お客は時に味方、時に敵 ~依頼者との戦い編11:交流

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お客様からのメール/その26

うるのさま

役員に対するお返事など、ありがとうございました。
お送りいただいたものを、転送します。
(こういった内容は、私にはチンプンカンプンです。)

表紙についてのご説明もありがとうございました。
そうですね、色の調子が少しだけ違いますね。

「絵」が上手とか「自分の描きたいもの」は上手という方は世の中にはたくさんいらっしゃるでしょう。
しかし、お客さんから渡された「資料」を噛み砕いて消化して、そのエッセンスを結晶させてアウトプウトする技を磨いていらっしゃる方はそれほど多くはないでしょう。
うるのさんのところのスタッフは、ボスに直接的には教えて頂けなくても「門前の小僧、習わぬ経を読む」的に学んでいらっしゃるのでしょう。
お幸せですね。
うるのさん的に言うと「背中で指導する」?っていう感じですかしら。

ところで、お支払方法のご指示は?
お待ちしています。

(以下、書名)

 

うるのメール/その20

うるのです。

> 役員に対するお返事など、ありがとうございました。
> お送りいただいたものを、転送します。
> (こういった内容は、私にはチンプンカンプンです。)

ウチでマンガ以外の部分まで全部やっているなら納品は「イラストレーター」になるんですけどね。今回はマンガだけなので、そういうことになるわけです。

印刷物はたいてい「イラストレーター」で作ります。
パンフレットにはマンガ以外の部分もありますから、その全部を1つにまとめるのは「イラストレーター」でやるわけです。
つまりマンガは、その部品、あるいは素材なんです。
ボクらはイチオシの特選素材になるよう、マンガを精魂込めて育てているわけです(笑)。

> 表紙についてのご説明もありがとうございました。
> そうですね、色の調子が少しだけ違いますね。

キャラクターの奥行き(立体感)を強めたんです。
魂を入れ直した、ってトコです。
コンテやストーリーまでは、ボクがやって、その後、アシスタントが描き、最後にボクが魂を入れ直す、そういう感じでやってます。
(最後に自分で加筆するってトコが大事で、そこができるようになって、やっと半人前。ストーリーまで思い付けるようになって一人前ですけど、先はまだ長そうだなぁ)

> 「絵」が上手とか「自分の描きたいもの」は上手、
> という方は世の中にはたくさんいらっしゃるでしょう。
> しかし、お客さんから渡された「資料」を噛み砕いて消化して、
> そのエッセンスを結晶させてアウトプウトする技を磨いて
> いらっしゃる方はそれほど多くはないでしょう。

そうなんです。
20年以上やってきて、1人も出会っていないんです。
ボクはアタリマエにやってることで、特別だと感じた事はないんですが、他にはいない。不思議に思ってました。
たぶん、ボクが漫画家と広告プロデューサーという2つの道を歩いてきて、それが程よく混じりあってるからなんでしょう。それぞれのプロフェッショナルがいればいいんじゃなくて、混じりあった1人がいないとダメってことなんでしょうね。
ボクも偶然の積み重ねでそうなったわけで、そういう偶然が誰にでも起こる訳ではないということなのでしょうね。
だからボクは今、地元大学で、そういうことを教える講師をやっています。技術指導よりも、考え方や在り方みたいな部分を重視していますね。パッと見じゃなく、根っこの部分。
技術は社会人になってから学んでも間に合います。学生時代にハートの部分、その芯だけでも作れれば、ニートになんかならないと思うんですよ。

> うるのさんのところのスタッフは、ボスに直接的には教えて頂けなくても
> 「門前の小僧、習わぬ経を読む」的に学んでいらっしゃるのでしょう。
> お幸せですね。
> うるのさん的に言うと「背中で指導する」?っていう感じですかしら。

いないなら育てるしかない、と思っています。
ただ教えればできるという類いのことではないので、おっしゃる通り「背中で指導する」しかないですね。
背中を10年見ていてくれれば、いつの間にかそうなってる。
そういうモノだと思っています。
だから、指導するよりも、その日が来るまで支えてあげるってのがボクがやるべきことだと思っています。

赤ん坊のときは、ハイハイ、立った、喋ったと、次々に変化があって、本人も周囲も面白いんだけど、その後は徐々にしか成長しない。今日と昨日で大きく変化したりはしなくなる。
それで当人は「もう見切った、全てを覚えた」って思いがちなんですが、実はまだ幼稚園を出ただけなんです。若い者は背伸びしたがる。そこを見ていて、程よい背伸びをさせてガス抜きをしながら、せめて中学校を出るまで支えてあげる。
人を作る、育てるっていうのは、親になる側に忍耐がないとできない。だからボクは安易にスタッフを増やさないし、受け入れたスタッフは最後まで面倒を見たいんです。
人を増やせば、当面の売上を数倍にはできるんだけど、志がない人って調子のいい時しか使えないし、それじゃ結局使い捨てになってしまう。そういうのは嫌なので、歯がゆくてもコツコツやっていくしかないと思っています。
やりたがる人は多いのだけど、どこかアマイ人が多いんです。先月もそういう人と話し合って、有望ではあるんだけど、結局は他の会社への就職を勧めました。普通に働いてみて、それでも志が失われなかったら、もう一度おいで、って言って。
(合計20時間くらい、話したんだけど)
咽から手が出るくらい欲しい人材だったんですけどね。お互いの人生に関わることだし、ここは一度冷静になって、今アツくなっているモノが本物かどうか、試すべきだと。
本物であったのなら、他社にいたって業務提携したりすることもできるハズだし、そういう工夫をして何とか食らい付こうとしないようなら、本物じゃないし。
縁があるなら、必ずいつかは、例えどこにいようと仲間になるんですよ。きっとまた出会う。その日までボクが立っていられれば。

> ところで、お支払方法のご指示は?
> お待ちしています。

ご請求書をお送りさせていただきました。
請求書に記載されている口座にお振込ください。

振り込み期日とかをウルサく言っても、お互い事情があるでしょうから、なるべく早めに、というだけですね。半年後に手形で、とかでなければ大丈夫です。

(ボクは作品が出来ちゃうと、もうそれで何もかも終わった気分になっちゃう。お金のコトを忘れちゃうんです。だから本当は誰かマネージャー的な人がいるといいんだけど、そういう人を抱えておけるような余力はまだないんですよね・・・)

(以下、書名)

 

お客様からのメール/その27

うるのさま

香川です。あついですね、思いが。
うるのさんから「のどから手の出るほどほしい人材」と思われる方ってすごいですね。でも敢えて(微妙に)お取りにならなかったんですね。
むーーーー、その方の為に、とされた(うるのさんにとって)、楽でない決断でしたのでしょう。お察しいたします。
(少しおヤセになりました??)

郵送でお送り下さったとのことですが、到着前に知りたいので、私宛にメールでもお知らせください。

先ほどウチの制作担当からのメールを、コピーでお送りしました。
「フォトショップでお願いします。」とのことです。
よろしくお願いいたします。

 >○○さん
 >いつもお世話になっています。×××××の○○です。
 >データとしては「フォトショップ」のデータがほしいです。
 >ファイルサイズが大きいので、リンクでダウンロードで
 >いただけます。
 >以上、よろしくお願い致します。

「イラストレーター」とか「フォトショップ」とか、「人」だか「店」だか分からない言葉が私を通して行きかっている感じです。
実際、私にはまったく何の事か分かりません。

このメールを、実作業をする者に転送します。
お振り込みの件、郵送で届きましたらお送りいたします。
有り難うございました。

これで、うるのさんとのやり取りがおしまいになってしまうのは、なんだかさみしいですけれど。。。。

でも、とても勉強になりました。
本当にありがとうございました。
やす子先生をはじめとしたみんなの活躍を、楽しみになさってください。

(以下、書名)

 

「お客様からのメール/その27」補足解説

 このときに話題に出した「のどから手の出るほどほしい人材」は、結局ダメだった。

 可能性のあるいい人材だなって思ったんだけど、どこか不安があったのも事実で、それでスグに仲間にしなかった(まぁ、そう簡単に人を雇えるような余力もなかった)んだけど……結局ね、筋はいいんだけど漫画描いて暮らしたいだけで、お客の力になりたいとか、しっかり打ちあわせしたいとか、そういうコトに前向きになれない人だったんだ。

 ああ、やっぱりなぁって思ったよ。

 そりゃボクだって、漫画だけ描いてりゃいいんだったら、そうするけどさ。

 そういうわけにはいかないのが広告漫画なのよ。
 むしろ、漫画以外のアレコレのほうをキッチリやらなきゃいけないのよ。

 そういうのが嫌なら、コッチに来ちゃいけないんだ。普通の漫画界に行けばいい。
 ハンパな気持ちで広告界に飛び込むのは、本人にとっても、お客にとってもよくないことだもん。

 漫画界以外の場所で、漫画を役立てる。
 普通の一般社会に漫画という異物を持ち込むことで、普通の広告には出来ないコトをやる。
 それが広告漫画。基本はサービス業なのよ。

 だから自分ガーではダメ。
 誰かにサービスすることを喜びと感じないと。
 誰かの役に立つことを嬉しいと思えないと。
 自分の内側じゃなくて、誰かという鏡に映った自分を愛せないと。

 ボクが色々やってるのは、自分を映す鏡を歪ませたくないからだ。
 鏡が歪んでいれば、ボクも歪む。
 それではダメだから、アレもコレもやるんだ。

 キレイに磨くことが出来れば、実体以上の自分が映ることだってある。
 しかも、その実体以上のソレは、本当に実力以上の力を引き出してくれたりもするんだ。

 自分ガーでは、そういう力は出てこないのよ。

 だからパッと見「欲しい人材」でも、根っこのところでズレてると困るの。
 外注先として都合のいいときに都合のいい部分だけを使わせてもらうのならいいけど、仲間として一緒にやっていくのは難しいのよ。

 

うるのメール/その21

うるのです。

> 「イラストレーター」とか「フォトショップ」とか、
> 「人」だか「店」だか分からない言葉が私を通して
> 行きかっている感じです。

あはは、ま、これは「製品名」ですから。
ソフトの商品名なんです。

> これで、うるのさんとのやり取りが
> おしまいになってしまうのは
> なんだかさみしいですけれど。。。。

いや、そんなコトもないでしょう。
今後、新たなお仕事でのおつき合いがあるかどうかは分かりませんが、「知り合い」には違いないでしょう?
ボランティアの仲間、まちづくり活動の仲間、業者会の仲間、単なる友達、みんな「おカネにならない仲間」なんですけど、そういうおつき合いの中に、仕事も眠っているんです。
採算だけを考えて人付き合いしていくのって、さもしいじゃないですか(お金を追い掛けないほうが、お金って入ってきますよね)。

最初の出会いが「仕事」であろうと、知り合いは知り合いです。
ボクは○○さんが好きになりましたから、これからもおつき合いは続けたいです(笑)。
用事がなくても、気軽にメールしてくださってもウレシイです(実際、他の皆さんもそうですし)。

> やす子先生をはじめとしたみんなの活躍を、
> 楽しみになさってください。

本当に、楽しみです。
あのキャラクターたちは、ボク(母親)が生み出して、○○さん(父親)に委ねた「子供たち」です。
自分の子供であっても、彼等の人生はボクのものじゃない。だから、ボクは著作権をたてにして、彼等の使い方を制限しないんです。離れていても、愛しています。

どうぞ、どんどん活用していただいて、彼等の生き甲斐を作ってやってください。
また、ボクが必要なときには、いつでもご連絡ください。


著作権・使用権などに関する当社の考え方は、当社ホームページに明示してあります。

■提供作品の利用規定(URL)

(以下、書名)

 

お客様からのメール/その28

うるのさま

なんだかうれしいですね~~

>ボクは○○さんが好きになりましたから、これからも
>おつき合いは続けたいです(笑)。

なんてお言葉を頂いてしまうと!!

会社にお手紙が届いていました。
社長が「月末にお振り込みを」と言っておりました。

ホームページもそろそろ新しくなります。
会社一丸となって、全国に広げて行くという「武者震い」を感じます。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

(以下、書名)

 

「お客様からのメール/その28」補足解説

 以上で、この仕事は完結。つ~か、最後のほうは、とっくに完結していて、世間話してただけなんだけど、ま、何度も書いているように、そういうコトこそが大事だから。

 でも、完結したんだけど、それだけは終わらなかったんだ。

 この仕事のやり取りを披露しようと思ったのは、この案件がとても面白い展開になっていたからで、しかも最後の最後にもう1つ、サプライズがあったんだよ。

補足
先の「うるのメール/その21」の中で「お金を追い掛けないほうが、お金って入ってきますよね」という一文があるんだけど、これ本当は正しくないと思っている。お金のことだけ考えたほうが、やっぱお金儲けはしやすいと思う。ボク自身もね、色々こだわりとか捨てて、もっと貪欲にお金人間になったほうが楽なんだけどなぁって思うことが多々ある。そう開き直ってしまえばガッポリと儲けられる道を知ってる(それをやってる知り合いが幾人もいて自分も誘われている)だけにね、つい思っちゃうんだ。
でも、ボクにはできない。
ボクは自分のやりたいことがあって今の道を選んだ。やりたいこととは違うことをやったのでは、この場所に留まる理由自体を失ってしまう。お金さえ儲けられれば何でもいいわけじゃないんだ。やりたいことで儲けられなければ意味がないんだ。
「やりたいこと」と「儲けること」二つを両立させようとするのはワガママかもしれないけれど、ボクはその二つをずっと追いかけている。不可能だとは思っていない。『鋼の錬金術師』のアルフォンス・エルリックのセリフにも「二択じゃなくて両方上手くいくっていう選択肢もあっていいじゃないか」っていうのがあった(あくまでも意訳。正確な引用じゃないっす)もんね。
で、そういうふうに自分の道にこだわり続けるとなると、下手にお金を追いかけないほうがお金につながるってことになるんだよね。自分の道は決まってるのに、お金に目を奪われてアッチコッチによそ見していると、出会えたはずのチャンスを見逃しちゃったりするんだ。
なので「お金を追いかけないほうが……」は、お金を稼ぐことだけ優先で考えると正しくはないと思うけど、自分の道にこだわりながらという条件で考えると間違ってないとも思ってるの。

 

(「依頼者との戦い編12:未来」へ→)

 


※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。

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