カソクキッズ9話:わけがわからん量子の世界!!

2018年1月4日

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漫画以上に非常識すぎて扱いに困った量子の世界

 カソクキッズには、ずっとネタにしているお約束がある。
 それが「わけのわからん現象は量子のしわざ」だ。

 あ、量子っていうのは、陽子とか電子みたいな特定の粒子のことじゃないよ。
 ひとかたまりのエネルギーの最小単位。
 それを量子というんだ。

 まぁ、それだけだったら「ああ、そういうもんなのね」で済むんだけど、この量子の世界というのが、あまりにも常識はずれすぎて、わけがわかんないんだ。
 だからボクは「わけのわからん現象は量子のしわざ」ということで押し通している。

 いや、本当の研究者さんから見たら「何言っとるんじゃ!」なんだけど、でも、一介の漫画家から見たら……

 量子わかんねぇよぉおおおおおおおおっ!!

 誰も見てないときには「ある」と「ない」が重なってるとか、猫がピンピン生きていながら同時にがっくり死んでるとか、お前らナニ言ってんだよぉおお!?


 ……でも本当にそうらしいのだ。
 全然ピンとこないけど、量子の世界はあるらしい。

 ただ、どれもこれも魔法かSFにしか思えないのよね~~。

 例えば、量子テレポーテーションとかEPRパラドックスとかいうやつ。

 あるペアになっている粒子(量子もつれという)があるとする。
 このペアは、一方がプラスなら一方はマイナスだとする。
 その2つの粒子をず~~っと引き離す。そう、何光年も、何万光年でも。

 で、そうしてから、その一方を観測したとき、それがプラスであったなら、もう一方は最初からマイナスだったに決まってるよね。

 でも、そうじゃないらしいのだ。

 誰かが観測するまではどちらがブラスでマイナスは決まってなくて、どっちかを誰かが「プラスだ!」と確認した瞬間に、遥か彼方にまで一瞬にして情報が伝わって片方がマイナスに確定する、というのだ。

 そんなアホな! と思うんだけど本当らしいのよ。

 ま、物質そのものが瞬間転移するんじゃなくて情報だけだし、情観測するまではどっちがどっちかわからないんだから、これを利用して超空間通信といったことは出来ないんだけど、それでも確かにテレポーテーションだ。
 他にも「トンネル効果」というのだと、越えられないはずの壁を粒子がすり抜けちゃったりすることがあるという。

 すげぇ超常現象っぽい。嘘っぽい。

 でもそういうのが、実験で確認できちゃってるらしいのよ。
 フツーじゃない世界が、本当にあるらしいのよ。
 あるけどない、ないけどある、ありながらない、とかいうややこしい世界が実在するらしいのだ。

 次世代コンピュータとして各国で開発が進められている量子コンピュータなんてのも、そういう量子の性質を利用している。

 今のコンピュータはゼロかイチ。
 これは2つの部屋があったら、どちらかが「ある」で一方は「ない」という考え方。

 でも量子コンピュータは「ある」「ない」に加えて「どっちにもある」「どっちにもない」までを考えるらしい。
 これによって既存のコンピュータでは何万年もかかるような計算を一瞬で出来ちゃったりするらしい。

 もっともボク的には、この漫画を描くときに耳にした「量子的な平行世界の話になってる説」のほうが面白かったけど。
 無限に重なり合った平行世界。そのそれぞれの世界のコンピュータで平行計算して、その結果を集約できるから量子コンピュータはすごいとかね、そういう説も聞いたの。
 これも無茶苦茶っぽいけど、ボクよりずっと頭のいい研究者が唱えたことらしいから、SF好きとしてはワクワクしちゃったなぁ。

 漫画の劇中では「粒と波」についても論じている。

 量子(光などの小さな粒子)は、粒の性質と波の性質が重なってるらしいんだ。

 粒になったり波になったりするんじゃなくて、常に両方の性質が重なってるんだって。
 普段は波になってうにょ~~んと広がってるけど、人が見ると一瞬で粒になるんだって。
 しかも水みたいに粒が集まって波になるんじゃなくて、1個の粒で波なんだって。

 イミがわからん……。

 っていうか、絵にならないんだよ、量子って。
 人間の想像力を超えた現象だから、どんな絵にしても違うものになっちゃうんだよ。
 漫画だから絵で表現しなきゃならないのに、全然絵にならないの。

 だから、わけのわからんものは、わけがわからんままにしておくしかなかったんだよなぁ。

 とにかく、このエピソード以降も度々量子は現れて、その度に非常識な、でも本当にそうなアレコレを知ることになるんだけど、結局、正しく量子を理解してはいないんだよね。色々知ったけど、全然わかった気がしない。

 だから今でもボクの中では「わけのわからん現象は量子のしわざ」なのだ。
 ボクはそんな程度なのよ。

 でも、漫画を読んだ人の中には、これがキッカケになって本気で勉強した子もいっぱいたようだから、その子たちがちゃんと学んでいることを願う。
 そういう機会を作れたというだけで、ボクは満足なんだい。

聞きかじった量子で大ボラを吹きまくった

 そんなわけで量子については、未だにヘンテコで常識が通用しない世界という程度の知識でしかないのだけど、それでもネタとしては他の自作で利用させてもらっている。

 このブログでも公開している「小説版・時空戦士イバライガー」なんかがそう。

 主役のヒーロー、イバライガーRと、そのライバルのイバライガーブラックは元々は一人。
 でもタイムスリップで現代に現れた時に「重なり合った2つの可能性が両方とも顕現してしまった」ということにして分身させた。

 もちろん大嘘である。
 量子的に重なり合った可能性は実在するけど、その両方を観測できるわけじゃない。
 どちらかを観測したら、どちらかは消える……と思う。

 でもタイムスリップなんていう非現実的な条件を加えちゃってるし、量子世界って非常識だし、大嘘でもソレっぽいシズル感にはなるし……というわけで、都合よく嘘解釈してネタにしているのだ。読者の皆さん、信じちゃダメですよ。フィクションだと思って楽しんでね。
(このへんのKEKで学んだネタをどう利用してるかは「イバライガーコラム」や「小説版イバライガー」のカテゴリで読めるので、興味あったらソッチも読んでね)

 他にもカソクキッズ連載で学んだことを、ボクはあちこちでネタにしている。
 漫画を描いただけで本当に学んだわけじゃないし科学コミュニケーターでもないから、嘘や間違いも多いとは思う。

 でも、ボクとしてはそれでいいと思ってる。
 間違いを認めないとか、トンデモな信念持ってしまっているようだと問題と思うんだけど、ボクは自分の作品が科学的に正しくはないことを知っているし、読者にもそうであることを隠していない。

 で、間違った描写でも、それがきっかけで正しい科学を学ぶようになった例は山ほどある。
 ウルトラマンもストートレックも宇宙戦艦ヤマトもガンダムも、科学的には正しくないけど、科学を知るための入り口にはなってるのだ。

 実際KEKでボクを監修してくれた博士にも、ウルトラシリーズが大好きで「機動戦艦ナデシコ」や「トップをねらえ!」をベースにアレコレを教えてくれた人がいた。
 そういう人がいてくれたから、ボクもハマってたくさん覚えられたというところもある。

 なので、ボクもそうしようと思ってるの。
 科学的に正しい描写なんてのは、興味を持って学び始めてから理解すればいい。
 それで十分だと思ってるの。

 まずは慣れる。楽しむ。
 それが一番大事だと思うんだ。

 


※カソクキッズ本編は「KEK:カソクキッズ特設サイト」でフツーにお読みいただけます!
でも電子書籍版の単行本は絵の修正もちょっとしてるし、たくさんのおまけマンガやイラスト、各章ごとの描き下ろしエピローグ、特別コラムなどを山盛りにした「完全版」になってるので、できればソッチをお読みいただけると幸いです……(笑)

 


※このブログに掲載されているほとんどのことは電子書籍の拙著『カソクキッズ』シリーズにまとめてありますので、ご興味がありましたら是非お読みいただけたら嬉しいです。KEKのサイトでも無料で読めますが、電子書籍版にはオマケ漫画、追加コラム、イラスト、さらに本編作画も一部バージョンアップさせた「完全版」になっているのでオススメですよ~~(笑)。

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