作者としてのこだわり/あえて予算オーバーに踏み込む編07

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お客様からのメール/その18

うるの様

お世話になっております。
クライアントのロゴですが、添付のもので納品をお願い出来ますでしょうか。

aiデータとかですかね??
これで○万で大丈夫でしょうか。。。

大変お手数とは存じますが、ご手配頂けると幸いです。
ご不明な点等ございましたらご連絡ください。

(以下、書名)

 

うるの送信メール/その18

うるのです。

> お世話になっております。
> クライアントのロゴですが、添付のもので納品を
> お願い出来ますでしょうか。

クライアントのロゴ、イラレのオリジナルデータをアップしておきました。
データ保護のために圧縮してあるので、解凍してお使いください。

■40周年ロゴ・イラレデータ(URL)
(制作環境はイラレのvr.9で、文字はアウトライン化してあります)

> aiデータとかですかね??
> これで○万で大丈夫でしょうか。。。

いやいや、最初から○万円のつもりでやってるんで、全然問題ないです。
ていうか茨城では、この何倍もやって1万円にもならないなんて仕事、ザラです。
(もちろん、それでいいわけじゃないんですけど、○万円なら真っ当すぎるギャラですよ)

(以下、書名)

 

「うるの送信メール/その18」補足解説

 確かに全国区の平均、特に都内での平均見積りに比べると異様に安い金額で請け負っていたのだけど、本当にねぇ、ボクが生まれ育って今も拠点にしている茨城ってクリエイターのギャラ相場が安いのよ。

 同じ関東でも、千葉、神奈川、埼玉の半額から3分の1くらい。
 東京と比べたら5分の1くらい。

 少なくとも印象としてはそうだし、千葉や神奈川から引っ越してきたクリエイターさんと話しても「以前と同じだけ働いてるのに、今では稼ぎが半分近くになってしまった」といった話は聞くしね。ボク自身も、県外の仕事を引き受けることは少なくないけど「うわぁあ、こんなにもらっていいんだ」と驚くことが。

 そうなら茨城を出て他県を拠点にすりゃいいと何度も思ったんだけど、故郷に愛着はあるし、今の場所でやっていける状態を確立できたら全国ドコに行っても戦えると思えたからね、あえて「ここで勝ってやる!」と。

 茨城(特に県南)が安いのは、地勢的な理由が大きい気がする。
 ハンパに東京に近いのがイカン気がする。

 例えば、ウチの最寄り駅から東京・上野までは、JR常磐線の普通列車でも約60分だ。
 つくばエクスプレスの快速なら、秋葉原に50分弱。
 十分以上に通勤圏内。実際ボクの父は、渋谷に30年以上通っていた。

※注)JR常磐線・普通列車というのは各駅停車のことではなく、かといって快速電車のことでもない。常磐線の東京~茨城間というのは、ちょっとややこしいのだ。
まず各駅停車に相当するのは常磐線ではなく「常磐線に乗り入れている東京メトロ千代田線」のことだ。品川や上野から出る常磐線には、快速、特別快速、普通、急行、特急しかない。例えば北柏などの駅は常磐線の駅だけど、そこに停車するのは千代田線の電車だけ。常磐線の電車は停まらない。
そして「快速」は、茨城県取手駅までしか来ない。その先まで行くのは特別快速、普通、急行、特急のいずれかだけで、特別快速と普通は茨城県内に入ったら各駅停車になるのだ。

 だけど、準東京というほどには近くない。

 そういう距離にあるのは、千葉市、柏市、横浜市、さいたま市、といった都市。
 茨城は入らない。

 そういうビミョーな距離だからこそ、東京コンプレックスが根づいてしまっている気がするのよ。
 つまり、普段は茨城でいいけど大事なことは東京に限る、という意識があるの。

 どんだけ東京に負けないとか言っても「本当に負けないなら東京に進出するだろ。近いんだから。なのに茨城でやってるってコトは、本当は勝てないからだろ」というふうに考えがちなのよね。ウチの母なんかも普段の買い物は近所でも、年に一度のお買い物だと、東京か、せめて千葉の百貨店でないと、と決めてたしなぁ。
 同じものを県内で買えても、東京をありがたがっちゃうのよね。

 これがもっと遠ければ、いちいち東京には頼れないから自立して、それぞれの地域ごとに発展できるんだろうけど、茨城はハンパに近くてハンパに遠いんだ。

 そんな具合だから、ボクは茨城でやっているけれど、茨城のお客は意外に少ない。
 普通の広告とかWEBなどでは近郊の取引先が多いんだけど、漫画となると極端に少なくなる。ほとんどが都内。たまにもっと遠く(一番遠かったクライアントはヨーロッパ)。
 研究機関の案件などは、つくばの研究学園都市のモノが多いけど、あそこは地元じゃなくて「つくば」なんだよね(笑)。

 で、そういう茨城価格で長年やってきたボクにとっては、東京の広告会社が提示した「安い仕事」は、十分満足な額面なのよ。
 彼らにとっては安くても、その額面でいつも回してくれるなら(そして茨城の客を相手にするときと同じ品質でOKなら)、ありがたすぎるのよ。

 

うるの送信メール/その19

うるのです。

×××マンガ、コンテ(ネーム)作ってみました。
クリスマスに間に合わせたかったんですが遅れてしまい、早めのお年玉になってしまいました。
(この時期だと、もう年末休みに入ってらっしゃるでしょうから、見るのは年明け・・・早めでもないか・・・)

■×××マンガ:ネーム(URL)

・・・え~、内容についてお詫びというか、ご説明があります。
元々4コマで、というお話だったのですが、4コママンガは「セリフや文字があまり多く入れられない」という問題がありまして、資料を検討した限り、クライアント様が希望されていた「×××」をキチンと説明しきれないと思えました。

子供向けなので、文字のフォントサイズもあまり小さく出来ないため、A4スケールで12ポイント取っています。
(カソクキッズはA4スケール11ポイントで描き、単行本ではそのままA5に縮小しています。今回の作品も原画はA4で作っています)

それに今回はルビも必要でしょうから、そういうことを考慮すると、文字でかなりのスペースを必要としてしまうんです。
まさかコラムみたいにまとめちゃうわけにもいかない〔子供は長文の説明なんか読みたがらない)ですし・・・。
それで、4コマではなく、普通のマンガの構成で仕上げてあります。
またページ数も、マンガ部分だけで11ページとなっています。
これに、マンガの中で説明した要点をまとめた「まとめページ」が最後について、正味12ページという構成です。
(広告などは表3・4で吸収できるはず、と考えました)

ページ数が増えてしまって申し訳なく思うのですが、無理に短くしようとして説明不足になったり、読みにくかったり、分かりにくかったりするくらいなら、オーバーしてもイイモノを出すほうがマシだろうと考えたのです。

なお、オーバーした分の予算が無理そうなら、当初の予算で構いません。出来の悪いモノを世に出すくらいなら、多少の無理をしても、少しでもイイモノにしたいですから。

構成の順番などは、できるだけクライアント様でいただいたメモに準じるように考えましたが、ダンドリが子供でも分かるようにしたかったので、多少入れ替えてあります。特に、前半の「飼育用品」に関する部分は、細かく調整しています。

また、適度にギャグやボケを入れています。
子供は、大人のように落ち着いて読めません。だから飽きてしまわないように、メダカにあまり興味のなかった子でも読めるように、ギャグでひと呼吸置けるようにしています。
それにマンガは読みやすいので、説明だけだとスラスラ読んでしまい、結果として何も頭に残らないことが多いんです。だからギャグで引っかけて、要所要所が印象的になるようにしているわけです。

なお、元々は、もう少しヒューマンドラマな部分を入れたかったのですが、そういうことをやっているとページが足りなくなってしまうので、今回は簡単な構造に抑えました。
(特にドラマパートはしっかり描かないと活きてこないし、詰め込み気味では、心に響かないし、となると紙面を大きく食ってしまうからキツイんです。広告宣伝費という枠の中でやるのは無理があるだろうと・・・・)

以上です。
よいお年をお迎えください。

(以下、書名)

 

「うるの送信メール/その19」補足解説

 無茶してしまいました。

 前回の打ち合わせで「4コマ程度の連作」ってコトになってたのに、それを無視して別なネーム描いちゃいました。
 しかも、予算オーバーなのをわかった上で、それでもページ数を多くしちゃいました。

 理由は、メール本文中に書いた通り。

 そのほうがいいと思ったから。
 そして、よりよいと思えるアイデアを思いついちゃったから。

 もちろん、増えた分の予算なんか出ないことは承知の上。

 でも、自分の作品がもっと良くなると気付いちゃったら、やりたくなっちゃうでしょ。
 だからダメ元で提案してみることにしたの。

 仕事の一つひとつは、そのときのギャラだけじゃないんだよね。
 描いた作品が、次の仕事を獲るための武器になる。

 だからナマクラなモノじゃ、自分が困るんだ。

 やるからには、今後の戦いに使えるモノに仕上げておきたい。
 お客に貢献して、どうだ、こんなにイイモノになったぞと言えるモノに、少しでも近付いておきたい。
 客のために描いているけれど、自分のための作品でもあるんだ。
 ボクの立場だけで考えれば、お客の予算を使って自分の営業ツール作ってるようなモンなのよ。

 なので、踏み込んだほうがいいと思ったときには踏み込んじゃうの。

 実際には、かなり悩んだんだけど。
 そう簡単に予算オーバーでやらせてくれ、なんて言っちゃマズイよなぁって。
 自分で決めた値段を自分で壊しちゃダメだよなぁって。

 でも、やっぱりイイモノが見えちゃったら、それが欲しいのよ。
 そこまで行きたいのよ。その気持ちには勝てないのよ。

 

(「あえて予算オーバーに踏み込む編08」へ→)

 


※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。

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