小説イバライガー第13~14話/筆者コメンタリー

2018年3月12日

 小説イバライガーの13~14話に関する筆者コメンタリー。
 ついに量産型イバライガーとも言える「PIAS」が登場し、戦いも激化する。ここから16話までが序盤のターニングポイントなんだよね。
 なお、PIASは単なる劣化版イバライガーじゃなくて、後々は大活躍することになるよ。ただ、その日はまだ、ず~~っと先のことなんだけど。

 

目次

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13話-1/脳に直接ビジュアルイメージで伝達されてくる

最初はバイザーに出力するイメージで考えていたけれど、脳にダイレクト伝達に変更した。目の前に色んなデータがチラチラしてるのって気が散るし、本人以外に見る人いないのだからモニタ出力する意味ないし。ただし必要に応じてバイザーにも表示できるはず。そのほうがピンと来る状況もあると思うし。

13話-2/右足に装着されたハンドガンの脱着ボタン

イバライガーの太股あたりにある矢印状の部分が、ガンホルダーに変更されているという設定。他にも、頭部、両肩、胸部などの矢印形も別のデザインになっていると想定している。矢印はイバライガーのシンボルみたいなものだから、コイツには付けたくなかったんだ。
なお、このシーンでは左の銃がエネルギー弾、右の銃が実体弾となってるけど、銃自体は同じもので、マガジン(弾倉)が違うだけ。エネルギー弾はビームというよりも気を飛ばすというほうが近く、物理的なダメージはほとんどない。

13話-3/左腕のブレードを展開

これはイバライガーの『エモーション・ブレイド』と、ほぼ同じもの。

13話-4/NPL=ナノ・パーティクル・リキッド

本編中で説明した通りの、イバライガーの体細胞を構成しているナノパーツを培養し液状にしたもの。その場の思いつきで考えたのだけど、意外に使い勝手がよくて、この後、イバライガーたちもNPLを活用するようになる。
PIASでは装着者との神経伝達にも使われていて、パイロットは全身がNPLに浸っている状態になる。ただし、通常ではスーツ内部が常に湿っているという程度。最初は内部を液体で満たしたエヴァのようなモノを考えていたのだけど、アレで激しいアクションをしたりすると肺が持たないはずだという科学解説を読んで変更した。水が肺の中まで入り込んでいると、強いGに耐えきれないというのだ。なるほどな~~(ま、肺まで液体の中だと喋れなくて困っちゃうしね)。

13話-5/インナースーツ

つまり『中の人』は、Gガンダムみたいな状態なのだ。

13話-6/PIAS

「ピアス」と読む。本編中で書いた通り「パーソナル・イバライガー・アーマード・スーツ」の略称。いくらイバライガーのデータを入手したとはいえ、完全自立型の、イバライガーと同等のヒューマロイド開発は現代の技術では再現しきれないので「イバライガーを模したバトルスーツ」になった、という設定。
外見はイバライガーに酷似しているが、矢印的なラインはなく、カラーリングもいかにもミリタリーな感じのグレー系で、銃やナイフ、バックパックなどを装備している。ガンダムで言えば「ジム」みたいなもので、イバライガーは各部が丸っこいけれど、PIASは角張ってるイメージ。
なお、PIASという名前と設定は、執筆開始の5年前に決めていた。その頃はまだブラックやガールは設定だけで実在してなくて、ガールはPIASがベースになって誕生する設定を考えていた。

13話-7/DNA

DNAに関する知識は拙著『カソクキッズ』の取材で、研究者に教わったことがベースになっている。かつてDNAの大半はジャンクなどと言われていたが、実はそうではなく、そこには取扱いマニュアルとか、しおりや目次とか、そういった情報が書き込まれているらしい。つまりDNAは検索機能も持ったデータベースなのだ。
ただ、何がそれを検索しているのかがわからない。生体のあらゆる細胞は日夜作られては廃棄され続けているが、いったい何が、どこの細胞を作るといったコマンドを管理しているのだろう?

13話-8/何でも自分専用のパソコンに早変わり

街中の壁にコンピュータが「塗って」あって、指紋などで自分のパーソナル設定を呼びだせるとすれば、どこでも触ったものがマイ・コンピュータになってしまう。ナノテクが進化したら、そういうことだってあるかも。

13話-9/バックパック

バックパックには、折畳み型のウイングも付いているイメージです。空が飛べるというよりも緊急離脱用。『機動警察パトレイバー』の『グリフォン』がそんな感じだったよね。あの羽根がコンパクトに畳まれている、と思いねぇ。

13話-10/全身が青いだけでナニもそのまま

ごめんなソウマ。だって身体に密着していて厚さがミクロンレベルのスーツだから、当然ボディラインもすべてくっきりなはずなんだもん……。

13話-11/世界各国のスパイも入り込んでいるはず

こんなことが現実に起こったら、そりゃもう全世界の注目の的のはず。いくら隠してもバレないはずがない。ただ、それでも表向きは否定していて、各国もそれを黙認している状態と想定している。

13話-12/生成から消滅までマイクロ秒単位

これは放射線なども同じ。地球には、原発事故などとは比べ物にならない放射線が日夜降り注いでいるが、そのほとんどは大気の壁によって減衰してしまうのだ。
もっともそれは『地球上では』のことで、真空の宇宙ならビーム兵器は有効だと思う。でも宇宙では戦艦並みの威力を誇るビームライフルでも、地球の大気中では威力は大きく減衰するはずだ。加速器の入射器はビーム砲そのものだけど、あれだって真空のパイプの中に打ち出している。
ちなみに「ビーム」は何らかの粒子の流れ(集まり)だけど、「レーザー」は指向性のある光のことだから、レーザーなら大気中でもかなり遠くまで直進するよ。

13話-13/イバライガーは、近接戦闘に特化している

近接戦闘に特化しているのは元々がステージアクションショーだから……では、こういう物語を書く意味がない。モビルスーツが有効なのはミノフスキー粒子があるからという程度には理由を付けなきゃいけない。
そこで本編中で語ったような理由を付けたのだけど、そしたらエネルギーロスを大幅に減らすことができるPIASは、とんでもない能力を秘めた化け物になってしまった。でも、そんなスゴいのが出てきちゃうと物語が破綻しちゃうから、中枢システム(エキスポ・ダイナモ)が正常に稼働しないから真の能力には程遠いということになり、となると真の能力ってなんだ? エキスポ・ダイナモってなんだ? 感情エネルギーってなんだ? と連鎖的に考えていくことになり「あ!」と思いついた設定が背景になって世界観を補強=ツジツマ合わせしていったんだ。なのでPIASは、本当に初期段階で考えていたものなのよ(笑)。

13話-14/待ちなさぁ~~~~い!!

最初に書いたときには、エキスポ・ダイナモに関するシンとワカナの議論は数ページに渡っていた。だけど長すぎてクドいな~と思って、丸ごと書き直すことにして、そこでガールに口を挟んでもらったら、実にイバガールらしいセリフで一刀両断!すごいな、ガール。
ただ、最初に長く議論させてしまったのは、そこがイバライガーという物語のもっとも重要な部分だからだ。
なぜヒューマロイドなのに人格があるのか。人工知能に人格が生まれる可能性はあるように思えるのだけど、それは人間とは全く違ったもののはずだ。身体の構造も、死生感も、恐らくは世界の捉え方も根本から違うのだから。
それなのにイバライガーには、ほぼ人間と同じ人格がある。いや、それ以前に、失った身体の一部を機械に置き換えるサイボーグや、人型にこだわらないロボットならともかく、兵器としてのヒューマロイドっていうのは、あまり効率のよい方法とも思えない。
なぜ「イバライガー」なんだろう。
この疑問からイバライガーワールドの再構築が始まったと言ってもいい。子供向けのステージショーなんだから当然でしょ、で片づける気にはなれなかったんだ。
荒廃した未来で、現代の科学力を大幅に超越した感情を持ったヒューマロイドが生まれるとしたら、それはどんな場合なのか。それを考えるところから、この物語は始まったのだ。

13話-15/早急にPIAS部隊を配備しなくては……

当然ながらPIASは量産型だ。ただし、この時点ではテスト機だけで量産体制はできていないし、また解決できていない問題も多々あるから、なかなか量産には至らない。

13話-16/「つくばヤバイ」「茨城って魔界?」

地元民としてはあまり意識していないのだけど、バイオ系も、ロボット系も、ロケットなどの宇宙開発も、様々な研究機関が集中しているのが、つくばだからねぇ。ある意味では新宿以上に魔界かも。
いや実際、30年前に、最初の商業誌連載が本誌の休刊で打切りになったとき、その次の連載企画として錬金術師を主人公にしたお話を考えていて、そのときにはね、マジでつくばを魔界のように描くつもりだったんだ。広告漫画家&グラフィックデザイナーに転職しちゃって描かずじまいになっちゃったけど(苦笑)。

13話-17/情報漏洩につながりそうなアカウントを消去

う~む、陰謀論そのものだなぁ。実際には、こんな方法で隠しおおせるとは思えん。一部の人間の口を塞ぐことはできたとしても全部は無理だろうし、特定のキーワードを消していくプログラムを作ったとしても、あらゆるサーチエンジンの運営元も全部グルじゃないと出来ない。すると関係者の数が膨大になりすぎて、やはりどこかで漏れてしまうはず。
そういうわけで陰謀論は全く信じていません。フィクションの世界でさえ、こうやって言い訳したくなるほどなんだから。

13話-18/PIAS対ジャーク

この実戦テストのBパートは、最初に書いた後に全面削除し、その後12~16話を再構築する際に、もう一度復活させて書き直した部分だ。
削除したときには、もっと大きな戦いにぶっつけ本番にしちゃうつもりだったんだけど、それだと他にも描写しなきゃいけないことが多すぎて、ようするに詰め込みすぎで逆につまらなく思えたのね。それで元に戻したの。
なお、このPIAS対ジャークゴーストの戦いの舞台につくば市北条地区を選んだのは、これまた以前にイバライガーショーで行ったことがあるから。竜巻被害からの復興祈願も兼ねて開催された地域のお祭りに、イバライガーが出演してステージショーをやった。そのときのメイン会場だった場所が今回の戦いの舞台なんだ。祭りはやってないけどね。シンとRがつくば市役所北条支部にいるのも、そのときボクがクルマを停めた臨時駐車場がそこだったからなのよ(笑)。

13話-19/例の計画

ステージショーで演じたのは、2010年だったか、12年だったか。2007年秋にイバライガーがデビューし、その後2008年末からは「イバライガーR」として運営され、そして数年の雌伏を経て「オリジナル」が復活して、Rが付かないタイトルがメインタイトルに返り咲いた。
そういうヒーロー事業の変遷を、できるだけツジツマを合わせて物語に組み込んでいく。なので、いよいよ、その段階まで来たということだ。
公式キャラの全部が登場するまでにはだいぶかかるけど、そろそろ『彼』には戻ってもらわないとね。

13話-20/鬼火が、ささやく

『彼』が復活するなら『奴』も復活する。ステージショーがそういうシナリオだったのだから仕方ないのだ。ステージショーとまったく同じ展開にしたのでは、ただの脚本集になってしまってイマジネーションの補填にならないから色々と変えてあるけど、やっぱ、あの青い四天王がいないとバランス悪いもんねぇ。

 


※以下、第14話コメンタリー

14話-1/時空の特異点

あまり科学的じゃないかもしれないけど「大質量じゃない極小のブラックホール」みたいなモノと考えてます。何もかも吸い込むようなブラックホールじゃなくて、剥き出しの小さい特異点。そんな感じ。もっとも虚実ごちゃまぜのデッチ上げだから、このまま信じちゃいけません。

14話-2/そこからが私の役目ね

最初はイバガールの役目はあまり考えていなかったんだけど、大気中に高エネルギーをぶっ放しても拡散するだけで意味がなさそうだったから、咄嗟に加速トンネルを作り出す仕事を担当してもらうことに。出番をつくれてよかった(笑)。

14話-3/全員の力を合わせて時空突破

せっかくの「時空戦士」なのだけど、タイムトラベルとか時空転移とかってのには、とにかく色々と制限を設けないと物語が破綻しちゃうのよ。前にも触れたけど、原因と結果を自由に逆転できたら本当に神の力だからね。

14話-4/バタフライ・エフェクト

世の中は何でもバタフライ・エフェクトだ。偉大な科学者だろうが凶悪犯罪者だろうが、生まれたときは真っ白な赤ん坊。それが些細な何かの積み重ねで変わっていく。石ころ1つが世界の歴史を変えているかもしれない。
まぁ、そうだからって無茶や無謀をやっていいというわけじゃない。無茶が未来を切り開くこともあるけれど、無茶でない方法のほうがずっと成功率は高いのだから。漫画などでは無茶前提で突っ走って何とかしちゃう展開が多いけど、そういうやり方が正しいとは思えない。追いつめられると、無茶な方法が起死回生の策のように感じたりするけど、大抵は間違いなのだ。ギリギリまで地道で確実性の高い方法を考えて、その上で最後の最後だけが「やってみないとわからない」であるべきだ。絶対確実というのも世の中にはないから、賭けの要素をゼロにはできないけど、不確実なことを可能なかぎり減らす工夫と努力をせずに行動しちゃうのは、ただのバカだ。
だから主人公には迷ってもらったの。力づくで解決できることじゃないし、そういうときに勢いだけで突っ走るようでは非現実的すぎるもん。非現実を描くからこそ、気付く範囲ではできるだけ現実的な解釈を考えないとアカンとも思うしね。

14話-5/ジャークがタクシーでやってきた!?

山田洋次監督の『馬鹿が戦車(タンク)でやってくる』って、いいタイトルだよねぇ。もうタイトルだけで「何じゃ、そりゃああああ!」ってなるもん。他にも岡本喜八監督の『ダイナマイトどんどん』とかさ。本当にバカっぽいんだけど本当に面白い。こういう勢いのあるバカって大好きなんだ。

14話-6/黒い球体

『ガンツ』みたいな黒い球だけど、なんかブヨブヨしててキモい奴です。そういや黒い水風船を作って「これがダークマターです!」と言い張ってKEKで配ろうって提案したことがあったなぁ(笑)。

14話-7/観光バスやトレーラーに偽装した特殊車両

13話でも出てきたけど、まぁ『寄生獣』の8巻だったかな? 読んだことある人は、あの市役所包囲のシーンを思い出してください。あんな感じの、もっと大規模なヤツ。読んでない人はすぐ読もう。傑作だぞ。実写映画版やアニメ版がどうだったかは知らんけど、原作は素晴らしいぞ。

14話-8/ヒューマロイドたちを接収

『無敵超人ザンボット3』で自衛隊に接収されるエピソードを思い出しながら書いていた。アタフタする自衛隊の精鋭を尻目に、音のわずかな違いだけで適切な判断を下すお母さんとかね、かっこよかった~~。ハイテク設備でも作れない精密部品を作っちゃうニッポンの町工場みたいでね。でも、このエピソードではああいう展開にはならないのだった。

14話-9/スマホをかざす群衆

映画などでそうしたシーンを見る度に、ソウマのように「さっさと逃げろよ、バカなのか?」って思ったりしたけど、実際に自分がそういう状況に出くわしたら、やっぱり現実として受け入れるまでに時間がかかってしまい、とりあえずスマホをかざすかもしれないな~って思った。実はまだガラケー(2017年4月現在)でスマホ持ってないんだけど。
※2017年夏からスマホになりました。でも、あんまり使ってない……。

14話-10/自爆用のゴースト

最初は単なるエネルギーの塊のつもりで書いていたんだけど、修正段階で設定を変えた。自爆前提の敵っていうと、石川賢先生の『ゲッターロボG』を思い出す。超スピードで突っ込んでくる特攻兵器の百鬼獣。あのエピソードは好きでね。わざと腹をぶち抜かせるのは『トップをねらえ!』でやってたし『ヤケになった人間が何をするか、見てろぉお!』って台詞は『青い海のナディア』でサンソンが叫んでいた(『トップを~』でもタシロ艦長が言ってたし)。きっと庵野監督も石川賢先生が好きなんだろうなぁ。

14話-11/真っ黒な液体のようなモノ

前にもどこかで書いた気がするけど、海外のテレビムービーで宇宙からダークマターが垂れてくるシーンがあってね。それを思い出して書いた。ただし鼻からは吸い込まないぞ。かめかめ波も撃たないぞ。浴びた液体が硬質化して身体を覆っていく描写は、アニメ版の『妖獣都市』でやってたよね。あのクライマックスの麻紀絵は美しかったなぁ。

14話-12/振り返らずに声をかけた

「振り返らずに語る」の原体験は、たぶん『デビルマン』の「今のオレの顔を見るな!」だと思う。ボクのマンガ体験は意外と遅くて、デビルマンが生まれて初めて読んだマンガだった。いとこの家で偶然、最終巻を読んだのだ。テレビとのあまりの違いに驚いて、その後全部を夢中になって繰り返し読んだ。
デビルマンの衝撃がなかったら、ボクは漫画家にはなっていなかっただろう。

14話-13/周囲からパーツが装着されていく

こういうイメージの元は、たぶん『宇宙の騎士テッカマン』だろうなぁ。イバラみたいなのが食い込んでいく痛そうな変身シーンは忘れられない。あの激痛変身シーンがあるからこそ、それに耐えて登場したテッカマンの雄々しい姿に燃えたんだ。
でも、このPIASは別に痛くはないの。NPLを注がれるから、全身が濡れてイヤ~ンな感じにはなると思うけど(笑)。

 

 ……というわけで、ついに14話。16話までの前・中・後編の3部作なので、ここから16話までが序盤のクライマックスなんで、どうぞ、お楽しみに〜〜(笑)。

 


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