契約書って、どんなコトを契約するの?

 仕事を請け負う以上は何でも契約なんだけど、実は契約書を取り交わすコトは、そんなに多くないんだよね。

 仕事のほとんどでは契約書までは作ってない。
 メールなどでお互いの条件を詰めて、それで合意すればオッケー。
 そういう感じでやってる。

 メールだって文書だから、やり取りのログが簡易な契約書みたいなモン。
 だから、それでいいかなって。

 正直、キッチリした契約書がないと信用できないほどなら、そもそも仕事できね~だろ、くらいに思ってるトコもあるんだよね。

 ただ、大きな案件を引き受ける、継続的に取引する、出版などを任せる、といった場合には、やっぱり契約書は必要。
 個人的な信頼関係だけじゃ、先方の担当者が変わったりしただけでヤバイことになりかねないしね。

 だから「仕事のほとんどでは契約書なし」と言っても、実際には、何らかの契約書を交わしているコトも少なくない。
 取引を始める最初のときに契約してるので、その後はいちいちやってないというだけなんだよな。

 まぁ、単価の安い仕事や単発のお客様などの場合は、本当に契約書なしのままが多いから、実質半分くらいが契約書アリって感じかな。

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業務委託契約って、こんな感じ

 契約書にも色々あるだろうけど、ボクの場合、一番多いのは「業務委託契約」っていうヤツ。
 この手の仕事をするのなら、みんなそうだろうけど。

 業務委託契約書は、仕事を請け負うにあたって守らなきゃいけない条件がアレコレ書いてあるモノで、完成後の著作権等の扱いなども含まれてるコトが多い。

 受注日(開始)がいつで、納品(完了)がいつか。
 発注者と受注者の名義。
 請け負う内容。
 納品形態と納品物に含まれるもの。
 著作権や版権の取扱い。
 その他、発注者、受注者それぞれの権利と責任。
 本契約の有効期限と延長について。
 トラブル発生時の解決方法。

 まぁ、こういうことが「甲は乙にソレをコレする」とか「乙は甲にアレをナニする」とか、そういう感じで、数ページに渡ってズラ~~ッと書いてあるわけ。

 そういう書類を2通、発注者用、受注者用に同じモノを作り、ソレに互いに署名・捺印し、綴じの部分に割印もして、時には収入印紙も貼って、お互いに保管しておく、ということになる。

 大抵は2通とも送られてきて、両方に署名・捺印して、両方とも送り返し、先方で確認したらコッチの分だけ戻してもらうって感じ。

 収入印紙を貼るのは額面が大きいときだけ。
 ハンコは三文判でも大丈夫みたい。

 もちろん、内容に納得できなかったらサインも捺印もできない。

 契約書は、一度取り交わしてしまえば法的拘束力を持つものだから、無茶な条件があったりしたら後で泣くことになるし、相手に迷惑をかけてしまうことだってある。契約しなきゃ仕事できないのだけど、それでも慎重に検討しなきゃならないんだ。

 だからボクは、実際の契約書が作られる前に、できるだけ話し合ってコンセンサスを取っておくようにしている。
 契約書って法務の専門家に作ってもらったりするモノだから、作っちゃってからゴネたりすると変更する手間が大変になっちゃうからね。

 法務部のチェックが入る前の、叩き台的なモノを見せてもらえる場合もあるので、とにかくちゃんと話し合った上で、合意した内容に基づいて、契約書を作成してもらえるようにお願いすることが多いんだ。

 でも、話し合いする前に契約書が出てきちゃうこともある。

 一般企業さんや公共機関さんだと、コンテンツ関係の契約書なんか滅多に交わさないから、契約の都度、内容を詰めて話し合えることが多いんだけど、これがマスコミ・出版・広告関係の取引先だと、予め規定の契約書があって、それに合意してねという形のほうが多くなる。
 他の人も同じ条件で納得してもらってるから、この条件でよろしく、という具合。

 こういうときは、とにかくじっくりと検討するしかない。
 他に何万人が納得していようが、そんなの関係ないから。

 そもそも、こうした契約書って、全然別な業務の契約書をベースにしてたり、その流用だったりすることもあるんだよ。
 ずっと前に作ったから今の時代に合ってない、といったケースもあるし。

 ムチャクチャなコトが書いてあることだってあるから、迂闊にサインしちゃいけないよ。

ヒドイ契約条件を突きつけられた時のこと

 以前にびっくりしたのは「作業に使った機材等も返納もしく破棄すること」とか書いてあるヤツ。

 おいおい、作業のパソコンとかペンとかまで、全部仕事の度に捨てろっていうのかよ?
 受け取った書類等も全部返却しろって書いてあるけど、こっちが受け取ったのはFAXとメールだけだぞ。
 それを返却して何の意味があるんだ?

 この契約書出してきた会社はシステム開発系の会社で、それもインターネットなどがなかった時代に作った約款をそのままずっと使ってたらしい。
 だから全然ズレてるの。

 他にも「著作権人格権も含めて譲渡しろ」とも書いてあったな。
「著作権人格権は行使するな」なら理解はできる。絶対にイエスとは言わないけど。
 でも、そのときは譲渡しろって書いてあったのよ。

 無理だから。
 人格は譲渡できないから。
 本当に他の人はソレ納得したのか?

 しかも、この会社、後出しだったんだよ。
 仕事がかなり進んで、終わりが見えてきてから「そういや契約交わさないとダメなんで了承してくれ」って送ってきた。

 もう、その時点でダメなんだけど、その上前述のようなメチャクチャさ。

 当然ダメ出しして、こんなのサインできないよと断ったら、担当さんが泣きついてきた。
 担当さん、自分の会社の契約書の中身、見てないんだよ。

 そして「そっちの言い分の通りだけど、これは儀式みたいなもの。どうでもいいモノだから、目をつぶってくれ」と言い出した。

 いやいや、本当にどうでもいいならサインしなくてもいいじゃん。
 すると「契約書にサインもらわないと、上に了承してもらえない」と。

 知らないよ、そんなこと。
 筋の通った契約書に直してもらえなきゃ、何を言われたってサインはできないよ。

「じゃあ、とりあえずはこのままサインしてもらって、後で直せばいい」

 だ・か・ら!
 このままじゃできないって言ってんだろ!!

 まぁねぇ、こんだけ無茶苦茶な内容なんだから、これで納得してる人がいるとは思えないし、会社側もソレが通るとは思ってないだろう。
 本当に儀式みたいなモンで、ただ社内ルールで契約書を交わすってことになってるから交わしておくというだけのコトなんだと思う。

 でも、納得できないものは納得できないのよ。

 いい加減な文面の契約書を、見直しもせずに使い続けてきたソッチが悪い。
 そのためにボクが折れてやる謂れはないの。

 結局、この仕事は降りた。

 もうすぐ納品ってトコまで来てたから、先方担当者は今になってゲンブツが受け取れないんじゃ困るって泣きまくってたけど、自業自得だよ。
 こっちだってガンバって描いたのに全部パァなんだから。

 でも、目先の収入のために無茶な要求は飲めないんだ。
 手にする額面以上のダメージ受ける可能性もあるんだから。

 とにかく、こういうコトもあるから、ボクみたいな痛い目に遭わないためにも、契約書の話が出て来ないときには、事前に「契約書などの取り交わしが必要ですか?」と聞いたほうがいいと思う。

 そして必要だというのなら、必ず仕事に取りかかる前にチェックすることだね。

嫌な目に合わないためにも契約書は重視しようね

 けど……契約書って本当に大事なんだけど……このときばかりじゃなくて、他にも何度も痛い目に遭ってるんだけど……それなのに、つい忘れちゃうんだよねぇ。こういう痛い相手って、レアケースだから。

 世の中には痛い目に遭った話が山ほどあるんだけど、ボクの経験的には痛くないコトのほうが遥かに多くて、だから、ついつい、こういうことを忘れて先に進んじゃうんだよ。
 元々がモノづくりな人間だから、契約とかのゴチャゴチャしたことを面倒がってしまうからかもしれない。

 それで何年かに一回くらいの割合で、こういうヤバイ相手にぶつかって、その度にイタタ……。
 いかん、いかんなぁ。皆さんは見習っちゃイケマセン。

 なお「みんな納得してもらってる系の契約書」だと、自分のときだけ特別にカスタマイズしてもらいにくいとは思うけど、不可能ってわけじゃないと思うよ。
 実際、契約内容をボク用にカスタマイズしてもらったことはある。

 多くの契約書には「守秘義務」といって、契約内容を第三者に明かさないっていう条件もあるので、どんなカスタマイズだったかは語れないんだけど、ちゃんと筋を通せば、真っ当な会社ならちゃんと対応してくれると思う。
 筋が通った主張なのに対応してくれないなら、それは先の例みたいな真っ当じゃない会社ってコトだから、契約書がどうした以前に、そんな会社の仕事は断るべきだと思うしねぇ。

 

<追記>
 ちなみに「契約書は発注側が用意するもの」とは限らないよ。

 つ~か普通はそうじゃない気がする。
 だって保険とか、パソコン・スマホとか色んな契約するときって「売る側」が契約書を用意しているじゃん。

 ってことは、本当はボクら受注する側が「自分の契約書」を用意しておくべきなんだろうなぁって思う。
 実際ボクも、WEB系の仕事では契約書作ってあって、お客様にサインしてもらっているし。

 だから契約書が出て来なかった、ないまま仕事して後でモメたなんてのは、ようするにコッチが甘いんだよなって思ったりもするんだ。
 出て来ないならコッチから出せばいいんだもん。
 自分はほっといたコトを相手がやらなかったからって文句言うってのは、本当は違う気がするのよ。

 まぁ、そんなふうに思いつつも自分も面倒がってやってないんだから、言えた義理じゃないんだけどね。

 


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