失敗社長編05:第2話シナリオと制作(前編)

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うるの送信メール/その7

うるのです。

すいません、メールを送り忘れてました!!
失敗社長の第2話のシナリオ、ネームができています。
(一週間前にできてたのに・・・)

ネームは以下のURLで、シナリオは本メールに記載しました。
(ネームは手書きなので、読みにくいですから、シナリオもご参照ください)

■ネーム(画像のURL)

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■シナリオ

失敗社長シリーズ/第2話シナリオ

☆長い線=ページの区切り
☆短い線=コマの区切り

■01
_______________________

とある街角。「まてぇええええ!」
_________
必死に走る男。
_________
それを追うヤクザ風の連中。
_________
走り抜ける男達のバックに失敗社長の姿が。
_________
社 長「む、こりゃイカン!」
と、追って行く社長。
オサム「……またよけ~なコトを考えてるだろ?」
_________
角を曲がる男。
_________
追い掛けて曲がるヤクザ。「逃げても無駄だぞっ!」

■02
_______________________
と、そこにはヒーローの格好の失敗社長が!
社 長「失敗仮面参上!」
ヤクザA「な、なんだコイツは!」
ヤクザB「失敗仮面って……」
ヤクザC「弱そう……」
_________
社 長「これ、亀をいぢめてはいけないよ?」
借金男「だれが亀!?」
_________
ヤクザ「ソイツを渡せっ!」と迫るヤクザ。
追い詰められながら周囲を見回す社長。
_________
社 長「あ、あそこに、物凄い多重債務者が!」
と言ってオサムさんを指差す。
オサム「誰が多重債務者だっ!」
ヤクザ「なにいっ!」
_________
目標を変えてオサムさんを追いかけるヤクザ。
ヤクザA「うぉおお、カネよこせ!」
ヤクザB「借金はコワいぞぉお!」
ヤクザC「まてぇええええ!」
オサム「オレは違うぅうううう~っ!」

社 長「……頼むぞ、オサム……」

■03
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空白コマ(青空とか)
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借金男「……た、助かりましたよ!」
オサム「……ヒドイ目にあったよ!」
感謝する男と、怒るオサムさん
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オサム「……アイツら、借金の取り立てでしょ?
    ずいぶんキツイとこでお金を借りちゃったみたいですね?」
_________
借金男「す、すみません、事業がうまくいかなくて……つい……」
社 長「うんうん、そりゃ借りちゃうよねぇ」
オサム「同意すんなよ!ヤバイことなんだから!」
_________
社 長「いや、この人だって、最初からヤバい金に
    手を出したわけじゃないでしょ?」
借金男「そ、そうなんです!」
_________
社 長「でも、借金が溜まってくると……」(怪談話風のカオ)
_________
社 長「……どこからともなく、コワい人が出て来るんだよねぇ」
オサム「ヤクザじゃなくてホラーになっちゃってるぞ!?」
_________
社 長「テレビの中から「金かえせ~~」って出てきて……」
オサム「コワすぎるわ!」

■04
_______________________
社 長「思い出すなぁ、ワシも囲まれた事があってねぇ……」
借金男「え?アナタもですか!?」
_________
社 長「うん、若い頃にスゴイ大型倒産を体験してね、
    そのときのことなんだけど……」
オサム「詳しくは第1話を読んでね?」
_________
社 長「債権者だっていう人に呼び出されてさ、
    債権名簿にも載ってない人なんだけど……」
借金男「あっ、そりゃヤバイですよ!」
(背景に回想シーンスタート)
_________
社 長「で、待ち合わせのホテルに出向いてみたら、
    その筋のヒトたちに囲まれちゃって……
借金男「あ~っ、そりゃダメだ……」
_________
社 長「話し合いをしても、どんどん追い込まれてしまって……」
借金男「うぁああ、アイツら強引だなぁ!」
(オサムと借金男は回想シーンの中に)
(社長は手前の「現実」と回想の両方に登場)

■05
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社 長「どうしようもなくなって……」
借金男「ヤバイ!ヤバすぎだって!何とかしなきゃ!」
物陰からハラハラしながら見てる借金男。
_________
社 長「それで弁護士に相談しようと思って、席を外して……」
借金男「む、席を立った?」
_________
社 長「公衆電話に行ったんだ……」
_________
借金男「お、あの位置は連中から見えない!チャンスだ!」
_________
電話中の社長の背後に社長に忍び寄る借金男。
_________
社 長「で、電話したら弁護士さんが……」

■06
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『そのまま全力疾走で走って逃げちゃえ~~~っ!』
電話と借金男が同時に叫ぶ。
_________
脱兎のごとく走り去る二人の姿。
社 長「いやぁ、助かりましたよ」
借金男「ふっ、さきほどの恩返ですよ」
オサム「……過去と現実と妄想が混ざっちゃってるよ!」
_________
二 人「……とにかく、あのときはヤバかったなぁ……」
借金男「一人であんな連中に会うなんて無茶ですよ」
オサム「……アンタもね」
_________
社 長「今度から二人で失敗仮面1号2号に変身してから
    会うようにしよう」
オサム「そ~じゃね~よ!」
_________
オサム「一人で勝手に呼び出しに応じないで、
    ちゃんと弁護士に相談すればよかったんだよ」
社 長「うん、うかつだったよ」
借金男「ワタシもうかつでした……」
_________
社 長「でもね、人生って言うのは、失敗との付き合い方を
    学んで行くことだと思うんだ」

■07
_______________________
社 長「誰だって失敗はしたくない。
    でも、失敗を知らずして成功はないんだよ」
社 長「ワシらの失敗体験も、きっと誰かの糧になる。
    そのおかげで、ワシらも癒されていくんだ」
(ここ、大コマ)
_________
オサム「……失敗との付き合い方を学ぶのが人生、か……」
_________
借金男「……そうかも知れませんね……」
_________
社 長「だから、もっともっと失敗しちゃっていいんだよね?」
オサム「そ~ゆ~コトじゃね~って!」

■08
_______________________
社 長「実は、他にもこんな失敗が……」
借金男「いや、ワタシもあ~んなコトがねぇ……」
社 長「ほぉ、それならワシの失敗のほうが……」
借金男「いやいや、ワタシだって大失敗を……」
オサム「失敗を自慢しあうなって!!」
_________
社 長「なに、オマエにはまだ失敗の大切さが分からんのか!」
借金男「そうだ!失敗から学んで人間は成長するんだぞ!」
怒鳴られるオサムさん
オサム「……なんでオレが怒られてんの?」
_________
ステレオで喋り出す二人。
借金男「人間だから失敗する事もある!」
社 長「ワシらみたいに、すご~い大失敗をしてしまうこともあるんだっ!」
オサム「自信たっぷりに失敗を主張すんなよ!」
_________
借金男「でも失敗は終わりじゃないのだ!」
社 長「失敗は「人生のこやし」なんだ!」
オサムさんに大力説の二人。

■09
_______________________
社 長「失敗を恐れていては何も出来ん!」
借金男「失敗は成功の母なのだ!」
二人がオサムさんに迫っていく。
(うぁああ)
_________
借金男「失敗体験を生かす事で成功した人々はたくさんいるのだ!」
社 長「失敗は事業や人生の軌道修正をするキッカケにもなるんだ!」
ホラーな感じでますます迫っていく。
(コワイよぉ)
_________
社 長「失敗した事実から逃げないで、ちゃんと向き合えば、
    そこには次へのチャンスが必ずあるものだ!」
借金男「そうだ!あきらめなければ、人はきっと立ち直れるんだ!」
ホラー度を増しながら、もっともっと迫っていく。
(ヒ~ッ)
_________
社 長「いやぁ、意見が合いましたなぁ!」
借金男「ええ!アナタに会えてよかったよ!
    ワタシも、借金なんかに負けずにがんばれそうだ!」
固く握手を交わす二人。
オサムさんはキュ~っと失神状態。

■10
_______________________
立ち去る男、振り返って声をかける。
借金男「……またいつか出会って、失敗自慢をしたいものですな?」
_________
社 長「ふっ、ワタシは手強いですぞ?」
ニヤリと笑いあう二人。
_________
見送る失敗社長。
_________
社 長「……彼も元気を出してくれたな、
    オサム、今回は失敗せずにすんだようだぞ?」
_________
社 長「ん?」
振り返る社長
_________
オサムさんは、あまりに長~い説教(しかもステレオ)のせいで、
真っ白になっている。
社 長「ありゃ、やっぱり失敗だったか……」
(END)

(以下、書名)

 

「うるの送信メール/その7」補足解説

 このメールには、あえてシナリオを丸ごと記載してある。

「ネームは手書きで読みにくいから」などと冒頭で言い訳してるけど、どうせ本番ではソコもちゃんとフォントで仕上げなきゃならないんだし、ちゃんと読みやすいネームにしてから送っても遅くはないんだよね。

 つまり言い訳することで、わざとシナリオを見せているんだ。

 広告漫画のお客って、必ずしも漫画を読み慣れていないの。

 この社長さんも、ボクを信じて任せてくれているけど、漫画そのものに慣れているわけじゃないの。
 ボクより20歳近く年上で、漫画世代とは言えないんだよね。

 だから、そうした相手のときはシナリオ(テキスト)のほうがピンと来るってコトもあるんだ。

 ここまでの流れでは、漫画自体に文句はない感じで進んでいるけど、それはボクに対する信頼があるからで、作品を理解しているわけじゃない可能性もあるのよ。

 なので、一度はシナリオそのものを見せておくべきだと思ったの。

 ただ「お前が漫画を理解できてないかもしれんからシナリオ読め」とか言えないので、こういう理由を作ってシナリオを送ったんだ。メールを送り忘れたのは事実なので、それで慌てて手書きネームにシナリオくっつけて送ったということにしたの。

 ボクのほうがミスしたことにしておけば、こっちに気を遣わないで済むでしょ。

 気を遣ってくれるお客さん、信頼してくれるお客さんというのは非常にありがたいけれど、そうであるが故に問題を見落とすということもある。気にして言うべき事を言わないとかね。

 なので、時々色んなコトをやってみるの。
 やっておいて、反応を見るのよ。

 

お客様からの返信メール/その8

×××××の○○です。
返信遅くなりました。

コンテ拝見しました、良いと思います!
回想シーンのところは特に凝っていますね。

セリフのところでひとつだけ見ていただきたいのですが、

> 社 長「誰だって失敗はしたくない。
>     でも、失敗を知らずして成功はないんだよ」
> 社 長「ワシらの失敗体験も、きっと誰かの糧になる。
>     そのおかげで、ワシらも癒されていくんだ」

のところですが、最後の一文を

> 社 長「誰だって失敗はしたくない。
>     でも、失敗を知らずして成功はないんだよ」
> 社 長「ワシらの失敗体験も、きっと誰かの糧になる。
>     だから、どんな失敗でも結局無駄にはならないんだ」

たとえば上記のようにするのは、いかがでしょうか?

「ワシらも癒されていくんだ」でも良いと思うのですが、失敗を知らずして成功はない→失敗体験も誰かの糧になる→どんな失敗も結局無駄にはならないという流れにするとより自然かと。

、、とここまで書いて読み返してみましたが、どちらも、良い気がしてきました(スミマセン)
前者の場合には、このサービスを受けて得られる効果に「癒し」もあるということが伝わると思います。

失敗を知らずして成功はない→失敗体験も誰かの糧になる→人が癒されていく

言葉は難しいですね、、いかがでしょうか。

(以下、書名)

 

うるの送信メール/その8

うるのです。

セリフの件ですが、折衷案として

>> 社 長「誰だって失敗はしたくない。
>>     でも、失敗を知らずして成功はないんだよ」
>> 社 長「ワシらの失敗体験も、きっと誰かの糧になる。
>>     失敗に救われ、癒される。そんなコトもあるんだよ」

で、どうでしょうね?

言われてみれば、ボクの元々のセリフ「ワシらも癒されていく~」は、ご指摘の通り、ちと飛躍し過ぎな気もします。

で、「失敗に救われることもある」という表現を考えてみました。
基本的なニュアンスは一緒なんですけど。

多少、説明を要するセリフな部分は残っていますが、順序よく、キチンと語ってしまうのってガンチクがないでしょ?
名言っぽくない、というか。

格言とかことわざとかは、あとで誰かが解釈を加えたりして、それで「いい言葉」になっていくものだし、このシーンはそういう雰囲気を作っておきたい感じなんです。
含蓄がありそ~な雰囲気に、ですね。

失敗に救われるとか、失敗を知らずして、とかっていうのはボクの本音で、ボクの結婚観みたいな部分と重なってます。
人のいいところを好きになるのは簡単で、恋愛はソレでいいんだけれど、結婚っていうのは、ダメな部分も好きにならなきゃやっていけないんですよね。
いいところも、悪いところも、全部込み込みで、その人を受け入れないとダメっていう。
それは、失敗を愛するっていう感じなんですよ。
自分の人生とは離婚できないし、なら、失敗も成功と同じだけ愛してあげないと、どこかで足を掬われるような気がしますね。

ボクも、今日まで、本当に失敗を積み重ねてしまったと思うけれど、その失敗が1つでもなければ、いまの場所にはいないわけですから、今はアリだったなぁと思います。

そうそう、進化の反対は、退化じゃないそうですね。
環境に適応して変化するっていう意味では、退化も進化の一種だ、と。
進化の反対は「無変化」なんですよね。

なら、失敗も、変化の1つなんです。
失敗でも、昨日よりは一歩、進んでいるのだと思うんです。

(こういうことも、今後のマンガで語らせてみたいです)

(以下、書名)

 

「うるの送信メール/その8」補足解説

 お客の意見を聞き入れ、でも、言う通りではしっくり来ないときは、自分なりに考え直してみて、自分の言葉に変えてから再提案することが多い。

 この例も、そういうパターン。

 このときみたいに決めゼリフが変わると、そこまでの流れも変わっちゃうことが多いんだけど、このときはソコだけ変えても大丈夫だった。

 でも、流れから直すことも珍しくはないよ。

 できるだけ直さないほうがラクなんだけど、直しを少なくしたいとばかり思っているとチグハグなことに陥りやすいし、本当に直すべき箇所を見落としたりするんだよね。
 ある部分がしっくりこないのは、別な部分に原因があるってことも多いのよ。

 だから直すときは、いっそ全部直すことになっても構わないという気持ちで見直す。
 実際に全部直した例はほとんどないけどね。

 記憶にあるのは『カソクキッズ』の連載開始直後の1~3話くらいだなぁ。
 あのときは本当に8割くらいやり直した。
 全部完成していたのをぶっ壊してやり直した。

 だって、そうしたらもっとよくなると気付いちゃったんだもん。
 採算とか時間とか色々あるけど、それでも気付いたらやらずにいられないのが作者ってモンだから仕方ないでしょ。

 メールの後半には、ボクの結婚観とか進化の反対とか、明らかに蛇足なコトが書かれているんだけど、こういうのって意外に大事なんだ。

 メールだけで対面せずにやっていると、相手の顔がボヤけてくる。
 対面して、脱線しながらアレコレを話すっていうのは、けっこう重要なことなんだ。

 でも、最初の打ち合わせはともかく、仕事が始まってしまうと滅多に会わなくなる。
 しょっちゅう会っていたら、それ自体で手間がかかってしまい、仕事が停滞しかねないしね。

 だからメールでも雑談するの。

 自分の考え、自分の想い。
 そういうものを雑談で伝える。

 そうすることで、対面しているときと同じような印象を保つんだ。
 お互いを薄れさせないための工夫なのよ。

 これ、ボクは大事だと思っているんだ。
 仕事って、結局は人間同士のことだからね。

 

(「失敗社長編06:第2話シナリオと制作(後編)」へ→)

 


※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。