失敗社長編06:第2話シナリオと制作(後編)

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お客様からの返信メール/その9

×××××の○○です。

> セリフの件ですが、折衷案として
>
>>> 社 長「誰だって失敗はしたくない。
>>>     でも、失敗を知らずして成功はないんだよ」
>>> 社 長「ワシらの失敗体験も、きっと誰かの糧になる。
>>>     失敗に救われ、癒される。そんなコトもあるんだよ」
>
> で、どうでしょうね?

良いと思います!
ではここは、このセリフでいきましょうか。

メール熟読しました。
このマンガは、ウチの社長とうるのさんの人生のコラボレーションのようですね。
他の方には頼むことのできない仕事だと思いました。

よいお仕事をありがとうございます。
引き続きよろしくお願いします!

(以下、書名)

 

お客様からの返信メール/その10

×××××の○○です。

二話目、ありがとうございます!
今回も、とても良いですね!
今回は全ページ2色にしていただいたのですね?

●ひとつ確認です。
社長の過去回想シーンで、社長の見た目が過去の若い姿ではなく、現在の姿のままになっていますが、これはこのままでよいですか?

●漫画のデータの保存についてですが、一回ごとに画面から「名前をつけて保存」でDLすればよいでしょうか?
すみませんが、前回のものを保存するのを忘れてしまったのでもう一度送っていただいてもよいでしょうか。
(今度、☆☆☆さんの紹介で社長がはじめての講演をする予定でして、その場でこのマンガを配りたいと思っているのです)

第三話も楽しみにしています!

(以下、書名)

 

うるの送信メール/その9

うるのです。

> ×××××の○○です。
> 二話目、ありがとうございます!今回も、とても良いですね!
> 今回は全ページ2色にしていただいたのですね?

あ、いや、第一話も全ページ2色の高解像度版、用意してます。
もちろん、モノクロも。
今回は2色版のほうを「見本」としてアップしただけでして、今オンラインにあるのは確認用なので、解像度も落としてあります。
印刷にも使える高解像度のオリジナル版は、ネットで受け渡しするにはデータサイズが大きすぎるので、CDで保管してあるんです。

> ●ひとつ確認です。
> 社長の過去回想シーンで、社長の見た目が過去の若い姿ではなく
> 現在の姿のままになっていますが、これはこのままでよいですか?

ああ、ここは質問あるだろうな、と思ってました。
ここは、現実の過去(ヘンな言葉ですが)じゃなくて、想像の過去なので、若返らないことにしたんです。

キャラの姿も、読者にとっては状況を理解するための「記号」なので、見た目が違うと、読者も混乱してしまうものです。
そのため、こういう展開でリアルにやるには、そのフォロー(説明)のためのカットが必要になってしまうのですが、それをやると、イチイチ説明が入るせいで、ストーリーの勢いが寸断されてしまうんですよ。

この作品はギャグマンガですし、不条理な展開もやれるわけで、ならば、下手に説明しつつ若い姿にするよりも、勢いを大事にして、突っ走るほうが正解と判断したわけです。
わずか10ページの作品で説明にページを裂いている場合じゃないですしね。

説明したから、あとはオッケーとばかりに話を進めてしまうのは、マンガを知らないヤツがよくやるミス。
小説じゃないんだから。

マンガは見た目だけで瞬間的に状況を理解できなきゃいけない。
だから、説明を何度もくり返さなきゃならないんです。
ある程度、しつこく「見た目が違うけど、これが主人公だよ」と繰り返しておかないとダメ。
読者は作者が勝手に立ち上げた設定なんか、まともに覚えちゃくれないモンなんです。

読者と作者は無言の呼吸でつながっていて、それを作者が乱すと反発があるし、あえてやるからには、分かってもらうまで、トコトンやらなきゃダメです。
新たなシチュエーションを受け入れてもらうには、それなりの手間をかけなきゃ、読者はこっちの言い分を聞いてくれないモンです。

その配慮を欠いたままで、一度説明した程度で話を進めてしまうと、読者が状況を理解するまでに一拍、間が空くんです。
ホンの短い一瞬のコトなんですが、その一瞬が興をそぐ。ノリが悪いと感じる。
ここに説明したような論理的な理屈までは分からなくても、なんとなく感じてしまうものです。

ノリが悪いっていうのは、テンポの悪い漫才を見るようなもので、ネタは面白くても場は湧かない。
広告の場合だったら、会社やサービスはいいのに、なぜか魅力を感じない、ということになる。
そんな、わずかな部分が、完売ヒット作と売れ残り断裁の分かれ目になるんです。

ボクも気付くのに20年以上かかったわけだけど、そういう部分でソンしている会社や営業さんって、けっこう多いような気がしますね。

最終回になる5話では、若い頃の社長が活躍します。
これは今の社長とは別の人物として描かれるので、まったく問題無し。
見た目からしてカッコイイ若社長と言う感じに描こうと思っています。
ギャップが大きいほうがオモシロいですしね。

> ●漫画のデータの保存についてですが、一回ごとに画面から
> 「名前をつけて保存」でDLすればよいでしょうか?
> すみませんが、前回のものを保存するのを忘れてしまったので
> もう一度送っていただいてもよいでしょうか。
> (今度、☆☆☆さんの紹介で社長がはじめての講演をする予定でして、
> その場でこのマンガを配りたいと思っているのです)

最初に書いたように、そういうことなら印刷精度に対応したオリジナルデータを使う方がいいでしょう。
以前のメールで「CDお届けしますよ、ご都合は?」とお送りしたのですが、いかがでしょう?
宅配便のほうが早いかな?
でも、○○さんは近所のハズだし、メシを食いに出る時に届けちゃってもいいんですけど・・・。

> 第三話も楽しみにしています!

お楽しみに!
けっこう、ノって描いてるんですよ。
マンガとして、フツーに面白いように描こう。
それでいて、ちゃんと企業(社長)の魅力を伝えよう、と思っています。

(以下、書名)

 

「うるの送信メール/その9」補足解説

 ここでは、けっこうな文字数を使って「漫画のしくみ」を語っている。
 こんなコト素人さんに語っても、本当には理解してもらえないのだけど、それでも語っておくこと自体に意義があるんだ。
 今、読み直すと、ちょっと強引で説明不足でもあるんだけどね(笑)。

 それでも語っておく。

 気になったことにちゃんと答えてくれる、こっちがやっていることに明確な理由があるとわかってもらえることが大事なのよ。
 そこをオロソカにしていると、お客との間にミゾができてしまう。

 漫画は専門的な仕事だから、そのアレコレを正しく理解してもらえる可能性は極めて低い。
 しかも「あそこはなぜ、ああいう展開にしたんですか?」と訊かれても「そう感じたから」としか言えないことだってある。

 だけど、そこで素人は黙ってろ的に突き放したり、作家の感性の問題だと言い張ったりすると、お客は安心できないのよ。
 わからないことは不安なのよ。正しくわからなくても、自分なりにわかりたいのよ。

 そういう気持ちを忖度しないでほっとくとロクなことにならないのよ。
 なんせ相手は「お客様」なんだから。

 だから理屈を語るの。
 正しいかどうかは別として、自分なりの理屈を。

 後付けの理屈でも構わないから、とにかく疑問には答える。
 答えようと努力していると感じさせる。
 そういう姿勢が大事なの。

 そんで最後には、その理屈を放り出して情熱の話に持っていけるとサイコー。
 ちゃんと勉強した上で熱い、と感じさせることができれば、それがベスト。

 こんだけ言ったからって、これで最後までOKなわけでもない。

 お客は迷うの。いつだって心配なの。
 それが濃くなったり薄くなったりしながら、仕事は進んでいくの。

 だから、その濃淡を感じ取って、それに応じたフォローし続けるのも仕事なのよ。

 

お客様からの返信メール/その11

×××××の○○です。
丁寧なご返信ありがとうございました!
すっきり疑問が解けました。ありがとうございます。
次もどんどんノッて描いてください!

> 最初に書いたように、そういうことなら印刷精度に対応した
> オリジナルデータを使う方がいいでしょう。
>
> 以前のメールで「CDお届けしますよ、ご都合は?」と
> お送りしたのですが、いかがでしょう?
> 宅配便のほうが早いかな?

最近はつくばと水戸を行ったりきたりで、つくばにいないこともけっこうありまして、お手数ですが、メール便で会社のほうに送っていただいてもよろしいですか?(宅配便じゃなくて大丈夫です)

よろしくお願いいたします!

(以下、書名)

 

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