お客は時に味方、時に敵 ~依頼者との戦い編06:乱戦

2018年5月14日

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お客様からのメール/その9

うるのさま

社員用のセリフの修正依頼をお送りします。
ナンバーは左から右へ、上から下へ、ナンバーを書いて、その番号で表しました。
分かりにくい部分がありましたら、お尋ねください。

明日(5月12日)の午後、パンフレット委員会を開きます。
そこで決まったことを、またお便りします。

よろしくお願いいたします。

(以下、書名)

 

うるのメール/その8

うるのです。

「×××××マンガ/社長編」の改訂版コンテを作ってみました。
(以下URLにアップされています)

(画像のURL)

基本的には、ご指摘のあった部分を中心に改定しているのですが、社長の視点だけで構成すると不都合が出てくる(詳しくはコンテ最終ページに付記)ため、ストーリーはこちらでアレンジさせていただいています。

なお「社員向け」のほうのセリフの直しは、お送りいただいた修正指示を元に改定作業を行いますが、今日のところは、社長編の改定コンテを優先させていただきました。(火曜日が会議ということなので、基本構成が固まったものよりも、こちらが優先されるべきと判断しました)

(以下、書名)

 

「うるのメール/その8」補足解説

 先方の要望を組み入れたカタチで、ネームを作り直した。

 あくまでも要望を汲んだだけで、指示のままに従ったわけじゃない。
 それでは漫画として読みやすいものになるとは思えないからだ。

 一般の人が考える広告漫画のシナリオってのは、広告の部分にばかり目が行って、漫画の部分が抜け落ちちゃうんだよね。
 漫画家じゃないんだから仕方ないんだけど。

 でも漫画としてダメなら、漫画で広報する意味がない。

 もちろん、漫画ばかりに気を取られて広告としてダメでも意味がない(それでは漫画家のマスターベーションになってしまう)のだけど、漫画と広告、両方のバランスを取ってこそ「広告漫画」なんだ。どちらかに偏ってはダメなんだ。

 一般の人も、それは分かっていることが多いのだけど、どうやったら漫画になるのかが分からない。
 コマ割してフキダシにセリフっぽく書く、という程度の認識。

 いや、そういうシーンが多くなりがちなのは認めるけど、それだけで漫画になるわけじゃないんだよね。

 

お客様からのメール/その10

うるのさま

ありがとうございます。
今日の会議で議題にします。
先生が女性というのはいいアイデアですね。

(以下、書名)

 

うるのメール/その9

うるのです。

本日、社員編のネームの直しを済ませました。
オンラインにアップはしてないんですけど、もうすぐ絵のほうも、全部仕上がるので、原画と組み合わせてからアップしますね。

で・・・
3ページ目の3コマ目、修正指示の「26番目」なんですが、以下のようなセリフにするように指示をいただきましたよね?

■ご指示いただいたセリフ

「1年に2回は金額の変更もできる。
 でも、1度始めたらやめることはできなくて、
 最低でも5,000円は続けることになっているんだ」

このセリフですけど、このままだと「1度始めたら、やめることはできない」っていう部分が強調されてしまって、不安感を覚える人もいるんじゃないかと。

なので、同じ事を言うにしても、以下のような言い方のほうがいいんじゃないかと思うのです。

「1年に2回は金額の変更もできる。
 1度始めたらやめることはできないんだけど、
 最低5,000円づつ続ければいいんだしね」

どうでしょう?
これなら、それほど抵抗感はないと思うんですよ。
(現状、そういうふうに直してあります)

(以下、書名)

 

お客様からのメール/その11

うるのさま

26番のセリフについて、なるほど、おっしゃるとおりですね。
この修正で行きましょう。
これでお願いします。

(以下、書名)

 

「お客様からのメール/その11」補足解説

 同じことを言うにしても、ちょっとした言い回しの違いで、かなり印象が変わる。

 広報、広告というのは、それを知った人に受け入れてもらえないと意味がない。
 伝えればいいというものではなく、受け入れさせなきゃいけない。

 で、そうなるためには理路整然としてればいいってもんでもない。
 どんなに正しい意見でも、言い負かして論破しちゃったらダメなのよ。

 説得ではなく、納得。

 こちらの言うことを聞かせる説得ではなく、できるだけ相手が自分から納得してくれるように仕向けるべきだと思うんだ。

 それに、自分がそうすべきだと思っているにしても、その考えが正しいかどうかもわからないんだ。
 自分自身の感覚、その時点までに与えられている情報などから「こうだ」と思っているだけで、本当はそうではないのかもしれない。

 だから「今ボクはこう考えているのだけど、どうですか?」という提案のしかたでないとマズイんだ。

 意見するからには、それなりに自信も持って発言しなきゃならないけれど、それが誤解によるものである可能性は常にある。
 自分の意見は間違っているかもしれないことを念頭に置いた上で、それでも「今はこう思っている、こう感じている」と意見する。
 そうすることで自分の勘違いを糺したり、相手がさらに考えを深めるためのきっかけにしたりする。

 そういうもんだと思うんだ。

 だから自分の意見にしがみついちゃダメなんだよね。
 オレが正しい、オレすげぇ、じゃないのよ。

 意見しておいて言い返されて……というのはカッコ悪く感じるかもしれないけど、そんなの気にすることはないのよ。
 こちとら漫画家だ。相手の商売の専門家じゃあない。
 勉強はするけど、間違えてアタリマエ。恥でもなんでもない。

 むしろ、ボクの意見を否定してみせてくれ、そうだったのかと感心させてくれ。

 そういうつもりで気になったこと、引っ掛かること、納得できないことにツッコミを入れるんだ。
 それで最終的に持論が通ればそれはそれでいいし、そうでなかったとしても、筋の通った説明をもらえれば納得して気持ち良く仕事できる。

 そういうモンだと思うんで、自分の意見なんて……とか思わずに、できるだけ納得行くまで質問すべきだと思うよ(締切ってモンがあるから程度問題はあるけど)。

 いいお客さんなら、コチラの事業に興味を持って熱心に取り組んでいると思ってくれるはずだし、身勝手なお客なら「うるせぇなぁ、黙って言うこと聞いてりゃいいんだよ」的な反応をするだろう。
 それはそれで相手がコッチをどう思っているかを探り出すことにつながるし、相手の態度に問題を感じれば、また別な対策を講じることができる。

 このお客の場合は、最初の爆発・炎上があったおかげで、割とやりやすかったな。
 ボクは手ごわいぞ、社長にだって言い返すぞ、と最初に感じさせてあるからね。

 そういうのを分かった上で依頼してんだから、当然、制作段階でも色んな意見や反論が出てくるだろうことは相手もわかってるんだよね。
 むしろソレをさすがと思ってもらいやすいの。

(まぁ、それが逆にボクへの依存心や遠慮につながってしまい、相手の思考を縛る危険もあるんで、気をつけなきゃいけないんだけど……)

 

うるのメール/その10

うるのです。

予定より、ちと時間がかかってしまいましたが、「×××××マンガ/社員編」がフルカラーで完成しました。

■見本(画像のURL)

この見本はネット上で確認していただくためのもので、実際のモノは、遥かに解像度の高い印刷用データとして作られています。

図解やグラフなどは、要点のみに抑えて組み込みました。詳しくしても、ゴチャゴチャして見づらいだけだと思いましたので。

なお「社長編」のほうは、いかがでしょう?
そろそろ、作画をスタートしても大丈夫でしょうか?
というか、作画までは済ませてしまってあるんです。その後の着色はまだなんですが、多少のやり直しがあったとしても、色々なスケジュールの中で、組み込めるところで少しでも進めておかないと、あとがコワイものですから・・・。

(以下、書名)

 

「うるのメール/その10」補足解説

 解像度について触れているのは、けっこう勘違いされやすいから。
 ネットでの校正用にアップした低解像度バージョンを納品バージョンと思い込むケースは割と多いんだよ。

 でもねぇ、校正段階で高解像度版をいちいち送っていたら、お互いに負荷が大きくなっちゃって厄介なだけだからね。

 校正チェックまでは、パソコン画面で見るには支障のない低解像度版で見てもらい、フィニッシュしたら本当の高解像度版を納品する。
 部分拡大もして細かくチェックしてもらわなきゃならない精密図面とかならともかく、漫画だもん。

 

お客様からのメール/その12

うるのさま

着色完成版、ありがとうございます。
素晴らしいです!!!!

下記、修正依頼、よろしくお願いいたします。
 11のセリフ:「例えば、コレがキミたちの給料の総額だとすると・・・」
 22の図:ブルーの部分の文字を全部削除(左右、両方とも)

「社長編」の修正依頼、「行程」についてのお返事は明日お送りします。
今後ともよろしくお願いいたします。

PS,
表紙の文字は「××××××××××」ということで、よろしく。

(以下、書名)

 

「お客様からのメール/その12」補足解説

 素晴らしいですコメントいただきました!

 こういう言葉をどれだけ引き出せるか。
 それが、この仕事を続けていく上で一番大事な部分だと思っている。

 相手は一般人で、漫画に詳しくなくて、今後も詳しくなりたいとは思っていない人たちだからね。
 そういう人たちの言うがままに仕事してたらエラいコトになる。時には逆らって意見しなきゃならないこともあるんだ。

 その意見に耳を傾けてもらうには、仕事の流し方、作品自体の完成度などで「エクセレント!」と感動させておかなきゃならないのよ。
 そういう満足感を与えてあげて、ようやくコッチの意見を聞いてくれる相手になってくれる。

 漫画を描くこと以上に、お客を育てる、ファンにしていくってコトに心を砕いていないと、一般企業との付き合いは上手くいかないんだ。

 

(「依頼者との戦い編07:連打」へ→)

 


※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。

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