似顔絵頼まれたけど、全然似ない~~~っ!

 すいません、ボクも似顔絵は苦手っす。

 でも、けっこう大勢描いてます。
 数えたことはないけど、100人、200人じゃ済まない人数を描いているハズ。

 中には、たまたま似て描けた例もあると思うけど、大半は自分でも似てねぇって思うレベル。

 けど、似てないけど似てるんだよ。

 見た目は似てなくても、印象は似ている。
 あるいは当人が「こういう印象を持ってもらいたい」と思うイメージには似てる。

 ようするに似顔絵やってるんじゃなくて、キャラデザインなのよ。
 実際の人物そのものというよりも、その人をイメージさせる絵を作ってるの。

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ボクは似せない似顔絵を描いている

 ボクも似顔絵の依頼を受けることは、よくある。
 何十人もの社員全員をイラスト化したことも何度もある。

 でも、ご本人に似ているように描けたことはほとんどない。

 似せようとは思うんだけどね、でもそんなに似てないとも思うのよ。
 どうやっても自分のキャラになっちゃうわけ。

 でも、それでいいとも思っている。
 それでいいという人の依頼しか引き受けていないんだ。

 ボク、似せるのは下手ですよ。だから似ませんよ、と。

 そっくりがいいんだったら、写真でも貼っとけばいいじゃん。
 乱暴な言い草だけどさ、でもそう思うのよ。
 今ドキは写真をデジタル処理するだけでもイラスト化できるんだから。

 なので似顔絵の依頼でも、似せることは第一義にしてないんだ。

 むしろ、写真には写らない部分のほうを意識する。

 その人が本当はどういう人なのか。
 周囲からどう思われたいと思っているか。
 どういう印象を持たれるべきなのか。

 そっちを気にする。

 つまり、その人の印象を体現するキャラクターを描いちゃうんだ。

 だから人間でさえないモノを描いちゃうことだってある。
 とある工事会社社長を描いたときはブルドックにしちゃった。だって本当に似てるんだもん。

 その社長は、その絵を自分の名刺に刷り込んで営業していた。
 見た人は笑う。ちょっと怖い顔に見えちゃうこともある社長なんだけど、名刺の絵を先に見ているから怖く見えない。
 愛嬌のあるブルドックにしか見えなくなっている。
 そして打ち解ける。商談は和やかに進む。

 これが漫画の力だ。

 似せる絵じゃなくて、漫画ならではのやり方でビジネスを支援するんだ。
 そのほうがいいって思ってるの。

 ちゃんと最初に、そういう考え方でやってますよと説明するので、モメたことはないよ。
 どうしても似てる似顔絵が欲しい人はボクには頼まないもんね。

似せないからできるコミック・ラーニング

 以前に、大型ホームセンターの従業員全員をイラスト化したときも、同じようにやった。

 そのときはブルドックまではやらなかったけど、似せることより「来店したお客様にどう感じてもらいたいか」を意識して描いた。

 その絵は、スタッフのネームプレートに表示される。
 従業員は大勢いて、その全員が「お客様には笑顔で応対しろ」と指導されているのだけど、いくら言われても上手くできない人だっている。
 ちゃんとしようと思えば思うほど緊張して、表情がこわばってしまったりする。

 でも、ネームプレートに優しい笑顔が描かれていると、それだけで少し救われるんだ。

 お客様もその絵を見て、優しそうだと思ってくれる。
 お客の側が、そういう気持ちで接してくれる。
 すると自然に笑えたりする。

 うるさく言われてもできなかったことが、すんなりとできるようになったりするんだ。

 ボクは、こういうやり方を「コミック・ラーニング」と呼んでいる。

 頭ごなしじゃなくて、漫画を使って自然に社員教育してしまう。
 そのためには、下手に似せないほうが効果的なケースも多いんだ。

 似ていると、照れ臭かったり恥ずかしかったりして反発を感じてしまうこともあるでしょ。
 その人が気持ち良く受け入れられるキャラにしちゃうほうがいいのよ。

 社員教育には、けっこう大きなコストがかかる。
 それを考えたら、似顔絵なんか安いモンだよ。
 しかも従業員にも喜ばれるのなら、なおさらでしょ。

 なので、似せるのが苦手なら、無理に似せなくてもいいと思うよ。
 似せなくても似顔絵は描けるよ。

 その絵が生み出すもののほうを重視すればいいんだから。

 


 なお、ボク自身の自画像は似てると言われることが多い。
 お忍びで、とあるサイエンス・カフェに行ったときも「もしかしてカソクキッズの作者さんじゃないですか?」ってバレちゃった。
 う~ん、バレるとお客の関心がコッチに向いちゃって、イベントを台無しにしかねないからコソコソしてたのに。

 でもボクの絵が似てるのは、似せて描いたからじゃない。

 絵のほうに自分自身を似せているから似てるのよ。
 営業上の理由で、そういうキャラづくりしてるからなの。

 なので、やっぱり似ている似顔絵は描けないのよ(笑)。

 


※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『広告まんが道の歩き方』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。他にもヒーロー小説とか科学漫画とか色々ありますし(笑)。

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