小説イバライガー第15~16話/筆者コメンタリー

2018年3月26日

 小説イバライガーの15~16話に関する筆者コメンタリー。
 14話からの3話連続エピソード。実写のテレビシリーズを意識して書いているから、1つの事件は1~2話でまとめるように心がけてるんだけど、ここは序盤の山場なので3話連続にした。
 これを超える連続エピソードは、23話あたりからの未来編(3話分の予定)、その後のヒーローたちのパワーアップ編(6話分くらいになる予定)、そして最後の決戦(4~5話の予定)ってトコ。ま、大きな部分ではずっとつながってるんだけど。

目次

スポンサーリンク

15話-1/タイピングが超高速モードに……

こういう「若造、なめるなよ」なシーンは好きだ。自分がオッサンになったせいかもしれないけど。
でも大人はかっこよくなきゃいけないと思う。そうでないと子供たちが将来に希望を持てないじゃないか。パンツ一丁でうろついてオナラしてたりするお父さんだって、やるときはやるのだ。それを子供に示すことも大事だと思うんだよね。

15話-2/エモーション・ストリングス

主人公カップルがジャークと本格的に戦うのは、初代イバライガーが消滅した時以来なのだけど、密かに特訓していたはずなので、それぞれに得意技を用意した。主人公たちだって、いつまでも逃げ回る一般人じゃない。戦い慣れてきて、強くなる。イバライガーの活躍を描く物語ではあっても、やっぱり人間自身も頑張ってくれないと燃えないからね。
糸で結界を作ったり、敵を縛ったり、そのまま断ち斬ったり、という技はけっこうありがちではあるんだけど、やっぱ絵になるから使わせてもらった。
この手の技の使い手としては菊池秀行さんの『魔界都市シリーズ』に出てくる「秋せつら」が一番印象深いんだけど、たぶんワカナは人格変わって無敵になったりはしない。

15話-3/技の名前は考えてない

操作系と放出系ってのは、もちろん『ハンター・ハンター』を意識している。「水見式」で確認したわけじゃないけど。
個人的に休載の多い作品はアテにならないから好きではないのだけど、読むと面白いから困ったもんだ(笑)。

15話-4/弾丸を食らいながら、ジャークを倒していく

MCB弾にはエモーション・ポジティブを蓄積しているはずだから、イバライガーたちにとっては、むしろエネルギー補給になるのだけど、物理的なダメージは受けるので、やっぱり痛いはず。カロリーメイトを全力で投げつけられたら、そりゃ痛いよ。

15話-5/唯一の対抗策こそが最悪の選択

元々はジャークの作戦とイバライガーたちの作戦は全く別々で、ジャークの企みを察知したシンたちが、咄嗟にミニライガーの力を転用する展開だったのだけど、ルメージョって頭いいし、シンやワカナのことをよぉく知ってるはずだし、イバライガーがジャーク反応を察知できるようにポジティブの動きも察知しているはずで、そうなると絶対に罠を仕掛けてくるよなぁと思い、こういう展開に。

15話-6/『奴』は動き出しているはず

ワカナは直情径行だけど、シンというキャラクターは、熱血ヒーローでありながら理論派でもあって、展望もなしに戦ったりはしない。状況は本人が言うようにチェックメイト状態なのだけど、それでもあきらめないのは『奴』がいないから。手駒の全てを封じられても、よそからビショップとかナイトとかの差し入れが絶対にあると考えているから、あきらめない。シンは、そういうふうに考えるはずなんだ。

15話-7/レーザーポインタの赤い光

PIASの場合、標的のエモーションを感知して自動照準のほうが合理的で、そうなるとレーザーポインタなんかいらないはずなんだけど、ごめんなさい、ここではどうしてもやりたかったの。青白い顔で微笑む女。その額にインサイトされたレーザーポインタ。こういうシーン、好きなの。すごく絵になるじゃん。本作は小説とはいえ映像作品をイメージして書いているから、絵になるシーンは入れていきたいのよ。

15話-8/エモーション自身に認められなければならない

エモーションに関しては思わせぶりな台詞が随所に出てくるけれど、実際に意思疎通ができるようなものではないと考えている。エモーションが発現しやすい状態、共鳴できる条件というのがあって、今のPIASはそうじゃないということ。

15話-9/同じでありながら、永遠に引き裂かれる運命

愛情と憎しみ。善意と悪意。そういうのって、根っこは同じなんだと思う。どちらかだけは選べなくて、誰にでもあるもの。問題はそれらとの付きあい方なんだと思う。
ボクは広告プランナーでもあり、そのテクニックを駆使すれば、何の価値もない石ころを「高価でありがたいモノ」として売り込むことだってできる。もちろん、やったら詐欺だからやらないけれど、広告というものは、そういう「力」を使っているのだと思っている。つまり悪の力とも言えるのだ。
だからボクは「広告制作者は悪魔の力を正しいことのために使う『デビルマン』でなければならない」と思っている。油断すると誘惑され、過剰なオーバー表現やウソを書いてしまいかねない。クライアントに認められたい、仕事を増やしたい、売上を伸ばしたい。そういう思いはあって当然だけど、それとの距離感、付きあい方を学んでいないと、あっという間に悪に落ち込んでしまいかねない。善悪の物語を書いていると、そんなことを考えちゃうのだ。

15話-10/今こそジャーク四天王全てが目覚める

四天王なくせに、ステージショーではずっと二天王状態が続いているわけですが、少なくとも小説版では、ちゃんと四天王は全部出てきます。
ただ、未来からの歴史介入の影響で順番がオカしくなってるのだ。本当はもっと早く『三人目』は登場しているはずだったの。ていうかルメージョより先に別な四天王が出てくるはずなの。『三人目』のキャラやポジション(怪力バカタイプのはず)を考えると、そうでないとオカシイの。
でもステージショーでは、ず~っとと二天王のままで他の二人を出せないままになっている。それは、予算とか時間とか大人の事情がいっぱいあるせいなんだけど、それなら、そういう状況になっていること自体に理屈をつけてしまおうと考えたの。二人しかいないのに、なぜ四天王なのか。他の二人はどうなっているのか。そういうのをストーリーに組み込んじゃおうと。

15話-11/イモライガー・シールド

イモライガー・シールドは背中で受け止める技。正面向いちゃうと怖いからね。でも、それで当然。元々一般人なんだから。ガチで戦えちゃうシンたちのほうがヘンなんだ。

15話-12/顔が冬眠前のリスのように……

緊迫した中での、こういうマヌケなシーンって好き。カオリちゃんって、いい仕事してくれるなぁって思う。
でも、ナンダカンダ言ってもカオリはスーパーオペレータなのだ。本作の中で普通の人っぽいのはゴゼンヤマ博士くらいかもしれない。

15話-13/もうすぐ全体が崩れ落ちる

とうとう基地も崩壊。シンたちがお尋ね者になって以来、数年間暮らしていた場所は、このエピソードで消える。
なお、こういう展開にするかどうかは、けっこう悩んだ。つまり地域を破壊しちゃっていいのか、犠牲者を出しちゃっていいのか、という部分。作品を描く側としては派手な展開にしたいし大事件にしたいんだけど、イバライガーはご当地ヒーローでもあるからねぇ。そのご当地を壊したりしていいのか、随分悩んだんだ。
でも元気計画代表に相談したら、あっさり「やっちゃっていいんじゃないですか?」と言ってくれて、それで「よぉおし!そんなら壊すぞぉおお!!」と(笑)。
でも、この時点ではまだ多少の遠慮があって、被害者ができるだけ少なくて済むように考えてた。ほら「平成ガメラ2」でも仙台が吹っ飛んだのに避難誘導が上手く行って人的被害は最小限だったことになってたでしょ(笑)。

15話-14/ウイングを展開

これは前にも書いたように『機動警察パトレイバー』のグリフォンのイメージ。普段はコンパクトに折り畳まれているのでアレとはちょっと違うけど、使い方は似たようなモノ。やはり緊急離脱用の機能で、長時間飛べたりはしない。しかも、このときはシンとワカナを抱えているので、飛び上がってもすぐに落ちちゃうはず。その程度なのよ。

15話-15/エネルギーが接触する部分が対消滅している

この対消滅の描写はけっこう出てくる。映像でイメージしたときに、本来は不可視なエネルギー流を可視化できると思えるので、使い勝手がいいんだ(笑)。

15話-16/最強の四天王『アザムクイド』

過去のステージョー『初代イバライガー復活ショー』にその名が出てきた最強・最後の四天王『アザムクイド』。ようやく小説版でも名前を出せた。でも本当の登場はまだ少し先。もう一人の四天王『カンナグール』は、まもなく登場予定。

15話-17/切り札は最後まで見せないモン

こういう絶対の危機に、オイシイとこを持っていくのがブラックというキャラなんだよねぇ。実はブラックは全然ちがう登場の仕方(それはそれでカッコイイ)を考えてたんだけど、いつの間にか、こうなった。忽然とビルの屋上に現れて、ただ一人で巨大な絶望に立ち向かう。それがブラックなんだよなぁ。

 


※以下、第16話コメンタリー

 

16話-1/OPの家族

ステージの『時空戦士イバライガーショー』では、絶対絶命のときに会場のみんながイバライガーの名を呼んで応援し、感情エネルギーを送るのが定番になっている。
現実的に考えると、激しい戦いの最中に群衆が応援ってのは、ちょっと無理がある。8話でそういうシーンを入れたけどアレは例外みたいなモンで、普通はね、応援するより避難しろよって思っちゃうしね。
だけどヒーローを信じて想いを託す人々っていうのは、イバライガーに欠かせない要素なんで、こういう形で盛り込んでみたんだ。

16話-2/エネルギーと質量は等価

有名なアインシュタインの数式「E=mc2」というやつだ。広島の原爆のエネルギーを物質に換算すると、わずか1グラムくらいに過ぎないらしい。

16話-3/ブラックホールと呼ばれる現象

超圧縮させれば何でもブラックホールになるというものでもない。ブラックホールになって存在し続けるには莫大な質量が必要で、少なくとも太陽の10倍くらいの質量がないと安定的なブラックホールにはならないと言われている。ただ、誕生した瞬間に蒸発しちゃうような観測不能なレベルの極小ブラックホールだってあり得るとは思うので、それを無理やりこじつけて利用させてもらった。でも、実際に同じことをやったとしても、こういうことが起こるとは思ってません(笑)。

16話-4/それぞれの最大必殺技が、同時に発動

ステージショーでもヒーローたちの必殺技が同時に叩き込まれるシーンは多いのだけど、技名が同じじゃないから同時に叫ぶと重なっちゃって聞き取れなくなる。だから同時攻撃のシーンでも、同時じゃなくて順番に攻撃している感じになっちゃうんだよね。
これ、実写映像でもワンカットで見せるのは難しいだろうから、技名までは3人それぞれのカットで見せて、その後「うぉおおおおおっ!!」的な叫びをカブらせるとか、そういう工夫をイメージしてはいるのだけど、小説や漫画だとカブらせても大丈夫だし、そのほうがカッコよく描けるので、ここではそうさせてもらった。

16話-5/特異点の中

そんなトコ行ったことないのでわかりません。そもそも事象の地平の向こう側なんて、物理法則からして違うんだから何を想像しても無意味。想像すること自体に無理がある。というわけで、漠然としか描写してないのです。何をイメージしても違うんだもん。でも映像化のイメージは、やっぱり真っ暗。そこに人々の顔が浮かび、光になってRを誘っていく、みたいなシーンを思い浮かべていた。

16話-6/彼女は知らないはず

ナツミはイバライガーブラックと会ったことがない。でもブラックはナツミと出会っている。そしてナツミは実際にブラックと会っていなくても、ブラックを知っている。正しくは感じている。別な人物の中に。

ちなみに、頭のいいキャラってのは知識が多いってことよりも、先を読む、状況を分析して予測するといった部分がスゴいんだと思うんだよね。だから『デスノート』みたいな読み合いになりがち。なのでルメージョなら絶対にブラックの介入という要素を考えないはずがないんだけど「眠らせたはずの人格<ナツミ>の抵抗のせいでブラックを見落としてしまった」ということにしたの。
当然ながらブラックもまた、そういうことが起こる可能性を読んでいたと思う。12話でルメージョの中でナツミが抵抗を続けているということがはっきりしたけど、その情報はミニブラを通じてブラックにも伝わっていたはずなんだ。だからブラックは、その可能性を読んでギリギリまで出てこなかった、ということなのだろうと思ってる。
いやぁ、頭のいいキャラを頭良く扱うのって大変だぁああ。ボクはバカだからなぁ(苦笑)。

16話-7/ジャーク四天王ダマクラカスン

やっぱコイツが出てくると、暴力的で「悪」って印象が強くなり、ヒーローものっぽくなるよなぁ。

16話-8/シンの全身に各部パーツが装着されていく

ついにシン自身が、イバライガー化する。このシーンはとても重要なんだ。イバライガーワールドが誕生する大元につながる鍵なんだ。ここからシンがPIASで戦うシーンにかけては、ステージショーを見慣れているファンにはピンと来る仕掛けをいくつか施している。ある意味でネタバレなんだけど、本作はネタバレしてからが本番というか、そのほうがより楽しめると思っているんだ。ボク自身も、自分で考えながら「そうだったのか!」とか言って、盛り上がってるんだから(笑)。

16話-9/こ、これは……時空……突破……!?

R、ガール、ブラックは初代イバライガーと同等の性能ながら、この時点までは自力で時空突破はできない。機能の使い方がわからないから。

16話-10/イバライガー自身の出力だけで時を超えるのは無理

時空を気軽に超えられちゃマズイんだよ。前にも書いたけど、何度でもリセットしてやり直せちゃうんじゃ、緊迫感も何もあったもんじゃない。

16話-11/時空突破クロノ・ブレイク

イバライガー最大最強の必殺技。時空をねじ曲げ、圧縮した空間の巨大な質量を叩き付けることで敵を粉砕すると共に異空間に消滅させる。自らの内側に特異点を作り出すようなもので、一瞬のタイミングを誤ると自分自身が消滅しかねない。
Rは、初代救出の際に特異点に飛び込んでいたから、その刹那のタイミングを見極められたが、恐らくガールとブラックには同じことは無理。なのでブラックは同じ力を別な形で応用する。ステージショーで使っている「刀」がそれだ。本作にも、そのうち登場することになる。
なお、ステージショー初期に使っていた「クロノ・ブレイク」は、この設定とは違い、自分の時間だけを加速する、いわゆる高速移動の類いだった。ただ、その設定だとスローモーションなどの演出をしにくいライブショーでは効果的に見せにくく、色々工夫してみたが上手くいかず、2011年頃を最後に使われなくなってしまったのだ。
そのため、今回はステージショーでも再現可能な技に設定し直して登場させている。
ただ……出すときは専用の音楽が欲しいなぁ。『ヘルアンドヘブン』とか『ゴッドフィンガー』みたいにさ。

16話-12/勝ったわけじゃない

クロノ・ブレイクという技は、相手が誰であれ、決まれば確実に敵を倒せる。『ダイの大冒険』の極大消滅呪文メドローアみたいなモンだ。でも、復活したばかりのダマクラカスンがいきなり消えちゃっては困るので、今回は決まっていないのだ。Rも初めての大技で、しかもボロボロ状態だったしねぇ。

オマケコメント

気づいてる人は気づいてると思うけど、各エピソードのサブタイトルは、映画や漫画や小説などから拝借しているものが多い。
この後も「時をかける少女」「未来の想い出」「愛のメモリー」「博士の異常な愛情」「デモンシード」「風が吹くとき」などが予定されているし、「マイ・フェイバリット・シング」「クリスマスだからじゃない」「ケ・セラ・セラ」など、曲名から拝借したものも。
ただ、本当にそのタイトルのままでやるかどうかは、そのときになってみないと分からない。一応、全話のサブタイトルと内容を決めてから執筆してるけど、ここまでの段階でさえ、当初の予定とぜんぜん違う展開になってる部分がけっこうあるから……(苦笑)。
ちなみに「未来の想い出」は23〜25話までの3部作で、ロバート・ジェームズ・ソウヤー(2011年のSF大会「はるこん」で直接お会いしたことがある。一緒のチームでクイズ大会に参加もした)のSF小説「フラッシュ・フォワード」にしようかとも思ったのだけど、「未来の想い出」のほうが叙情を感じられて物語に合うと思ったので、さんざん悩んだ挙句に最初に考えたタイトルのほうに戻した。この3部作は未来編で、ここまでの謎のほとんどが一気に明かされる、ちょっと悲しいお話なんだよね。

 


※このブログで公開している『小説版イバライガー』シリーズは電子書籍でも販売しています。スマホでもタブレットでも、ブログ版よりずっと読みやすいですので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです(笑)。

うるの拓也の電子書籍シリーズ各巻好評発売中!(詳しくはプロモサイトで!!)