回の例は、科学系の連載仕事。
 最初に断っておくけど『カソクキッズ』の話ではないよ。

 ボクはKEKでカソクキッズという素粒子物理学をテーマにした漫画を長期連載させてもらって、それがウチの広告漫画の代表作でもあるのだけど、実は一方でバイオ系の科学漫画も不定期連載していたんだ。

 今回紹介させていただくのは、ソッチの例なの(キッズのほうも紹介したいんだけど、アッチは長い分だけメールのやり取りも濃すぎて、そう簡単にはまとめられないのよ)。

 

たくさん語り合って、相互理解を深めた仕事

 いい担当者との出会いは、本当に貴重だ。

 こちらを尊重してくれる、理解しようと努めてくれる人。
 そういう人が1人いるだけで、仕事はものすごくラクになる。

 でも、最初からそういう対応をしてくれることを期待してもダメ。

 こちらから胸襟を開いて歩み寄っていこうとしなければ、決して近寄ってきてくれない。
 仕事っていう範囲を超えて理解しようとはしてくれないんだ。
 アタリマエだけどね。
(出版社の編集さんなどの場合は別。作家をサポートするのが仕事なんだから。ここで言ってるのは、あくまでも漫画と関係ない一般企業などを相手にするときの話だ)

 そのアタリマエをアタリマエじゃなくする。
 単なる取引相手じゃなくて、互いに敬意を感じられるダチになるレベルを目指す。
 実際にダチになれるわけじゃなくても、そういう気持ちで臨む。

 そうすることが作品を気持ち良く描けて、また質を高めることにもつながるから。

 請け負った以上はオレの仕事だ、素人は口出しすんな、じゃなくて、相手のほうが自然と専門家に任せるべきだ、余計な口出しはしないほうがいいと考えてくれるようにしていかなきゃならない。

 この案件は、そういう関係づくりが出来た仕事だった。
 相手が研究者だったというのも大きいんだけどね。

 研究者ってのも、ある意味で職人なのよ。

 己の道に打ち込むって部分では、漫画家に似てるとこがある。
 あんまり儲からないトコや資金不足に泣かされがちなトコもね。
 だから共感してもらいやすい部分もあるんだ。

 このときの担当の方とは、そりゃもう、たくさん話し合った。
 作品の打ち合わせなんか30分。それ以外の懇談が3時間。

 毎回がそんな感じで、収録したメールのやり取りだけじゃない部分がすごく大きい。

 そのおかげ……というか、そのせいで、というか、ボクの話に感銘を受けてくださって、研究者の総会で特別講演まで頼まれてしまった。
 ものすごく場違いな気分だったけど、せっかくだからね、頑張って喋ったよ。そういう場に呼ばれるほどに、漫画による広報が注目されてるということだしね。

 

結果的に長期連載となった広報漫画

 広告漫画で連載ってのは、そうそう多くはないんだけど、ボクは何回か経験してきている。
 え~っと……アレとアレとソレとナニとコレで……5~6回ってトコかな。

 その中で一番長いのは8年。最短が半年。
 他のも1~2年で、1回あたりのページ数も少なく、4コマ連載みたいなモンだったから、長期連載と呼べそうなのは2回だけだ。

 その1つが、今回紹介する案件だ。
 2011年スタートで今(2018年現在)も継続中だから、6年間やってることになる。

 いや、描いているときは長期連載って意識はなかったのよ。
 ちょっとまとまった量の、単発のお仕事だと思っていた。何話も描くんだけど、全部一度に仕上げちゃう案件だったから。

 でも、そうして描いた作品は毎月1本ずつ掲載ということになり(代金は完成時にまとめて支払っていただいている)、それを掲載し終わる頃に、次のまとまった数をオーダーしていただけて、さらにその翌々年からは新シリーズを任せてくれたので、気付いたら6年間(途中1年間だけやっていない年があるけど)の連載になっていた……という案件なんだ。

 1つ1つのエピソードは短いんだけど、5年分となると結構な量になる。
 それでも厚めの単行本なら1冊で全部収録できるかも、という程度なんだけど、そもそも広報作品で単行本に出来るような量になること自体が珍しいから、希有な例と呼べるボリュームだとは思っている。

 というわけで、以降、その仕事の商談メールを披露していこう。

 ここで紹介するのは、その前年、前々年と2回の集中連載を経て始まった、新シリーズのときのやり取りだ。

 それまでのシリーズの続きには違いない(キャラなども同じ)のだけど、題材の扱い方も、エピソードごとのボリュームも、先方の担当者も全部が違う。それまで見開き2ページずつしかなかった連載だった作品を普通の連載作品にするって感じなので、コッチも気分一新で、新しい作品のつもりで取り組んだ。

 そしてカソクキッズのときと同じように、とても楽しく仕事できた。
 作品の出来にも十分に満足しているし、多くの研究者の方と出会って、様々なお話を聞けたのも楽しかった。

 担当した仕事がちゃんと評価されたと感じられて、また作品も長く大事にしてもらえるっていうのは、本当に幸せなことだよね。

 

(「依頼者との交流編02」へ→)

 


※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。

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