細かい仕事と大口の仕事なら、やっぱ大口だよね?

 大きいつづらと小さいつづら、あなたならドッチを選ぶ?

 昔話じゃなくてビジネスの話だから、大きいつづらには、その大きさ分のギャラがちゃんと詰まっている。

 となれば、考えるまでもなく大きいほうを選ぶ……と言いたいところなんだけど、これがそうはいかないのだ。

 大きいほうは、簡単に持っていけないのだ。

 大きくなればなるほど重たくなるから、一人では運べない場合もある。
 手伝いを頼めば、その人たちにも分け前を渡さなきゃならなくなって、下手をすると小さいつづらより少ない分しか残らない、なんてことさえあり得る。

 さぁ、どうする?
 あなたならドッチを選ぶ?

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大口の仕事ってけっこうリスキーだよ

 額面の大きな仕事がオイシイとは、一概に言えない。
 というか、むしろボクは、日々の生活力、継続力になるのは細かい仕事のほうだと思っている。

 正直、デカくて派手な仕事より、目立った実績にはならないような地味な仕事がコツコツと、継続的に続くほうがありがたいのよ。

 毎月の収入のメドが立つから。

 実は大きな仕事って、大きいからこそリスキーなんだ。

 そうした仕事は金額もデカく、魅力的だ。
 後々の営業先で「どうだ!」って見せられるような実績にもなる。
 ボクらは、その実績の積み重ねを売りにして営業してるようなモンだから、そういう案件を手掛けるチャンスは欲しい。

 ただ、大きい分だけ手間も時間もかかるし、普段から、いつでも大きな仕事を引き受けられるようにキャパシティを空けておけるわけでもない。

 もし、大きな仕事を引き受けるために、他の仕事を断ったらどうなる?

 大きな仕事はしょちゅう入ってくるわけじゃないから、終わったら元の仕事に戻りたいところだけど、お客は手が空くまで待っていてはくれない。

 だって広告が必要なのは「その時」だから。

 ボクをどんなに気に入ってくれてたとしても「その時」に使えないのなら、いないも同然。
 それに、大きい仕事が入る度に後回しにされるようでは、安心して仕事を任せられない。

 当然、他の誰かに依頼するようになる。
 大きな仕事のために、小さな仕事を失うということになっちゃう。

 これは、かなり困るんだ。

 一時的にドカっとお金が入ったとしても、それしかないんだったら使い果たしたらゼロになっちゃう。
 ゼロになるまでに都合よく次のドカッがあるかどうかはわからない。
 つ~か、普通はそんな都合よく行かない。

 一方、小口の仕事は、小さいけど大きい。
 ミクロマンみたい。あ、いやいや。

 一件一件は少額だけど、それが継続してると、かなりバカにならないのよ。

 少額だからこそ厄介なモノでもなく、質的にもお客が満足してくれやすい。
 総額では同じ金額でも、1つの相手と取引しているより複数の相手に分散していたほうが、ずっと安全でもある。
 一人から100万円受け取っていたら、その人にソッポ向かれたらゼロだけど、1万円ずつの100人を相手にしてるなら、一人が浮気しても99万円になるだけだもんね。

 そもそも大きい仕事って、仕上がるまで時間もかかる。
 何百万もの仕事なら、何ヶ月もかかる。
 そして全てが終わるまではギャラもらえないんだよ。

 今ドキは先払いとか、半金前金とか、そういうのがやれなくなっているの。

 中小企業のオッチャン社長などなら、そういう条件に応じてくれるかもしれないけど、大きな仕事を発注してくるような会社だったら、全額納品後払いが普通だ。

 ゲンブツがちゃんと納品されていて、見積書、納品書、請求書が揃っていて、担当者や上司の検品も終わっていることが確認されない限り、ビタ1文出てこない。
 インチキが出来ないように、そういう仕組みになってることが多いんだよ。

 ということは、半年後とか1年後に一括して払うから、それまで無給でやれってのと同じなんだよ。

 キッツイでしょ。
 よほど蓄えに自信があるか、別なことで収入の当てがあるかでないとやれないのよ。

 

小口がたくさんあるほうがキャッシュフロー的にありがたい

 そういうわけでボクは、いつでも小口こそを大事にしている。

 小口のお客とのイイ関係のほうが、一時的な大きな注文より何倍も大事。
 小規模事業で大事なのは、日々のキャッシュフローだからね。
 まずソコをしっかり押さえておかないと、落ち着いて大きな仕事もできやしない。

 とはいえ、小口が大事だからって大きな仕事から逃げ回っていたら、その小口を惹きつけるだけのキャリアも育たないから、小口と平行してやれる範囲で大きな仕事も回していくようにしているんだ。

 そうだなぁ。
 毎日5枚描けるのなら4枚までにしておいて、いつも1枚分の余裕を持たせておくって感じかな。

 ボクがこれまでに手掛けた広告・広報漫画で最大規模のモノは、100ページの作品。
 受注契約から納期までは半年。
 最初に話を振られて、オリエンだのプレゼンだの段階からなら約1年。
 実際に入金するまでのスパンなら13ヶ月だった。

 通常業務や連載、他の読切などと重なってたのでキツかったけど、それでも毎日1枚やれれば、月20日の勤務日数で考えても5ヶ月でフィニッシュ。

 実際にはアッチを先に仕上げておいて、それからコッチに集中して……という感じだったけど、とにかくスケジュール管理さえしっかりやれれば、通常業務と平行しつつ、それほど無理なく大きな仕事もやれるんだ。
 どこかで予定が狂っても、何日か休日出勤すれば取り戻せるってトコかな。

 プロで長くやっていると、本当にギリギリで何も出来ないってコトには滅多にならなくなる。

 どんなに忙しくても、ホンのちょっとの余力はいつもある。
 そのホンのちょっとのところで、大きな仕事をやっつけている感じ。

 みんなが「おおお~~っ!」と感心してくれそうな仕事は魅力的だけど、そういう仕事こそ余力でやるべきだと、ボクは思っているの。

 


※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。

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